2015/10/27 のログ
ご案内:「貧民地区にある廃家屋」にツァリエルさんが現れました。
ご案内:「貧民地区にある廃家屋」にヴァイルさんが現れました。
ツァリエル > 薄暗い家屋の中に一人の怪しい男が何やら大きなずた袋を抱えてはいってくる。
痛んだ床板をぎしぎしと踏み鳴らしながら、立てつけの悪いドアを開け一番奥まった部屋へと入ると乱暴に担いでいた袋を床に落とした。
どすんと結構な音を立てて落ちると、ちょうど袋の中身がかろうじてみえた。
人だ。褐色の肌に白金の緩やかな髪をもった少年だった。
意識がないのかぐったりと目を閉じて猿轡をかまされている。

ちょうど奉仕活動に出てきていた修道士見習いらしき少年を男はかどわかしたのだ。
胡散臭い坊主の中にあってはなかなかに見目がよさそうだったし、奴隷商にでも売り飛ばしてしまえば結構な金になりそうだったからだ。
男が重病を患っているふりをして、家まで付き添ってほしいと申し出たなら素直な少年はあっさりと承諾した。
おかげであっさりと捕えることが出来た。裏路地に引き込み用意していた薬を嗅がせ縛り上げて袋に放り込む。
ここでは誘拐など日常茶飯事だ、一人消えたところで真面目に取り合うものもいまい。

床に倒れた少年の頬を男の荒れた指が撫でる。
奴隷商に売り渡す前に具合でも見ておこうか、たぶん初物だろう。
欲深い男は袋から少年を引っ張り上げるとその衣服に手をかけた。
襟もとのボタンをくつろげれば傷一つない肌が外気にさらされる。

ヴァイル > 「随分といいものを見つけてきたようじゃないか」

家屋の隅に、いつのまにかフードつきの外套に身をくるんだ人影が
幽霊のように座り込んで、愉快そうに薄い笑みを浮かべている。
はじめからそこにいた、というように。

「おれにくれよ、それ」

フードがめくれて、焦げ茶の髪を持つ少年の顔があらわとなる。
紅い瞳が人さらいの男を捉えると、それだけで彼は指一本動かすこともできなくなった。

ツァリエル > 掛けられた声にとっさに男は懐からナイフを取り出して振り向く。
肉厚の、明らかに荒事に使われてきた刃を閃かせて話しかけた人物へかざそうとしたところでそれ以上動くことが出来なくなった。

ひ、とのど奥で悲鳴が上がる。少年の赤い瞳が男の自由を奪ってしまったように声も出せなくなった。
なんらかの魔術師か、あるいは魔族か。眼前の少年にぎらついた視線だけ向けて男は冷や汗をかく。

床下に倒れ伏した少年のほうはピクリとも動かない。

ヴァイル > きし、きしと床板を鳴らして人さらいと少年に向かって歩む。
といっても、人さらいのほうには、すでに大した関心を向けていないようだった。

「ご苦労」

眠る少年に向けてかがみ込みながら、ポン、と男の肩を掌で叩く。
からからと、金属の刃が床に落ちる音。

……

「よう、そろそろ起きちゃどうだ。
 ……それともキスが必要かね?」

はだけた衣服はそのままに抱き起こし、ゆさゆさ、と揺すりながら囁くように呼びかける。
空いた片手では、小さな六面体の骰子を弄んでいる。

彼をさらった男は、もうどこにもいなかった。

ツァリエル > ゆすり起こされればようやく少年の瞼がわずかに持ち上がる。
透明度の高い澄んだ青色の瞳が焦点の定まらぬままヴァイルを見上げる。
まだ薬の効力が残っているらしい。
ぼんやりとした調子で自分が今何をされているのかもわかっていない様子だった。
猿轡をかんだ口がわずかにわななき、ヴァイルの腕の中で身じろぎする。

ん、とかう、とか声を上げながら頭を振った。

ヴァイル > ツァリエルが目覚めたのを見て、六面体を指で遠くに弾く。
床板の裂け目に落ちて飲み込まれ、すぐにそれは見えなくなった。
そして、するすると拘束や猿ぐつわを解いてやる。

「おはよう」

腕に抱いたまま、紅い瞳を持つ、死人めいた相貌が覗きこむ。
鋭い感覚を持つものであれば、陽の下を歩むべきでない
濃密な魔と死の気配が彼に隠されていることがわかるだろう。

「随分と簡単にかどわかされたようだが。
 修道院じゃあそういうことは教えてくれないのか?」

優しげな、しかし遠慮のない様子で、金色の髪を撫でる。

ツァリエル > ヴァイルの指にはじかれたさいころがころころと転がって裂け目に飲み込まれるのを目で追う。
拘束を解かれるとようやく何かがおかしいと気づきはじめ顔を上げた。
何より目の前の相手は同い年の少年のように思えるのにどことなく、自分とは異質な存在であることをいやおうなく悟る。

「ここは…?あの、あなたは……?
 かどわかされた?」

直前の記憶を思い出そうと顔をしかめ、
そうして最後に見た光景が男に後ろから組みつかれて
口を布で覆われたものだということを思い出すとあ、と恐怖に表情をひきつらせる。
撫でられる指もなにやら恐ろしいものに思えて、なんとか自由の利かない体でもぞもぞとその腕の中から逃れようとする。

ヴァイル > 「ここは人攫いのすまいで、おれはそいつからおまえを貰った……
 というところ、かな」

もがくツァリエルの身体を腕で止める。
乱暴に押さえつけることはしないが、決して逃れることは許さない、有無を言わせぬ力。
触れる手はぞっとするほどに冷たい。

「おいおい、少しは落ち着いて話でもしようぜ。
 暴れずとも、売ったり捌いたり食ったりはしないさ。
 お得意の説法でも聴かせてくれよ」

顔を寄せて、髪の合間の耳を、傷つけないように甘く食む。

ツァリエル > 「ひ、人さらいから貰った…って……
 ひとはものじゃありません……」

ヴァイルの腕から逃れられないとわかるやぎゅっと固く身を縮ませる。
肩を抱く掌の温度のなさにぞっと背中に冷たいものが走る。
貰ったというならば、目の前の相手もまた人さらいか奴隷商か。
自分とそう歳の変わらぬ相手に見えるのにこの威圧感と落ち着きように顔をそむけて怯えた。

「お話しすることなんて、何もありません。
 離してください……、僕、帰らないと……ひゃっ!」

なけなしの力で両腕で相手の胸元を押し返そうとするがそうする間に相手の唇が己の耳をなぞるのにびっくりして身をすくませた。
くすぐったさに身をよじり、やめて、いやですと弱弱しげに訴える。
何より他人がこんなに近く容易く自分の肌に触れることが経験としてなくその点でもぎょっとさせられた。
取って食うつもりはないといいながら耳をかじるのはやはり自分を捌いて食べるつもりではないだろうか。

ヴァイル > 「へえ、そうなのか。
 あいにくと、おれにはその違いがよくわからないんだ……」

さも残念そうに首を横に振る。
もがき、身をよじる様子にくすぐったそうに笑んだ。

「すぐに帰してやるさ。お話が終わったらな」

耳から口を離し、はだけた肩口に唇を添わせ、
舌を這わせ、浮かんだ汗を舐めとる。
肌は冷たいのに、舌はしっかりと湿り、熱を持っていた。

「少しは緊張を解いてやろうか?」

ふと何か思いついたような表情をして、
いつのまにか手元に戻っていた、先ほど投じたはずの六面体を、
ツァリエルの服の隙間にしのばせる――すると、それが、形を変えて服の下で蠢き始める。
生暖かい人肌の温度を持った、鼠ほどの大きさの『何か』が、
出口を求めるように、穢れを知らない少年の肌を這いずり回る……

ツァリエル > 「そんな、人は生きています……意思があって、命があるのに……!」

まるで理解できない生き物を見るような目でヴァイルをとがめる。
が、ヴァイルの口が自らの肩にふれると小さく悲鳴を漏らす。
舌先だけが熱を持ち自分の肌をなぞるのに言いようもない怖気を感じて涙をにじませていやいやと首を振った。

「や、やめてください……そんな、汚いから……。
 お願いです、みんなのところに帰して……」

すすり泣くような声でそう懇願してみるも相手の動きが止まらないことにうっ、とのどを詰まらせる。
そうするうちに、ヴァイルの手が自分の衣服のすそに差し込まれそこから何かがざわざわと這いずりまわすとさすがに悲鳴を上げて暴れはじめた。
虫のような何かが自分の肌を伝っていくことの恐怖とくすぐったさにひぃひぃと息を荒げて喘ぐ。

「いや、いやだやめて、とって!これ、いやだ……」

慌てて自分の衣服を自らの手でばさばさとはだけてなんとかそれを追い出そうとする。

ヴァイル > 「意思と命、か。おれにとっては、どうでもいいものだよ。
 もしおまえにそれがあるのだとしたら、それでもっておれを拒んでみたらどうだ?」

嘲るような響きの声。
服の下の『何か』は、思いの外俊敏に下腹部を伝って逃れ、
やがて両脚の間へと潜り込んでしまい、暴れる。
ちょうどツァリエルがヴァイルに対してそうしているように。

「気前がいいじゃないか。その調子だよ」

自ら露出を多くしたのを見て、目を細める。
一度、溜めるように唇を離す。ツァリエルがヴァイルの顔を見ていたなら、
開いた口の端に犬歯というにも鋭すぎる牙が覗いていたのがわかったかもしれない。
そうして、一思いに首筋へとかぶりつき、突き立てる。

血が溢れだし、その代わりにヴァイルの持つ魔力が流れこむ。
快楽や酩酊の作用のある、《夜歩く者》の毒であった。

ツァリエル > 「言われなくとも……あなたなんかに……っう、くっ!」

威勢だけは負けまいと片腕でヴァイルを押し返そうとするが体を這いずりまわるそれに気が散ってどうにも力が入らない。
やがて『何か』が自分の腹部から両脚の間に潜り込むと悲鳴を上げてぎゅっと内またを寄せる。
恥じらいもなく股の間を探って『何か』を取り払おうと手を突っ込むが無駄な努力だ。
そうこうするうちにヴァイルの唇が離れたのだがそれには気づかず、あっさりと細い首筋に噛みつかれた。
あっ、と痛みに目を見開くが、やがてヴァイルの魔力が体に流れ込めば目が茫洋とし、
必死に暴れていた手足がぐったりと垂れる。
頬にも肌にも赤みが差し呼吸が乱れ始める。驚きの形に開けていた口元が緩み熱っぽい溜息を吐きだした。

やがて一切の抵抗がなくなると代わりにもじもじと内股を摺合せ、欲情の反応を見せ始める。
かろうじて隠すように押さえていた下半身の衣服が性器のふくらみに伴って押し上げられる。
自分がなぜこのようになっているのか全く分かってない様子で必死に体を押さえつけるが、少しの刺激でも過敏になった体にはひどく毒だった。

「やだ、なんでぇ……」

はぁはぁと荒い息をついて恐れと恥じらいに震える。

ヴァイル > 反応を楽しむかのように、指を胸や腹、下肢につうと沿わせて動かす。
溢れる血液を、ぴちゃぴちゃと音を立てて舐めとり、喉を鳴らして飲んだ。
抱きしめる力が強くなり、ツァリエルの発する熱は、ヴァイルの冷たい肌に奪われる。
欲情に喘ぐツァリエルとは対照的に、汗ひとつかいていない。

「本当に何も知らないようだな。
 覚えておいたほうがいいぞ、今のうちに」

曝された肌の上を歩いていた手指が、
ツァリエルの下半身へ伸び、這いまわっていた『何か』ごと、服の上からふくらみを強く握る。
『何か』のあげた潰れたような悲鳴は、人が発したもののように聴こえたかもしれない。
そして、血を啜りながら、ゆっくりと扱き上げるように愛撫を始めた。

ツァリエル > ヴァイルが指先を肌に滑らせるたびにツァリエルのまだ未熟な肢体がびくびくと跳ね回る。
特に胸元をいじれば面白いほど体をよじらせる。誰にも触れられたことがないはずなのにこれほどに反応をするのは素質かもしれない。

ヴァイルの喉を潤す少年の血は、貧相な身なりにしては確かな血筋の味がする。
食べているものこそ隠せないほど質素ではあるが、いうなれば貴人やそれに連なるものの血の香りがする。
しとしとと首筋から褐色の肌にラズベリーのような鮮やかな色のしずくがしたたって落ちた。

「いや、やだ……知らない、ほんとに、も……だめだからっ……」

何故自分の体がこのようなことになっているのかわからない、信じたくない様子で必死に首を振って堪える。
が、自分の性器が衣服と『何か』ごとヴァイルに握られればひぃと鋭く悲鳴を上げて腰を浮かせる。
ぐちゃりと潰れた感触が衣服の下でおこり、その感触にぞわぞわと肌が泡立った。
もはや先ほどの威勢もかなぐり捨てて、未知の感覚に震えながらとうとうヴァイルの体に縋り付く。
やめて、とめてと言いながらその実跳ね除けようとはせず、愛撫されれば喘ぎを漏らしとうとう衣服の上からもわかるほどふくらみの先端が先走りで濡れはじめた。

ヴァイル > ヴァイルの手とツァリエルの突起の間に潰れた『何か』の温かな体液の感触が伝わっていく。
溢れた血をある程度舌で拭い去り、満足気な表情を浮かべると、耳元に湿った吐息を吐きかけて囁く。

「おまえは嘘つきだな」

ここが感じるのか、と、反応の強かった胸に手を伸ばし、
突端の片方を二本の指でつねりあげた。
首筋に穿たれた傷痕に柔らかい唇を押し当ててちゅうちゅうと吸い付く。

そして、股間に伸ばされたままのもう片方の手は
ツァリエルのものの、淫らに濡れた先端部へと移動し、
ますます強く、激しく捏ね回し、擦り上げた。

ツァリエル > ヴァイルが嘘つきだとなじればついに堪えていたものが決壊したかツァリエルの目元から涙が零れ落ちた。
ちがうちがうと弱弱しく否定するが、胸の先端を強くつねられれば
「ひ、ぎっ!」と痛みと快楽の混じった悲鳴を上げて背筋をそらす。
首筋を吸われれば甘ったるい吐息をこぼして余計ねだるようにその肌を無意識にさらした。

自分の性器が激しく扱きあげられ始めると顔を覆ってのけぞる。
冷たいてのひらが恐ろしいのに、自分の性器はますます熱く固くなる。
ぬめる体液と手の動きになにかが自分の中から上ってくる気配を感じて慌ててヴァイルの手を取り払おうと掴む。

「ゆるして、ごめんな、さ……っだめ、もれちゃう……!
 おねがっ、て、だめ……っ」

ぐずぐずに蕩けた表情のまま濡れた瞳でヴァイルを見上げて懇願する。
その衝動が何によるものなのかわかっていないのだ。

ヴァイル > 責められる側というのは、決まってこういう反応をする。
血を頂く代わりに気持ちよくしてやっているのだから
随分と相手を尊重してやっているのに、と心のなかで呟いた。
そんな《夜歩く者》なりの礼儀作法は、残念ながら被食者には伝わらない。

「まるで女のように悶えるな。それも淫乱な。
 ……なに、堪える必要などない。おれの手の中に出してしまえ」

宥めるようにも責めるようにも聴こえる声色でそう言って、見上げる彼に
薄い微笑みを見せ、懇願に応じて股間から一度手を離し――
そう見せかけて、するりと今度は服の隙間から手を差し入れる。

しなやかでひんやりとした感触が、直接ツァリエルの未熟なものを包んだ。
そして、同様にして、先走りにぬちゃぬちゃと音を立てさせながら
容赦無い手淫を続ける――

ツァリエル > 「ぼく、おなの、こじゃないっ……
 ああ!だめ、ほんとに……っよごしちゃ……うぁ……」

一度相手の手が離れればこれで終いかとほっとしたがすぐにその手が
自分のものへ直に触れたとわかればその冷たさにひぃと身をすくませた。
ぬめりをより一層塗り広げられればたまらずよがって喘ぐ。

ちかちかと自分の頭の中が白く瞬きはじめ、抵抗はおろか相手に縋り付くので精いっぱいになり始めると
ついに体をぴんと張り詰めさせ一際高いボーイソプラノの喘ぎと共にヴァイルの手の中で達した。
彼の冷たい手の中に、ツァリエルの生まれて初めての精液がとろとろと濡れて零れ落ちた。

つま先も手指も強張り、何かがはじけるような感覚に頼りなさと確かな快感を無理やり知らされる。
ぐったりと虚脱して四肢を投げ出す。
はぁはぁと呆けたように荒い息をしながら、ぼんやりと自分が出したものを確かめるために相手の手の中に目を向けた。
そこには尿ではなく見たことも無い白い液体が付着していることに驚いて目を見開いた。

ヴァイル > 自らの腕の中で脱力する少年を愛おしげに眺め、首筋に軽いキスをする。
傷はいつの間にか塞がり、流血は止まっていた。
ツァリエルの放った温かな白濁を手ですくい上げて、よく見えるように鼻先に近づける。

「そら、これが肉欲に耽って溢れさせた
 おまえのいやらしい罪の証だよ」

そして、それらを目の前でうまそうに舌で舐めとってしまった。

『何か』の死骸は見当たらない。
おそらくはついでにヴァイルが回収してしまったのだろう。

しばらく行為の余韻の熱を楽しんでいたが、その後ようやくツァリエルを解放する。
暴れられた時に出来た多少の衣服の乱れを整えて立ち上がった。

「じゃあな、わりかし美味かったぞ。また食ってやる。
 ……住まいまで連れて行ってやろうか?
 そのまま表に出たら、おれよりも礼儀の知らない禿鷲どもに
 啄まれてしまうかもしれないな」

どうする? と、愉快げに見下ろして問うてみる。

ツァリエル > キスをされればまだ快楽の余韻が冷めぬ様子で瞼が震える。
鼻先に突き付けられた白濁を信じられないものを見る目で見つめた。

「罪の証……」

ぼんやりと白濁をなめとるヴァイルの顔を眺めながら自分がとんでもない行為に
溺れてしまったことをようやく悟り、ぽろぽろと涙をこぼした。
恥ずかしさや悔しさもあるが、今の今まで神の教えに従い従順に生きてきた自分が
こんな行為一つで罪を犯してしまった恐ろしさに胸がつぶれそうな罪悪感を抱く。

立ち上がるヴァイルとは対照的にツァリエルはその場に蹲って泣いていた。
やがて乱暴にされた衣服を震える指で整えると相手の言葉に顔も見ず答える。

「どうして……こんな……」

攫われたこともだがなぜこのような辱めを受けたのか、
何もかもが解せないことばかりがいっぺんに起こってもはや理解が追い付かない。
今ここでこの相手に着いていくのはとてもじゃないが遠慮したい。
だが彼の言う通り、このままのこのこと表に出ればまたしても暴漢たちに出くわす可能性がある。

結局青ざめたままツァリエルは首を横に振った。

「……ひとはものじゃありません。
 今ここであなたに頼ったらまるでものになったみたいで、いやです……。
 もう、あのような悪人にはひっかかりませんから……」

そうはいったもののあくまでそれが虚勢であるとわかるようにその細い肩が震えている。

ヴァイル > 「理由などない」

唇が三日月のように歪む。
かっ、かっ、かっ、と咳き込むように笑い声を立てる。

「この世には、おまえの理解できるような、条理も、正義もない。
 人の犯した罪故に、何も知らずその身分に甘んじる、愚かな子よ」

そう言い放つと、震える少年に自らの纏っていたマントを被せる。
そして強引に手を引き、軽々とその身を担ぎあげた。

「着いていくのは嫌か。なら運んでいってやろう」

結果として、より人と思わない傍若無人な扱いとなった。
拒む拒まざるにかかわらず、そのまま住居を出て、ヤルダバオートへと向かうだろう。

ツァリエル > 自分と同じ年恰好成れどあきらかにその物言いは老成し
何もかも知り尽くしたような達観めいたものがある。
愚かな子、その通りだろう。
相手の言葉には何も返せずただ俯いて黙りこくる。

と、マントをかけられ乱暴に担ぎあげられると慌てて

「お、下ろしてください!
 ものじゃありませんから、自分の足で歩けます!」

そう言い放って無理やりにでも自分の足で歩こうとする。
道中はおとなしくその後ろに着いて歩いてくるが
やがてヤルダバオートへと着くと貸してもらったマントを丁寧に畳んで返す。

「……ありがとうございました。ツァリエルと申します」

自分に無体を働いた相手に礼を言って名乗り上げるのもおかしなものだが仕方がない。
相手が名乗ることなどみじんも期待せず、それからは無言で頭を下げて逃げるように駆け去る心算だ。

ヴァイル > 「おや、まだ礼節を守ろうとするのか、このおれに? 面白い奴だな」

腹を抱えて、ひ、ひ、ひ、といかにも意地の悪そうに笑う。
ツァリエルの怒りも、恐怖も、欲情も、何もかもが糧だ、とでも言うふうに。
マントを受け取ると、わざとらしくすら思える恭しい動作で礼をした。

「おれはきさまの血を知るものにして、
 夜を統べるものたちの王、グリム・グロットの子、ヴァイル・グロット。
 次なる出会いを楽しみとしよう」

そう名乗り返すと、ひどく上機嫌な調子で背を向けて、ツァリエルの前から姿を消した。

ご案内:「貧民地区にある廃家屋」からヴァイルさんが去りました。
ツァリエル > 「ヴァイル・グロット……」

意地の悪い笑いを残して消えた少年の姿を思い返しながら再度その名前を呟く。
まるで悪い夢の中で起こった出来事のようだが、確実にあのひんやりとした確かな手で自分は乱れてしまったのだ。

ぶるりと体を悪寒に震わせてその場を去る。
自分の手による快楽を知る前に、他人によってその身に快楽を教え込まれてしまったことにのちのちツァリエルは苦しむのだが。

ご案内:「貧民地区にある廃家屋」からツァリエルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にリーシャさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からリーシャさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にリーシャさんが現れました。
リーシャ > (今日のお仕事は探し物。何でもシスター様が大切なペンダントを落としてしまったとのことで。話を聞けば、貧民地区の子供達を集めての配給を兼ねた読み聞かせの後、神殿に戻ってから気がついたとか。そんな依頼がひょんなことから転がってきたものだから、腕っ節の弱いシスター様の代わりに探索してみることにした。貧民地区の広場のような場所で読み聞かせをしていたらしいが、道中に落ちている気配はなかった。――すられたのではないか、という推測も立つが)

「……まぁ、とりあえず、もう少し探してみようかな?」

(廃屋の中、物陰、路面の窪みなどを具に見ながら歩き進む。早々に見つかってくれれば良いなぁ、などと呑気に考えながら。)

リーシャ > 「流石に溝さらいはしたくないのだけど――」

(とは言え見つからないものだから、どうしたものか。出来れば見つけてあげたいけれど、貧民地区は広い上に治安も悪く、シスターの身につけていたネックレスともなればそれなりな価値で売れる可能性が高いものだから望み薄なのは明白で。ゴミ入れの蓋を開けたりはするけど流石に中を探ったりはしない。臭いがつくのは勘弁である)

「うーむ……ないなぁ、うん……っと、後はどこ探そうかなぁ」

(ぶつくさつぶやきながら路地裏を歩く。蹴った石が転がっていき、音と気配に野良猫が飛び出て『なおぅ』と鳴いていた)

リーシャ > 「――ん、これかな?」

(貧民地区の奥、公園跡地の茂みの中に光る物を見つける。手を伸ばし、掴むとそのまま引き寄せる。何やら円形で、ゴツゴツしていて――。手のひらを開いてみると、10ゴルド貨幣が姿を現す。――残念ながらハズレである。ともあれ拾った10ゴルと貨幣はこっそりネコババしておくことにする。労働の対価というやつだ。捜索もしっぱなしだと流石に疲れてくるようで、近くに置かれていたガラクタの上に腰掛けると、腰につけた革袋からお茶を飲む。涼やかな渋みを嚥下しながら)

「ん、んんっ――ふぅ……これは本格的にない気がするんだよー……」

(シスター様には悪いけど、そろそろ捜索を中止しようか、などと考えを巡らせながら、足をゆらゆらぶらつかせる。秋も盛りの涼やかな風が火照った体を冷やしていく)

リーシャ > (往来の人に聞いてみることも考えたが、ここいらの人は大抵が用心深い。素直に話してくれることなど稀だろう。ましてや人通りもそんなにないものだから、公園跡の空き地はぽつんと寂しかった。きっと今座っているものも、子どもたちが遊ぶための遊具だったのかもしれない。今夜の少女は珍しく感傷的。足は未だにブラブラとさせたまま)

「はぁ、ひーまーだー!っと……探し物は諦める方向で行こう。探さないと見つかるっていう考え方もあるしね――」

(さて、其れならここからどうするか、とこの後の時間の過ごし方を考えながら、嘆息する。最近退屈になると妙に体が疼くものだから、困ってしまう。主に恋人との日常が調教のしあいになっているせいなのだろうけれど。ともあれ、ポケットから取り出したジャーキーを噛みながら、無為に時間を潰していく)

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にハナビさんが現れました。
ハナビ > 「---あり?」

(てくてくと、街中を散歩していたら、いつの間にか貧民区へと迷い込んでしまった。困ったなぁ、と獣耳を揺らしながらまぁいいかと気楽な格好で無防備さながらに歩きながらキョロキョロといかにも不慣れですと言わんばかりに周囲の様子を伺っている)

リーシャ > (収穫もないしそろそろ帰るかと思った矢先、目の前に何やら白い影が見える。夜闇にもよく目立つその塊を目で追うと、何やらきょろきょろと周囲を見まわっている様子。――迷い子だろうか。ここいらを歩くには随分と無防備な格好に態度。あれではスリの獲物として身ぐるみ剥がされるのが目に見えている。彼女に武道の腕があるなど知らないからか、ひょこっと地面に降り立つと)

「そこの真っ白いの、あんまり無防備だと財布を持っていかれるよっ!」

(などと声をかけてみることにする。)

ハナビ > 「えっ…わわっ!?」

(びくっ、と体を竦ませてぺたん、と尻餅をついてしまいきゅ~っと鳴き声を上げながら見上げて)

「び、びっくりした…ボクそんなに無防備だった…?」

(ふぅ、と息を吐き襲ってくださいと言わんばかりの無防備さとふにゃっとした表情は、危機感を持っておらず-それが自信からくるのかそれとも天然なのかはわからないが---)

リーシャ > 「ま、ボクも似たようなものだけど、そんなにキョロキョロしていたら真面目にカモだよ。慣れてないですよっていうのを思いっきり表現してるじゃないか」

(驚いてしまったようなので、苦笑しながら手を差し出す。埃っぽい足元に座り込んでは、服が汚れてしまうから。掴んでもらえたなら助け上げるが、必要ないなら手を戻す。どちらにせよ、彼女におせっかいを焼くつもりで)

「で、こんな所にどうしたのさ。娼婦になりたいならあっち、町に戻りたいならそっち。こっちはガラクタ多めで人も少ないよ?」

(貧民街はそれなりに経験しているからか、サラッと指差しながら説明。道を教えてやっているつもりである)

ハナビ > 「うーん、そんなつもりはなかったんだけどね」

(せっかくなので親切な手を受け取り、支えてもらいながら立ち上がって、ぱふぱふと埃を払っていき)

「しょっ…!? 娼婦になりたいわけじゃないよっ! ちょ、ちょっと道に迷っちゃってさ…この粉末を届けたいんだけど、薬師の家わかる?」

(少女が見せるのは、ちょっと息をかけるだけで飛んでいってしまいそうな粉末。少女は知らないがある強い媚薬成分を含むキノコの胞子で出てきており大変危険な代物だが--どうやらこれを貧民街にすむ薬師のもとへと届けたいらしい。どうやら貧民街に住んでるとは知らなかったようだ。)

リーシャ > 「ん、まぁ、ここらへんも少しは分かるから、ボクの知っている場所であれば案内するよ?」

(で、どんな用事?と先を促すと見せられるのは謎の粉末。見たことあるようなきがするのだけれど、思い出せない。――そも風が強い今の時期では、すぐにしまったほうが良さそうだ。ともあれ薬師への用事と聞くと、少し考えてから)

「それっぽい人は知ってるけど――んじゃ、そこまで行ってみようか?」

(こっちだよー、と先導しながら貧民街を進んでいく。何度か路地を曲がれば、いつの間にか寂れた漢方薬屋のような古びた店構えの家屋が現れる。少女にとっての薬師といえば怪しげなおじいさんである漢方薬屋の老翁だった)

ハナビ > (ひゅっ、と吹き込む風に、手を添えて風を遮りながら包み紙を畳むようにして粉末をしまい)

「あ、いいの? 助かるよ-それじゃお願いしようかな!-ボクはハナビ。これでも冒険者だよ、よろしくね」

(親切にしてくれる相手には警戒を行わず、ある意味先行きが不安になるような子だが…案外それなりの実力はあるようで--件の店にたどり着けばほっと一息)

「ここかぁ…ありがとう! それじゃ入ってみようかな」

(こんこん、とノックしたあと、薬屋さんの中へと入っていき)

リーシャ > 「ん、ボクはリーシャ、よろしくだよー!」

(警戒されていないなら素直に案内。入り組んだ道も何のそのだ)

『おや、いらっしゃい。どちらさまかな?』

(老翁は扉の音に気づくと、声だけで問いかけてくる。中は薬と埃の臭いがして、薄暗い。入ってきた少女2人を見ると、怪しげな笑い声を響かせた後に)

『くっくっくっ……リーシャ、傷薬は生憎切らしているが――そちらの娘っ子は誰かえ?』
「えーと、ハナビちゃんっていうみたいだよー。お爺に用事だって!」

(にこやかに微笑むと、後は彼女に任せることにする)

ハナビ > 「よろしく、リーシャ」

(友達ができたかのようでにこやかに笑みを浮かべながら道中をともに歩き、薬師の声が聞こえてきたら会話を止めて)

「こんばんわ。頼まれてたキノコの粉末、持ってきたよー」

(数歩なかに踏み入り、薬師の姿を探すようにキョロキョロ、相変わらず無防備この上ないことで)

リーシャ > 『確かに。――報酬は金と薬、どちらが良いかな?』

(尋ねる老翁。金なら硬貨の入った袋が、薬ならあれば望みの薬が手に入ることだろう。或いは彼女の欲しいものがあるなら、其れを訪ねてみても良いかもしれない。そんな様子を眺めながら、少女の方は薬を物色。折角来たからと腹痛に効く薬草やら何やらを大量に買い込む構えだ。硬貨の袋を置くと)

「其れじゃボクはここらを貰ってくよー。代金はそれからで」

(などと適当な対応。それで済む程度には老翁もどんぶり勘定なのである)

ハナビ > 「んー、お薬が気になるかも」

(なんぞか物色。危険な香りのする薬草やポーションを物色しながら興味津々で覗いてみて-飲んだらいろいろと昇天しそうなものを透かして見ながら)

「リーシャは何かのお薬を買ったのかな?」

(ふと気になりながら横目でひょいひょいと慣れた手つきで選んでいた少女を眺めつつ、とりあえず危険なドラッグセットみたいなのをもらってみたり)

リーシャ > 『ふむ、それならそこの薬棚から3つほど持って行くがいいさ』

(老翁は雑多に並んだ薬棚を示す。強壮剤に毒薬に媚薬にと何でもありな棚である。ちなみに少女は冒険で使うための止血剤や痛み止め、体調不良時の対策である風邪薬や解熱剤、便秘薬や下痢止めなどを適当に購入していたり。最もよく使う、傷薬の軟膏はどうやら売り切れのようだった)

「ん?まぁいろいろだよー。危ない薬はないけどねー」

(などと素直に答えつつ、一つの革袋に多量の薬を詰め込んでしまうのだった)

ハナビ > 「そっか。真面目さんなんだね!」

(日用品的に使える薬剤を選ぶあたりさすがといったところか。関心したように頷きつつ-ふと、視線を向ければ棚の上にある試供品のお薬。何やら難しい文字でいろいろ書いてあるが…)

「・・・なんだろう、これ。1つ飲んでみよっと」

(ろくに解析もせずパクリとお薬を飲んでみる好奇心は身を滅ぼすの典型娘…その効果はすぐにでも現れるだろうが、果たしてなんの薬だったか)

リーシャ > 『――あまりそこいらのを勝手に飲んでは……遅かったのぅ』

(老翁は一応止めるものの、積極的には動かない。そもそもこの店ではあらゆる薬の仕様が自己責任である。故にたとえ彼女の飲んだ薬が致死の毒薬だろうと強烈な媚薬だろうと唯の苦いだけの飴だろうと、その責任は彼女のものなのである。そして、少女もまたそれをわかっているものだから不用意に手を出したりはしない。彼女が試供品使用者の一人目かもしれないのは秘密である)

「……それ大丈夫な奴?流石に死ぬようなのはおいてないだろうけど、媚薬とかは普通にあるからね?」

(何の薬かは効果が出てみるまでわからない。ゆえに見守るしかなかった)

ハナビ > (じわぁっと溶けるような感触を覚えたあと、それは一気にやってくる。ビクンッ!と体をはねさせた瞬間、体を内股に畳みながら、じわぁっと股座に瞬く間に愛液を漏らし、表情を虚ろにさせながら座り込んで)

「ひゃっひゃへっ、なん、これっ…♪」

(聞こえてるのか聞こえてないのか、指一本すらまともに動かせない状態で床に座り込み、小水と愛液を漏らしながら呆然としていて)

リーシャ > 『……おや、しまい忘れのやつじゃないかぇ?痺れ薬と媚薬と多幸感をもたらす薬を混ぜたやつ――男も女も一錠で虜にできるってやつじゃな』
「で、ボクはこれをどうしろってのさ……この子の家とか宿とかてんで知らないんだけど?」

(困ったなぁ、と嘆息しながら目の前で小水や愛液をこぼす様子を眺める。聞こえているかもわからないものだから如何せん困り者だった)

ハナビ > 「はひっ、あっ、んっ・・・リー、シャっ・・・」

(ぎゅっと服をつかみどうにかして欲しいのか、それとも目の前にいる知人に委ねてるのか、苦しそうに見上げつつ、頬を上気させて瞳を潤ませながら見上げている-冒険者だし放置すればしばらくすれば回復するだろうし、身分証も漁れば出てくるかも知れない-が)

リーシャ > 「……ぁー、分かった。とりあえず送ってあげるから、宿の場所だけ教えてね?」

(微笑みながら立ち上がると、彼女をそっと抱き上げる。色っぽさには僅かに劣情をくすぐられるも、今宵の所は素直に宿まで送る予定。流石に初対面の相手を抱くほど少女も好色ではない。――逆に襲われるならば別だけれど。ともあれ彼女の宿を確認すべく身分証を改めて、そのまま彼女を連れて街の中へと消えていく。また会うことがあればその時は、勝手に薬を飲んじゃいけないと起こることになるだろう。とはいえそれはまた別の話――)

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からリーシャさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からハナビさんが去りました。