2017/05/06 のログ
ノア > 女もまた、 相手が貴方だからこそ.. 其の生意気さも増している事だろう。互いに身体を重ね、 今なお欲情している最中でさえ、 ムードに欠ける言い合いをしてしまったり.. 無論本気で言い争っている訳ではなく、 二人にとってはほんの戯れ。

「 違っ..... これは、 誰かさんが信じらんないくらい出すから.. 垂らしてるんじゃなくて、 垂れちゃうのっ... ! 」

こうして きゃんきゃんと言い返すのも、 貴方と過ごす時間の中で.. 大すきな楽しみのひとつ。けれどこの夜は、 いつもと状況が全く違っていた。互いに身に纏うものを全て脱ぎ捨て、 素肌を晒し、 其の身を求め合っている、 から ──

[ こそこそするのに、 通り名なんて邪魔なだけ。誰にも知られず仕事をこなせるのが.. 本当の盗賊、 でしょ。そう言えば、 お互い知らない事ばっかり..... じゃあいつか、 ゆっくり話す。]

こう貴方に返したいけれど、 実際は

「 とー り、 な..... なん、てっ.. んぁ、 っ...
じゃ、ぁ..... いつ か、 はな ... っ、 ん.. 」

甘い吐息混じりで、 まるで言葉になっていない。そんな自分の声すらも、 まるで耳に入ってこない。聞こえてくるのは貴方の声と、 部屋に響く厭らしい水音ばかりで..

「 んぁ、っ..... ん、 くっ.. ん、 んっ.. ! 」

ひくつき疼いて仕方ない秘裂へ 漸く捩じ込まれ、 望んだ通り身体の奥まで貴方でいっぱいに埋まるも ── 激しく犯される事は、 なく。貴方を求めて焦れた身体は、 其の緩やかな動きによって更に焦らされる。四つん這いで顔だけ振り返ったまま、 切なげな視線はとうとう潤み始めて

「 セイ、 ンっ......... おね がぃ.. っ

 もっ と...

 ─── もっ、と.. 」

その先が、 羞恥でなかなか口に出来ず。きゅっ とシーツを握り締め、 甘くもどかしげな吐息を溢していた。

セイン=ディバン > 互いにある程度以上の信頼を置いているからこその物言い。これに関しては、やはり同業という点も大きいが、何よりも互いに隠すところを持たないのが大きい。
互いが互いに、尋ねられればほぼほぼの事を答える性質であるが故に、相性が反発する部分が極端に少ないと思われる。

「はぁ~ん? そりゃ言い訳だね。垂れるのがイヤなら絞めて閉じ込めておけばいいだろ」

相手の反論には、これまた下品な物言い。無論、男とて口にした行為が極めて不可能なことであろう事は知っている。
男性器を締め付けるのとは訳が違うのだから。

「……ん。ん、ん。
 わ~ったわ~った。喋んな。息、楽にしとけ」

女性の声を聞き、男は背を撫で、そう優しく声をかけた。
言おうとしたことは……およそ触りしか理解はできなかったが、後で聞けることである、という点と、女性が律儀に返答を返してきたことに対しての敬意と慈悲の混じった行為であった。

「ん……。だいぶ、オレのに馴染んできたか……?
 せっかくだし、声、我慢しなくて良いぜ。どうせならノアの可愛い声、下のやつ等にも聞かせてやれよ」

ゆるり。にゅるり。本当に緩やかな挿入をしつつ言う男。
尋ねてる内容は……もう、下品の極みのような言葉だ。
ただ、男なりに気は使ってはいたらしく、苦しくないようにとしていたのだが……。
そこで男の視線が横へ。ふい、と向いた。そこにあったのは、ややヒビが入ってはいるが、まだ使えそうな大きな姿見で。

「……あいよ。じゃあさ。
 こんなのは、どうかなっ!!」

もっと。その先を女性が言えぬまま。しかして男は意を酌んだ。
そうして男は何をするかと思えば……両腕で女性の体を一気に持ち上げ……所謂、背面駅弁の姿勢というヤツだ。その姿勢を取り、その上でなんと、女性と自身の体をその鏡に向けたのである。

「ほら、ノア。見てみな。オレのチンポとお前のマンコが繋がってるのが見えるぜ?

 ……。

 …………なぁ、ノア。



 好きだ。愛してる。

 オレのモノになれよ」

ずぶりっ、と。姿勢が変わり。挿入が一気に深くなる。
女性の羞恥心へと触れる命令を下しながら。

男は、真剣な声で。
そんな事を口にした。

ノア > 貴方は不自然に格好付けたり、 ベタにムードを演出したりしない。女もまた生意気さを残し、 時折可愛いげのない態度を見せてしまう。互いに普段通り言い合ったり、 かと思えば欲望のまま身体を求めあったり.. まさにありのまま、 本能のまま、 向き合っていた。

「 んっ... も、 いじわ る.. しない で、っ..... んぁ、 っ.. ん、 んっ.. 」

焦らされて、 焦らされて ── 漸く与えられた欲棒さえも、 緩やかな動きで焦らすから..... つい先日までは見せなかった 雌の顔、 そして.. 無理矢理抑え込んでいた 被虐心が。貴方の声や体温を感じる度、 みるみる炙り出されてゆく。すると

「 !? ── ン、 んあっ.. っ、ん... あっ.. ! 」

ぐらり と、 身体ごと視界が持ち上げられた。貴方の欲棒を捩じ込まれた自分の快楽に濡れた表情や、 其の結合部.. 目の前に映るあまりに淫靡な光景を、 見てみろと強めの口調で告げられては、 身体は羞恥に疼いて.. 僅かに背中震わせた。

「 ゃ、 だっ.. みせ、 なぃ で..... っ
 ── ん、 んっ.. ! 」

一際深く、 貫かれ。抗おうにも今女に出来るのは、 落ちないよう貴方の首に腕を回す事くらい。後方から耳元を擽る貴方の声と、 鏡越しに注がれる視線と.. 認めたくない感覚が、 女の胸を締め付ける。

「 ............っ、」

当然、 何を言われたのか聞き取れなかった訳ではない。ただ、 その言葉の真意がわからずに、 戸惑いと羞恥に声は震えていた。

「 なに、 言っ.. て ── そんな、 の.. 真に受け る、 わけ..... な ──── っ、 ん..... んっ.. 」

後で揶揄うつもりか、 行為の最中で気分が高まっているだけか、 酔いが回ったか.. 貴方の気持ちがわからずに、 甘ったるい鳴き声混じりに返した。

貴方の事はわからなくても、 自分の事はよく知っている。もしも本当に愛されたなら どんなに嬉しいだろうと、 淡い期待と憧れを抱く自分。そんなこと有り得ないと割り切れてしまう、 可愛いげのない自分。

セイン=ディバン > 最後に線を引くものがあるとすれば……それはもはや、単純なる愛称という言葉しかない。
結局は、様々な要素が絡み合い、相性の良し悪しが決まる。なればこそ、この二人であれば相性がよかったと、結果そうなるということ。

「そう言われりゃ、男としてはイジワルするしかねぇ訳だが」

これも世界の男性共通かどうかは……不明瞭な点ではあるが。
少なくとも、この男にとってはそうであるようで。
そうして、女性の声、仕草、表情に、雌としての魅力を感じていってしまい、ついついイジワルが酷くなる。

「……さっきは体重が、なんて言ったけど。
 持ち上げる分には軽いな、お前」

行為を始める前、口にした言葉を改めて訂正する。女性の体は……持ち上げ、性器と腕でもって支えるには酷く軽かった。
そのまま、相手の言葉に男は笑う。邪悪とか、凶悪とか言うのが似合う笑みだ。鏡越しに、女性にも見えてしまうだろうか。

「ダメだね。しっかり見な、ノア。
 お前とオレが繋がって、愛し合ってるのを。
 っつーか、見なくても音でもわかるだろうけどさ。
 あ、目ぇ閉じたら怒るぜ。具体的にはお前のアナルに指入れる」

女性の抵抗するような言葉を一蹴し、更に命令を下す男。首に腕を回されればソレを拒まず。むしろ、女性のことを支える姿勢が更に確実になったことで、小さく安堵する。
そのまま男が前後ではなく、上下に腰を振れば、言葉通り。
ぐちゅぐちゅ、という音に混じり、ごぽごぽという、蜜、精液、空気の混じる音が激しく部屋に響くだろう。

「あ、そ。じゃあ言いなおす。何度でも。
 あぁ、というか正確な物言いが必要だな?
 ウソと隠し事は愛する人には良くないから。

 うん。オレ、魔王様と結婚してるんだわ。
 でもその上でお前を愛してる。いや、人間側の法律なら、舞おうと結婚してても俺を罰せないよな?

 好きだ。愛してる。お前が愛おしい。
 別にお前を縛ろうなんて思ってない。お前はお前の好きに生きてていい。
 他の男に抱かれようが何しようが自由さ。
 そういう自由のある上で、オレのモノになれ。俺を見ろ。俺に身体と心を委ねろ。

 ……お前が、本当の意味で欲しいんだ。ノア」

相手の言葉に、当初あっけらかんとした様子だった男。
そのまま男は……愛を語った女性に対し、とんでもない告白を続ける。
妻帯者でありながら、オレのモノになれ、と。結婚していながら、お前を愛している、と。
それは酷い矛盾であり、残酷な言葉であった。だが、男はそれでも言う。
自由であっていいから。心と身体の両方を寄越せ、と。それは偏に、自由を愛し、自由に生きる女性を好いていたからであった。
男は言葉と同時に、女性に答えを促すように……あるいは、それも策略か。流されてくれればいい。そして、オレを受け入れてくれればもっといい。
そこまでの計算があったかはわからないが。男の腰は、いよいよ激しく打ち付けられ……三度の射精が近いのか。男の極限まで膨張したペニスが、ぶるぶると震え出していた。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にノアさんが現れました。
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ノア > 「 ん、 くっ.. んぁ、 あっ ! ゃ、 だ.. 待っ..... ン、 んっ.. ! ぁ、 あっ.. んぁ、 んっ ── 」

色々な事を一気に考えられる程、 女の頭は賢く出来ていない。 まして何年も遠ざけていた事に関してならば尚更、 いつも以上に思考は働かず、 ショート寸前で。

( .........っ、 だっ て..... そんな、 の.. )

受け入れたくない、 訳ではない。受け入れるのが、 怖い。悪事に手を染めてでも、 独りで生きてゆくと決めたから。ずっと続けてきた生き方に、 大切な何かが出来た時.. 自分が、 弱くなってしまう気がしたから。

( もぅ、 .....いわな ぃで.. )

友人も、 身体を重ねた異性も、 大切にしたいと思う人は沢山居て。けれどそんな相手が増える度.. 嘘を吐く回数が増えたり、 寂しいと感じる夜が増えた。独りだったなら、 誰にも自分を偽る必要はない。独りで だったなら、 夜が寂しいとさえ気付かない。

( ...............っ、 ばか.. )

体重へのフォローだか訂正だかも、 聞こえているのかいないのか。ただ 鏡越しに向けられた意地の悪い笑みや、 耳に掛かる吐息、 そして.. 全身を走る快楽だけは、 どう足掻いても女の身体に染み入って、 思考すらも支配して離さずに。貴方の命令に羞恥と被虐心を煽られ、 激しく攻め立てられると思考すら蕩けさせ ──

「 んぁっ、 あ、ぁ.. んっ、 ぁ、あっ.. ! 」

( 愛する 人 ? )

「 ン.. んっ ! きら いっ.. んぁ、あっ 」

( まお う ? )

「 だい っ、きら ぃ.. ! ん、ぁ.. あっ ── さいてい、っ.. へんた いっ、 ン.. んんっ ! 」

( 愛して る ? )

鏡の前で、 奥まで犯されながら.. 貴方の話に困惑する。魔王という言葉が聞こえる内容と、 同時に与えられ続ける許容を越えた快楽に。相変わらず、 即座に理解するなんて出来そうもなく.. それでも、

「 ん、 んぁ.. あっ ! ゃ..... セイン、 なん てっ.. きら い ── っ、 んっ.. 」

やっぱり、 自分の事はよくわかる。

「 だいっ、きら ぃ..... 」

── 鏡に映る貴方に 何度も告げる言葉が全て、嘘だという事だけは。

セイン=ディバン > 事の始まりに至る。そもそもこれは……愛し合うという行為の名を借りた、契約料の正式なる支払い。だったはずであった。

「…………」

無心に腰を振る男。性交中の男の姿というのは、傍から見ればそれはもうマヌケに過ぎるというものだが。
鏡越しに自身を見る男は、ソレを気付きながら、笑うことはなく。

「……なぁ」

短く、しかし激しく喘ぐ女性。その姿と声に、何を感じ取ったか。
男は女性の身体へ腕を回し、腰を支えながらも、空いた手で胸を揉み。更に激しく、打ち付ける……あるいは、抉り串刺しにするといった勢いで女性の身体を突き上げる。
真実、その勢いと男の性器のサイズであれば、女性を肉の槍で串刺しにし、殺さんとしているようにも見えるであろう。

「なんで。そんな辛そうなんだよお前。
 そんな風になるくらいなら。少しは……頼れよ。オレを」

嫌い。最低。変態。女性の口から漏れる罵りを受け流しながら、男はそう耳元で囁く。
それは、罵られた言葉に対してではなく。それ以前の問題。それ以前の部分。
なぜか。男の言葉を飲み込んでいるであろう女性のその姿が。

唐突に。か弱い幼子のように見えたのだ。

「大嫌い、とまで来たか。嫌われたもんだなぁ。……ま、最近はそんなリアクションばっかだったから慣れたけどさ。

 ……オレは、好きだよ。ノア。お前が大好きだ。
 ……お前から持ち込まれた依頼は、しっかり果たすさ。
 それでも。それでも、もしお前が本当にオレを嫌悪するなら。

 ……もう。こういうことはしない。ただの同業者でいようぜ。
 でも、ほんの僅かでも好いてくれてるなら。

 ……いや、違うな。
 本音を聞かせてくれ。ノア。お前は、本当は。オレをどう思ってる?」

繰り返される、拒絶とも取れる言葉。ソレに対しても男はまったく無感動に腰を振り続けるのみで。
その言葉に、強い意思だとか、拒絶の色だとかをそこまで感じなかったからだろうか。
まるで最後の確認をするかのように言い、男は一際強く腰を打ち付けると、三度目の射精を、女性の中へと躊躇なく行った。
三度が三度とも、女性の膣内への射精だという事すら気にもかけず。
勢いも量も衰えぬまま、男の子種は女性の中を三度汚し、満たし、溢れ……。

そうして、男は女性に。精を放つことで、答えを引き出そうとした。

……夜が明ける前に、男は女性を寝かしつけ。一人宿を後にした。
下で情事を聞いていたであろうマスターには、『頼むから女の方には夜のこととかを聞かないでおいてくれ』と念を押しながら。
男は……明けの闇に姿を消し、女性との契約、仕事の準備を整えるために動き始めるのであった……。

ノア > 何度も何度も心の奥 ── 今ならまだ自分を誤魔化せるかもしれない と、 否定を繰り返してみるものの.. どんなに罵っても、 貴方の口からいつもの反撃は返ってこない。ただ許容を越えた快楽と、 全てを見透かすような紅い瞳と、 声とが.. 女の身体に叩き込まれ、 刻み込まれ、 身体の隅々にまで染み入ってゆく。

貴方が三度目を女の身体に吐き出すまでに、 何度達してしまったかわからない。引き抜かれた其処からは、 二人の欲望の痕がとろとろと漏れ.. 白い太腿を伝って床を汚した。

「 ...............っ、 ん.....

  あた し、 は.. ── 」

最後に投げ掛けられた質問にも、 やはり女は答える事が出来ずに。正確には、 とっくに答えは出ているけれど.. それを口にする事が、 出来ないまま。

─── やがて、 あの激しさも嘘のように.. そっとベッドに寝かされて。優しく髪をといてくれたか、 あるいは暫く抱き締めていてくれたか.. 貴方の体温を肌で感じている内に、 いつの間にか女は すぅ.. と目を閉じた。



カチャン と、 開いた扉の閉まる音。其の音を聞いてから、 長い睫毛の奥.. 琥珀色の瞳がうっすらと。貴方の居なくなった隣をぼんやり見詰めながら、 皺の寄ったシーツを引き寄せ

「 ─── 大好き、」

小さく、 夜風にさえかき消されてしまう程の声。シーツをぎゅぅ と抱き締めながら、 漸く.. 女は眠りに付いた。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からセイン=ディバンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からノアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にメンシスさんが現れました。
メンシス > 「ここが…」

王都マグ・メール。
高く、分厚い城壁に囲まれた城塞都市でるここは、三つの地区に分けられている。
富裕地区、平民地区、そして治安の悪化とスラム化の一途をたどる貧民地区だ。
今はその貧民地区に訪れている。

「……」

無言で周囲を見渡しながら、歩く。
目に入るのはゴミと浮浪者と孤児ばかり。
比較的目につく通りでも、やはり夜と言う時間帯だからか
油断は出来ず、周囲を警戒しながら歩き続ける。

メンシス > カツン、コツン
一歩一歩、足を前に出すごとに足音が響く。
それだけ静寂に包まれているという事だ。
平民地区や富裕地区と比べてここは街灯も少ない。…理由は分からないが。

ふと、無人の民家と民家の間の、路地へと繋がる道を見つける。
その前に立ち止まれば、僅かに聞こえてくる音に耳を澄ませる。
小さく、本当に小さく聞こえて来たのは人々が争う声。

『引き裂いてやる』『助けて』『殺してやる』『死にたくない』

聞こえてくる声にその場に留まり、拳をぐっと握る。
肩に力が入り、下を俯いた彼は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。

ピリッ 小さく、しかし確かに、彼の身体から紫色の閃光が走った。

メンシス > 耳を澄ませば確かに聞こえてくる助けを求める声。
今助けに行けば、声の主を救うことが出来るかもしれない。
しかし、助けに行ったところで自分に何の得があるのだろうか。

「…くっ」

下唇を噛み、歩き出す。
助けたい、救いたい。そんな想いを損得勘定が邪魔をする。
頭の中の計算式が助けるのは非効率だと告げれば、それを忘れようと、忘れようと歩調を早める。

自分は何も悪くない。自分は何も悪くない。
そう考えていれば、どんどんと神経が磨り減る。
自分のせいではないと頭で判っていても、自責の念が積みあがっていく。

メンシス > ふと、足を止めて、あることを思い出す。
昔に自分を助けてくれた人の言葉だ。
子供向けの御伽噺に出てくるようなセリフ。でも、あの言葉こそがあの時の自分を救ってくれた。

「…正義の味方か」

小さくそう呟く。
自分の内面にある幼く、恥ずかしいながらも立派な願望。
既に腐ってしまったかと思ったが、まだ…

胸に手を宛てれば、振り返って走り出す。
バチバチと彼の身体に紫電が纏わり、移動するスピードが上がる。

静寂と暗闇に包まれた紫の雷光が走り、失われるはずの命が救われた。
その紫電の正体を知る者は誰も居ない。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からメンシスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 故買商の店」にルーフェンさんが現れました。
ルーフェン > カウンターの上でまんまるに膨れた革袋をひっくり返せば出るわ出るわ宝飾品や貴金属の数々
ふふーん、と自慢気に鼻を鳴らして店主の顔を覗き込むが店主の方はと言えば浮かない顔であった
店主が1つ1つ宝飾品や貴金属を手に取り鑑定するのを待ち、鑑定の結果を聞けば、ぽかん、と口を開けて首を捻った

「そんな…いやまさか…買い取れんとはどういう了見だ…?」

店主の説明によればどうやら曰く付きの品々であったらしい
これらを盗まれた商人はそれはもう、欲深い性格らしく、盗まれた品々をリストアップするとそれを
正規、非正規に関わらず宝飾品、貴金属を商う商人たちにばら撒き買い取るように言われたら、
その人物を引き渡すように言い含めたらしい…王族、貴族にも顔が効くからその場で投獄から処刑までは
スムーズに運ぶことであろう………という、事らしい

「…山賊の懐からお助けした品々なんだがっ!?
 別にわしが盗んだわけじゃないんだっ!?」

そもそも、足の付かないように選んだ故買商である
ちなみに、故買商はその辺のそれっぽいヤツを脅して聞き出した
買い取ってくれ!、と幾ら伝えても、店主も命は惜しいらしく、一向に首を縦には振らない
人間の姿をしたドラゴンもいい加減、イライラしはじめ店の中で暴れだしそうな雰囲気であった

ルーフェン > こんなことなら、山賊を引っ張って街まで来ればよかった
そんな事を思いもするが、残念ながらこの宝飾品を盗んだ実行犯であろう山賊は今や暗い土の中にあって、
数年もすればその上には綺麗な花が咲くであろう
物を言わなくなった山賊でも花が咲くことに寄与できるのだから捨てたものではないハズである

「ほら、どうだ、この首飾りなど…故買商では一生掛かっても手が届かぬ品だぞ?
 奥方の首元に合うとは思わんか…?奥方に似合わずとも秘密、秘密で転売するなど、
 お前さんには容易いことじゃろうて…」

悪い顔をしてそんな事を囁いてみる
店主はそんな甘言にはピクリとも意思が曲がらないのか表情を変えない
それどころか、厄介事を持ち込まれて困っている気配さえ見て取れる

「かーっ、権力が怖くて故買商が務まるのかっ…悪人の風上にもおけない小物めがっ!
 そんな事だから、何時までたってもうだつの上がらん故買商なんだぞっ?」

出会ったばかりの男にうだつがあがらない、と罵られるのは如何様な気分であるか?ドラゴンには判らない
みるみるうちに顔を赤くする故買商…人には触れられたくない事が誰にだって1つや2つくらいはあるもので、
ドラゴンの言い様は見事、古物商の琴線を見事にぶち抜いたらしい

「かかかっ、怒っとるわ、こん小物がっ!
 一丁前に怒るならまず、これらを買い取れぃ!
 周りの連中を見返してやらんか!」

ばんばんばん、とカウンターを叩きながら笑いつつそんな事を宣った