2018/05/05 のログ
紅月/コウゲツ > 「…、おー、速い速い」

白刃の翻る事のないとは言え、刃物を出されれば流石に目も覚める。
ぱちぱち、と目をしばたたかせた後に、にいっと口許を歪め…じっと愉快げに正面から男の目を見詰めて。

「…フェイは優しい人だね?
脅してまで『出てけ』だなんて、嫌われ役めいた事までしちゃってさ」

見詰めたまま軽く首を傾げ、次いで二本の指で喉元の鞘を退かす。
…仮に力がこもっていようと、怪力を用いて半ば無理矢理に。

「んー、そうさなぁ…フェイは紅にはイイ人だから、特別に見せてあげちゃう。
内緒だぞー?」

くすくす、と実に愉快げに笑いながら言うと…目を瞑り首を大きく左右に振った。
ぶわり、さらりとした長髪がキラキラと宙を舞う。
…すると、耳は長くなり、2本の角が現れる。
角は日の光を通して、深みのある赤い色…石や宝石を見慣れた者がみればガーネットだとわかるだろうか。

「…私は紅月。
鬼神と精霊の混血にして、人間達の『善き隣人』」

再び男の目を真っ直ぐ見詰めて名乗る。
…が。

「…まぁ、私を解体して部品を高く売ろうとするような連中相手じゃなきゃあ大した悪さはしないし、ついこの間も砦で治癒士として一働きしてきたばっかりだよ」

のんきな笑顔に元通り、今日はその時返し忘れた木札を返しに来た、と付け足して。

フェイレン > 鞘を突き付けてみても、返されるのは気の抜けたような返事と愉悦めいた色を乗せた紫の瞳だった。
今の生き方を選んだ時から誰かに優しい等と言われた記憶はなく、少々調子が狂ってしまう。

女の二本の指が、その華奢なつくりのどこからこれほどの力が湧くのかわからないが、差し向けた黒鞘を簡単に押し戻す。
無駄だったか――そう思い、武器を腰に収めようとしたのだが、
次の瞬間、目の前で起きた出来事に目を奪われ、男は手元の動きをぴたりと止めた。

女が首を振ったかと思うと、頭の左右から不思議な質感の角が姿を現し、日に透けて煌めいた。
さすがの青年も感情の薄い瞳をわずかに見開き、息を呑む。
鬼神と精霊――女の正体の一端を知り、あれほどの力を持つ理由にようやく納得がいった。
初めから自分の、人間の手に負える相手であるわけがなく、
矮小な己が心配する必要がないばかりか、それ自体失礼な行いだったかもしれない。

「……、……なるほど」

何と返せば良いかわからず、ありきたりな言葉を口に出す。
人智を超えた存在であっても、彼女の述べた通り、だからこそ危険を伴うらしい。
思いがけず重大な秘密を抱えてしまい、今度こそ小太刀を腰に差すと、男は彼女へと向き直った。

「……わかった。このことは内密にしておく。――城内に用があるのなら、案内するが」

冷静に考えれば、あの廃教会で自分は『鬼神』に代わりに祈ってもらったのか――。
不都合があるわけではないが、とんでもないことをしたような気がする。

案内に彼女が応じるのであれば共に、そうでなければ一人で城に戻ることだろう――。

紅月/コウゲツ > 「ふふっ、ビックリした?」

動きを止めて息を飲む様子に笑みが溢れる。
妖精譚などに有りがちだが、所詮自分も『イタズラ好き』なのである。
あー面白い、これだから人間は好きなんだ。

男から『案内する』と提案されれば、ぱぁああっ、と嬉しそうな笑みを浮かべ。
「えっ、ホント!?」
と、素足(正しくは網タイツであるが)のまま男に詰め寄る。

「うわぁあ助かるわ、実は迷子になっちゃってさぁ…砦防衛関連の騎士が詰めてるトコ行きたかったんだよねっ!」

話しながら真横にバッと手を付き出す。
と、腕の半ばから虚空…何やら歪んで見えるが、その向こうに消え。
歪みから手を引き抜けば、その手には首にかける紐のついた木札があった。

「コレ、借りたままじゃ宜しくないからさー…いやぁよかったよかった!
…っとと、角隠さなきゃ」

両手を角と耳を隠すように手を当てて、その手が離れれば角と耳が消える。
いそいそとブーツをはき始め。

「ふふっ、いやぁホント、今日来てよかった…
またフェイに会いに来ていい?なんか気に入っちゃった」

フェイレン > 驚いた自分の心境を見透かすように笑顔を向けられて、気恥ずかしさからその眩しい笑みについ視線を逸らしてしまう。
案内への提案に嬉々とする姿も、ブーツを履き直す姿も年相応の娘そのもので、
言葉通り人間離れした力と美しさを持っているというのに、この両極端な印象は何なのだろう。

いざこの場を離れようとした拍子、弾んだ声で問いが投げかけられる。
その言葉の意味をかみ砕くまで一拍要した後、きつくしわの寄った眉間を指で押さえた。

「……お前、どういう思考回路をしているんだ」

まるで脅しにならなかったとは言え、無礼な台詞と武器を突き付けられたと言うのに。
自分との会話のどこに気に入る要素を見つけたのかわからない。
人でない彼女がどのように年齢を重ねているかは不明だが、感覚が見た目通りの年頃であるなら、
歳が近い自分は接しやすい人間だったりするのだろうか。

もしや友人というものは、こんな風に出来るのか――。
そこまで考えた途端、胸に冷ややかな血が流れ、背筋が小さく震えた。
もしも、今。自分は血に穢れた人殺しだと告白したら、彼女はどんな顔をするのだろう。
自身のことを『人間達の善き隣人』と言っていた。
――自分の存在は、それとは大きく外れた位置にあるのではないだろうか。

「……偽りない用向きがあるなら、王城はそれほど出入りに厳しくないだろう」

問いかけに素直に答えられないまま、男は城内へ向かう道を歩き出す。
ついて来い――そう告げる声はやはり、感情の欠落した、侘しいものとなっているだろう――。

紅月/コウゲツ > 「んー?
闘う人は嫌いじゃないし?なんか気になるし?」

『訳がわからん』と顔にかいてある男の様子にケラケラと笑って。

「まぁ、隣人であって善なる神じゃあないから、好かれてもアレかもだけどなー」

神様も妖精も気まぐれなのだ。
特に自分の性質を考えれば、見方によってはモロ邪神である。

人喰い鬼の血が入ってるとバレたら怖がられちゃうんだろうな、と、心のなかで呟いて。
先を歩く男の背に、密やかに下を出す。

「…って、待って待って置いてかないでー!」

鉄扇をヒョイと拾い、男を追って駆け出した。

ご案内:「王都マグメール 王城/庭園」からフェイレンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城/庭園」から紅月/コウゲツさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城/訓練場」にレシュノルティアさんが現れました。
レシュノルティア > 王城内にある訓練場。
その中で一人、槍と大盾をもって訓練に励む。

(体、鈍ってるのかしら。
久しぶりに動くものね)

中央にいくつか建てられた案山子を相手に重い足取りで動き回る。
そのたびに汗が飛び、髪は靡き、胸は揺れる。

「せぇいっ!」

大盾を使ったタックル。その直後に案山子へ槍を突き刺す。
昔は動き慣れた戦い方でも、その強さは比較できないほど、弱い。

レシュノルティア > 突き刺した槍を引き抜き、一回、二回のバックステップ。
その動きも、昔であればもっと早く動けただろうが今では鈍重の極み。

「あ、あら?」

あげくには躓き、背中から地面に倒れこむ。
はぁ、はぁと肩で呼吸をしている様子は、明らかに運動不足を思わせる。

(もう……昔は、こんなじゃなかったのに……)

レシュノルティア > 槍を地面に突き立ててよろよろと立ち上がる。
着けていた鎧を外し、少し離れた場所にある椅子まで歩く。

「はぁっ、もう……あまり無茶は出来ないってことかしら」

椅子に置いておいたタオルで汗をぬぐいつつつぶやく。
ほんの少し、動いただけだが体はすぐに息をあげる。
昔のように素早く動く戦い方は出来ないということだ。

レシュノルティア > 風が吹くたびに体を冷やしていく。
徐々に汗も引いていくが、体の疲れはすぐにはとれない。
これからゆっくり、体力をつけていく必要がありそうだ。

「仕方ありません、今日はいったん部屋に戻りましょうか」

そういいつつ、取り外した鎧とタオルをもって訓練場を去る。

ご案内:「王都マグメール 王城/訓練場」からレシュノルティアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城/回廊」にゼロさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 王城/回廊」にマリアージュさんが現れました。
ゼロ > 本日は、本来であれば休みではあった。
 しかし、今日は少年は回廊で警備の任務に就いていた。
 その理由は、珍しく同僚が声をかけてきた、曰く、彼女とデートしたいから変わってくれ、との事。
 アホな理由ではあるのだが、休日にやることもなく、誰かと遊びに行くという行動もなく、予定が空いていたので代わることにした。
 そういうことで、いつもと違う受け持ちの回廊を少年は歩く。
 いつもと違う場所での仕事は色々と発見がある……訳でもなく、仕事は仕事であり違うのはいつもと違う見た目、というぐらい。
 まあ、それはそれで新鮮味があるからいいだろうなと思いながら、仮面の少年は回廊を進む。

 ちゃんと、不審な人物がいないのか、周囲を警戒しながら。

マリアージュ >  
回廊に面した中庭の噴水の縁での午睡からゆっくり目覚めますと。
髪からは蝶が飛び立ち、肩に止まった小鳥がぴぴっ、と挨拶。
片手をあげますと、その手首に飛び移り、ちちっ、と一声なきますと。
ぱたぱたっと飛び立ちます。
腕にこすりつけられる感覚に、目を下ろしますとキジトラの猫が腕の隙間に入っていて。
太腿の上には栗鼠が3匹。
足元を覗くと、ウサギも並んで寝ているのです。

「あの、おはようございますわ?」

空いた片手で猫の頭と、リスの背を撫でますと。
栗鼠は急いでおりていき、猫はにゃーんと小さく甘えるように泣くのです。

中庭の日差しに、銀の髪がきらりと煌きます。

ゼロ > 「―――!?」

 仮面の視界が半分以上白く染まる。余りにも膨大な魔力の波動を感知した。
 仮面は魔法的な視界を持っているからであろう、強大な魔力があればそれを察知する。その大きさが大きければ大きいほど顕著に。
 顔を向けるとそちらの方面は中庭となっている、説明を受けた巡回路を思い出せば、そこもまた、今日の自分の警邏の場所のうちである。
 膨大すぎる魔力、それは魔族である可能性。少年は急いでそちらの方向に向かうことにする。
 仮面の視界は、中庭の周囲魔力のある方向をしっかりと示してくれるのでそれに従いコツ、カツ、と石畳を踏みしめてあるく。
 ごくり、と喉を鳴らして中庭にたどり着けば、そこにはひとりの少女が猫やリスやウサギ、小鳥と戯れている模様。

「……え?」

 困惑が先に立つ。
 魔族かと警戒してきてみればそこには人畜無害そうな少女がのんびりしているのだ。
 普段の警邏であれば、彼女が誰かを頭に入れているだろうが。
 初めての警邏であり、顔と名前がまだ一致しない故の困惑。
 邪魔していいのか悪いのか、少しばかり遠巻きに少女のことを観察するしかない少年。
 彼女の方から見れば全身鎧で仮面をつけた何者かが噴水広場の入口で立ち尽くしているのが見えるだろう。

マリアージュ >  
足元に戻る栗鼠は、ふるりと尻尾を振りますと。
住処の木々にと走り、眠っていたウサギの耳がぴくぴくと動きます。

「皆様もお昼寝でしたのね?」

猫を撫でて、んしょ、と重そうに猫を両手で抱きかかえますと。
その日向の匂いのするお腹にほっぺを近付けまして。
もふー。
春の暖かさを思わせる優しい笑顔を、ちょっとまだ眠気が取れていないような。
ぽやーんとした目つきと一緒に浮かべるのです。
態度を相手で変える、と評判の王城をナワバリとする猫。
それが大人しく、前足の肉球でマリアージュの額をてしてし。
そんな猫を両手で胸に抱きかかえまして、にこにこと楽しそうな気配を無邪気に振り回すのです。
足元で動き出したウサギを見下ろしまして、壁の方へと変えるのを見送りましてから。
顔をゆっくりあげますと。

「――こんにちわですわ?」

菫色の瞳を目を大きくして見せましてから、無邪気な笑顔でぺこり、と。
回廊に来られました騎士様にご挨拶なのです。

「――あっ、今からお昼寝ですの?。
 気持ちいいですものね・・・お邪魔でしたかしら?」

立ったままでこちらを見る様子に、お昼寝場所を取ってしまったのかしら、と。
ちょっと泣きそうに眉を下げながら、おろおろ、と周囲を見回してしまいます。

ゼロ > ――この城に似つかわしくないものを見た気がする。
 良い意味で、という但し書きがつくのだけれども。
 この城で見るのは大抵が陰謀とか、淫猥痴態とか、そういったものであり、目の前のお嬢様然とした純粋培養のお嬢様というか、そういったもの見るのは初めて―――ではないが。
 此処にあるような、ここまで平和な状況というのはとんと見たことがない。

 犬や猫にまで優しく語りかけてのんびりしている美少女とか、幻想ではないだろうか。
 もしかして自分は幻覚の魔法にやられてしまったのではないかと、この仮面は幻覚も見通すはずではあるが。
 薬物による厳格でも見ているのかもしれない、とか、いろいろな思考がザラっと流れて。

「―、あ。
 はい、こんにちは。」

 彼女からの言葉に、慌てて我に返って挨拶を返すことにする。
 どうやら自分の見ているのは幻覚ではない模様、多分。
 お辞儀をしているのでこちらも、頭をぺこりと下げる、仮面の付いてないところで、黒い短い髪と頭が見えるはず。

「あ、えと。
 ―――いいえ、いいえ。
 自分は、王国第七師団の者です。
 皆様が安心してお昼寝頂けるように警備をしており今ここを巡ってきただけです。
 驚かせてしまい申し訳ありません。」

 混乱しそうな思考、しかし相手が取り乱す事で逆に冷静になれた。
 おろろっと周囲を泣きそうに見回す相手に、敬礼とともに言葉を。

マリアージュ >  
そんな間も、色彩豊かな鳥たちが近くの梢に止まれば。
ちちっ、と挨拶のように声を出しまして。
煌びやかに並んでは、飛び立ちます。

神代の時代の魔力が人の形をしているような身体。
髪の毛一本、爪の先。
そんな末端まで魔力を持つ肢体です。

柔らかく抱きしめられてのんびりした猫の姿。
抱きかかえたまま、こしょこしょっとその顎下を搔いてあげます。
挨拶を返されますと、ぱぁっと、輝くような笑顔で。
ちょっと首を傾げさせるような仕草をします。

「まあ、ご苦労様ですわ・・・。
 ――!。そうですわね、安心してお昼寝しますのも、騎士様のお仕事ですのっ!」

思わず、元気に返してしまう言葉。
猫を抱えてなければ、敬礼を返すところでした。
第7師団・・・わたくし、どこに今おりましたかしら?、と。
視線を一瞬、上に向けてしまうのですけれど。
でも、思い出したのです。
自分がなぜここに居たかを・・・。

「・・・あの、それでしたら。
 お城をどう出ましたらいいか判りますかしら・・・?」

顎を引き、上目遣い気味な目線で尋ねてみるのです。
そんな問いかけに、猫が俺が判る、と「にゃっ」と啼くのですが。

ゼロ > (やはり、彼女が先ほどの魔力の正体なのだろう。)

 高名な魔法使いなのだろうか、魔法には疎いので、この平和な世界を作り上げている彼女を眺めて考える。
 基本小動物とかは人に懐くのは見たことがない、自分なんて近寄ればそれだけで警戒されたり逃げられたり。
 まあ、この身では仕方がないとも思えるのだけれど。
 それはともかく彼女だ。仮面を通してみているが、なんか凄いとしか言いようのない魔力。
 魔法使いってこういうものだっけ、今まで見てきたのはなんだったのだろうと思わせてくれる。

「仕事なので。
 平和に過ごしていただけることが感謝の代わりとなります。
 それと、申し訳ありません、自分、騎士ではないのです。」

 はい、騎士ではありません全身鎧ゆえに間違われてしまいますが。
 毎回騎士に間違われるたびに、いうのです。爵位など持ってないので。

「え?あ。はい、自分でよければご案内できます。
 要人警護も、警備の仕事の内ひとつなれば。」

 唐突に聞かれる出口。
 迷子だったんかいと仮面の下で驚愕、余りにも堂々としすぎでこの辺に慣れているのだと思っていた。
 慌ててる様子もなかったし。それは兎も角、少年は彼女の質問に肯定する。
 多分案内しないと道に迷うなとも思ったので、同行しての案内を提案する。

 そして、とても残念ながらネコさん。
 少年は猫の言葉を理解できません、翻訳ナンチャラください。

マリアージュ >  
見られていますと、「?」とほほ笑んだ表情の中に浮かべまして。
首を傾げさせますと。
それにつられて揺られた銀の髪が日の光に煌きます。

「優しい方が沢山おられますところですものね。
 騎士様が守られておられるからだと思いますの。
 ・・・騎士様でございませんの?」

にこにことのんびり平和な春の日差しの笑顔ですけれど。
騎士でない、と聞きますと。
目を大きくしまして、ぱちぱちっと瞬きさせるのです。

案内していただけると聞きますと、よかった、とほっとした表情。
裾を乱さないように押さえながらゆっくり立ち上がりますと。
一度しゃがみまして、そして猫を抱きなおしますと。
恐る恐るとしたように手を伸ばしまして、お尻にしいていたハンカチを手に取り。
折り畳んで、猫と一緒に抱きかかえるのです。
猫を重そうに抱きかかえながら立ち上がりまして、ゆっくりとした足運びで。
その仮面の方の方へと近づくのです。

「今日は少しお仕事がありまして奥に来ましたけれど。
 ほら、廊下とかって、歩いていますと、知らない廊下に行きますでしょう?」

近づいてくれば、見上げるように顎をあげるのです。
腕の中の猫も見上げて、にゃあ、俺も案内できるがな!、と何か対抗意識を見せているのでした。

ゼロ > 銀色の髪の毛がさらりと揺れて、陽の光に輝いてきれいだな、と子供のような感想を一つ。
 首をかしげる様子に、何でもないですよ、と返答して、頭を軽く横に振ってみせた。
 人形のような、会話らしさを持っているんだなぁ、とそんな感想。

「ええ、ええ。
 ただ、自分は今日は臨時で仲間の代わりに来ているだけですので、毎日、というわけでは。
 でも、仲間がいつもここを守っているのは、ここが平和な証拠となりましょう。

 ええ、恥ずかしながらまだ見習いですので。
 それに、騎士叙勲もうけておりませんし。」

 正式には第七師団の所属ではあるが、見習いの侭の上、部隊所属も決まってない。
 兵士でいいですよ、と軽く仮面の下で笑ってみせる。
 そんなに見られると仮面でも恥ずかしいですよ?と軽く冗談交じりに笑ってみせた。

 近くに寄ってくる彼女はとても小さく見えて、華奢な印象が一層深く印象づけられる。
 猫を抱いていると、子供のように見える、猫をだく姿がとても様になろう。

「お仕事ですか、奥の方。わかりました、ご案内します。
 お城は基本的に防衛のために似たような道を作って迷路のようにしているとも聞きますし、仕方がないことかと。」

 彼女の言葉に、同意してみた。お城はある意味砦の拡張版であろうと思っている。
 地図とか持っていたほうがいいかも知れないですね、と。
 ネコ。撫でては見たいが、ガントレットもある。外してなでてもいいが噛まれると、体に回っている薬物の事を考えると。
 やめておいたほうがいいという思考。

「それでは、参りましょうか。
 奥となると、どの辺りになります?
 場所によっては、自分が立ち入りできない場所もありますので。」

 と、先導するように、彼女の歩調に合わせ歩き始めよう。

マリアージュ >  
「それでしたら、そのお友達さんにありがとうございます、ってお伝えくださいませ。
 ・・・でも、今日はえと、騎士見習様・・・あっ、わたくしと一緒ですのね・・・
 騎士見習様が、ここの平和を守ってらっしゃるのでしょう?」

くすくすっと、鈴を転がすように朗らかに小さく笑います。
途中の「自分と~」は小さな声になってしまったのですけれど。

どこかおっとりとした、ゆっくりとした歩み。
近づきますと、30cmは違う大きさ。
細く華奢な、腰なんて両手の輪で掴めるような細さなのです。
キジトラの猫も大きいわけではないのですが、少し重そうに抱えているのでした。

「はい。お仕事ですの。
 時々、お家の挨拶ってしなくてはいけませんのですって・・・。
 あっ、だから、左に行くはずなのに右にしか通路がなかったり。
 気付いたら調理場があったりしますのね・・・」

お城がそんな迷宮になっていたなんて、と。
ちょっと目を大きくして驚いてしまいます。
そんなマリアージュの肩に小鳥がとまれば、ちちっ、とひと鳴きしてすぐに飛び立ちます。

「はい、よろしくお願いいたしますわ・・・。
 あっ、もう、王族の方々には挨拶してきましたから。
 あとはお城を出れましたら・・・」

ついていこう、と。ちょっと慌ててぱたぱたと続こうとしながら、
見上げて言います。
まっすぐに仮面を見上げてくる、まっすぐな澄んだ視線なのです。

ゼロ > 「ええ、伝えておきますね。
 今日は、ここ……此処等一体を守らせてもらってます。」

 小さくなった言葉は、あえて返答をやめておく、声が小さくなったので、触れていいのかわからなかったから。
 魔導師かとも思っていたので、その驚きもあったし、今それに触れたら魔導師かと思ったと素直に言ってしまいそうだったので。
 キジトラの猫は自分で歩く気がなさそうで、彼女の腕の中で身じろぎもしないので飼い猫なのだろうかとも思った。

「高貴な家の方は大変なのですね。
 挨拶とか……自分には務まりそうにありません。
 はは、だまし絵みたいな場所もいっぱいありますからね。
 慣れると住みやすいらしいのですが。」

 よく来ていないのだろう、慣れている人のセリフではなさそうだし。
 そう言いながら、足を止める。

「あ゜」

 忘れていました。
 最初に、出口を聞いてきてそれを案内するというお話でした。
 仕事の話からそのまま間違えた模様。
 彼女のまっすぐな視線と、出口へという言葉に、形容しがたい声をあげて固まります。
 見上げる相手、ちょっとバツが悪そうに後頭部を掻いて。

「では、行きましょう。」

 今度はちゃんと、出口に案内いたしましましょう。
 向きを変えて、歩き始めます