2015/10/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にレナ=ミリイさんが現れました。
■レナ=ミリイ > 貧困街の某所に存在する闇市を大きめの袋を紐で肩に吊るした格好で露天の商品を眺めながら人を避けながら歩き。
「そろそろ、ローブとかも買い換えたいし、武器の修理部品とかも欲しいけど……どの店のも手が出ないな」
時折立ち止まって売値を確認し、ため息とともに首を振りながら露天を後にすること数回。
目的の露天に到着すると、壮年に差し掛かるころの店主に声をかけ。
「おじさん、いつもの取ってきたよ」
そういって袋を開けると中に入っていた防具の素材になりそうな獣の皮を相手にわたし、代わりに数本のボルトを受けとる。
商品の交換にしては対価が明らかに釣り合っていないが、ミレー族であることを隠せない自分としては、表で買い物をすることは難しく、まだ交換に応じてくれる相手であるだけ幸いであると思っていて。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にワルセイ・イダーヤさんが現れました。
■レナ=ミリイ > しかし、ここでボルトを得ることで少女は外で明りをすることでギリギリ食いつなぐことができ、冒険者としてわずかな現金を得ることもできているのだ。
それでもそれは浮浪者並みの生活であることに変わりはないのだが。
「やっぱり売春しかないか」
幸いにして外で生き延びることができる少女は、川で身を清めることができるため、そこら辺の浮浪者よりは小奇麗であった。
それでも、ミレー族の女など奴隷として捨て値でも抱ける店もあることを考えると、自身の値段などほぼつかないことも多いのだが。
■ワルセイ・イダーヤ > かつかつかつ……固い靴音が、貧民街の市場に響く。人々は、旧時代風な貴族の格好をした男を見て何事かと思うが、男はその視線をうっとおしがっていて、軽く溜息を吐く)
……はぁ……
(男がこの市場にきた理由。それは闇市でしか手に入らない薬品などをそろえるためであるが、そのほかにも目的がある。そう、奴隷か娼婦だ。男は、薬品のテストのために、偶にではあるが、いなくなっても困らない人間や人外をテストに使う。さて、適当に誰かいないか…そうさがして見れば、何か、買い物をする冒険者風なミレー族の少女がいて…首には、奴隷の首輪のようなもの…ちょうどいい。それに何か買い物で困っている様子…)
……おい、そこな冒険者よ。なぜあんな不利益な取引に応じたのだ?
(そう少女に聞きながら、近づいて行って。)
■レナ=ミリイ > 「え?」
店主から受け取ったボルトを矢筒に入れて店を後に歩きだしたところで後から声を掛けられ、不審げな表情を浮かべながら振り返り。
「……私が取引できる店は限られてる、あれ以上良い取引はできない」
突然話しかけてくる明らかに貧民街には似合わない格好の男に短く答えて。
ローブの中に両手を隠しながらナイフの柄を握り警戒の色は隠さない。
■ワルセイ・イダーヤ > ……ふぅん。ミレー族というのは大変であるな。どうだ、冒険者よ。そなた、俺と取引をしないか?
(男はそう聞いて)
俺はそなたの買い物につきあってやる。何かかいたいものがあれば俺が金を出そう。なに、そなたは俺の従者のような風に俺の後ろについておればよい。その代わり…
(そして男は、指で少女の胸をとんとんとたたき)
そなたは代償に、その体を支払う。まあ、娼婦のように俺と交わればいい…どうだ、乗るか?
(そう男は少女に問うて。)
■レナ=ミリイ > 男の提案を聞けば少し考えるように地面に視線を落とす、確かに悪い提案ではない、これから買ってくれそうな相手を探す予定であったため娼婦扱いも問題はない、それでも相手にはどこか違う雰囲気を感じていて。
「……わかった……なら、いくつかの部品と一日分の食料、干し肉でいい……それを買って欲しい、その変わり一晩好きにしていいから」
それでも贅沢のいえる立場でないことは確かで、相手が具体的な値段を提示しなかったため、最底辺の娼婦の報酬よりやや高いくらいの買い物を提案して。
■ワルセイ・イダーヤ > ……ふむ、たったそれだけでいいのかね?そなたは無欲だな。では、行こうか…
(男はそう言いつつ、少女を後ろに従え、市場を歩く。男は奴隷になったことはないため、奴隷の気持ちなど分らないし、分かるつもりもないが、まあ、いいだろうと思って…そして)
そういえば、名前を聞いて無かったな。俺はワルセイという。そなた、名は?
(そう少女の名を聞きつつ、市場で干し肉や、少女が示した部品を買ってやって)
これでいいかね?では……次は、そなたが支払う番だ。
(そう言い、安い娼館の一室を貸しきりにして、そこに少女と共に入って…)
■レナ=ミリイ > 無欲、と言われてもピンとは来ない。
むしろ自分としてはもらいすぎな感があるくらいで、無論ミレー族の自分がたくさん物を持ったところで襲われて奪われるのが目に見えているという打算もあるわけだが。
「レナ=ミリイ……レナが名前」
相手の宣言通り従者のごとく後ろにつき従いながら買い物を済ませて。
買い物を終えるころの相手の言葉に小さくうなづき。
「わかってる、逃げたりしない」
相手の後ろに続いて娼館の一室に入ればローブを脱ぎ、装備を外していきながら相手の動きを窺い。
「どうするの、貴方に合わせるけど」
■ワルセイ・イダーヤ > あぁ、まずは、この薬を飲んでほしい。
(そう言って男は、透明な液体の入った小瓶を取り出し)
この薬は、不感症…まあ、セックスで感じれない人間用に作った薬でな、体の感度を跳ね上げるのだ…まあ、ものすごく強い媚薬と思ってもらえばいい…
(そう言いながら、男はレナに小瓶を渡して。もしレナがその薬を飲んだら、風や、服のこすれる感覚すら、快楽に変換されるであろう。)
のんだら、こっちに来たまえ。そなたの体に、まだ使いたい薬があるゆえに…
(そう言いながら、ベッドに座ると、注射器を取り出して、手招きをして…)
■レナ=ミリイ > 小瓶を渡されると首を傾げ便を揺らして見たりして、相手の説明を聞く。
「……わかった」
普通に身体を売るだけでもなかなかリスキーだというのにそのうえ得体のしれない液体を飲まされることにやや抵抗を感じながらも小瓶の蓋を空け、中身を一気に飲みをして。
「……っ、は……あ、っつ……ん」
液体を飲んで一息ついたかと思えば突然全身を襲う快感に膝が崩れそうになり。
息をするだけで絶頂に近い刺激を感じながら、飲む前に言われた通りふらふらと体を揺らしながら相手の前に行けばそこで力つき、相手の前に両膝を付く風になり、びくびくと身体を震えさせていて。
■ワルセイ・イダーヤ > ふふ、どうやらミレー族にも効果はあるようだな…では、レナよ、腕を出しなさい。
(そう言って男は、レナの腕を持ってその腕に、注射針を刺して、中の液体を注入して)
この薬はな、妊娠していない女体でも、母乳を出せるようにする即効性の薬だ……っふ、動くのも辛いかね?そら、俺が抱きかかえてやろう。
(そう言って男は、レナの体を抱きかかえ、ベッドの上に寝ころがせて)
では、レナよ。たっぷりと楽しませてもらうぞ?そなたの体…
(そう言って、男はレナの唇に軽くキスをして…そして、二度目のキスは、その強靭な蛇のような長ぼそい舌が、レナの口内に侵入していき、唾液の交換…いや、強制的にレナの口内に男の唾液が送られて行って)
■レナ=ミリイ > 「あ!……ふ、っく」
注射針の痛みすら強制的に快楽に変えられてしまい、頬は紅く息も荒くなっていて。
もはや快楽で思考がまとまらない状態で相手の言葉の言葉もぼんやりと聞くのみで頭には入ってこない。
「は、ぅ……は、い……好きなだけ……ん、抱いてください……ふ、ん……あ」
ベッドの上に仰向けになり、熱で潤む目で相手を見上げ、薬で強制的に牝を覚醒させられた身体はただひたすらに雄を求めていて、全身から相手を誘うフェロモンを発して。
相手のキスを受け入れ唾液をを送り込まれれば熱い吐息をこぼしながら相手の唾液を飲み込んでいき。
■ワルセイ・イダーヤ > (チュプ…じゅぷと水音が部屋に響く。どれくらいの時間キスし合っていたのかはわからないが、とりあえず、お互いの口が唾液まみれになるくらいの時間はキスし合っていたであろう)
…ふぅ…なかなかに旨いぞ?そなたの口は…
(そして、男の手はそこまで豊満とは言えないレナの胸肉を優しくつかんで、モニュ…ムニュ…と少々力を込めてもんで。クニュクニュとレナのやや固くなった乳首を扱いてやって)
では、いただくとしようか…
(そう言って、男はレナの胸の頂に吸いついて、チュウ、ジュウと吸いながら、母乳があふれるのを待って)
■レナ=ミリイ > 「ん…ふ、ぅ……ちゅ」
相手にキスされているだけでまるで性感帯を直接触られるかのような快楽を帯びて、時折身体をビクビクと跳ねさせる小さな絶頂を繰り返し。
乳首は既に硬くなっていて、そこを刺激されてしまえば咥内とは比べられない刺激が走り。
「ひぁ!あ、っあ、だ…め、あ」
乳首を吸われると小さな胸から甘い母乳があふれ出してきて。
「っあ……でちゃ、なんで……っあ!」
相手の話が耳に届いてなかったのか、体の変化に戸惑いながらも母乳が座れる快感に身体を震えさせ。
股からは溢れた蜜でたっぷりと濡れてシーツを汚していて。
■ワルセイ・イダーヤ > (こくん、ごくんと男は。レナの母乳を飲んで。少し野性味があるが、まろやかな味で)
……っふ、レナ。美味しいぞ?そなたの母乳。
(そう言って男は、口は胸を吸いながら、手はレナのボディラインをツッ……っと撫でながら下へと降りていって、いやらしい蜜でぐっしょりと濡れた女性器を発見し)
……っふ、もうこんなに濡れて…薬の効果か、はたまたそなたが淫乱なのか…
(そう言いながら、秘所を指がまさぐり…ジュブとその指2本は。膣へと侵入していくであろう。)
■レナ=ミリイ > 「っ、は……はぁ、はぁ……っくぅ!」
相手が母乳を飲むのをやめれば肩で息をしながら呼吸を整えようとして。
乳首からは残った母乳があふれて肌を伝ってシーツへと落ちていき。
十二分に濡れた膣はあっさりと相手の指を受け入れ、まるで身体が喜ぶかのように締め付けて。
「か、あ!は…ん、は……淫乱じゃ……くぅ!あ!」
実際薬の効果もあるだろうが、自身の性質、そしてミレー族の中でも繁殖力の高い部族の血を継いでいることも大きく影響しているのであろう、彼女はかなり濡れやすい体質でもあった。
■ワルセイ・イダーヤ > ふふ。まあ、薬のせい……ということにしておこうか。
(男は指をぐにぐにと動かす。すでに膣内部は、受け入れる準備万端のようだ。そう理解して、男は自身のモノをズボンを下ろしてとりだせば)
さ、では……いくぞ。
(そう宣言し、男のペニスは、レナの膣内に沈んでいく。その内部は確かに狭いが、中々に心地がいい)
…ん、っふ……なかなかに心地がいい…さ、中で出す前に…
(そう言って男は。レナの口内に、三種類目の薬を流し入れて…)
この薬は、強制的に女体を妊娠待ちの状態にする薬さ。まず、間違いなく中で出したら妊娠するであろうなぁ…
(そう言いながら、男は、レナの最奥で果てて…)
■レナ=ミリイ > 「ひぁ!あ、は、ん、っくあ!」
相手のペニスを受け入れれば膣内は柔らかく広がり、それでいて一定以上の締め付けを締め付けを示し。
相手が腰を動かすたびに接合部からは卑猥な水音を立てて。
元々身体に合わせて奥行きのない膣内はたやすく相手の亀頭を子宮口まで辿りつかせて、相手の亀頭をなであげ。
「っ、ふ……ん、く……は」
口元は既に力なく喘ぎ声をこぼし端から唾液を漏らすのみで、相手の流し込む液体をたやすく飲み込んでしまう。
元々妊娠率の高い部族である、相手の薬の効果は覿面であろう。
「く、ぅ……妊娠、しちゃ……ああぁぁぁ!」
相手の熱い精液が子宮の中に直接注がれると背中をそらせて一番の大きな絶頂を迎えて。
その後力なくベッドに身体を沈めて時折痙攣のように余韻を残して。
ぼんやりとした虚ろ気な意識のなか、本能で相手の精子が自身の卵子に群がり、そして受精してしまったことを感じて。
■ワルセイ・イダーヤ > っふ、ふぅ……なかなかに良かったぞ。そなたの体は
(そう言いながら、男はレナの頭をなでる)
もし子供ができたら、おろすなり産むなりすきにするといい。俺は興味ないが故…だが、もし生むのであれば……その時は、俺のアジトに来るがいい。悪いようにはせんよ。
(そう言って、自分のアジトの場所が書かれた紙を置いて)
さ、レナよ。俺はまだ満足しておらぬ。まだ、そなたが気絶するまで快楽漬けにしてやるつもりゆえ、覚悟しておけよ?
(そう言って男は、再びレナを抱く。レナがいつ解放されるかはわからないが、少なくとも男が満足するまでは解放されず、今晩中に解放されるのはまずありえないであろうか……)
■レナ=ミリイ > 「は……ぅ、ふ」
もはや息も絶え絶えといった状態でぼんやりと相手の置いた紙に目を槍のみで。
相手の言葉を聞きながらおろすことはないのだろうな、などとうっすらと考え。
「……うん」
強すぎる快楽を帯びたがゆえに小さな刺激は収まっているのか、相手の言葉に小さく呟き、相手が満足するまでその身体を好きにさせることになった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からワルセイ・イダーヤさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からレナ=ミリイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にフィーナさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にヘルガさんが現れました。
■フィーナ > 情欲に駆られた日から、まだそれほどの日にちは経っていない。
自己を失い、快楽に身を投じた夢の様な時間。
それが現実だったと知らしめる首に巻かれた黒いチョーカーへと、フィーナは柄にもない焦燥感を抑えるために赤い視線を降ろした。
快楽に溺れた中で受けた愛情の形、あの晩は確かに存在していたことを軽い支えにする。
ーーしかし、今フィーナに突き付けられているのは、今までと変わらない現実。
幾多の人間を手に掛けたが故に追手の追走から逃れる日々に戻っていた。
人通りのない、薄暗い裏路地。大の大人が漸く二人入れるかといった具合の隘路。
そこに積まれた木箱の物陰で、フィーナは激しくなる動悸を無理矢理押し殺し、息を潜める。
「――……貴族も、厄介な相手を寄越すんだね。形振りかまってられないってことか」
真っ向と戦うのには少々分が悪い相手だった。
身のこなしはこちらが上手だとしても、そう隙を見せてくれる相手ではない。
懐に入ってしまえばこちらのものだが、そもそも間合いに差があった。
これが格下相手というのなら、珍しく吐息を荒げてしまう程苦戦を強いられないだろう。
互角の実力か、或いは真っ向勝負という意味では此方が不利だ。
ならばと講じた策は、相手の扱う得物を封じること。
此処でならば、相手も存分に長剣を振り回せないだろうという算段。
幾多の命を奪ってきたナイフの柄を握り直し、要撃態勢を整えた。
■ヘルガ > たとえ鬼畜の所業に身を窶そうと唯一譲っていない線引きがある。
金だ。たとえどれほど甘い声を出す者にも、金品の略奪や要求をしたことはない。
治安の悪いこの街は腕の振るう場所に事欠かず、
隠す耳もない人間の身ということもあって、覚えもあれば生活していくのは苦ではなかった。
生死問わず、しかし生かして捕まえれば報酬は数倍に跳ね上がる。
追っ手たちがその数倍を諦めるような相手への追走は、
しかし次第に夜闇のなかに紛れた影を探るような混迷へと移り変わりつつあった。
「……逃がしたか? 随分夜歩きに慣れた獣のようだね……」
夜気に白い吐息を吹きこぼしながら、ついに見失った相手を探して周囲を見渡す。
手元には剣呑な銀の刃があった。
しかしそこに血は塗られていない。一太刀も浴びせることができなかったのである。
ゆっくりと歩を進めながら月光の導を頼りに進む。
自分が奴ならこの光が届かない場所に隠れるはず。
そして恐らく、事を構えるにせよ自分が有利な状況で……
まず考えたのは先回りを前提にした上空だった。上をむいた。それがまずかった。
思考を切り替えてすぐ真横の路地裏に視線を映す、その時間分、動作が遅れたことになる。
路地裏の闇のなかへ構えて振り抜こうとする――しかし、その想像以上の狭さに振りも遅れた。
必然、相手が掴みあぐねていた好機を差し出す形になった。
■フィーナ > 何かを求め、彷徨う人間の足取りほど分かりやすいものはない。
危機的状況に置かれれば、誰しも人は敏感になるものだ。
獣であるフィーナの感覚は人一倍鋭く、僅かな息遣いも見逃さない。
若くとも人を殺すことを生業とする生き方は、それだけ研ぎ澄まされていた。
「ーー……。」
迫る女の息遣いに余計な独り言も、呼吸の音でさえ押し殺す。
表情や姿形が見えずとも、聴覚は視覚となって、フィーナに全てを伝えてくれる。
歩を進める足音から、歩幅を見定め、距離を掴み、機会を待った。
たった一つの機会を得るためのその時間は、短くも非常に長く感じる。
押し留めた息を吐き出したくなる程の緊張感ーー
好機は、追手が歩を緩めた時に訪れた。
僅かな一瞬。けれどそれは、フィーナにとっては得難い反撃の一瞬だ。
追手が此方の行方を掴みあぐねている隙に乗じて影から身を乗り出したフィーナは雷光の如く駆け抜ける。
此方を見落とし、振り遅れた一瞬は、懐に迫るには十分で。
遅れた長剣が頬を掠めるも、構わない。
彼女の胸元へたった一突きするだけで、この逃走劇にも終止符が打たれる……
ーー筈だった。
違和感。頬を掠めた傷が、先日覚えたばかりの刺激を蘇らせる。
甘美な刺激。それはフィーナの動きを緩めるには十分過ぎた。
当然その弛緩は、逆に相手へ一隅の好機を与えることになる。
■ヘルガ > 致命的な迂闊を食らわんと闇から飛び出してきた殺意に対して、
無我夢中に剣を突き出す――刃に葉でも乗ったかという程度の手応えがあった。
それで十分。
相手が色を知っていたことが、なおのことヘルガにとっては天運だった。
「―――ッッく……!」
ぞくりと汗が滲むのを感じながらも臆さずに、噛み締めた奥歯の隙間から唸る。
一瞬の間隙を逃すまいと脚を振り上げた。
致命的な間合いを少しでも開けるために、その腹部にか脚にか槍のごとく蹴りを打ち込む。
その間に構え直した剣の中心部が、
ヘルガの眼光とは違う輝きの残光を引いていたことに、果たして暗殺者は気づけただろうか。
痛覚置換。剣によって与える痛みを性的快感へと変換する外法を、
不意を打たれた、と思った瞬間に反射的に発動させていたのだ。
「見つけたよ…ッ、済まないが仕事でね、大人しくお縄についてもらおう…ッ!」
闇のなかに黄金の髪を躍らせる。
狭い路地の縦と奥行きを使った、振り下ろしと刺突の型で剣を振るう。
路地の奥へ奥へと、野良猫を追い立てていくように。
先程よりも俄然体重の乗った一撃は、ただ受け止めるだけでも比べようもない「痛み」を感じることだろう。
■フィーナ > 「ーーーッが……!」
得難い機会を失ってしまうのは、フィーナにとってはこれ以上ない致命傷だった。
腹部を穿つ鈍痛は軽く骨を軋ませて、肺に貯めこんだ空気を吐き出させる。
そこにあるのは紛れも無い、痛み。当たり前である筈の衝撃だった。
平衡感覚を失い、繰り出された衝撃に従い地面を転げ、その勢いのままに体勢を立て直す。
擦り切れた痛み、滲むような鈍痛。それはたしかにそこにあった。
それなのに、頬を掠めた痛みだけが伝わってこない。
代わりにその傷口から滲むのは、ぞわりと身体を駆け抜ける快楽。
まだ記憶に新しい夜伽を蘇らせる刺激。
生きるか死ぬかという時間とは決して相容れない色が混ざり合い、研ぎ澄まされた表情が困惑に歪む。
「下手な、小細工……ッ! ッ……ァ、ッ、ぐ…ンぅッ!」
本来ならば何の事はない痛みであるはずが、未だ慣れない快楽という刺激に動きは鈍る。
身体を翻そうにも、熱に浮かされた記憶が脳裏を過ぎり、一つ一つの斬撃を躱すのも精一杯だった。
相手の隙を作るために、敢えて退路のない路を選んだのもまた、致命的。
斬撃を躱す内に、程なくして追い立てられ、
逃げ場を失ったことに気づいた時には思い一撃が肩を抉った。
その重みだけ身体を廻る性的な快楽。
あの夜は理性を失っていたからこそ、受け入れることが出来たが、
今は生きるか死ぬかの瀬戸際。
それに酔いしれる程、染まりきっていないことが、逆にフィーナを苦しめる。
まるで一番奥に穿たれたような刺激は、短い間に何度も刻み込まれた刺激と酷似し、
全身に火照りを抱かせる。
玉のような汗が額を濡らし、喘ぎそうな声を奥歯で噛み締めて、
乱れた亜麻色の髪から覗き込む赤い瞳は痛みとは違う苦しみと憎しみ持って歪ませた。
鋭い野獣の眼光が見下ろす女を睨みつけるその様は自己を保った屈強な精神力の表れで。