2018/09/14 のログ
■ティリア > (やや有って思い出したが。間断を悟られたか否かは知る由もない。
もしかすれば娘当人は。上手く誤魔化せた、と思っているかもしれないが…その辺りが。
年の差、経験の差、という代物か。
それに。一点ばかりを意識しては居られなかった。
密やかな囁き声が、周囲から幾つか。…良からぬ噂、他人の醜聞、等を好むのは。
貴族だろうがそれ以外だろうが。人である限り何も変わらない。
聞こえているぞと無言で訴えてやるかの如く、ドレスから覗いた細い肩を、大袈裟に竦めてみせ。)
互い、余所で忙しい身です。致し方のない事でしょう?
殊、国の在り様を護るともなれば…それは。身分に拘わらず、民の責務という物です。
(序でに、不特定多数に。ちくりとした言葉を振りまいてやろう。そんな悪戯心。
無論、貴族とて遊び暮らしている者ばかりではない…寧ろ、そういった者の方が少ないだろう。
領地を持つ者は、それを治める義務が有る。
商業を仕切る者、兵力を有する者、等も皆。権利に比した義務をこなしている。
…逆に、義務の無い者になればなる程…こういった場で。
血縁を結び、権利に手を掛けようとするのだろう。
若く麗しい姫君達だけでなく。それに付随する権力を手にするべく、手薬煉を引く者達が鼻白んでくれれば、これ幸い。
さっと壁から背を離し、彼の傍へと歩み寄る。)
――須く否定する物では有りませんよ。事を成すには、力という物が。有るに越した事はない。
使い様が無い、使い方を知らない、となれば話は別なのでしょうけれど。
……っ、は。そういう言葉は。本物の花を愛でる為に、取っておかれるべきではないかと。
(その、力を。別の所に求めている者同士だと。
彼に対して思う事が出来るからこそ。甘言とも苦言とも就かず。
ともあれ。実際の所、浮き名…と迄はいかずとも。彼が色を好む部類なのだ、という噂は有る。
だから、こんな疵物相手でなくとも良かろうにと。それこそ、苦笑混じりに首を振った。)
■ルース > この場に集う者たちならば簡単に騙されるような少女のしぐさ。
年の割に様になっていると感心し、もしかすれば同僚になれる素質があるかもと考えてしまう悪い思考に苦笑をこぼし。
周囲のこちらを伺い、そして囁かれる声一つ一つに耳を向けるが大した話はなく。
貴族、そうでないもの共々、人の噂や弱点になる事を探そうとする姿はこの夜会がいかに歪んでいるかの象徴。
一度だけ周囲に目を向けて見回し、知った顔をいくつか見つければその相手から視線をそらされてしまい。
「本当に忙しい身ですからね、お互いに。私としましては顔を覚えていただける程度にはお会いしたいと思うのですが…。
その意見には同意いたします、しかし先頭に立つものがなく民にそれを求めるのも難しい事ですので」
周囲の貴族たちに聞こえるような声色で少女に合わせるようにそんな言葉を口にして。
自らの職務と家名に誇りを持つ貴族ならばこのような場には顔を出すことは少ない。
そういう職務を持たないものこそが集まる夜会、その場で作られる繋がりは時として放置すれば危険なものもある。
果たして今夜に血縁を、権利を結ぶ者たちがどれだけいるのか…。
その為にこの場に参加をした姫君たちがどうなるかまでは興味の外。
「それは否定しません、しかし使われない力は意味のないものです。
使いようがない、使えない力を求める者たちがあまりに多いのが現状ですね。
私にはアマレンシス嬢が一番美しく思えますよ」
自分は力を必要とする者に与える裏方。
彼女の言葉に、本当に小さく自分の考えを告げるあたり、気を許して言う証であり。
傍へと歩み寄る彼女の手を取るようにそっと差し伸べ、貴方だからこそ愛でたいと首を振る姿に告げて。
■ティリア > (そもそも。こういった場その物が。
騙し騙され、疑い疑われ、奪い奪われ、で出来ている虚飾。
正直その事は、参列者の多くが理解しているだろう。
理解していて――尚、奸知を巡らせ利用するか。それにしか縋れないか。義務だと割り切っているか。…それとも。
少なくとも彼は。己と同じ立場らしい、と。そう思えれば多少は気安くもなろう物。
似た物同士が纏まれば。必然、他の派閥からは煙たがられもするだろう。
己等から露骨に逸らされた視線が解るから。くく、と喉を鳴らして微かに笑い。)
えぇ。それも、それで。互いを知るという繋がりも、充分に価値の有る物です。
…私など。若輩故、旗印になれるような立場には在りません。
かといって、出来る事迄、投げ出す事は。赦されない立場に…居りますから。
(正確には。そういう立場を自ら選んだ、だ。
手段や過程はどうあれ、野心を以て、何かを選び取ろう、掴み取ろうという者達からすれば。
己はきっと酔狂に見られているだろう。
結局、己という貴族は。彼等とは別物になってしまったのだ。
故に、彼等の去就には…少なくとも、このような場に顔を出す以外を知らない者に関しては。
精々皮肉程度しか、挟む口を持たぬ侭。)
――願わくば。良き力が、正しき下に。…この国は、未だ多くの事象を。可能性を有している。
然るべき形でそれ等が陽の目を見るのなら、斯様な辛苦で滅ぶ事もないでしょう。
……相変わらず。相変わらず、お上手な事で。
勿論、コールフィールド殿のようなお方に。悪しからずと思っていただけるのは、 …浅薄の身には、光栄なのです が。
(世の。国の現状に。戯れ事ではない、事実を返されたからこそ。
逆に理想を囀りたくなる辺りが。未だ小娘たる証。
…否、真に小娘でしかなかったのなら。それこそ…今宵の贄、純粋無知な姫君達と同じであったなら。
招かれ、誘われ、素直に喜ぶ事が出来た筈。…今は、出来なかった。
白絹に包まれた指先は。載せられた彼の掌の上。微かな震えを隠せずに居る。)
■ルース > 貴族となればこういう場がどういう集まりかは教わるもの。
それだけに理解をしている参列者ほど地位や血筋のある姫君、若君へと声をかけては消えていく。
ただその企みが成功をするのか、それとも一夜の愛玩具として終わるかは判るのは消えた組み合わせのみ。
この夜会に馴染んでいない少女は立場は似たようなものだけに気軽くもできる。
きっと周囲には自分たちが煙たくてしたかがない者たちも多いはず。
視線をそらした者たちを見れば、貴族にはあり得ない笑みを一瞬だけ浮かべてしまい。
「それを言いますとここにいる誰もが旗印になる資格は持ちえません。
その言葉を正しく行える…それだけで十分に立派なことです」
けして表に出ない、出れない自分には彼女の言葉は眩しく。
手段や過程を問わずに野心を満たすために力を求める者たちとは違う姿。
自分の上官すら酔狂というだろうが、その考えは嫌いではない。
きっとこの国の貴族とは言葉だけのもの、中身を見れば俗物と言えるものが多すぎる今。
彼女の皮肉とはいえ自分の立場を明確にできるのは素晴らしい事だと小さく告げ。
「もし…そのようなことが出来る方が表れれば私は全力で支持をするでしょうね。
しかし…今はその可能性を欲の為に潰そうとするものが多い…陽の目を見るのが先か…滅ぶのが先か…。
よく言われます、しかし性分でして。
貴方におきたことは存しております。ですが私はこの場の誰よりもあなたが美しいと思うのです。
ご迷惑でしたらこの手を払っていただいても」
国の状況、その真実を知りながらも理想を口にする彼女。
物事を知らない小娘のような言葉であるが笑いはせず。
職務柄耳が早く、少女に起きたことを知る身であるが言葉に変わりはなく。
掌に乗せられた白絹に包まれた指先が震えている事を隠す様にそっと握り。
迷惑ならお断りくださいと周囲に聞こえないように囁き、その手が払われなければ共に会場を後にしようとするだろう。
■ティリア > (寧ろ己に関しては。兵達と同じ側、軍属としての監視者なのだと。
そう取られていてもおかしくはない。
…では、彼はどうなのだろう。その内実を、どれだけの者が知り得ているのだろうか。
少なくとも。娘は知らない侭だった。彼も亦貴族であって。だが、他の者達とは違っていると。
解っている、考えているのはそういう辺り。…故に。
その笑みが、貴族としては歪な代物である事を。疑るよりも、寧ろ安堵の視線で見遣る。
互い。蟲毒の檻に放り込まれた者同士であるような。数少ない同胞を。同志を。見出せたかのように。)
――――…それでも。私も亦。衆愚を笑える程、秀でている訳ではありませんから。
長く、研鑽を重ねていかねばならぬ身の上かと。
…ふふ。正しき事を、正しいと。口にする事を躊躇わない、それだけでも。
昨今に於いては素晴らしき事では…ないでしょうか。
(夢物語を、笑わずに聞いてくれるだけでもと。そう言い換えても良い。
中枢にて座興に溺れるよりも。力に付随する責務を、きちんとこなす者。
彼は、どちらかと言えば。今宵この場に来る筈もない、そういった諸侯等に近いのではないかと。
思えるのなら、悪い気はしないというものだ。
それはもう。男だから、女だから、というよりは。同じ人としての、共感と感服めいて。)
――ご存じでしたら尚の事。貴殿迄疵を分け持つ必要は無い、かと。
けれど。 ……けれど、有り難う、御座います。コールフィールド…様。
宜しければ。貴殿のお望みには、応えられないかもしれませんが――――
(震える、恐れる心は隠せない。それでも、この人ならば、と思う物はある。
そっと指先をその手に委ね。疑心渦巻くこの場を抜け出そう。
…願わくば。もっと、本音で語りたい。彼に認めて貰いたい。
去りし後の夜会にて。己を、彼を疎む者達が。何を言いふらしたかは知らぬ存ぜぬ。
只、実際に飼わされた事柄は。彼等の疑う代物とは、多く掛け離れていた筈だ。)
ご案内:「王都マグメール 王城 夜会」からルースさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城 夜会」からティリアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城2/離れ、通りの見える窓辺」にベルナデットさんが現れました。
■ベルナデット > その日、目を覚ますと部屋は薄暗かった。
まだ夜が明けていないのかと一瞬考えるがすぐに昨夜の記憶が蘇り、その考えを否定する。
昨夜は明け方近くまでずっと二人がかりで抱かれて……凄かった。
気だるく上半身を起こしながら壁に掛けられた時計へと視線を向けるとすでに日が中天まで昇っているような時間だった。
寝癖の付いた真っ白な髪を少し気にして手櫛を通しながら窓の外へと視線を向けると、なるほど薄暗いわけだ。
しとしとと降りしきる雨が通りに出来た水たまりで跳ねているのが見えた。
侍女は階下で細々と仕事をしていることだろう。
起きたのだから、彼女を呼んで着替えをしなければならないが……ベッドに座ったまま窓の外へと憧憬の眼差しを向ける。
故郷とは比べ物にならない暑い夏も終わりを告げ、過ごしやすくなった。
雪国生まれ故にもうちょっと寒くてもいいと思う。
しかし、この国へとやって来てから幾度も季節は巡れど城の外へと出たのは数える程。
今頃故郷では厳しい冬に備えて収穫を行っている時期だろう。
懐かしき風景へと想いを馳せる。
そして、同時に……この国の人々がどのような暮らしを営んでいるのか……城の外の通りを見下ろしながら考えるのだ。
ご案内:「王都マグメール 王城2/離れ、通りの見える窓辺」にエシル・アルトワーズさんが現れました。
■エシル・アルトワーズ > 「だぁっこんなところで雨かよっ!」
資材の調達を終え、あとは足らずの人手を手に入れる帰り道。
突然の通り雨に悪態を吐きながらひた走る影ひとり。
慣れない道なのか、あれよあれよと迷い込み――気付けば自分が今どこに居るのかも分からなかった。
「ツイてねーな、道に迷ったか・・・あん?」
諦めて雨水に曝さられるのも気にせず辺りを見渡す。
こんな天気でカーテンを開ける物好きなどそうはいないのだろう、どの家も同じ表情で、それがなおさら異界のような雰囲気をかもし出す。
そろそろ視界が一周するころ、視界上方、見下ろすような格好で物思いに耽る影。
遠めでよく見えないが、寝巻なのだろうか。昼間とはいえ、この天気では肌寒い筈だろうに。
そんな益体もないことを考えながらぼんやりとその影を見上げる。
■ベルナデット > 見下ろす通りを騒がしい人影が掛けてくる。
窓を閉めていても聞こえてくるのだから、かなりの大声なのだろう。
城の中ではあまり見る機会のない種類の人影に思わず興味を惹かれる。
帯剣している所を見ると騎士なのだろうか。
しかし、騎士にしては立ち居振る舞いが雑な印象を受ける。
ならば、冒険者……?
しかし、白や青を基調とした装備は粗雑な冒険者にしてはおしゃれだ。
一体どのような方なのだろう。
冷えた窓ガラスに額を押し付け、じっと見下ろしていると周囲を見回す人影が離れを見上げ、視線が会ってしまう。
人影が見上げる離れの奥にはこの国を象徴する城。
何もかもが白い少女はまるで幽霊のようにも見えるのだろう、お城の離れの建物には幽霊がいるなんて噂もたっているくらいだ。
興味津々に見ていたことに気付かれると白い頬にさっと朱が走る。
そして、少し照れ臭そうに微笑みを浮かべて見せる。
■エシル・アルトワーズ > 「こっち見ているのか・・・?」
多分だが、視線が合った。
その証拠に窓越しの女性――少女だろうか、見下ろしていた影は頬を染めながらこちらへ視線を投げたまま。
「この辺りに知り合いなんていなかったが・・・まあいいか。俺も気になるし」
今更走るつもりなど毛頭なく、髪から顎から指先から雨雫を滴らせながらゆっくりと歩き近づいていく。
もし勘違いならばそのまま歩き去ればいい。少し格好がつかないが。
距離が縮むにつれて、少しづつ少女の風貌が鮮明になる。
純白、と言う表現が似つかわしいほどに真白。
白い髪に白磁のような肌。人の生み出せる色ならば神秘的を超え魔的ですらある。幼子のように無垢な表情は箱入り娘を連想させる。
(深窓の令嬢か、虜囚の姫か――)
歩けばいつしか建物の前。
試しに手を振ってみる。たぶん、慣れない作り笑顔はぎこちないのだろう。
■ベルナデット > 視線を合わせたまま近付いてくる人影は少年のようにも少女のようにも見える。
人を拒絶する壁に囲われた建物はある意味牢獄のよう。
見回りの兵に見付かれば仕置きを受けるだろうが、雨のせいか幸いにも見回りがやってくる気配はない。
微笑みに対し手を振り返してくれる人影は……何だかぎこちない表情を浮かべている。
とりあえず、手を振ってくれたということは好意的な感情表現なのだろう。
窓ガラスから額を離すと1分ほどガタガタと窓を揺らし、どうにか窓を開く。
冷えた空気が部屋の中へと流れ込み、少し寝癖の残った真っ白な髪が流れる。
そして、窓枠に薄っすらと肌が透けて見えるほど薄いネグリジェに包まれた豊かな膨らみを載せるようにして身を乗り出し、満面の笑顔で手を振り返す。
■エシル・アルトワーズ > 「おん?・・・・・あ、戻ってきた・・・ておいっ」
少女の行動は予想外だった。
窓を開けたかと思えば大きく身を乗り出し手を振り返してきた。
外の雨脚は徐々に強さを増し、薄く肌が透ける肌着をすぐにでも濡らしにかかるだろう。
ちらと見え――未だ自己主張するように潰れ広がるふくらみは敢えて視線に入れず。
「風邪引いたらどうするつもりだ、このっ――」
両脚に力を込める。
魔力も使って大きく跳び、窓の真上、屋根の上に跳び乗れば。
吊るされるようにさかさまに顔を出し小声で話しかける
「おい、そんな薄着だと風邪引くぞ」
濡れ鼠のようなやつに言われたところで、説得力の欠片もないが。
■ベルナデット > 吹き込む雨に真っ白な髪や無邪気に笑う顔、そして、細い肩や豊かな膨らみが濡れるのも気にせず右手をまるで飼い主の帰りを喜ぶ犬の尻尾のように激しく振り続ける。
不意に人影の身体が浮き上がり上空へと消えていく。
跳んだのだと理解出来ないほどの跳躍に呆然と視線がその姿を追い、最後には真上の天井を見上げる。
そうして一体何が起こったのか理解出来ないでいると、窓の外に逆さまの顔が飛び出し、思わず驚きの表情を浮かべながら両手で口元を覆い、ぺたんとベッドの上へと尻餅を突いた。
しばしの間、そうして逆さまの顔を見つめた後、ようやく我に返るとまだ体温の残るシーツを引っ張り、濡れた人影の顔を軽く拭った後に部屋の中へと手招きする。
■エシル・アルトワーズ > 「おっと、悪いな。驚かせたか」
軽く目を瞑り、少女の手拭を受ける。
濡れてぼやけた視界がクリアになれば少女は濡れ透けた下着のままこちらを手招いている。
無防備に、と思いもしたが寒さが背中を押し、観念する。
「そっか、それじゃお邪魔する・・・ぜっ」
軽く振りをつけ、逆上がりをするように部屋へ転がり込む。
派手な動きの割に足音が目立たないのは、魔力それとも鍛錬の故か。
「見知らぬ奴を部屋に連れ込むなんて、少しは警戒しろよな」
咎めるような口ぶりとは裏腹にその声音は軽く、まるで友に軽口をたたくようでもある。
「うへぁ、全っ身びしょ濡れだ。風邪引いたらいけねーから窓閉めるぞ、いいか?」
ぽた、ぽた、と水滴を落としながら窓へ寄り。
「入り口」の窓を閉めようとして、振り返り部屋の主の確認を取る。
■ベルナデット > 見事な軽業で部屋の中へと入ってきた人影を窓枠に手を掛けたまま振り返り眺める。
どうやら心配してくれているのだろうことは伝わる。
だが、何に対して心配してくれているのかがいまいちピンと来ず、曖昧な笑みを浮かべたまま不思議そうに小首を傾げて見せる。
どうやら窓を閉めてくれるらしい。
苦労して開けた窓はどうやったら閉まるのか悩んでいた所だったから、渡りに船だ。
こくこくと頷くと少女に取って手強い窓は闖入者に任せ、滑るようにしてベッドから降りるときょろきょろと部屋の中を見回し、目についたクローゼットへと小走りに駆け寄るとおもむろに扉を開き、様々な衣装が収められたその中をごそごそと漁り始める。
しかし、目的のモノが見当たらないのか一通り引き出しを開け放ち中身を掻き混ぜた後に今度は戸棚へと駆け寄り、再び引き出しを全部引っ張り出し中身を漁る。
しかし、そこでも目的のモノは見付からず、困ったように肩を落とす。
■エシル・アルトワーズ > 「まるで子犬か何かだな・・・」
ぽつり、と思ったことが口から漏れた。
ベッドから滑り降りたかと思えば、忙しなく部屋中を駆け回る。
少女の通った後は竜巻でも起きたのかと言わんばかりに散らかされ、
様々なものがその姿を見せる。
およそ全て漁り終えたのだろうか。少女はあからさまに気を落とした様子で立ち尽くし始めた。
「なにか探しものか?よけりゃ一緒に探すぞ」
あまり声を上げれば気付かれるかもしれない。
少女へ歩き寄ると、内緒話でもするかのように小声で問いかける。
■ベルナデット > 親切な闖入者の言葉に困った表情を浮かべる少女は濡れて透ける膨らみの前に右手を伸ばし……と、その時不意に部屋の扉がノックされる。
『聖女様、目を覚まされておいでですか?』
闖入者の気遣いも散々部屋の中を駆け回ったせいでまったくの無駄となってしまっていた。
慌てて扉へと駆け寄ると少しだけ扉を開き部屋の外へと顔を出す。
『おはようございます、聖女様。
本日の予定ですが……はい、畏まりました。少々お待ち下さい。』
何かを話しているのだろうが、聞こえてくるのは侍女の声だけ。
そして、侍女が扉の前から立ち去る足音が聞こえ、ほっとしたように胸を撫で下ろした少女は背後を振り返り、静かにとでも言うように口元に人差し指を立てて見せる。
そして、再び侍女の足音が聞こえ
『聖女様、そこにおられてはお部屋の中に入れないのですが……。
ええ、はい。……おひとりで?
出来るのですか?わかりました。
では、食事の準備をしておきますので頃合いになったらお呼び下さいませ。』
再び侍女は去っていく。
その姿を見送りゆっくりとドアを閉めると背後へとくるりと振り返り、満面の笑顔で両手に持ったタオルを差し出した。
■エシル・アルトワーズ > 足音、ノック音。
一瞬で物陰――ベッドの脇へ身を隠す。
ドアの空く音とともに女性の声が聞こえる。どうやら侍女の類か。
(――聖女?)
緊張に鼓動が拍つく。早打つ鼓動を鎮めながら見つからないよう
細心の注意を以って顔を覗かせる。扉が目隠しとなって見えないが。
少女が身を乗り出して堰きとめているのだろうか。
再びの来訪を終え、足跡が遠ざかる。
(乗りきった・・・か?)
ドアが閉じるとともに、振り返った少女は天使のような笑みを浮かべながら両手に持ったタオルを差し出してきた。
その笑顔にほんの少し、見惚れてしまう。
「俺のために?さんきゅーな」
歩み寄りタオルを受け取りがてらその頭を撫でようと手を伸ばす。
避けないのであればがさつに、少し荒く頭をわしゃわしゃと撫でるだろう。
■ベルナデット > 自分の部屋の中であるにも関わらず探し回っても見つけられなかったタオルをようやく手渡すことが出来、満足げに鼻息を漏らす。
頭を撫でられるとくすぐったそうにしながらも嬉しそうに空色の瞳を細めてされるがままに撫でられる。
俺と言ったのなら、男の人だったのかと内心認識を改める。
そう、男の人なら……恥ずかしそうに頬を染め、濡れた膨らみを両腕で覆い隠すように抱く。
普段は長いスカートで隠れている白い脚が見えてしまっているのも気になるが、こればかりは着替えないことにはどうしようもない。
そして、着替えるには侍女を呼ばなければ……とてもひとりで着替えることなんて出来ない。
しかし……そっと右手を上げると人差し指を伸ばして客の前で踊らせる。
『雨が上がるまでいて下さっていいですよ。』
その指先から煌めく魔力の残光がこの国の文字を描く。
それを前に少女は慈愛に満ちた笑みを浮かべた。
■エシル・アルトワーズ > 「これは・・・!?」
少女の微笑とともに宙を遊ぶ指先、その軌跡が光を伴って文字を形作る。
どうやら、雨宿りをさせてくれるようだ。
「あ、ああ。恩に着る。とはいってもお代は持ち合わせてないんだけどな」
少し遅れて礼を言う。目の前の慈しむような微笑みもそうだが、雨に濡れ、肌にぴったりと張り付いてその身体を強調する格好に些か目の遣りどころに困り。
「寒いし、そのかっこじゃ恥ずかしいだろ。着替えないのか?
なんなら、俺が手伝ってもいいけど」
恥ずかしげに身を揺らす少女に、少し目を泳がせながら申し出る。
御伽噺に出るような令嬢は、そういえば着替えをひとりでするところを見たことがない。
■ベルナデット > 何かにつれ心配してくれるのはいい人だからだろうと嬉しそうに微笑む。
はしたない格好の身体を極力見ないようにしてくれているのもわかる。
乱暴な言葉遣いに反して紳士なのだと内心感心する。
そして、ちょっと失礼だったかなと反省する。
丁寧な言葉遣いの人でも乱暴な人はいる。
昨夜のお勤めの相手もそう……二人がかりなのに手加減もなく……凄かった。
思わず無意識にネグリジェの上から下腹部を撫でる。
着替えの提案には少し申し訳なさそうに首を左右に振る。
恥ずかしいし……それに侍女に手伝って貰わずに着替えを終えていたらきっと怪しまれる。
だから……。
「♪」
ベッドの上へと座るところころと転がり、まるで子供のように全身にシーツを巻き付けて得意げな笑顔を向けた。
■エシル・アルトワーズ > 「・・・は?」
絶句、思考が停止。
「誘ってんのか・・・?」
意味深に下腹部――正確にはもう少し下か。
何かを思い出すかのように撫でたかと思えばおもむろにベッドへ行けば
シーツを身体に巻きつけ無防備な笑顔を見せる。
(いや、流石にここで手を出したらアウトだろ――)
留める理性、しかしそれに反発するように、抗うように。
彼女の笑みを見ているとどうしようもない獣欲をそそられる。
背徳の熱に、おもわず身体が火照る。
「まぁ、じゃれるにせよ、びしょ濡れの格好じゃベッドが濡れるな」
取り敢えず考えるのをやめ、装具を解除する。
背にした長剣を壁に立てかけマントを吊るす。
わき腹のベルトを外し、胴当てを下ろす。
晴天を連想させるスカイブルーのワンピースのまま、少しだけ迷って
――どうにでもなれ、と一気にたくし上げ脱ぎ去り、乱雑に畳む。
「おっと、忘れてた」
ブーツから抜かれた足先からほんのり温もった水滴が落ちる。
下着代わりのインナースーツは流石に抵抗が強いが、不意に脳裏をキャットスーツがよぎり。渋々といった様子で脱げば。
少年のような上体と。乙女のような下体という酷くアンバランスな裸身を曝す。
背を向けたまま、何も物音が立たないことを怪訝におもいつつ、先ほどのタオルで胸元から隠すように巻きつけ。
「悪い、待たせたな」
ちょっと気恥ずかしげに。振り返る。
■ベルナデット > 装備を下ろし、衣服を脱ぎ捨てていく後ろ姿をじっと見つめる。
濡れた服を脱いでいるだけ……にも関わらず毎日見ている異性が衣服を脱ぐ光景に躾けられた身体が意識せずとも反応する。
男性が脱ぐならすることはひとつ……。
「……。」
客が振り返った先、ベッドの上には先程までの無邪気な笑顔は鳴りを潜め、恥ずかしげにシーツに顔半分を埋めて上目遣いに見上げながら膝を開き、ドロワーズを着けた下半身を晒していた。
下着を着けたままでも排泄出来るようにと割れた股間からはちらりと肌色が覗く。
■エシル・アルトワーズ > 「・・・おまえ」
本当に聖女か、とまでは言えず。
一歩、また一歩と少女へ詰め寄り。
ここまで来たらもう引き下がれない。据え膳食わぬはなんとやら。
あどけなさの残る顔立ちから放たれる、場違いなまでの色香に思わず生唾を飲み込みながらベッドへ膝を置き。
ぱさり、とタオルが解け落ち。
柔らかな腰からは想像のつかない、いきり立った逸物が姿を現す。
(俺を男だと思っているのなら、これでもいいか――しかしなんでだ、我慢が利かねぇ・・・)
のしり、のしり。シーツ越しに少女に覆いかぶさるような体勢で
その瞳を見つめる。
「確認はしねぇぞ」
そう言い放つと少女の首元へゆっくりと顔を近づける。
抵抗しないのであれば、そのままゆっくりと顎から鎖骨を伝い、身体のラインをなぞるように舌を這わすだろう。
■ベルナデット > 誘っているつもりはなかった。
ただ、そう躾けられているだけ。
近寄ってくる客を開いた膝の間へと招き入れ、恥ずかしそうに空色の瞳を揺らしながらも逃げる素振りも見せずその舌を受け入れる。
「……♥」
声は上げない……が、心地よさそうな吐息が漏れ、そのまま押し倒されるようベッドの上へと寝そべる。
寝癖の残る真っ白な髪がシーツの上へと広がり、シーツで包んだ豊かな膨らみはいかにも柔らかそうにひしゃげる。
そして、右手は客の股間へと伸ばされ、立ち上がった肉棒へと細い指を絡め準備を整えるよう優しく上下に扱く。
■エシル・アルトワーズ > 「う・・・」
指が触れた瞬間、腰が砕けそうな感覚を覚えた。
扱かれる度、熱は弾けそうになる。
耳をくすぐる甘い吐息が理性をゆっくりと削り取っていく。
肌をなぞる舌肉は、わき腹を通り過ぎ腰を、そのVラインへ這わしていく。
右手は聖女の指へ、左手をそのシーツに包まれた柔らかく実った果実へ伸ばしゆっくりと指を沈ませる。
「柔らけぇな。何食ったらこんな風に育つんだろうな」
羨望と、嫉妬と。無念さを滲ませながらぽつりと呟き。
ご案内:「王都マグメール 王城2/離れ、通りの見える窓辺」にエシル・アルトワーズさんが現れました。