2018/08/18 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 / テラス」にユールさんが現れました。
■ユール > (此処から見下ろす広場では。居並んだ多くの将兵達が、姿勢を正し列を整えていた。
この城を警備する兵士達が、毎日毎晩、決められた時間に部隊毎の交代を行う光景は。
徹底的に律された仕草の一つ一つや、機械的にすら見える動作の正確性もあり、一種の名物となっている。
城門の方なら、市井の人々や都に出て来たばかりの旅行者等が、物見遊山に訪れる事もあるし…
場内で暮らす者達にとっても。こうして出会す機会が有ると、つい、目を止めてしまう光景だった。)
「 ………………。 」
(少女より、ずっと偉い貴族達が。足を止め、交代の儀を見下ろしている。
茶を嗜む者や女を侍らす者、得意気に蘊蓄を語る者や、幅を利かせる軍隊に忌々しげな視線を向ける者。
そんなお偉いさん達の誰かに、今日は付き従って来たのだろう。テラスの端で、ひっそりと立っていた。
見ているやらいないやら、瞳の向きは曖昧だが。見物客である事は。間違いない。)
ご案内:「王都マグメール 王城 / テラス」にクレイプニルスさんが現れました。
■クレイプニルス > (王城のテラス、そこから見下ろせば、兵士たちが機械的に見事な動作で交代の儀を行っている。
それをテラスから見おろす貴族たち。その中に、アークス家の面々もいて……)
「…………」
(クレイプニルスは、アークス家の父親や兄とは離れてテラスから見おろしていた。正直……
家族の事は、大嫌いなのだ。近くに居たくなく、とっとと抜け出したい。そう思っていて、
そんな中、テラスの端で、静かに立っているのは、先日、とある貴族から父に「貸し出された」少女……)
「………ッチ」
(人を、自分の娘を何だと思っているんだ。この少女の両親は。
なんて、義憤と言うか、そんなものを燻ぶらせるクレイプニルス。
正直、父親の趣味は……よろしくない。この少女が夜に嬲られるのは目に見えている……)
「………見事な交代の儀だな」
(なんて、気が付けば話しかけていた。片目しかないが、その目を少女に向け……)
「……俺、クレイプニルス・アークスって言うんだ。君は?」
(そう、会話を始めようと……)
■ユール > 「 ………! 」
(ぴくん。肩が跳ねた。表情は、少々眉が揺れた程度だったが。
つい今し方まで、隣には誰も立っていなかった筈なのに。その人は、いつの間にか。傍らに降り立っていたのだから。)
「 ぁ。 …そう ですね。みんな がんばってる の。 いつも。 いっつも… 」
(あぁいう人達が王城を。王族や貴族を、守ってくれている事は確か。
お互いの上の方で、喧々囂々、対立が続いているのだとしても。職務に忠実な、実直で誠実な兵士達。
彼等のような人達は好ましい。こくん。小さく頷いてから…)
「 ゆーれいあ。 ユーレイア…は マリアス 子爵家 の娘 です。
アークス 様。 …アークス様 って事は もしかして ? 」
(正面へと向いたまま、首を傾げる素振り。同じ名字で、思い当たりはしたのだろう。
それでも、はっきりと、この人物が誰なのかを。口にして、当てようとはしなかった。
…寧ろ思い当たるからこそ、慮って言わなかった。何せ噂程度なら聞いている。
アークス家のご親族がこうやって揃う中でも、滅多に顔を見せないような…そういう人物が、一人存在するのだと。
だから、言葉にはしないままで。相手の方から教えて貰おうと。今更になってから、其方に向き直った。
首を傾げた姿勢のままで、男の方を見上げる姿勢。)
■クレイプニルス > (小さく、少女が反応した。少し驚かせてしまったかも?
冒険者としての癖で、無意識に気配を消していたようだ……
そして、少女からの返答には、ふっと笑み)
「ああ、兵士たちは頑張っている。魔物と戦い、人と戦い……チェスのコマのように思われても、
それでも頑張って生きている……そういうところは、見習うべきだ」
(とはいえ、末端にもなると腐敗が進んでいるのは、
冒険者もやっているからこそ知っている。だが、この少女の語るように、誠実な兵士もいるのだ。)
「ユーレイアか。良い名前だね。なんか、響きが優しいって言うか……」
(そう、相手の名前を褒めつつも、自分の名を確かめられれば……)
「……そうだよ、君が貸し出されている、アークス家の次男坊さ」
(なんて、少し悲しそうな笑みを浮かべ、言ってみよう。
だが、首を傾げ、見上げられれば、何だか小動物を相手にしているようで何とも庇護欲をくすぐられる。
とりあえず、何か飲もうかなと手を上げ、給仕に合図を送れば、テラス担当の給仕が、
ジュースを二つ、持ってきて)
「ほら、ジュースだけど、少し、飲みながら話さないかい?」
(何て言って、柑橘類のジュースを手渡せば、コツンとコップ同士を打ち合わせ、乾杯しようかと……)
■ユール > 「 だと 思います … おしごと って どんな事でも。 どんな人でも きっと大変 だから …? 」
(職業に貴賎無し、と言うが。職種自体より、個人個人の家柄等のしがらみが、其処に貴賤を生んでしまう。
娼婦と変わらない扱いをされても、一応は末端貴族の娘として見なされる、この少女のように。
だから、王城というこの魔窟で、謂われのない苦労も背負い込んでいるのだろうにと。ますます兵士達に感謝する。
…この城を出れば、決して褒められた物ではない兵士や軍人も居る。いや、城内でも。
先日まで続いた神餐節では、さる令嬢が軍兵達に穢し抜かれる事態も起きていたらしいが。
それはそれ、これはこれ、という物で。今日この場で見つめる彼等に罪は無いと。)
「 ふたりめ の。たしか …クレイプニルス さま 」
(自分の名前はとにかく、と首を振ってから。少しの思案で、相手の名前を思い浮かべる事が出来た。
其処の所は。貸し出される先に関しての、事前に教わった予備知識の中に。彼自身の名前も有ったのだろう。
…そう、貸し出されているのは、アークス「家」であって。そういう意味では、彼も、従う対象なのだから。
と。そんな、本来なら此方がするべき仕事を。例えば給仕から飲み物を受け取ってくる等という事を。
すっかり彼に任せてしまった。少し申し訳なさげに頭を低くしながら。差し出されたコップを両手で包む。)
「 おはなし ? どんな おはなし しますか ?
わたしは …わたしで 良ければ 色々。 クレイプニルス さまと も。 おはなし したいです 」
(ありがとうございます。そう、他の観客達を邪魔しない、小さな声で。
二つの容器が鳴らされた後、少し周囲を見回し…空いた椅子を探そうとするのだが。
考えてみたら、彼は家の者達と…距離を置きたいのかもしれないから。この場所の方が良いのかと思った。
立った侭というのは申し訳ないが、せめて、テラスの出口に近い辺りへ。
出来るだけ、兵士達を見下ろす、他の貴族達から距離を置ける位置であり…
話の内容によっては、直ぐに、この場から離れる事が出来るようにと。)
■クレイプニルス > (クレイプニルス様と呼ばれ、申し訳なさげに頭を低くされれば、気にするなと笑んで。
そして、テラスの出口近くへと移動しようとするのを見れば、小さく頷いて)
「ああ、俺も、いろんな話をしたいな。君の事、色々と知りたいからさ」
(何てふっと笑み、テラスの出口近くへ歩いていく。少女の心遣いに感謝しつつ、
少女の手をそっと握り、あくまで自分が連れて行っている風に、テラス出口付近へと…)
「さて、ユーレイアさん。色々話したいんだけど、まず最初に……
ユーレイアさんは、好きな花とかあるかい?俺は、そうだな……
一度、東方から来たって言う、サークラとか言う花を見て感動したなぁ……」
(なんて、少女の好きな花についての質問。そこから、ゆっくりと、少女についての質問が出てくる)
「ユーレイアさんは何か、好きな食べ物とかある?俺は、そうだな……パスタ料理は全般に好きだけど……」
(ここで、こそりと耳打ち)
「意外とね、塩漬けの肉も疲れている時には美味しく感じる物なんだよ?」
(そう言いながら、クスリと笑んで)
「あとは、ユーレイアさんの好きな本とかも知りたいしな………っと、俺ばかり質問しすぎてるね。ごめんよ」
(なんて、軽く謝罪……の後に)
「………ユーレイアさん、君は…家族は、好きかい?」
(なんて、少し突っ込んだ質問を……)
■ユール > 「 わたしの こと ですか…? 」
(首を傾げる。そんな事が話題で、良いのだろうかと。
歩き出す際、手を引いて貰えた事は。有難かった。貸し出し中の身で、自分からこの場を離れようとした、などと。
誤解を受けては困るところだったから。とはいえ、身長が、そして歩幅が随分と違うので。少しだけ足取りのペースを早めて付き従いながら。
一つ一つ。問われた事に答えていこう。)
「 あちら のお花。 わたしも 好き です。 今の 時期は 朝顔 百日紅 女郎花 …とか…? この国のも 勿論です けど。
ぁ。 すききらい すると。 怒られる かも …? 」
(一応冗談の一つでも言おうとしたのかもしれない。…実際、食べ物の好き嫌いはなかった、という面も有りそうなものの。
それから。こっそりとした耳打ちに。きょとんと瞬き。)
「 おにく …? …お肉 は。男の人 みんな お好き です よね…? 」
(さもありなんと頷いた。笑わせるのにも失敗気味だが、笑う方としても、きっと不器用。
その後も。最近呼んだ本だとか、この季節に合わせた飲み物だとか、貴族の子女界隈での流行りだとか。
此方から主張する事は、ほとんど無い。問われれば、答えて、を繰り返しているような会話。
彼の言う通り、質問されるばかりだが。むしろその方が話し易いので。気にしないで、と首を振って…から。)
「 かぞ く。 ですか。 」
(…聞かれてもおかしくない。きっと、そう既に考えていたのだろう。
考え込むような素振りは、無いにも等しい短時間。但し、ふぃと視線をもう一度、交代儀式に…それを観覧する者達の背に向けて。)
「 家族は 何が有っても。どう変わっても 家族 です。 血の繋がり は 消えません。
……おしごと についても。 うらんでは いません よ? …ほんとう に 」
(何せ。この国では…そうでなくとも、この王城という、閉ざされた魔窟では。
こんな事は当たり前のように罷り通っている。…先程、会話に上げた通りだった。
兵士達のそれと同じで。 頑張っている。生きている。 だから、おしごと、と表して。)
■クレイプニルス > 「ああ。君の事」
(君の事を知りたいな、と不思議そうにしている少女に言って。
そして、好きな花について話してる途中に、好き嫌いすると…と相手が言えば)
「大丈夫。好き嫌いがあっても当然だよ」
(この少女には、好き嫌いする自由もないのかと内心憤るも、表面上は優しくその黒髪を撫で)
「俺の前だけでいいから、好き嫌いしてもいいんだぜ」
(そう言うことが精一杯。そして、質問に対し受動的に答える相手。別に不快に思うことは無く、
受動的にでも、反応を返してくれることが嬉しくて。どこか不器用な相手が微笑ましい。
……そして、話題は家族の話に移る)
「………そう、か」
(少女からの答えには、少女を、背中から抱きしめる形で答えて
どうやら、他の人間は、二人の事は気にしていないか、儀式のほうを見ていて)
「……大丈夫。みんな儀式を見てるから……君は、すごいな」
(家族に恨み言も言わない。頑張って、生きて、自分の役目を果たそうとしている少女が、
なんだかとても…愛おしく感じて
恋をしたわけではないが、この少女を守らなければ。少なくとも、アークス家に少女がいる間は…なんて思い)
「……血のつながりは消えない……本当だよな」
(家族と言う血は、絆でもあるが、呪いも同じ。捨てられない物だ。クレイプニルスにとっては…呪いなのだ)
「………君は、儚い。儚くて、繊細だ…こうして抱きしめてないと、消えてしまいそうだ。
だから、もう少し、このまま……」
(そう言って、もう少し、抱きしめていようと……)
■ユール > 「 そんなに 面白い事 は。 無いです けれど 」
(少しだけ。困ったように、眉を欹てて。
食べ物を好き嫌いして、叱られて、だなんて。まるで子供じゃないか、だとか。
そういう冗談めかせたつもりだったものの。どうやら彼には、きっちり、真面目に取られてしまったようだから。
…とはいえ少女自身も。肉の話を、普通に受け取ってしまっているので。人の事は言えなかった筈。
また、一つ一つ。好きな物や嫌いな物。そんな簡単な所から、ぽつぽつと話題を拾っていく中で。
家族の事について、という話になれば。)
「 はい がんばれる もの …です。 きっと。 」
(けれど。そう口にしてから、瞳は揺れた。…あくまでもこれは、自分の事。
誘われる侭、問われる侭、自分にとってはどうなのか…を語った言葉。
それこそ食べ物に好き嫌いが有るように。家族や肉親、血の繋がりに対しても。
抱く思いはきっと、人それぞれの筈…アークス家に於ける家族の不和という物は。つまり、今共に居る彼は。
また違う考えを持っているかもしれないのだから…)
「 っ あ。
あの。 クレイプニルス さま …… 」
(どうしよう。そう思っている内に…後ろから抱き締められていた。
接触を、それ以上を、拒むつもりはないものの。彼の家族に見咎められる事は、どうしても考えてしまう。
ますます不和が拡がる、とまではいかなくとも。ぎくしゃくとした感情が強まるのは……嫌だった。
だから、背後から此方の胸元辺りへ。回された彼の腕を、両手で包み込むようにして。)
「 だから。 もう少し。 あなた、さまは 開き直って も …? 良い と 思います …よ? 」
(消えない、忘れられない、というのなら。…彼にとって。それが悩みの種であるというのなら。
…いや、やっぱり変な事を言ってしまったかもしれない。今度こそ笑われやしないかと、小さく肌を震わせて。
そんな身の震えを。包み込んでくれる感触が。彼の体温が。随分と和らげてくれる。
何とも勿体ない、申し訳ない、そう言いたげにおずおずと。それでも、肩越しに彼の上腕辺りへ。倒した頬を擦り寄せて。)
「 この まま。 はい こうして 下さる のも。好きです から。 …誰かと いっしょは。
誰か と …触れていられるのは …それだけ で、救われます。 色々な事が 」
(其処にはきっと。抱かれる、という言葉の持つ、あらゆる意味が内包されてしまう。
それでも…今、こうされている事が。好ましいのは本当だろう。
直に身の震えは消え去った。安堵なのか信頼なのか。背後へ…彼の胸板へ。預ける身体の重みが増して。)