2019/02/18 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 広間」にリシェさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 王城 広間」からリシェさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城 広間」にリシェさんが現れました。
リシェ > (広間の前方、壇上では、何とかいう名前の大貴族が。長時間、熱弁を振るっている、真っ最中。
何でも。此処暫く、軍隊さんの独断専行が、目に剰る、だとか。
そういう者達に、自分達貴族や諸侯が、軽視されている現状を。許す訳にはいかない、だとか。
はっきり言って。此処最近、声高に、彼方此方で叫ばれている事で。
だから、例え政治には関わる事もない、王城で飼われる、ペット。そんな少女としても。
嫌でも耳に入ってくる、聞き飽きている、そんな話。
当然、此処に集まっている、大勢の人達も。似たりよったりの筈で。
多分、例え同じ事を考えていても、真面目に聞き入っている、壇上に熱い視線を向けている、などという人は。ほとんど居ない。
殆どの参加者が、テーブルに並んだ料理やワイン、参加者同士の世間話、後は…
面倒臭い、この演説が終わったら、と。ご令嬢や給仕などに、狙いを定める方に。忙しそうで。)

「…………帰りたい、です…」

(数合わせで、壁の花として、適当に放り込まれただけの、少女自身も。
もうじき、本当の意味での、宴が始まってしまえば。誰に喰われるともしれないから。
その前に、何とか脱走出来ないだろうか、そう考えて。彼方此方見回している。
…抱かれる事なんて、当たり前、とはいえ。先日、少々、手酷い目に遭ったので。)

ご案内:「王都マグメール 王城 広間」にレイン・レジネスさんが現れました。
レイン・レジネス > 「ふわぁ……ぁむ」

無遠慮なあくびの音と、それを噛み殺す音と。
どこぞの大貴族の長台詞などまるで気に掛けない音と共に、歩き回る女が一人居た。
この場に立ち会った大多数の参加者達と同様に、軍権の拡大に興味を示す様子も無い。

かと言って――もし見ていたのならば気付くだろうが――料理にも美酒にも手を出してはいない。
居並ぶ御貴族方と挨拶は交わしているが、一人と長く話し込む事も無いのだ。
あちらへふらふら、こちらへふらふら、根無し草のように彷徨って。
やがてその女は、一輪咲きの壁の花の方へと流れ着く。

「やー……みな元気だねぇ。挨拶、挨拶、また挨拶。社交辞令だけで夜が明けそうだ」

その女は、世間話のような調子でそう言いながら、壁を背にしつつ少女の方へと首を向けて。

「……君も愉しんでるようには見えない。もっと刺激的なパーティーがお好きだったかな?」

まるで少女の境遇を知っているかのように――いや、知っているのやも知れない。
星の数ほど貴族がいる、と揶揄されるのがこの国だ。退廃の宴の端に、こんな女が座っていた事もあるのだろう。

リシェ > (ぱらぱら。疎ら、とまでは言わないものの、何だか、統一出来ないちぐはぐな拍手。
これで終わり、かと思いきや。別に、誰も求めていないのに、アンコールが始まって。
もうちょっとだけ、大貴族様のご高説が、続くらしい。
聞き飽きる、というより、聴いていると、疲れてくる。肩を落として、物理的にも壁際、背中をあずけ、凭れ掛かった。
そんなタイミングで。ふと、聞こえた声は、どうやら自身への。そろり。声の方に、目を向けて。)

「挨拶は大事、って。昔、偉い人が言った、とか。言いますけど…社交辞令って。挨拶、なんでしょうか。」

(出所怪しい知識。それでも、知識全般、歪んでいる少女の中では。まだ、マシな部類。
かくん。首を傾げながら、目を向けた相手は。
……ぐぐ、と。更に深く、首は斜めに傾いて。)

「はっきり、言うと。食傷気味、と言う奴です。けど。
……あれ。…あれ……?もしかして。もしかすると。…レジネス、さま、ですか…?」

(知っている、筈だった。
それこそ。此処に比べて、遙かに、刺激的な宴と言われるような場所なので。
それでも、少女の声に、疑問符ばかりが浮かんだのは。
……出遭った、その頃と。今傍らに立つ、彼女との姿に。大きな変化を感じたから。
例えば服装だとか。髪型だとか。そういった、外見として、解り易い所からも。)

レイン・レジネス > 何処かの誰かの演説はまだまだ続いている。
演説は人間の力量が色濃く滲む。どうもこの大貴族様は、身分の他に優れたものを持っていないようだ。
結果、無関係の会話で賑わう会場は、それなりの音数に埋められている。
その中へ紛れてしまえば、壁際で交わされる会話など、誰が意識を向ける事もあるまい。

「食傷――はっきり言うねぇ……同意見だけど。あんなものより、もっと愉しい事があるのに……。
 ……って、君、覚えててくれたのか、嬉しいね。
 あれだけの人数を相手にしてれば、一人一人の顔なんて覚えていられないと思ってたよ」

〝どういう場所〟で彼女を見たか、貴族的でない直接な表現で示しつつ。
自分の顔と名を覚えられていた事に関しては、少しばかり驚いたような様子を見せる。
とは言え、元から表情の薄い女だ。片方の眉が僅かに持ち上がる、その程度の変化の後、

「そうだ、レイン・レジネス。……君の名を呼ぶのには、家名を重ねない方が良かったかな?
 すまないね、家ごとのゴタゴタまでは詳しく覚えてない。
 正式に聞いたのだったか、噂で聞いたのか、その辺りもあやふやだ――」

婉曲な言い回しと共に、女は少女との間にある距離を詰めていく。
壁にもたれかかる少女の正面から、少女の肩の上にある空間へ肘を置くようにして。
高い背丈で覆い被さるように立ち、女はこう告げるだろう。

「――だが、丁度良い。眠気を覚ますにも、無聊の慰めにも。
 君が此処に居るというのは、〝そういう意味〟なのだろう?」

脚と脚の間には、片膝を割り込ませる。
壁の花を縫い止めて、標本にするかのように。

リシェ > 「繰り返し、重なり続けると。どんな物でも。お腹いっぱいになる、そういう、物です、し。
とりわけ、腹の足しにもならない、ともなると……そうです、よね。おためごかし、おべんちゃら、飽き飽きします。
えぇ…と。それは、何と言いますか。…案外、多くないんです…よ?……同じ女性で。違う立場の、方。」

(あれだけの。そう表されるのは、えてして、男性が多数。
時々、例外はあるものの。そんな、数少ない側に、含まれていた人だから。彼女を覚えていたと。
少しだけ、熱っぽい、色合いを帯びる頬は。あぁいう場所の、あんな事、あれだけの人達、を。思い出したからというより。
希有であるという事、それを力説する為に、勢い付いたから、だろうか。
ただ。此方も此方で。大きく、表情自体を変える…そんな素振りは、見せないままで。)

「覚えて、いらっしゃらないなら。それで、良いと。思います。
…世の中、多くの女性は、ゴシップ大好き。そう伺いますけれど。レジネス様もですか?
ですけど、この演説よりも、面白くないと思います、し。」

(裏を返すと、身分や家柄、そういう力は有る、という事。
けれど、そんな偉い人のご高説を。面白くない、の一言で、済ませておく。
どうせ、大概の参加者達は。聞き飽きて、聴いていなくて。それに対する批評自体も、また、聞き咎めないだろうから。
少女も、間近の相手、その人との会話に、集中。…寧ろ、目の前、それ以外が目に見えなくなる、程。近い。近くなる。
とん。彼女の手が、肘が。壁との間に、少女を捉える、檻の形を作り上げるから。
正確には、二本の腕、だけでなく。薄いドレス越し、膝と腿を割るような、片脚の存在も。
近すぎる所から、此方を見下ろす、彼女の瞳に。じ。と。濡れる前から、常に光るような、瞳を返して。)

「……否定しない、というか、その通りです。いつもの、事です。
けれど、今日は。ご覧のような方々ばかりで。……レジネス様になら。救われそう、です。
いいえ。救って、いただけます…?この場から、レジネス様が。」