2018/07/18 のログ
ツァナ > 「そうそう。ちゃんと、返してかなきゃ、ダメ。」

頷いた。…勿論其処には。恩も、仇も。どちらの意味も含まれているものの。
わざわざ其処を語る事はしなかった。
とっとと離れてしまったのは。耳に触られたくなかった…というだけでなく。
作業終わりでお腹が空いて、という。実に切実な理由も有った筈。だからこそ、実に素早く動いた訳で。

「……ありがと。
これにも、ちゃんと、返さなきゃ。
…もうすぐ終わり?だったら、片付けと。…持って帰るの、手伝う。」

頷いて。現地を貰ってもっけの幸い、二つ目のパンにも手を付ける。
相変わらずちまちまと齧り付きながら。少し考えて、提案してみる。
この後も手伝う事を考えたなら。早い内に、孤児院に言った方が良いだろうと。
料理を教わる、というのも。やはり早い方が、時間も多く取れる筈なので。

「そう。ナイショ。…まぁ、それでちょっと、子供に困ってたり…するケド。」

そういえば、と。少し困惑した顔になる。
孤児院の子供と遊んだりも、何度かしているのだが。
フードを引っ張られたり、取られそうになったり。顔を見たいと言われたりする事が多いらしい。
なまじ相手が子供な分。どう、対処すれば良いのか分からない。
子供相手のプロなのだろう、目の前の彼に。どうしよう、と首を傾げてみせる。

ルシアン > 少女の頷きには、同意するようにうなずく。
少女とは根の深さが違うかもしれないけれど…青年にも、どちらの意味も、理解できる。
恩は返さなくてはいけない。勿論、その逆も…。

「え?あ、うん。
 そうだなぁ…じゃあ、そうしてもらおうか?今日はもう来る人も居ないしね」

提案には少し考え、うなずいて。
少女が満足するくらいに食べてくれたと察したら、鍋も綺麗にカラになり。井戸の水で洗って、他の荷物もまとめ始め。
少女とは一度、一緒にきちんと院へ行ってみる機会も有れば良いはず。
料理に興味があるなら、きっと沢山教えてもらえることもあるはずで。

「そうだねえ…お姉ちゃんの顔、しっかり見たいって子も、居たりするからなぁ。
 それに……ああ、そっか。ツァナはまだ知らないんだっけ」

小さな子に必ずあるもの…それは、青年なんかよりずっと強い興味と好奇心。
時々来てくれて、一緒に遊んでくれたりする、優しいお姉ちゃん。その顔を見てみたい、なんて事は抑えきれるわけもなく。
軽く困ったように肩をすくめ、そして・・何か言おうとして言いよどむ青年。
ふむむ、と少し考えつつ。改めて少女を見て。

「まあいいや。とりあえず、今日は…それ、食べ終わったら持って帰るの手伝ってもらえるかな?
 一緒に行ってみようか。…多分、ちょっとびっくりするかも」

悪戯っぽく笑ってみる。そして、辺りに残った調理器具やほかの道具なんかを片付けだして。

ツァナ > そして流石に。返している内容については、言わない方が良さそうだと思う。
幸せなこの場面で、あえて、不穏な話をする必要はないだろうと。
…万一、此処に集った他の人達を。巻き込む事が有っても困るから。

「うん、その、ツモリ。
早く始めた方が、色々。……それに。片付け、大変、だと。思うし。」

大勢に炊き出しを行った鍋は、結構なサイズだ。
流石にそれだけは、背の有る彼に持って貰わないと、いけなさそうなので。
それ以外の、細々とした物に関しては、此方で受け持とうと思う。
鍋も器も大体空になったから、後は洗って、荷物に纏めて。
食べ居れば途中からは片付けも手伝い。やがて、抱えるようにして立ち上がる。

「興味、持たれてる、っていうか、面白がられてる…っていうか。
コレに関しては、何処の、どんな子供でも……一緒、だなぁって。」

ミレーの子供達も、同じだった。少しその辺が懐かしい。
思い返して、少し口元を綻ばせては…また引き結んで。
何せ、そんな子供達ですら…もう、居なくなってしまったのだから。
ただ、この話題を続ける事はない。聞かせて面白い話でもないし、それに、彼の言葉の方も気になったから。

「…んん?まだ、何か、有ったっけ…?」

子供達にか。孤児院にか。何か知らない事が、まだ有るらしい。
首を傾げながら。彼の後ろについて、歩き出す。
この侭孤児院に到着するまでの間も。お互いの近況やら、世間話やら、ずっと花を咲かせていたハズで。

ルシアン > ちょっとだけ、相手の気になるような言葉で気を引いてみる…
そんな喋り方は青年の特徴なのかもしれないけど。

少女と一緒に、重い荷物を抱えて帰っていく道すがら。
きっとどうという事のないたわいのない話が続くはずだけど、その足取りは軽いはずで。

今はのんびり、二人並んで帰り道に消えていくはず、で。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からルシアンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からツァナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にリータさんが現れました。
リータ > 近頃視野の広がってきた生神女は、王都と神聖都市を頻繁に行き来するようになっていた。
その結果、王都では身分差別が特に酷く、救われるべき存在が多いことに気付く。

本日貧民地区の民家で民を集め、説法を説いた帰り、少女は1人の奴隷を見た。
ミレー族と思しき獣耳、布切れ同然の服、汚れた裸足に、両足首を結ぶのは頑丈な鎖。
怯えた目をしたその娘は、己と変わらない年頃に見える。
栄養状態が悪く、本当はもう少し上なのかもしれないが。

「大丈夫ですか…?
 ―――逃げないでください。私は神聖都市ヤルダバオートから来た者です。」

『………。』

所有者の元から逃亡してきたのか、警戒する奴隷に少女はゆっくりと近付き、一方的に話した。
身元を明かし、困っているのなら一時的にでも教会に身を寄せてはどうかと。
時間をかけて距離を縮め、手を差し出す様に腕を伸ばすと相手の出方を待つ。

―――奴隷は、痛苦に歪む顔で悩んだ後、やせ細った腕をこちらに向けて伸ばしてくる。
指先が触れ合った瞬間、聖職者は安堵する様に微笑んだ。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にマイさんが現れました。
マイ > 普段はあまり訪れることのない、貧民地区へ足を運ぶ冒険者の少年。
服装こそ動き易いものであるが、佇まいや顔立ちからは育ちの良さそうな雰囲気があり、貴族出というのがわかる人にはわかる…ような感じか。
ここに来た理由は、逃げ出した奴隷を連れ戻してくるという依頼のため。
本来マイがやるような仕事では無いはずだが、いろいろあって実行しにやってきていた。

「あ、その子…」

お宝を見つけるわけじゃないからあまりやる気も出てこないが依頼は依頼。
適当に捜して見つからなかったとでも報告しようかなんて思いつつ通りを曲がってみれば、あっさりと似顔絵そっくりの奴隷の少女を見つけてしまったようだ。
奴隷少女の傍らには、手を差し伸べる司祭らしき女の子の姿。
奴隷を保護するつもりなのだろうか、だとすれば物好きな人物だと思うし、こちらとしては面倒なことになりそう。

「…司祭さん、僕はその子の飼い主の代理なんだけど…その子連れて帰っても構わないかな?」

代理というのも変な感じだが、とりあえずそういう言い方をしておこう。
司祭はどう出るのか、苦笑いしつつ二人を眺めている。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」に月永遠花夕さんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」から月永遠花夕さんが去りました。
リータ > ようやく和らいできた空気が、思わぬ人物の登場により再び凍る。
奴隷の娘はビクッと身体を震わせ、少年を見て手を引っ込めた。
対して聖職者である少女は、ゆっくりと振り返り、慌てた様子はない。

「―――彼女はとても弱っています。
 十分な食事と休息を与えられているとは思えません。」

苦々しい表情で、首を左右に振る。
揉め事に慣れているわけではない。むしろ逆。
しかし場慣れしていないからこそ空気を読まないというのか、度胸があるというのか、敵意を見せるでもなく。
―――それは、たしかに面倒な存在だろう。

「差し支えなければ、飼い主と仰る方とお話をさせていただけませんか。」

奪うでもなく逃げるでもなく、正面から話すしか戦術を持たない。
相手が少年だということもあるかもしれない。
彼に向き直り、胸に手を当て真摯にお願いを。

マイ > 奴隷少女の震えた様子、そしてこちらを見るおびえた瞳に、ああ…悪者だなぁと呑気な心持。
司祭の方は、幼げな見た目と異なって凛とした様子に見える。
やっぱりこっちが悪者のようだ。

「まぁ…うん、僕もそう見えるよ。
可哀想だとは思うけれど…」

それ以上は言うまい。
奴隷が認められている国なのだから、この少女のような存在を気にしていてはきりが無いと。
…だからこそこの司祭のような存在は稀有で、奴隷少女にとっては唯一の希望だった。

「…ゴルプティ卿なら今頃新しい奴隷探しにバフートにでも行ってるんじゃないかな。
少なくとも、今は王都にはいない」

己の欲望のために少女の奴隷を集めペットのように扱うことで有名な貴族の名前を告げる。
正論や道徳など通用しない男、そんな男に接触しようとすれば、司祭である彼女ですらその毒牙に掛かってしまうだろう。
幸いにもその男は新しい奴隷探しにご執心であり、王都を離れている。
つまり、今その奴隷少女を狙う人物は、目の前の少年だけということになる。

リータ > そう悪い人には見えない。いい人に見えるわけでもないが。
飼い主と話せないと知ると、聖職者は落胆した。
それは厄介が厄介なまま長引くことを示しているから。

「…そうですか。」

さて、困ったものだ。
当人がいれば奴隷の処遇について話し合えるというものの、
いなければ代理人と己いう第3者だけで解決しなくてはならないのだから。
もちろん、飼い主さえいれば何とかなるのではと思っている時点で呑気なのだろうが。

「申し訳ありませんが、彼女をお渡しすることは出来ません。
 彼女はヤルダバオートのエマヌエル教会にて保護します。
 後日正式にご連絡を差し上げますから、ここは見逃していただけませんか。」

荒っぽい性格であったら少年をどうにか昏倒させてしまおうだとか、策はあったかもしれない。
生憎と真っ直ぐな聖職者は駆け引きをするでもなく、己の望みを主張する。
奴隷の娘はやり取りの中、どうにか逃げる隙が生まれないかと
そわそわしている様だが、どちらにしても動くには今はタイミングがよくない。
聖職者の背後で俯くにとどまる。

マイ > どうやら飼い主の男が不在なことに落胆しているようだ。
寧ろ喜ぶべき事態なような気がするが。
いろいろな手回しをしておく時間があるということなのだし。
そういった考えに至らないあたり、純粋というか、人がいいのかもしれない。

「…ふぅん…見逃して欲しいなら、何を差し出してくれる?
一応依頼を受けて連れ戻すよう言われてるからね」

見逃して欲しいと言う司祭に対し、にっこりと微笑みながら見逃す代償の話へ。
奴隷少女を見逃せば、少年は依頼失敗の報告をして冒険者としての評価を落とすことになる。
それに釣り合う代価を司祭に求めよう。
実に悪者らしいセリフである。

まぁ実際のところ、ゴルプティ卿は好ましくないので奴隷を見逃しても構わないと思ってはいる。
ただ、司祭が本気で奴隷を守るつもりなのか、それとも宣伝のためにやっているに過ぎないのか確かめたく、こんなつまらない取引を持ちかけることにした。

リータ > 依頼という単語が、少年が飼い主と親しいわけではなく、雇われた立場だと分かる。
少女は少し安堵した。忠義をもって奴隷を探しているのだとしたら、もっと厄介だ。

しかし、だからといって簡単に差し出せる何かがあるほど裕福ではない。
少女は背に奴隷を隠したまま、熟思する。

「我が教会は慎ましく生活しています。
 おそらく貴方を雇った方と同等のお金や物品は…出せません。
 私達が誇れるものは神のご加護、教徒の祈り、そして…
 敷地の畑でとれた野菜など、本当にささやかなものだけなのです。」

駆け引きなどではなく、包み隠さず口にするのは真実。
その上で、雇われたのだとしたら彼が必要とするのはお金なのだろうと判断した。
見た目には生活に窮する様子のない少年だが、そう見えるのは腕が立つ者だからかもしれないと。

「ですが、もしもお金が必要だと仰るのでしたらどうにかします。
 1度に全てを集めることは難しいと思いますが、時間をいただければ、必ず。」

神だけを信じ、狭い世界で生きてきた少女はにわかに信じ難い言葉も、真っ直ぐ少年の目を見て言う。
まだ理想論だけで生きていける存在だから。