2018/07/08 のログ
■ゲイゼリク > こちらの介入により、一旦貴族達の罵詈雑言…最早騒音…を、一度沈静化させる。
そうして、少女に目線で説明を促してから彼女の近くに立って青年もついでに説明を聞いている。
(……まぁ、ウチの師団もそんな感じだしねぇ。正面切って戦えるとすれば…せいぜいフォーコの姐さんの第五師団辺りか?)
と、内心で呟きながら彼女の説明を吟味する。それに、どうやら彼女達の組合は既にあちらの状況を察知している様子。
…つまり、自分が偵察を部下に頼んだのは完全に後手であんまり意味が無い事になるが。
(…まぁ、最悪事後処理とかをやって貰う感じで…手が空いたら俺も様子見に行くかねぇ)
と、そこまで考えてから貴族連中の様子を伺う。8割超は一応は不承不承納得した感じだろうか。
だが、一部の貴族はまだ食い下がろうとする気が満々で。…議会の連中と同じ感じで何とも言えない。
仕方ない、面倒臭いが少しだけ矢面に立つ事にしよう。納得仕切れて居ない一部の貴族に笑顔を向けつつ。
「あーーそれとですね。ウチの第六師団の団員も偵察に行かせたのですが、報告がありまして…えぇ、彼女の言うとおり現在あちらは交戦中でして。
迂闊な介入は場を混乱させ現場の指揮系統を乱す恐れもありますんで、今は静観が吉かと」
勿論、第六師団の団員はさっき出発したばかりで砦に着く頃には何かしら事態は一区切り付いているだろう。
つまり、嘘をサラリと吐いている訳だが、彼女の説明に第六師団のお墨付き、という形を添えれば嫌でも説得力は増す。
(…これでまだゴネてくるようなら…どうしようかねぇ、グーパンチでもかまそうか)
と、思いつつ一息。正直、こういうのはあまりガラではないがまぁしょうがないといえばしょうがない。
■レナーテ > 一通りの説明を終えると、大体の貴族たちは仕方ないと言った様子で受け止めているようだった。
しかし、それがなんだと、場が乱れているなら丁度いいだろうなどと好き勝手な文句を並べられると、スカートの中の尻尾がぶわっと毛を逆立たせる。
落ち着いた秘書らしい表情を浮かべ続けてはいたが、そろそろ営業スマイルも壊れてきそうだ。
「……そういう事です、こちらはこちらで連携を取れますが、他の師団とは連携が取りづらいです。また、面制圧も行いづらいため、火力は大きく下がります」
彼の嘘の言葉が重なると、文句を並べた貴族たちはぐぬぬと言った様子で言葉を収めていく。
実益がない行動にもなると、こちらからも重ねていけば、彼等も、事が済んだ後の事は早く進めるようにと捨て台詞を吐き、すごすごと去っていった。
彼等の姿を見送り、廊下の角を曲がって背中が消えたところで、小さく嘆息を零すと彼を見上げる。
「ありがとうございます……なかなか言葉を聞いてもらえず、困っていました」
と、遅くなってしまったが柔らかに微笑みながらお礼を告げると、彼に深々と頭を下げていく。
■ゲイゼリク > (…うん、そりゃイラッと来るよなぁ。俺も流石にウンザリするし)
と、彼女の怒りの気配を感じ取れたのは矢張り今、間近に居るからというのもある。
ここで彼女がキレたらそれはそれで、組合に不利益を齎す遠因になりかねない。
それの回避も兼ねての、嘘を交えた演技の報告で彼女のアシストを。
結果的に上手く”この場は”収められたようで、捨て台詞交じりに去っていく貴族たちを笑顔で見送り――、
「あー、うん気にしないでいーさ。俺も偶然通り掛かっただけだからさ?ただの貴族同士のアレコレなら普通にスルーしてたし」
彼女の所属する組合と第六師団では繋がりは希薄だが、お互い大まかにどういう組織かくらいは把握しているだろう。
青年としては、彼女の組合がここで貴族の勝手で余計な疵を負うのは避けた方がいいだろ、という考えも一応あって。
「…ま、あの様子だと一部がまーだ納得してないようだけどねぇ。それはこっちで抑えておくさ。
少なくとも、そっちの組合さんに余計な傷は付かないと思うよ」
と、ヘラリと笑って述べる。実際、あの連中はそろそろお灸を据えるべきだと思っていたので。
「あーと、自己紹介…は、しなくてもいいと思うけど一応な。第六師団の師団長、ゲイゼリク・アルカンシエルだ。お嬢さんのお名前は?」
■レナーテ > 組合内の少女の中でもこういう時の我慢がまだ利くほうだからこそ、任されたというのもあるのだろう。
他の娘がいたら絶対に、ならお前が行けぇ!だの、誰が無駄死にしにいくもんかぁっ!だのと売り言葉に買い言葉だ。
王族直下に近いため、その程度でどうこうとはされないだろうが、それでも面倒を呼び込むことは変わりない。
彼の助言も相成ってやっとこさ追い払うと、彼へと視線を戻していった。
「いえ……私も、そういうのなら関わらなかったと思いますから」
確か第六師団の師団長だった筈と、面識はないが彼の姿と組織の情報は見聞きしていた。
顔をあげると、脳内の記憶と合わせるようにじっとその顔を見つめていく。
「そうですね……契約締結時には、確りとお話しているはずなのですが……。ぁ、いえそこまでご迷惑をおかけするわけには…」
こちらも困ったように眉を顰めて微笑むも、続く言葉に金色の瞳孔を絞りながら、緩く頭を振っていく。
ああいう手合の面倒くささはよく知っているのもあり、彼にそれ以上の手間を掛けさせるのも良くないと思うばかりで。
「いえいえ、ありがとうございます。私はレナーテ・ヘヒトです。チェーンブレイカーで組合長の秘書を務めております。殆ど代理に近いのですが」
最近は彼と一緒に動くほうが少ないと思えば、苦笑いでそんな現状を付け加えながら、自己紹介を返していく。
■ゲイゼリク > 正直、彼女が我慢強く忍耐に優れていてとても良かったと思う。そうでなければ場が混乱していた。
と、いうか確実に貴族の一人か二人がグーパンチくらいはされてたかもしれない。
師団長の自分がやるならまだしも、王族直下に近いとはいえ口喧嘩はまだしも暴力沙汰は流石に少しマズいだろう。
「…だよねぇ。一応俺もまぁ、貴族の出だけどああいう手合いは何というか…ねぇ。」
困ったように微笑む。貴族という括りでは同一だから正直何とも言えない苦笑いになってしまう。
ジッと見つめられれば碧眼でそちらを穏やかに見つめ返しまして。
ちなみに、第六師団長の評価だが――…
【昼行灯】【師団長の中でも随一の緩さ】【有能だけど怠け者】【真面目にやって下さい】とか、そんな感じだ。
…ただ、同時に七本の刀剣を操る【七剣伐刀】や【虹霓のゲイゼリク】という異名も持つ。
つまり、一言で纏めるには少々難しい感じなのであった。あと差別意識が皆無なのも少し知られている。
「うーん、まぁこっち側が迷惑掛けたようなもんだしねぇ。尻拭いくらいはするって」
遠慮しなさんな、と陽気に笑う。面倒なのは確かだが、このくらいなら”魔窟”たる王城内ではしょっちゅうだ。
「あいよ、レナーテちゃんね?…チェーンブレイカーかぁ。民間軍事組合…”第零”のだっけか」
拠点は確かドラゴンフィート…だったか。流石に一度も訪れた事が無いので名称と場所くらいしか覚えが無いが。
「代理って事は、代表さんはやっぱり多忙って事かな…あーうん、勿論深くは聞かないけどさ。
…しかし、いいねぇ。俺もそういう組合とかとコネがあればなぁ」
第六は【便利屋師団】と呼ばれる程度にあちこちの師団の援護などをしているが、外部組織との繋がりが薄い。
師団以外との繋がりも持っておきたいとは思うが…まぁ、そこは高望みか。
■レナーテ > 「ぁ……いえ、そういうつもりでは…勿論、理解のある方々がいるのは承知してますから」
言いよどんだ言葉に一瞬考えるも、彼の生い立ちを思い出せばはっとした様子で言葉を訂正していく。
彼等のような貴族もいれば、彼のような理解ある人もいるのは、組合の支持者にも、そういう人間がいるから分かって吐いた。
だが、こうして気さくに言葉を掛けてくれる彼の印象は噂に聞いていた通りといったところ。
比較的、組合長の素に近いようなものも感じ、先程までのお仕事顔の雰囲気が、少しずつ砕けていく。
口調こそ丁寧なままだが、表情の変化の多さや雰囲気は変わっているはず。
それぐらいはどうにかすると、貴族たちの追撃を抑える言葉に遠慮がちな言葉が喉まで出てくるも、それだけいう彼の意向を遮るのも失礼かと思うと、ありがとうございますと改めて頭を下げていった。
「はい、そちらの指揮下に入っています。 組合長は……まぁ、忙しいといいますか、忙しい……ですね、確かに。今も、海外と米について……お話されてますから」
確かめる言葉には小さく頷きながら肯定するのみで、深くは答えない。
あまり表立った師団ではないため、必要以上に聞かれないための措置といったところか。
しかし、続く問には苦笑いで言いよどみながら少しずつ視線が泳ぎ、最後は疲れ果てたような声で呟いて少し俯いた。
この戦争真っ只中の今、米農作地として山脈付近の買い取りの話が何故か王族から上がってるという、奇妙な出来事も表に出ている。
ある意味では忙しいと呟きながらも、徐々に顔を上げていった。
「そういうところですか……こちらは第零だけでなく、王国軍との契約もありますから、そちらを通してもらえれば大丈夫ですよ?」
こちらへのアクセスを求める組織というのは珍しい方で、瞳を何度か瞬かせながら驚いていた。
繋がりが取りづらいわけではないと、そんなルートを伝えながらも不思議そうに彼を見上げる。
こちらとつながるメリットを考える相手というのも、そう多くはないため、かなり珍しかったからで。
■ゲイゼリク > 「ま、貴族なんて結局その立場に胡坐をかいて金とか権力とか女とかに取り憑かれてるのばかりだからねぇ」
勿論、貴族も様々でピンからキリまであるが、そういう貴族が幅を利かせているのも事実なのだ。
ちなみに、青年は…金はまぁ暮らしていけるだけあれば良し。女は…可愛い子とデートはしたい。
あと、権力は…正直どうでもいい。第六師団長の座も、あくまでとある契約に基づいてやっているだけだ。
ともあれ、少なくとも今の青年のこの緩い態度は彼女が聞く第六師団長の噂とほぼ一致はするだろうか。
何となく、口調はそのままでも少女の雰囲気が少し砕けてきたように思う。
青年としても、そういう方が正直話しやすいので助かるもので…。
「……米か…美味い米とか出来たらウチに回してくんねーかな代表さん…。」
無駄に真顔でボソリと呟いた。食いしん坊、とは違うが美味しいお米とかなら見逃せない。
とはいえ、根掘り葉掘り聞き出さないのは相手への配慮もあり、距離感を心得ているのもある。
一応、これでも一つの師団を束ねる長だ。組織事情。特にトップの動きなどをおいそれと外部に漏らせないのは勿論理解している。
「…って、だいじょぶかレナーテちゃん?何か顔が一気に疲れてる感じになったけども」
代表さんに振り回されてる気がする。秘書で代理人ともなればそんな感じなんだろうか矢張り。
「そっか…じゃあ『王国軍・第六師団長』としての正式希望なら契約もイケるといえばイケるのか…まぁ」
そこで言葉を切って笑う。契約とか繋がりとか言いはしたが…。
「単純にドラゴンフィート行ってみたいだけなんだよな俺が。楽しそうだし」
勿論、あちらの生活を乱す気は無い。完全に師団長というより観光者としてのノリである。
それに、あっちの食事とかも気になる…一度くらいは足を運んでみたいもので。
まぁ、この締まらない感じというか緩さが第六師団長の人柄であり特徴でもある。
そもそも、口ぶりからしてメリットとかデメリットとか…考えていない。
組合側に迷惑が掛からない配慮はするが、それ以外は本当に面白そうだから、楽しそうだからという好奇心が先立っている。
■レナーテ > 「……そういう人とは馴染みようがないですね」
欲望に取り憑かれた者達の方が、この国は多い。
小さく溜息を零しながら呟くものの、彼のような存在が居てくれるのはありがたい事だ。
噂通りの様子に、すんなりと心中を吐露しながらも、組合長の動向が米だけというのも、隠すべきは隠した答えだった。
「きっと…数が揃えば市場にも卸すと思いますから……」
その時は彼が満足するような米が出せるだろうと思うも、今米の取り組みに向かう組合長の動きが理解できず疲れの要員ともなる。
気にするような言葉に、大丈夫というように頭を振ってはいるが、大丈夫なような表情はしていない。
事実、笑みを浮かべてもその疲労の色は消えないのだから。
「えぇ、内容によっては別途契約に――……ふふっ、そういう事でしたら、気にせずいらしてください。あそこではすべての人が平等に扱われますけど、ゲイゼリクさんなら、特に気にされないかと思いますから」
言いかけた言葉にキョトンとしていたものの、続いた本音にぽかんと空いた口が閉じれない。
少々間抜けな表情を晒した後、クスクスと楽しそうに微笑みながら、彼を歓迎する言葉を重ねていく。
一種の商業特区となった集落だが、貴族達がなかなか寄り付かないのも、全てが平等に扱われる特性故。
けれど、彼なら気にしないだろうと微笑みながら言葉を重ねていく中、廊下の奥の方からパタパタと足音が響く。
そちらへと振り返れば、自身とは異なるが、軍服ワンピース風の戦闘衣に身を包んだ、組合のミレーの少女の姿があった。
『ぁ、いた! レナちゃん、一旦集落戻ってだって。こっちは暫く閉じてていいからって』
手短な要件を伝えていくと、少女は彼の方を見ればぎこちない会釈をして、野良猫のようにシャッと走り去っていく。
少し離れた中庭には、去った少女とレナーテを待つ二羽のベニマシコの姿がある。
鳥にしては大きく、飛竜にも見劣りしない体格は小柄な少女を乗せて飛び回るに苦労しないもの。窓の向こうに見える光景を確かめると、苦笑いを浮かべて再び頭を下げていった。
「そういう事なので今宵はこれにて失礼しますね。ゲイゼリクさんの来訪、楽しみにしてます。きっと楽しめると思いますから」
流通の心臓部となった集落は、彼を楽しませるものも多くあるだろうと思えば、歓迎の意を伝えていく。
その後は手早いもので、パタパタと部屋に戻ると業務に付き不在の掛け看板を扉に引っ掛け、鍵をかけていく。
再び頭を下げてお別れを告げた後、少女が立ち去った方へと小走りに向かう。
階段を下る小気味いいブーツの足跡が遠ざかり、庭から飛びだつベニマシコは、二人を背に乗せて空へと舞い上がった。
翼が叩いた空気は、少し生ぬるい夜風を冷ましながら、庭を撫でていき、夜闇に消えていった。
■ゲイゼリク > 「ま、そういう連中が皮肉な事に国を傾けつつも同時に支えてるんだけどな…。」
幅を利かせている、というのはつまりあちこちに支配が及んでいる証左。
それが反発や対抗組織を生みだしていくのだからどうしようもない。
青年としては、そういう連中は嫌というほど見てきたので…むしろ見飽きた。新しい風が吹いて欲しいものだ。
「そうだなぁ、それまで気長に待ちますかね…あ、米に関しては市場とは別に、第六師団で個人契約の形で卸して貰うかも」
美味しいお米はそこらの金銀財宝よりも価値がある、と男は半ば本気でそう思っている。
とはいえ、彼女のお疲れ様子に生真面目だから気苦労が耐えないんだろうなぁ、と苦笑い気味で。
「ま、契約云々は検討段階だけど…そうだなぁ、一度ブラリと足を運んでみるかも。そん時はよろしくな」
息抜きが出来る場所、というのは意外と少ないのでかなりありがたいものだ。
それに、噂によればあちらはこちらと違って治安維持なども行き届いているらしい。
つまり、変に肩肘張ったりしなくてもいいという事だ…良い事である。
「…って、そんなおかしい事を言ったか俺?師団長だって人間だから観光気分に浸りたい時だってあるんだぜ?」
と、最近の忙しくなってきた身の回りのあれこれを考えれば肩をすくめて笑う。
正直、色々と息苦しいのでここらでリフレッシュとかしておきたいもので。
まだまだ、魔族の第七軍…だったか。そちらとの戦いは長引きそうなのもある。
そして、勿論青年は差別意識が無いので平等というのはむしろ願ったりだ。
上限関係に気を使う必要も無いし、肩の力を抜いて過ごせそうなのがありがたい。
「…お?」
と、そこで軍服ワンピースっぽい戦闘服に身を包んだミレーの少女が現れた。おそらく彼女を呼びに来たのだろう。
用件をレナーテに伝え、続いてこちらにぎこちない会釈をする少女に笑顔で手をヒラヒラと…あ、行ってしまった。
彼女の立ち去った方角から推測して中庭へと視線を向ければ…デカい鳥が居た。
「…うーむ…ちょっと可愛いな」
と、思わず呟きつつも、レナーテの言葉にそちらへと顔を戻していき。
「あいよ、色々とお疲れさん。おぅ、ドラゴンフィートに立ち寄った時は挨拶行くわ」
まぁ、彼女達の組合も忙しいだろうから、あくまでその時にそちらに余裕がありそうなら、だけども。
さて、後片付けなどを終えて一礼と共に走っていく少女に笑顔で手をヒラヒラと振って見送り。
「んーー…最近ドタバタしてアレだし、休暇申請…は、通らないだろうから視察名目で観光に行こうかねぇ」
と、笑み交じりに呟きながらレナーテ達がデカい鳥に乗って去るのを眺めていた。
ご案内:「王都マグメール 王城2」からレナーテさんが去りました。
■ゲイゼリク > さて、思わぬ遭遇であったが気が紛れた。鬱々と仕事とかに追われるよりはいい。
「さーてと、俺はどうしますかねぇ」
書類仕事はまぁ危急のは済ませたし、後は寝るかどっかに食事と酒でも摘まみに行くべきか。
少なくとも、今から執務室に戻った所で書類の山とかに追われるだけだろう。ともあれ、そのままあ青年もブラリと歩き出して。
ご案内:「王都マグメール 王城2」からゲイゼリクさんが去りました。