2019/06/14 のログ
■カイン > 「よし、これで決めておこう。
全く、少しくらいは色をつけてくれてもいいだろうに」
常連相手に連れない事だとぼやきながら金を先に渡すと、
店主が目の前でそれなりの量の荷物を包み始めるのを眺めて肩を竦める。
「消耗品の類は平民地区とかだとちと足が付きかねんからなあ。
全く世知辛い。昔はもう少し大雑把だったんだがな、この国」
自分の身の上的に考えていた仕方のない所ではある。
大手を振って歩ける身分では本来ない以上はどうにもならないが。
商品を用意してもらう間に周りを見回せば俄かに人の増えた様子。
それでもちっとも賑やかと思えないのがなんとも陰気である。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」にナイチンゲールさんが現れました。
■ナイチンゲール > 陰気でじめっとした路地裏に、ふと甘い煙草の薫りがふわりと漂う。その発生源を辿れば、路地裏のこれまた隅っこに、地味な布を広げて店を出している者の姿。咥えた紙巻煙草から、紫煙を燻らせ気だるげに店番をする女。布の上に置かれているのは、何やら怪しげなポーションばかりである。
貧民街に女が一人。普通であればすぐに浮浪者に襲われるであろうに、誰も気にも留めない。女の姿すらも見えないとばかりに、男達は彼女の店の前を通り過ぎていく。
「やれやれ。今日はあまり人通りは少ないか」
煙の混じった溜息を吐きつつ、そう呟く。そろそろ店仕舞いかな、と魔女は呟き、汚い地面に煙草の灰を落とした。男避けの薬草が混じった煙草。しかし、それは人間だけに効くものであって――魔族などには効果のないものである。きっと、甘い香りにすぐ気付かれるやもしれない。
■カイン > 「……うん?」
ゆっくりとした待ち時間を、楽しむというでなしどうしたものかと思案している所に、
鼻孔を擽る香気を感じて視線を動かす。
と、明らかに様子の異なる女性の姿が見て取れる。
興味を惹かれた様子でゆっくりと近づいていくと、女性のものらしい露天の様子を覗き込み。
「やあ、こんばんは。商品、見せてもらってもいいかい?
元々あんまり俺がこっちに来ないのも有るが、この辺でいつも商売してる口かい」
そう笑って問いかければ楽しげに相手の反応を伺いながら声をかけ。
■ナイチンゲール > 「……ん?」
ふと声を掛けられ、目の前の男を見上げる。優男然とした見た目をしているが……きっと、ただの人ではないのだろうなと推測しつつ。それでもいつも通り、マイペースに問いかけに頷き煙を吐く。
「ああ、こんばんは。どうぞ、好きに見ていってくれ。まぁ大したものは置いていないがな。最近媚薬と傷薬の需要が上がっていて、専らそればかり作ってる。
……んー、まぁそうかな。気が向けば店を出す程度だが。定住の地を持っていないから、決まった場所に店は出さないんだ」
君もここらの人間じゃないようだが?そう言いながら、男が商品を見やすいようにポーションの瓶を並べていく。人間、と敢えて言ったのは自分が彼を人間じゃない、と勘付いていると気付かれない為だ。あまり深入りするのは好きじゃない。ましてや、正体のわからない相手であれば尚更だ。
■カイン > 「どうも、じゃあ遠慮なく。
こっちで生活してるのはしてるんだがな、
あんまりこのあたりには寄り付かなくてね。
馴染みの店があるからそこに定期的に消耗品を補充に来るくらいさ」
残念ながら入り浸りとは行かないと笑って告げる。
そのまま、相手の勧めに応じて並べられた商品をしげしげと眺める。
しかしその合間にちらと女の顔…というよりも咥えたものを一瞥すれば興味を隠さず問いかけ。
「所で、その煙草。臭いに覚えがないものだけどういうものなんだい?」
■ナイチンゲール > 「なるほど。だろうなぁ。ここら辺は貧民街の中でも更に治安が悪いし……寄り付かない方が賢明だ。ましてや、女なんかフラフラしてたらすぐに襲われるだろうさ。
で、その消耗品の買い物は終わったのか?油売ってるとそこらのチンピラに絡まれるかもしれないぞ。……だが、腕っ節は強そうだからその心配はいらないか」
冗談交じりに話しつつ、商品を眺める目の前の男を見つめる。…やはり、気配が人間離れしている。随分と真似は上手いから…人間の世でしばらく暮らしてきた存在なのだろう。詳しくはわからないが。そう推測していると、急に煙草について訊かれる。気付かれただろうか、少し驚きつつもいつも通りの様子で返答する。
「ああ。これは虫除けの薬草も一緒に混ぜていてな。そのせいで嗅ぎ慣れない匂いがするのかもしれない。やはり汚い場所には汚い蝿がよく集るからなぁ」
嘘は言っていない。こんな場所に蔓延る蝿どもを追い払う為の煙草だ。
得体の知れない相手に魔女だとバレると、後々面倒なことになりそうだ。そう考えて普通の人間を装っているが…相手の方が一枚上手だろう。すぐバレそうだ。
■カイン > 「おやおや、自分だって女性だろうにそういうこと言うかい?
勿論それだけの自信があるってことだろうけどな。
あいにくと、注文はしたんだが品物が出てくるのが遅くてねえ」
困ったもんだと言いながらちらりと自分の顔馴染みに視線を向けると、
全く反応がない様子に苦笑いが漏れてくる。
「俺に絡んでくる度胸が有るやつがいるなら是非見てみたいな、
ちょっと遊んでやるくらいはしてやるよ」
そう軽口叩く様子は強がりと言うわけではなさそうである。
それだけ腕に覚えは有るのだろう、笑い飛ばして肩を揺らし。
「ふうん…?」
相手の言葉に目を細めてちらりと周りを見回すと、
やはりと言うか通行人の中で反応を全く示さない者たちの存在がいることを確認して喉を鳴らし。
「その汚い蝿の中に、ひょっとしたら俺も含まれてるんじゃないかと思うんだが。追い払わなくて良いのかい?」
そうにんまり笑って言いながら、楽しげに顔を覗き込んでしまおうとし。
■ナイチンゲール > 「ははは、君の言う通りだな。だがこちらも心配しなくていい。きちんと対処は出来るよ。
ふぅん、そうか。なら、出てくるまでここを冷やかしているといい。私も世間話くらいは付き合おう」
笑いつつ彼の様子を観察する。ふむ、なるほど。やはり本人も腕に覚えがあるようだ。戦い慣れている雰囲気と言っていい。ここら辺で戦い慣れしている人種であれば、用心棒か傭兵か、おそらくどちらかだろう。そこら辺の男は軽くひねれそうだな。そう考えているうちに、なんだか彼に興味が湧いてきた。持ち前の好奇心が揺らぐ。彼はいったい何者なのだろう。
「やはり腕っ節が強そうだ。そこらの男を一捻りはしそうだな。……強い男は嫌いじゃない」
口角を上げて小首を傾げる。なかなか面白そうな相手だ。会話を続けてみるのも良い。
「君はこの香りを嗅いでも何ともならなかったのだから、きっと蝿より上等な虫だろう。そんな虫を追い出したりはしないさ。
……どうやら、君も好奇心旺盛なようだな?私もそうなんだ。気になった相手のことは知りたくなる」
そうは思わないか?問いかけつつ、にっこり微笑む。面白い相手には、少し近付きたくなる。例え猛毒を持った虫であろうとも、近付きたくなってしまう性なのである。
■カイン > 「それは失礼、余計なお世話だったみたいだ」
相手の物言いに喉を鳴らして言い返しながらも、
世間話くらいならという相手に例を述べつつクックと喉が鳴る。
楽しげにすっと目を細めるまま相手を見据え。
「なるほど?それなら、虫は虫なりに相手を楽しませる程度のことはしてみせなきゃならんな。
勿論、興味を惹かれなければそもそも声をかけたりシないものだろう?」
クックと喉を鳴らして楽しげに笑うまま、ゆっくりと目を細めながら、
右手をすっと差し出してみせる。
「ともあれ、何にせよ自己紹介と行こうか。俺はカイン、しがない傭兵だ。よろしくね?」
■ナイチンゲール > 「…ふっ。光栄だな。興味を惹かれたのは私か品物かはわからんが……。私も、君に興味があるなぁ。いったい君は何者なのか……好奇心が擽られる」
とはいえよろしく、と差し出された手を握り、握手を行う。彼が名乗ったのを聞いて、淡くはにかむような笑みを細面に浮かべた。
「私はナイチンゲール。ぶらぶら旅をしながら薬を売っている。……カインか、いい名前だ。どうやら、しがない傭兵と言いつつも腕は良さそうだが?みずぼらしい格好でもないし、割と稼いでるんじゃないか?」
なんて冗談を交えつつ自己紹介をする。互いに正体は明かさぬまま、探り合うこの感覚……なかなかに楽しいかもしれない。なんて思いながら。
■カイン > 「勿論、両方だとも。……そんなに大した存在ではないんだがね?」
何者かと言われれば楽しげに笑うままに言い返し、
軽く手を上下させてからするりと指を引き抜いてみせる。
「よろしく頼むよ。……ま、この稼業やって長いからね。
それなりに余裕はあるよ。色んな意味で、このあたりには知り合いも多いから仕事にはあんまりことかかない」
おかげで楽をさせてもらってるとは言いながら喉を鳴らして目を細め。
■ナイチンゲール > 握手をした手をするりと離し。それからまた煙草を摘んで煙を吐く。ポロリと灰が地面へと落ちる。
「傭兵を長いこと続けるのは大変だろうに、よくやるなぁ。ま、傭兵っていうものは自由だからな。戦うだけで金が貰えるのはいい。
自由ってものはいいよなぁ……私も自由になりたくて旅に出たクチだからな。君ほどに儲かっているわけじゃないが、自由だからなんでも許せてしまうのが玉に瑕だな」
くつくつと喉を鳴らして笑いつつ。それからゆったりとした所作で煙草を口に運んだ。
「傭兵をやっているとあれば、傷薬が無くて困ることもあるだろう。良かったら買っていくか?安くしておくよ。塗り薬だが、患部に塗って一晩経てばほぼ傷が塞がるスグレモノさ。後はお楽しみのお薬とか。女には事欠かないだろう。それを使えば相手は泣くほど悦んでくれるぞ」
したたかに宣伝は欠かさない。なかなか余裕があるのであれば、いい客になりそうだと狙いつつ、断られてもそれはそれでいい。彼と世間話をしただけで結構な儲け物だ。
■カイン > 「ま、そこは少しばかり人様とは違うんでね。
自分の特徴は最大限生かさなきゃ損ってもんだ」
相手の物言いに笑い飛ばして言いながらも、肩を揺らして喉を鳴らす。
自由という物言いに違いないとうなずき返し。
「存外不自由なもんだが、この生き方自体は悪くない。
結構やることさえやれば文句言われないもんだしな。
ふむ…なるほど、それじゃあ折角だし頂こうかね。
後は、そうだな…夜の方の薬なんてのは取り扱いがあるかい?」
相手の提案はあっさりのみながらも、
続いて突きつけたのは半分セクハラじみた注文である。
面白半分なのは男が笑みを浮かべていることから丸わかりだろうが。
■ナイチンゲール > 「ふぅん?人様とは違うところ、ね……。私も人様とは違うところはあったりするな。だからこそ、その特徴を活かせるポーション作りで生計を立ててはいるな。本腰入れてはやっていないが」
クスクスとこちらも頬杖をつきつつ笑う。随分と楽しげに会話をする男だ、と思いながら、自由談義に花を咲かせる。
「国に属さないという時点で、何者にも縛られていないからな。仕事だけやっていればお金を貰えるのは良いことさ。世の中には搾取され続け捨てられる者も存在するからな…特にこの国ではそれが顕著だ。全く嫌なもんだよ」
自由を愛するが故に、不自由を強いられるのは我慢がならない。少し眉を寄せるも、薬を買うのに乗り気な相手にまたいつもの微笑みを浮かべる。
「ああ、毎度。1個5ゴルドでいいよ。
……夜の薬はもちろんあるさ。ここではそれがかなり需要が高いからな。飲んだら指一本触れただけで快感を得られるとびきり強い薬もある。……君は女に事欠かなさそうだからな。誰かに使うのか?」
セクハラじみた注文もするりと受け流す。楽しそうな笑みにはニヤリと笑みを返して、次々に媚薬を並べていくだろう。かなり圧倒される数ではある。
■カイン > 「誰しもそんなものさ、でなければこんな貧民地区になんぞ居ないだろう」
何とも乱暴な物言いをシながらも喉を鳴らして、
活かせる場所があるのは良いことだとうなずいてみせる。
「とはいえ、国を使う以上は制約を受けてしまうのはまあ仕方がないな。
それがこの国のあり方なんだろうから仕方がないと言えば仕方がないが、っと」
少しだけ肩をすくめて相手の物言いには濁すように応じながらも、
値段を聞けば少し逡巡し。
「そうだね、とりあえず3個いただこう。
いや、あいにくと使う当てが今のところ無くてね。この後良ければ効果の程を実際に教えてもらえないかい?」
そう、笑うままに誘いかけてすっと右手を相手の目の前に差し出してみせる。
■ナイチンゲール > 「ふふ、そうだな。人というものはやはり面白い。君もそう思わないかい?」
肩を竦めて笑いながら、そう問いかける。少しばかりのカマかけだ。まあこの程度ならばあまり反応は見せないだろうが…なんとなくそんなことを訊きたくなった。
「全くだな。しかし、この国にいて面白いのも事実だ。情勢が変わっていくのはいつ見てもワクワクするものだな」
なんて嘯く。それから、値段を聞いて逡巡しなかなかに大胆な誘い文句を言う彼に、思わず笑ってしまった。
「毎度あり。では15ゴルド頂こうか。……ふふふ、なかなか大胆な誘いじゃないか。まさか製作者本人にそんなことを訊くなんて。…だが、悪くないな。いいだろう、私をテスターとして使っても。効果の程を試してみてくれよ?カイン」
差し出された手にポーションを三つ置き、その上に手を重ねる。新緑の如き瞳は細まり、微かに目の前の男の姿を映す。年甲斐もなくワクワクしてきた。
■カイン > 「人…というよりも人生ってのは楽しいと思うぜ。
一期一会ってのがなければさぞ退屈だろうとも思うけどな」
それが有るから面白いと喉を鳴らして言い返し、
相手の言葉にゆっくりと肩を揺らしてうなずいてみせる。
「ああ、楽しませてもらうとしようじゃないか?」
にんまりと笑うままそう告げると、
女の手を軽く掴んで引き上げる。
そのまま、そっと肩を抱いてしまおうとするあたりどうにも手慣れている様子。
■ナイチンゲール > 「一期一会…か。それなら、私達の出会いもなかなかに面白くなりそうじゃないか?」
なんて、ワザとらしく首を傾げる。楽しげに笑う相手に釣られて、こちらもなんだか可笑しくて笑ってしまった。
「君は手慣れていそうだからなぁ。私も楽しませてくれると有り難いものだな。……ふふふ、ベッドの中でも、もっと良く君を知りたいものだ」
手を引かれ立ち上がり、そのまま肩を抱かれる。手慣れた彼の様子に甘えるように、その身体を逞しい身体にそっと寄せて。少しうっとりとした表情で微笑んだ。
■カイン > 「そうなることを祈ってるよ。
…いや、そうするべきなんだがな」
俺たち自身がと上機嫌に言い返しながらも、
言われた言葉におやと声を上げ。
「そこまで期待されたら答えないようじゃあ男が廃る、ってね。
それじゃあいこうか?」
ゆっくりと耳元でささやきかけながら、雑踏に消えるように歩き始めるのだった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」からナイチンゲールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」からカインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にカーレルさんが現れました。
■カーレル > 貧民地区のスラムの一角
古いレンガ作りの建物はかつての教会であったが担当の司教がトラブルに巻き込まれて逃げ出してしまったのだという
時は移ろい、現在では盗品からワケありの品なんかを買い取ったり販売したりする所謂、故買屋というヤツである
店主はなんでも港町の方で大きな取引がある、ということで出払っており、代わりに店番をするというのが、
今回の仕事であった…と言っても、店に客らしい姿なんて1つもないのだけど
客がいないから店の奥で椅子にふんぞり返り、煙草を燻らせていて平気というわけである
時折、店の前を見回りの衛兵が歩いているが、店主の言うには鼻薬を相当に効かせているらしいから安心である
欠伸を零しながら短くなった煙草を灰皿代わりの素焼きの皿に押し付ければ、椅子に座ったままうたた寝を始めた
朝から店主の代わりに店番を努めているが、訪れるものはなく万事この調子であった
「…これで金貰えんだから楽だわなあ…」
眠気覚ましの薬草を煎じたお茶をカップに注げば眠気覚ましに一杯、時間を掛けてゆっくりと飲んだ
店主は泊まりになると言っていたから、後は適当に店を閉めて帰ればいいだけなのである