2018/07/03 のログ
ブレイド > 「ん?」

不意に声をかけられた。
こんなに人は少ないというのにわざわざ相席?
なぜか

「いいけど…席、あいてるぜ?」

そこらを見回して、目の前に座る少年?に視線を戻し訝しげに。

ユウヤ > 「ありがとうございます。
 …何となくです。一人で食べるのもあれですし…」

少しだけ微笑み、向かいの席に座る。
外套のフードを外し、顔を見せる。
スプーンを使い、シチューを口の中に入れる。
…味もどこか薄い気がする。

「人少ないですね…。いつもこんな感じなんですか?」

ブレイド > 「やろーと一緒に昼飯なんざ味気ねぇことには変わりねーだろ。
どこの部隊かしらねーけど、女でも誘うなり声かけるなりすりゃよかったのによ」

少し痩せ気味の少年の言葉に
ははっと笑って茶化してみせる。
その後、同じようにシチューをもう一口。
パンもかじってみせるが…

「さあな、オレはよくわかねんねー。
あんまこねぇからな。でも、こんなメシの様子じゃ…
貧民街の飯屋で食ったほうがまだマシだ」

ユウヤ > 「いや…僕はまだ子どもですし…
 女の人は…うん、隊長でお腹いっぱいですね…」

はは…と苦笑いしながら答える。
シチューをもう一口食べる。
真似してパンも食べてみるが…まあさほど味は変わらない。

「僕は…えーっと、ただのおつかいです。ここにちょっと荷物を届けに来ただけで。
 何だかみんなバタバタしてたけど…どこかの師団が大変…なんでしたっけ」

ブレイド > 「ただのガキがこんなとこにいるかよ。
ガキかどうかっていや、オレだってガキだ。
アンタの隊長が誰だか知んねーけどよ…目つきも口もわりーオレと話すよか楽しいだろうよ」

苦笑する少年…なんだろう。
女性に苦労でもさせられているのだろうか?
あまり味気ないシチュー、黒パン。
貧民地区を引き合いに出したが、平民地区ならもっとまともなものが食える。
自分だって知っていればわざわざこんなところで食事もしなかった。

「おつかいね。そりゃおつかれさんだな。
オレもおつかいもろもろで、わざわざ砦までいってきた帰りってとこだ。
師団はどこもたいへんだろうけど…第7師団?か?師団長が死んだっていう」

ユウヤ > 「…そういえば、うちの師団長も忙しそうにしてましたね…。
 …あ、名前、まだ言ってませんでした。
 僕はユウヤ、旅人で…今は第十三師団マカロン隊所属…です」

黒パンをシチューより先に食べきる。
…これなら、時間がかかっても先に拠点に戻って食べた方がよかったかもしれない。
自分には衣食住が提供されているわけだし…。

「砦まで…支援か何かですか?」

ブレイド > 「マカロン隊…なんだ…えらく甘ったるそうな名前だな。
オレはブレイド。第五師団の客分だ。
言っちゃわりぃが、こんな戦争さっさとおわっちまえばいいと思ってる。
どっちが勝とうが……たいしてかわんねぇ」

吐き捨てるようにいいつつ、薄味のシチューと固いパンを消費してしまう。
食った気がしないというか、まさに味気ないと言うか。

「そうだな。前線に出る気はねぇからな…あんな化物揃いの戦場に出たって無駄に死ぬだけだしよ。
補給部隊やら後方支援やら適当な仕事をたま~にやってる。
元々冒険者だしな。要請がねぇ限りは積極的には関わんねーよ」

ユウヤ > 「ネーミングセンスはまああれですね…。仕事も拠点内の動物のための庭園づくりですし…。
 まあ、一応団員なので、色々ともらえるのでありがたいかなと…。
 戦争は…まあ大勢の人は損しかしませんからね…」

最後のシチューをスプーンで口に流し込む。
…明日は必ずいい食事をとろうと決意した。

「まあマカロン隊の任務以外にもいろいろお手伝いしてますけどね。今日もそのお仕事です。
 …僕もそのうちそういうところの手伝いとかするかもですね」

ブレイド > 「動物のための庭園?ってことは戦争とは直接はカンケーなさそうだな。
羨ましいこった。こっちも極力関わりたかねーが、補給やらにいくとどうしてもな
見ちまうし聞いちまう。惨憺たる有様ってやつやら、陰鬱な空気ってやつさ。
国内までああなっちまったら、勝とうが負けようがいい結果にゃなんねーな。
そもそもよくねー治安だ。こういう状態に乗じた奴らがおたのしみってなるくらいじゃねーのか?」

大勢の人が損をする。
それはそうだ。戦争なんてのはほとんど民意が反映されているわけではない。
上の都合、他国の都合なのだから。
だが、空気が悪くなれば、アウトローやらごろつきやらが元気になるのがこの国だ。
略奪、陵辱…兵士が少ないのをいいことに裏では楽しんでる奴らもいるだろう。

「ふーん、フリーの兵士かなんかなのか?
密偵とかさ。おつかいもいいけど、引き際は見極めとけよ?
お国のために心中するこたねーからな」

ユウヤ > 「来ますか?隊員募集中…みたいですよ?
 まあ…人は多いですけど、少し変な感じがしますよね…この国」

グラスの水を飲み干す。
そういえばマカロン隊に隊員の条件みたいなのはあっただろうか…?
………あるとすれば、あの隊長についていける人、だろうか。

「まあマカロン隊が暇なだけですよ…。師団内で別のお仕事もしてるって感じです。
 もちろん、僕は旅の途中ですし、そもそもこの国の人じゃありませんから…死ぬ気はないですよ」

ブレイド > 「師団の掛け持ちってのはできるもんなのかね。
お互いべつべつの任務とか貰っても困ったことになりそうだ。
変な感じっつーか…そもそも、王がいねー国って時点でだいぶ変だぜ。
国って体裁は整えて回ってるように見せかけちゃいるけどよ……
溝泥にまみれて悪臭が目に見えるほど漂ってるのに、それを良しとしてる空気すらある。
気味わりぃぜ」

眼の前の少年が旅人だからだろうか?
いや、誰であったとしても言うことは変わらなかっただろう。
それだけこの国の異質さを感じているというやつか。
国を憂いているわけではないが、腐った奴らがのさばっているせいで
苦しんだり悲しんだりしている人達がいるのだ。それが気に食わない。

「そういうもんか。ま、旅人だってなら…こんな国のために働く必要もねーとは思うけど…
そのマカロン隊の隊長さんとやらにゃ世話になってたりすんのか?」

ユウヤ > 「ああ…掛け持ちは怪しいかも…?
 でも暇になったら声かけてみてくださいね。
 …あれ、王様って居ないんでしたっけ?どおりで…」

自分はまだ、この目で見たわけではないけれど…この国は相当妙な気がする。
隊長にも、誰かが吹き込んでいるように思えるし…。
自分はそういうことに巻き込まれないようにしたほうがいいだろうか。
…この国に居る時点で既に巻き込まれているのかもしれないが。

「どちらかというと隊長は…うん、大丈夫なのかなあの人…。
 僕は単に、頼まれたからお手伝いしてるだけですよ。こっちにもメリットありますし、急ぐ旅でもないので」

ブレイド > 「誰かが王だっていってんのは聞いたことねぇな。
ま、暇になったらな。暇ってのもなんだろうな。
戦争が終わるまで暇になるもんかね…」

王族っていう奴らや貴族はたくさん見かけるが
そのものズバリ『王』の話はまるで聞かない。
誰も王位についていない…今は空位…だったような。

「……ほっとけねーってやつか。…?騎士らしくねー…ってやつなのか?
ま、アンタがいいなら別にいいんじゃねぇか?
アンタのことはアンタのことだ、オレがなにか言ってどうこうなるってわけでもねぇ」

なんか、なんとなく、騎士らしからぬ、おっとりとした少女を思い出した。

ユウヤ > 「なるほど…本当に大変な国ですね…。
 隊長は…本当に騎士なのかなぁ…?剣も怪しいし…」

うーんと考えながら、食器を手に持つ。

「まあ、ブレイドさんも頑張ってくださいね。初対面の人に言われる台詞じゃないとは思いますけど…。
 それでは」

食器をカウンターに戻し、フードを被りなおして、そのまま食堂をあとにする。

ご案内:「王都マグメール 王城 王国軍詰め所」からユウヤさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城 王国軍詰め所」からブレイドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城廊下」にシュネルさんが現れました。
シュネル >  …正直驚いた。
 思ったより、早くて。……安心したけれど。

(第七師団の副師団長が幽閉を解かれた、と聞いた。
…もとい。これからは師団長と呼ばねばなるまい。
そういった転任、転属、その他に関しても。想像を遙かに超えた速やかさで、事態が好転したらしい。

あの、荒れに荒れた貴族達を見れば。もう少し話が拗れるかと思っていたのだが。
横合いからの口出しでどうにかなるような、脆弱な国ではないという事なのだろう。
国王不在にもかかわらず)

 そりゃぁ。何か、出来ないかと。…出来る事が無いかと、思ってた。
 其処の所はお互い、残念だけれど、さ。

(さりげない世間話、といった態で。同じ師団、同じ子息、同じ…決して、現状で満足したくない者達数名と。
窓辺で言葉を交わしていた。

――この所の諸問題に。自分達も、何か出来ないかと。
窮状の第七師団、困窮する第六、第八師団、団長不在の第五師団――幸い、第五師団に関しては、団長が帰参したそうだが――
それ等に。何をすれば、手助けになるのかと。

それぞれの仕事の合間。人目を忍び、隙を見計らい、揃って頭を巡らせていた…
その内に。もっと偉い者達、ずっと年上の者達、そういった人々が動いたのだろう。
直ぐ様切れるカードが。選択出来る力が。矢張り、欲しい。
改めてそう願わされる)

ご案内:「王都マグメール 王城廊下」にネームレスさんが現れました。
ネームレス > 王城廊下を闊歩する美女。
心なしか少しイラついた様子で。
彼女の周りには、メイド姿の団員が何人か――何故メイドかは、第九師団の任務の性格による――。

「本当、面倒ばかり起こすわね、あの男はッ!!!」

イライラしながら報告に目を通す。
タナールに新たな魔族の軍団出現。タナールの防衛部隊壊滅。第七師団の生き残りが帰還、発狂。
よりにもよって『あの方が帰ってきた!』と叫びまわる。

「例の第七の師団兵は全員軟禁、当分誰にも会わせちゃダメよ。
それと情報統制。なんとしてもこの情報は封殺するの」

名誉の戦死で英雄に祭り上げようと思った所に。
あの男、魔族の軍団を指揮してあらわれやがった。
傀儡程度なら苦しまないように殺してやろうと思ったのに、傀儡どころか指揮官!

「あぁ、本当もう――あら?」

そこで、ようやく少年達に気付く。
こんな廊下に誰かが溜まっているとも気付かず……とりあえずにっこりと笑いかける。

シュネル > (しかし。
一個の問題が解決したからといって。万々歳とは言い難い。
数多の内の一つが、どうにかなりを潜めた、というだけでしかなく。
その他に関しては維持された侭山積みだ。
特に、魔族の反撃・襲撃の可能性に関してなど。今まで以上に無視出来ない筈だ。

…それに関して。仲間内から、一つ、興味深い話。
団員数の大きく減った第七師団に、各師団から増援を派遣したい、そんな案が出ていると)

 それって。第一師団からも、行けるの…か…… …?

(言葉を止めた。廊下の先から数名の人影が近付いてくる。
メイド達が目に付くから、それを従えた貴族かと思えば…
先ず、瞬いた。その次に目を見開く。
何故ならば)

 ――第、九…師団…?

(幻とすら言われる、その師団名。
第一から第八、第十から第十三が存在するのだ、一つだけ空いている筈など無いのだが。
目にする者は、つい先日迄居なかった、とか。

そのナンバーを抱いた人物が其処に居た。
屯していた全員が、きちんとした形で頭を下げるのは、当然だろう。

…まぁ、あまりマジマジと眺めているのは失礼だった、という側面も。有るには有る。
その刺青の彫られた場所を)

ネームレス >  
「――ごめんなさいね。今聞いた事は忘れてね♪」

本当に聞いたかどうかも分からないが、一応念の為。
そういえば誰だろうと思い眺めると――
なるほど、第一師団。おそらくは貴族の子弟。
特にリーダー格と見えるこの少年は、確かカルネテル王家の一員の筈だ。

「第一師団のメンバーね……こんな所で何をしているのかしら?」

ふと、興味が沸いて。
少し立ち話をしてみようかと、足を止める。
もしかしたら――『例の件』に使えるかもしれない

シュネル > (…一人、二人、さり気なく目線を交わした。
今の会話にも、第七師団の名が出て来た。
新師団長以外の生き残った者達にも、何らかの問題が有るのだろうか。)

 ――了解です。他言なさるな、と仰るなら。

(だが、詮索も無用なのだろう。此処は素直に頷いておく事とした。
…幸か不幸か、それよりも前の部分に関しては。誰も聞く事が出来ていなかったが)

 世間話というか。…次男坊三男坊同士の。益体も無い暇潰し、です。
 ……此処暫くは。第七師団の遠征以降、話題には事欠きませんから。

(微妙に、言葉を選んだ。今忘れろと言われたばかりの師団。
それについて話していたのは事実だが。
下手に詮索していると思われるのも宜しくない。
逸らし所と落とし所とを。どうにか見出そうとしつつ)

 特に、あの師団が抜けた後。他師団はどう、孔を埋めれば良いのか、とか。

ネームレス >  
なるほど、貴族の次男三男の立場は微妙だ。
家督を継げるわけでもなく、かといって町人に混じって暮らせるほど家格を無視するわけにもいかず。
結局は軍隊に吸収されるか、それとも文官の道を目指すか、どこかで脱落するか。

「――難しいわねぇ。第七師団を解体して、別師団に組み込んで、という話もあったのだけど」

それは無しだ。今すぐ第七師団を再編成する必要がある。
わずかな生き残りをかき集め、そこに新兵を宛がい。
再び退魔師団として仕立てなおさなければいけないのだ。
それも、早急に。

「第七師団は副将軍のサロメが復帰して、再建する事にしたの。
でもね、何処も手が足りなくて――とりあえずまずは帰還兵と生き残りを中核に。それと新兵を出来るだけ配属。
でも、これでも足りなくてね――」

そこで、ちらりと少年達を見やる。

「やる気はあるけど、現在所属が無い若い騎士や、王都駐留任務の兵士なんかの志願を募ろうと思ってるのよ」

シュネル > ( ……読まれたのだろう。
今この状態で、会話の裏表に絡ませた事柄ではなく。
もっとずっと根本。根幹。
そして、それは)

 その可能性も、聞いてはいましたが。
 今の前線を考えれば。とても、そうはいかないのかと。
 …軍隊として、統率された魔族というのも。出て来たと、聞いています。

(もっとも。自分達が知っているのは、少し前の情報という事になるのだろう。
「翼在る獣」の襲撃や。師団遠征中の砦を巡る攻防に関してだ。
僅かばかり齟齬が在るが。危急と感じる、という点に於いては変わらない)

 其処迄は、既に。…えぇ、丁度此処でも話に。
 そして―― その派遣に乗れば、第七師団直伝の。
 対魔族の戦い方、等という物も学べるだろうと――第八師団の方での、話で。

(必ずしもノウハウが欲しい訳ではない。ただ、足りない物を補う中に、それも含まれる、という話。
仲間内には目を光らせ、素直に、この話に飛びつきたがっている者も居るが。
少なくとも己は、言外に問う。

これは、命令なのか。それとも取引なのか、と)

ネームレス >  
流石に先日のタナールの一件、まだ王都で知る者もそこまで多いはずはない。
勘違いしているようならさせておく方が良い。

「ええ、新第七師団長のサロメは、退魔戦線のベテランよ。
対魔族どころか、どうすれば戦場で生き残れるかのイロハまでばっちりよ」

他の少年達は今すぐにでも行きたそうな顔をしているが、リーダー格のこの少年は違う。
この話が自分にとってどういう話なのかを見極めようとしている。
そこで、こちらも手の打ちをひとつ、明かす事にしよう。

「――でもね、今の騎士団は微妙な立場なの。貴族達は敗北した第七師団を今も懐疑的な目で見ている。
再建しようにもそんな立場もあるから、志願兵も増えてなくてね――
『もし貴族の関係者が第七師団へ志願してくれれば、そういう印象も大分拭えるんだけど』」

つまり、だ。第九師団は広報のネタが欲しいのだ。
貴族の子弟が護国の意思に目覚め、第七師団へ志願する。
この国の貴族の中にも気骨のある者が居たと、国民は拍手喝采だろう。
そうなるように、大々的に、英雄的行為として宣伝すれば、貴族達も表立って第七師団へ嫌がらせする事が難しくなる。

「もし貴方達にその気があるなら――私からサロメに紹介状を書くわ。士官候補生として、ね」

シュネル > (その点。彼女等第九師団の動きは迅速で、徹底しているという事なのだろう。
在る意味その特権を利用すれば、王都内、王城内の其処彼処に眼と耳を置く事の出来る第一師団の彼等に。
隠すべき事を隠し通しているのだから)

 有り難う御座います。…正直。王都守護の第一師団には。
 自分達の出て行く場所が無い、そういう不満を持つ者は……多い、かと。
 この話を受けたい。そう、言う者も。一声掛ければ増えるでしょう。きっと。

(無論。その思惑は様々だろう。それでも、籠の鳥、お飾りの現状を由としない者は、間違いなく多い。
本当に第七師団から学びたい者。それを口実に、やっと戦場に立てる、という者。
…自分からも、そういう連中に粉を掛けてみよう、という提案は。
先方への、挨拶代わりのような物)

 そして…なるほど。
 流石に、『表だって親子喧嘩めいた内紛はし辛くなる』のも、在りそうだ。
 それで力になれるなら。派遣して頂くのは、吝かではありません。

(民衆の目はともあれ。同じ貴族同士の目、という物もある。
他家の子息が居る師団にちょっかいを出せば、折り合いは悪くなるだろう。
特に、相手の爵位がより高い場合など、迂闊に動けなくなる筈だ。
…悪く言えば、人質にされるような物だが。
寧ろその方が、余程面白い、と。目元を細め)

ネームレス > 頭のキレがいい。回転も速い。
そして、自分の価値を知り、対価を提供してくる。
――こんな時でなければ、自分の師団に引っ張る事も考えたのだが。

「いいわ、じゃあ貴方に任せる。第一師団からの志願を取りまとめて、第七師団のサロメに送って頂戴。
貴方が責任者よ、第七師団内でも第一師団からの志願兵のとりまとめをしてもらうわ、多分」

有能な人材を遊ばせておく余裕はない。
多少荒削りだろうが、こういう人物は渦中に放り込んで帷幕に参加させた方が良い。
サロメには後で説明しておこう。どの道、第七師団は選り好みしていられる状況ではないだろう。

「有意義な話が出来てよかったわ――お名前を教えてもらえるかしら?」

シュネル >  有り難うございます。
 自分は、第一師団所属、シュネル=F=マルクト。
 これより第七師団へ合流させていただきます。

(現状、それなりの見返りを引き出せた。
ならばこれ以上藪の蛇はつつくまい。
もとより、他師団から交代で兵を派遣する、という話自体は有った。
其処に、確実に己をねじ込む事が出来る…それだけで充分だ。
もう一度。柄に手を当て、踵を揃え頭を下げ。
ならば早速、と踵を返そう。
他の青少年は、血気に逸る者、真面目に思案する者、活躍を夢想する者、様々だ。

…今後彼等の内どれだけが、生きて戻れるかは分からないが。
今、それをいう事はないだろう。
己自身も、その勘定に含まれるのだから)

ネームレス >  
「私は第九師団の――そうね、ネームレス、とでも覚えておいて」

さて、使い勝手の良さそうな駒はできた。
鍛えるのはサロメの役目だ――そこは丸投げするとして。

とりあえず、彼の事を大々的に宣伝しなくてはならない。
危急存亡のときに立ち上がった若き貴族。
第一師団から第七師団への転属手続き。
やる事は多い。

少年達に再び微笑むと、女はゆっくりと王城の廊下を歩いて去っていった。

ご案内:「王都マグメール 王城廊下」からネームレスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城廊下」からシュネルさんが去りました。