2020/08/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」にアンヤさんが現れました。
アンヤ > 頭をガシガシと掻き毟りながら王城の廊下を歩く。
一仕事終えた帰り道なのだが、今夜の仕事は妙に疲れた。
というモノの縁談を控えた貴族が何処からか噂を聞きつけたのか、「此度の縁談が良縁になるように。」と幸運を授けて欲しいとの事で報酬の良さに受けたがいいが――…苦手な良き感情をぶんぶんに振り撒いてくれたのだから、肌がひりつく重いと壮絶なおぞましさを感じる他無く、仕方なしに仕事なのでそつなくこなしたが、得られるモノは金銭だけで何も楽しい事は無かった。

そのストレスで頭をガシガシと掻き毟り、帯状の眼帯をつけた左眼も露出させている右眼も細めて露骨に苛立った表情を浮べて廊下を歩いて王城の出口の方へと向ってる。

不幸あれ、と口にして言えない、報酬をもちいて懇願されたら断れない、何と因果な事かと愚痴を零し、初めて自分の生まれを呪う。

悪鬼悪霊魑魅魍魎怨霊羅刹、と己を露す言葉は幾らでもあるだろう、時にはその能力から神と信奉された事すらある。
無論神なんぞには届く筈の無い矮小な身であるが……。

――…どうでもいい。
もう疲れた、疲れた。
帰り際に良い酒でも買ってかっくらって寝よう。
出来れば1人くらいイイ女を掻っ攫って、嬲り楽しみたいmのだ、と口元に何とも表現できそうも無い笑みを浮かべ、久々の和装で動き憎さを感じながら、廊下を1人歩く、ゆるゆる、と。

アンヤ > 暫くは不機嫌な様子で歩いていくが、頭の中で浮べた上質な酒のことを考えると次第に表情は弛み、王城を出ることにはご機嫌な様子で帰路につく。
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」からアンヤさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城・兵士詰め所」にサロメさんが現れました。
サロメ >  
此処、王城の兵士が屯する詰め所には腕の良い魔術医が常駐していた
自分も訓練兵であった頃、鍛錬で負傷などした際には随分と世話になったものだった
その頃からの顔見知りであるという点で、城の他の魔術医よりも信用がおける、というのもある

「──………」

詰め所の奥まった一室
すでに魔術医は退室したその部屋で一人
鏡と向き合う、灰髪の女将軍の姿

「湯治の効果も合わせ、随分と綺麗に癒えたものだ」

呟き、視線を向ける姿見には一糸まとわぬ自身の姿が映し出されている

サロメ >  
かつての腐敗王国貴族との一件で、
この身には決して浅くはない凌辱痕が無数に刻み込まれた

敵に背を向けず、その背に傷はなしと自負した背中にも夥しい鞭打ちの傷痕
貴族の中には自らが"躾けた"その回数を刃物でこの身に彫り込む者すらいた
当然、もっとも多くその矛先となった、女を象徴する部分はより明確で醜悪な仕打ちを受けた
針が通され、悪戯に引き伸ばされ、美しかったその形は微塵も残らず蹂躙された

二度と使い物にならぬことも覚悟したが──

いや、凄いものだ。王国の魔術医による治癒魔術の効果とは
それでも随分と、長い時間をかけた気はするが

「──女を捨てている、などと嘯かれるのも不本意だからな」

ふ、と小さく笑い、丁寧に折りたたんで置かれていた自身の衣服を手にとり、身につけてゆく

サロメ >  
甲冑、具足を身に着けるのも手慣れたもの
この城に来たばかりの頃はそれにすら苦労したものだった
立て掛けていた剣を帯剣し、その部屋を出る

その矢先

『尊厳は取り戻せたか?』

珍しい声が響く
鞘から覗く宝玉が蒼く冷たい輝きを放っていた

「失ったものは戻りはしないさ」

普段はほとんど話さない、言葉を持つ氷の魔剣
声を聞いたのも久しぶりだったが、返す返事は淡としたもの

ばさりとマントを翻し、部屋の外へと踏み出した

サロメ >  
訓練所に併設された魔術医の部屋
当然外に出れば、いかつい豪傑どもが剣を打ち据え、鍛錬に励んでいた
無論、城の見回りや警備の合間でのもの、それほど人数も多くはないが

一心不乱に剣を振る若い兵士を視れば、ややその金色の瞳を細めた

自分がこの国の腐りきった実態を知ったのはいつ頃だっただろうか
少なくとも、優れた騎士になろうとああやって剣を無我夢中で振っていた頃は
そんなものは知る由もなかった

王国軍はどこまで行こうが王国の言いなりである
その現実に気付いたのは、比較的最近だった

ご案内:「王都マグメール 王城・兵士詰め所」にマレクさんが現れました。
マレク > 「おお、これは。シュトラウス将軍閣下」

 訓練所に顔を出した女将軍に、声を掛けた者がいる。緑色を基調としたダブレットやホーズ、短靴など貴族然とした出で立ちの男だ。顔立ちは整っているものの、聊か整い過ぎている。「こうすれば美しいだろう」と人々が何となく考える通りに顔のパーツが並んでいるのだ。まるで作り物のような。

「ご活躍、聞き及んでおります。相変わらずお美しい」

 微笑と共に言葉を告げながら、同心円状の溝が刻まれた奇妙な左目を眼帯で覆う。ひょっとすると、この男は認知されているかもしれない。女将軍に対し、筆舌に尽くし難い凌辱を行った腐敗王国貴族と彼が親し気に話している所は、多くの者が目にしていた。
 勿論、この男が狼藉に加わったことは証明されていない。そうでなければ、今ここには立っていないからだ。上辺を取り繕った男が女将軍の姿を見つめ、笑みを深める。

「いや変わらずではない……さらに、お美しくなられた」

サロメ >  
「──? 貴殿は」

声をかけられた方へと視線を向け、男…マレクを見る
どこか、顔には覚えがあった気もするが──…はっきりとは、思い出せない

「…褒めの言葉は素直に受け取ろう」

活躍、と言える程に功績を挙げ続けているわけではない、が…
美しいと形容されれば、それは女の身として、否定的な感情は抱かない

「さて…礼を欠いているかもしれないが、名を伺っても?」

顔に見覚えがあっても、その名に記憶はない
…些か、その風貌や立ち振舞に不可思議な違和感を感じつつも、その原因はわからない

マレク > 「ああ、失礼をば。ラノエール家のマレクと申します。以後お見知りおきを」

 右足を後ろへずらし、左手を胸に当てた優男が軽く頭を垂れる。笑顔を消し去り、そのまま彼女の具足を見つめた。

「本日は、お詫びを申し上げに参りました。誠の国士たる将軍の身に起きた……御不幸をお止め出来なかったのは、私の落ち度です」

 頭を垂れたまま眉間に皺を寄せる。身分ばかり高い役立たずどもめが。その悪態は、目の前の相手には届かないだろう。腐敗した王国貴族が性欲と支配欲を肥大させ、彼女への行為を激化させなければ、恐らくこの将軍はまだ日の差さぬ暗い牢にいて、魔族との戦いには加われていなかった筈。
 代理の人間があてにならなかった以上、自分自身が出るほかない。自ら危険を冒してこの『灰髪の獅子』を絡め取るしかない。そう考え、こうして接触したのだった。

「我が家門が非力であったゆえ、何より私に、身分を捨ててでも彼らの狼藉を止める勇気が無かったため、あのようなことになった次第。申し訳ありませんでした」

 「不幸」やら「狼藉」やらの中身については口には出さない。この女将軍が受けた仕打ちについては、既に王宮内で語り草となっているからだ。

サロメ >  
「──………」

それを聞けば思わず言葉を詰まらせる
既に終わった話、それに侘びなどと…家の権力の有無など、王国貴族達の前では…

僅かな乾きを感じながら、口を開く

「…家の力で楯突いたならば、家が不幸になったろう。
 身分を捨てて止めに入ったならば、捨てるのは命に他ならなかった。
 詫びる必要はない」

「私にとってもこの国をよく知るという意味で、教訓になった話だ」

顔をあげてほしい、と付け加え、マレクと名乗った男を金色の視線で見つめる

どうだろうか、彼の行動は──
偶然出会ったからこその謝罪なのか、それにしても個人の勇気一つでどうにかなった話とは思えない
──では、何か裏があるのか
拭えない違和感、それを注視しようとすると、それが霧散してゆく
この男に疑わしき部分などない、と…そういった気分にされる──

マレク > 「……身に余るお言葉です、将軍」

 面を上げるよう促されれば、語尾を震わせつつその通りにする。そして微かに口角を持ち上げた。どうやら、自分に疑心を抱いている様子はない。であれば、次の話題を切り出しても差し支えないだろう。背筋を伸ばした男が口を開く。

「失礼。今になってあれが起きなければ、初めから無かったならばなどと話しても詮無きことですね。本日は謝罪ばかりでなく、償いの為にも参ったのです」

 一呼吸置いたあと、相手の金色の瞳を見返す。表情や目の動きを読み取ろうとしながら言葉を続けた。

「御存知ないかとは思いますが、私は骨董品や書籍、遺跡など、この地の文化について幅広く調べております。その過程で……北方にも参るのです。それこそ、タナール砦を越えた先にも」

 男の言葉は、軍を預かる彼女としては直ぐには信じられないかもしれない。全面戦争とまではいかなくとも、マグ・メールと魔族の国は交戦中だ。タナール砦以北へ赴くというのは、すなわち敵の前線を潜り抜けるという意味である。

「そこで見知った事柄は、少なからず将軍の助けになるのではないか、と……いかがでしょう?」

サロメ >  
「それは──」

「それが本当ならば、私の助けになる…などという範疇を超えているが」

──しかしそんな嘘を吐く理由が彼にあるのか
自身の考え得る限りではそれは見当たらない

齎される情報が確かならば、王国側の持つ情報と合わせ、
魔族の国の地図に多くの情報が書き足されることになる──か

「…それも贖罪の為、と?」

返された言葉、視線には僅かながらの猜疑心
しかしそれは疑いの眼ではなく、なぜそこまでするのか…といった類のものだ

マレク > 「……情報の真贋をお疑いですね。当然です。そもそも出来るものかとお考えかもしれない。ですが、私には生まれつき備わった力があるのです」

 苦笑いした男は軽く頭を振って、右手を掲げる。指先に白い光が瞬いたかと思うと、男の肌と身に着けた服が周囲の景色を映し出し始めた。ものの5秒ほどで、男の身体は透明になってしまう。真の不可視ではなく、注視すれば空間の揺らめきが見えるのだが。

「……実を言えば、本心を全て語っている訳ではありません。此処は余りに人の目と耳が、多いもので」

 男の能力は、治療所と訓練所を出入りする人々の注意を引いていた。再び光が瞬き、透明化が解除される。微笑んだ優男が、如何?とばかりに小首を傾げた。

サロメ >  
「…驚いたな。魔法や魔術とも違うのか。…マレク、君は一体…?」

ますます、目の前の男が何者なのかわからなくなる
しかし不思議と、魔族であるのでは──そんな疑いが、頭を過ることはなく

「──そう、だな。
 場所を変えるか、日を改めるか──…といったところか」

……男が今見せた力があれば、たしかに魔族の国への侵入も容易であるのかもしれない
立て直しが終わり、功勲を急ぐ第七師団にとっては有益な情報足り得る可能性は、高い──

マレク > 「……ただの、変わり者ですよ」

 素性を訊ねられ、男は笑う。これは真実だった。変わり者として生まれ、疎まれ、孤独で危険な使命を授かった、単なる変わり者。それが男の本性である。

「それは、将軍の御随意に。城内には私の部屋がありますし、日を改めればささやかなる我が家へお迎えも出来ます。私はあくまで、償いに参った男ですから……」

 軽く頭を下げた。どちらにしても貴女に合わせます、という意思表示。

サロメ >  
「…君とはゆっくりと時間をとって話したほうが良さそうだな」

謝罪をしに現れ、協力を申し出し、自らを変わり者であると宣う──
王国貴族の中においては、間違いなく異端だろうが、それだけではに何かが
──掴み取れそうで、掴めない

「…午後に練兵を控えている。
 後日…そちらの部屋へと伺おう」

頭を下げる男に対し、此方は胸元に手を当てる騎士の一礼を返す
思わぬ場所で、思わぬ出会いを得たが…──さて

マレク > 「どうかお気をつけて、将軍」

 軽く頭を垂れて返礼し、男は相手に背中を向ける。眼帯を取って奇妙な左目を晒し、彫りの浅い顔に薄笑いを浮かべた。

ご案内:「王都マグメール 王城・兵士詰め所」からサロメさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城・兵士詰め所」からマレクさんが去りました。