2019/05/13 のログ
カイン > 「衣装をどうにかするだけでは限界もあるしな。
 寒いぶんは酒でなんとかごまかせるんだが暑いのはそうもいかない」

世の中自由自在に温度を操って自分の過ごしやすい環境を作り出す輩などもいると聞く。
残念ながらそんな小器用な真似は自分自身には到底できそうにないのだが。
その代わりにと渡されたエールを手に取り軽く煽れば体の冷えていく感覚に人心地つき、
酒場の中を見回すと遅くまで飲んで潰れている者、一人で静かに飲むものなど客の様子は様々。
時折新しい客も訪れる様子に皆元気な物だと肩を揺らす。

カイン > 「…ん。酒もそろそろ潮時かね」

ふと気が付けば随分と夜が更けた気配がする。
人波よりも随分と頑丈な体を持っている自負はあるが、
かといってほかの全ての部分が人間以上かといえばそんなこともない。
悪酔いしない程度に終わらせようかと緩く息を吐いて考えながら、
立ち上がってその場を後にしていくのだった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/酒場」からカインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にネコさんが現れました。
ネコ > 『……』

貧民地区の路地裏で、一人の少女が壁に背を預け、座り込んでいた。
別段、飢えてるだとか、怪我をしてるだとかではない。
単純に、することがないからそうしているだけだ。

『……はぁ~。どっかにボロ儲けできる儲け話ねぇかなぁ……』

空を見上げながらボヤく少女。ちら、と見た自身の右腕。
肩から先が存在しないそこ。憂鬱な気分にさせてくれる。
失った右腕を思えば、必然。自分は大金が入用だということを思い出すが。
今のところ大爆笑できるほどの金儲けのアテ、などはない。

『……おまけにこの体じゃあねぇ』

思わず自虐的に微笑む少女。体を売ろうにも。
隻腕の女、というのは決して喜ばれるものでもない。
ましてや、腕を失って以来少女は表情も態度も刺々しいものとなっているのだから。
余計客付きも悪くなろう、というもので。
こうなってくるともう文句を言い続け、世界を恨むくらいしかやることがない。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にグライドさんが現れました。
グライド > (それは、比較的貧困にあえぐ層が住み着く地区の中では
少々異質な姿――何せ、全身金属鎧等と言う重武装なのだから。
ただ、其の背後に一人の男性――恐らくは貴族だろう人間と
其の従者らしき者を連れている様をみれば、其れが護衛なのだろうと察せるだろうか。

ちょうど、少女が座り込んでいる横を過ぎ、とある建物の前で止まれば
貴族風の男と従者が、建物の中に入って行くのを黙って見送り。)

「―――――……やれやれ…、……御貴族様の考える事なんざ、とんとわからねぇな。」

(扉が閉まる寸前、従者の男から差し出された金貨袋を受け取れば
小さく溜息を零しながら、肩を竦めた。
護衛の依頼は此処まで…後は、他の者が引き継ぐ事に為るらしい。
まぁ、貰える物さえ貰えるのならば一向に構いはしない訳だが。)

「まぁ、向こうにすりゃ端金、か。
さて、どうすっかねぇ。」

(手にした金貨の袋を眺めつつ、幾度か掌の上で放る。
相手にとっては端金、己にとっては泡金。
こういうときの使い道なぞ、大抵は飯か酒か、女と相場が決まってはいる、が)。

ネコ > 貧民地区に似合わぬ、物々しい、と言うのが適切かも知れぬ一行。
高貴、というよりかは。趣味の悪い気配を発している貴族。付き従う従者
そして、それを護衛しているのだろう金属鎧の人物が隣を通るのを。
少女は、苛立たしげに見ていたが。

『……』

貴族と従者だけが建物に入り、護衛がその場に残るのを見れば。
少女はゆっくりと立ち上がり。その金属鎧へと近づいていく。

『……よぉアンタ。暇か?
 見たところ、職務にご熱心な騎士様、って感じじゃねぇよな』

まったくもって敬意も感じられぬような口調で話しかけ、相手を覗き込む少女。
隻腕であることを隠しもしない。相手にしてみれば、片腕メイド猫耳ミレー、なんて珍奇な存在がいきなり声をかけてきて。
失礼だ、と激昂するかもしれないが。少女は気にしない。

『貴族の気まぐれでこんなところまで護衛任務、って感じだろ?
 なぁ、溜まってねぇか? アタシでよければ、ストレス発散くらい付き合うぜ?』

にぃぃぃぃ、と笑いながらそんなことを言う少女。
貧民地区共通語に要約するなら、『アタシを買わないか?』となるか。

『見ての通りハンパな体でね。だからってわけじゃないが……。
 多少なら乱暴にしてくれても構わないぜ?
 殴ったり、蹴ったり、あぁ、折ったりとかさ。首絞めたり、切り刻んだり。
 殺されるのは勘弁だけど、それ以外ならお好きなように、だぜ?
 ただし、その分金はきっちり貰うけどな』

すすす、と相手の目の前に移動したかと思えば。メイド服をずらし。
下着に隠されていないクレパスと、残念だの貧しいだのという表現が似合う胸を見せる少女。
正直、客へのアピールとしては二流以下の声かけだが。さて、相手はどう受け止めるか。

グライド > (其の建物の中で、貴族の男が何をするのかまでは知る由も無い。
とは言え、己の琴線に触れる程度の「えげつない理由」であったならば
流石に気配で判るだろうし、己も受諾などしてはいない。
事前に、足を運ぶ事への口止めをして来た辺り、恐らくは何らかの取引か
王国の中で公に出来ない会合の何れか、と言った所だろうが――)

「―――――………うん?」

(ふと、声を掛けられる。
振り向けば、其処にいたのはミレー族の娘。
服装からして召使、と言った風情では在るが、最初に目を引いたのはその隻腕か。
大よそ、召使としての礼儀とは程遠い乱雑な言葉遣いからして
単なる「そう言う衣装」なのかとも一瞬思った、が。)

「――――……嗚呼、そう言う事か。 ……にしてもよ、もうちっと誘い方ってもんがねぇか、御前さん。」

(――其れが、要するに娼婦の誘い事とは当然判らない筈も無い。
が、一部そう言うのが好みとか言う特殊事例は置いておいて
もう少しやりようは在るだろう、と、思わずフルフェイスのヘルムの下
噴出すような笑い声を響かせては。

少しばかり間をおいて、じっと、娘の姿を眺めた後で。
ぽん、と其の頭上に、金属質な掌を、痛がらせぬ程度に柔く載せては。)

「なら、宿まで付き合いな譲ちゃん、途中ちょいと買い物もあるんでな
ついでに手伝え、片腕でも、其れ位は出来るだろ?」

(――其れは、娘の誘いに応じた、と言う事だ。
とは言え、娘にとっては予想外やも知れぬ雑用がくっついて来そうな気配だが
さて、其の辺りは業務外、か否か)。

ネコ > 貴族が入っていった建物。ちらと見る少女だが。
すぐに興味を失う。寂れた連れ込み宿だ。
せいぜい、買った奴隷の味見という名の陵辱が行われているか。
そうでなければ政治的な何かだろう、と思う。
今の少女にはそんなものはどうでもいいのだ。

『……へへっ』

自身を見る相手に、少女は笑顔を見せる。
とはいえ、普段この少女が見せていた、人懐っこいそれではない。
どちらかといえば、ヤクの売人が見せるようなそれだ。

『悪いけど、そういうのは腕と一緒に置いてきちまった。
 そんな風な媚びっ媚びの女が趣味なら、この先だ。
 ここをまっすぐ行ってぶつかる大通りなら、そういうのが揃ってるぜ』

いよいよ娼館通りの客引きじみたことを言いながら、左手を差し出す少女。
その情報で満足なら情報料をよこせ、ということらしい。
しかし、相手が金を払うではなく、少女を誘うように声をかければ。

『……毎度あり。まぁ、それくらいならいいけどさ。
 あぁ、名前を教えてくれよお客さん』

肩をすくめながら笑う少女。
そのまま、相手の隣に立ち、買い物に付き合うことを快諾する。
途中、懐から小包を取り出し、その中身を飲み干すように。

グライド > (何処か、随分とささくれ立っている様にも見える其の笑み。
其れが隻腕に関係するのか、或いは元々の彼女の性格なのかは知らぬが
まぁ、別段大した問題でもない。 話が通じるなら、それで十分だ

娼館通りの方角を示されれば、知っているとばかりに首を振り。)

「其れでも良いが、先に声を掛けて来たのは嬢ちゃんだからよ。
こう言うのは早い者勝ちだ、機会は逃がさねぇのが商売、だろ?」

(言えば、先んじて娘の衣服、其のポケットに、硬貨袋を放り込んでやる。
何かを飲み干し始めた娘に、なんだそりゃ、と正体を問いかけてみながら
名前を問われれば、共に平民地区の方角へと向けて歩き出しながら。)

「俺様か? 俺様はグライドだ。 そう言う嬢ちゃんは、名前は在るのかい。」

(告げる名前、名乗り渋るようなものでもない。
変わりに、娘の名前を問いかけながら、のんびり歩みを進めれば。
道中、「ちょっとした」買い物に付き合わせる事となるだろう)。

ネコ > 少女にしてみれば、相手の姿は金属鎧に隠されわからないのだが。
それでも、少女もまた、そんなことを気にしなかった。
金を払ってくれるなら、もはや何でもいい、という様子だ。

『かもね。まぁ……。
 あんまり萎えさせないようにするつもりだけど』

くすくすと笑いつつ、飲んだものについて問われれば。
しれっとした顔で、白い粉を見せる。
錬金術で作られた粉薬で、痛みを消す効果が強い代わりに、効果が切れると様々な副作用に襲われる。
麻薬ではないにしろ、それに近い代物だ。ポケットに入れられた硬貨袋の中身は、きっとそれに変わるだろう。

『グライド、ね。覚えたよ。
 アタシ? アタシは……ネコ。今はそれがアタシの名前』

相手に名を問われ、少女は雇用主から貰った名を名乗る。
そのまま、買い物に付き合う少女だが。
以前もこんなことを、他の誰かとしたな、なんて笑う。
その時は、行為をしなかったが。さて、今回はどうか?

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からグライドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からネコさんが去りました。