2017/05/12 のログ
ステファン > 切りの良い所まで読めば、ぱたんと本を閉じて立ち上がる
制服の内ポケットに詩集をそそくさとしまい込めば、もう少し仕事をしてから眠るか…と、
椅子を元あった位置へ戻して、執務室へと帰っていく……

ご案内:「王都マグメール 王城2」からステファンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城外周」にロザリアさんが現れました。
ロザリア >  
「久しく訪れてみれば──」



王城の外壁、そこに月の光を照り映えさせる金髪のヴァンパイアが佇んでいた
ゆっくりと壁へその手を伸ばすと、まるで何かに弾かれるようにしてその手が離れる
細い指先から僅かにあがる白煙を眺め、眉を顰めた

「…退魔の術式、しかも多重だな」

件の旧神の加護とやらで魔力も抑えられているこの領域では十分に効果を発揮させることだろう

ロザリア >  
特に用があったわけではない
先日邂逅した狐とのやりとりでふとこの城のことを思い出し、
月の夜の散歩にと訪れただけ

ただ、この結界は僅かに吸血姫の興味を引くもので
広角が僅かにあがり、白い牙が覗く

「──この手の式ならば、こうか?」

生粋の魔術師であるロザリアにとって、難解なパズルをするようで面白いのだ
複雑に暗号化された結界の術式を一つ一つディスペルしてゆく

ご案内:「王都マグメール 王城外周」にキニスさんが現れました。
ロザリア >  
文字通り、パズルを解くように幾何学的な模様を浮かべてその周辺の結界が解除されてゆく

「ふふ、簡単な問題であったな」

一時的なもので、すぐに解除された部分は閉じてしまうだろうが

キニス > 「ロザリア=Ⅳ=キルフリート」

最上位の魔術師達が編み出した退魔の多重結界。
それをいとも容易く、さもパズルを解くかの如く解除する彼女の背後からそう声が掛かる。
高身長の三角帽子を被った男が外套を纏い、灰色の瞳で彼女を見据える。

「宵闇城キルフリートの城主にして白薔薇の君。アンデットロード。真祖…
 …こう、何だろうか。長寿の者は何故通り名が多いんだ?」

彼女へ近づきながら、臆することなくそう問いかける。
王城外壁に結界が発動したという観測があったのでいざ来てみれば、
余りにも有名すぎる吸血姫がそこに居るではないか。
特に身の危険を顧みず、彼女の前へとやってくればその容姿をじーっと観察する。

ロザリア >  
「──?」

声をかけられてようやく気づいた、といった風にそちらを振り向く
ツーサイドテールに纏められた金髪が月の光を照り返す

「…随分知られているようだな。
 王城の警護の人間か?…それにしては、一人だな」

エメラルド色の光を宿した瞳を細めて、男を見やる

「………いや、人間ではないな」

キニス > 「有名だからな。旅の先々でよくお前の噂を耳にしたものだ」

とても多くの魔王の力を吸収した怪物とは思えないほどの美しい容姿。
想像ではもっと荒っぽい姿をしていると思ったのだが…白薔薇と呼ばれているのはこの見た目からか。
エメラルド色の瞳で凝視されつつ、彼女の発言に反応する。

「…看破が速いようで。
 キニス・スタフティ。お前の言う通り王城の警護の者だ。
 こう見えても人間だ。…多分」

人間ではないという彼女の発言を否定する。
しかし、少し間を開けて自身無さげに多分と付け加える。
長く生きすぎた…いや、長い間死んだり生き返ったりを繰り返したせいか、流れる魔力の性質も変わっているのだろうか

ロザリア >  
食料を効率的に集める為、宵闇城キルフリートの噂は"意図的"に人間の国へと流されている
城主である自身の噂まで…というのはある程度想定の外ではあったが

「月の出ている夜に、吾の眼に捉えられて何事もない人間は少ないのだが。
 …まぁ、そう主張するのであればそういうことにしておこう」

口元に手を当てて僅かに北叟笑む
はっきりと明言しなかったあたりは、思うところがあるらしい

「して、警備に当っている人間だということは、
 これから城内を散策しようとしている吾を捨て置くことはできないということかな?」

キニス > 「…?そうなのか?…魔眼って奴か。
 まぁ、信じられないと思うが、そうしてくれ」

頬を掻き、ピンとしない様子で彼女を見据える。
彼女のエメラルド色の眼は魔の力が籠っている物だったかと予想すれば
楽しそうにほくそ笑む彼女とは対称にこちらは苦笑いを浮かべる。

「頼むからそれだけは勘弁してくれ。
 もし俺以外にお前の存在がバレたら大惨事になりかねんし、ここでお前を止めるって上の方々に約束しちまったし…」

彼女の要望に頼み込むようにそう告げる。
背丈の小さい彼女と視線の高さを合わせ、両手を合わせる。
「外周で我慢してくれるなら俺も付き合う」とそこまで嬉しくない特典を付け加えて彼女を止めようとする。

ロザリア >  
「……ふ、何だそれは?
 城へ侵入する魔族に対して入るなと頼み込むようなヤツは初めて見たぞ」

思わぬ申し出に小さな笑いが漏れてしまう
これで話も聞かない相手だったら一体どうしているというのか

「しかし城の外をぐるりと周ったところで楽しめるものでもないな。
 やはり、人間達が美しく飾った城内を見物しておきたいというところではないか」

キニス > 「普通の魔族相手にはそんなことはしないさ。
 お前の場合は賢くて融通が利きそうだから頼み込んでいるんだ。
 それに、力づくで追い払おうとしても万に一つの勝ち目もこちらに無いからな」

小さな笑いを漏らす彼女にそう告げる。
こちらもそれなりに多くの時間を過ごしてきた故、見識には事欠かない。
彼女が強大な力を持ちながらも、自らそれを律する理性もあることを理解していた。

「…と、言われてもなァ…」

顎に手を添えて、彼女の言葉に困った表情を浮かべる。
こちらは身分が低い故に、あまり王城に関して融通の利く対応を出来ない。
困った。出来れば彼女の要望を済ませて早々にお引き取り願いたいが…

ロザリア >  
「……そうだな、お前が別の愉しみを吾に与えてくれるならば、
 今宵の城内での散歩は切り上げてやっても良いな」

ぽん、とその小さな手を打つ

ようは暇潰しに現れただけである、
別のことで楽しめればそれで良いのだ

いくら人間が嫌いであると言っても敵意を感じられない、
なおかつ自称人間であるだけの目の前の男を殺してしまうつもりにもなれない

キニス > 「た、愉しみ?」

ぽんっと小さな手を打ち、妥協案を出してくれた彼女。
自分が愉しみを提供する流れになり、困惑気味にそう復唱する。

困った。さらに困った事になった。
自分の楽しみと言えば仕事と呑みと散歩、旅ぐらいだ。
とてもじゃないが、目の前の吸血姫に薦めるような楽しみではない。

「そうだな…お前に提供できる愉しみは…今のところ、俺の昔の話をするぐらいなんだが」

悶々とした結果出した答え。
それは自分の体験や経験を彼女に語ることだった。
とは言っても、莫大な量の経験になるため、色々とかいつまむ必要があるが。

ロザリア >  
「成程、さぞ面白い自伝を語ってくれることと期待しよう」

金色の魔力光が輝き、闇に色映える純白のテーブルと一組のチェアが現れる
月の夜、外壁の庭園にはそぐう見た目である

優雅に腰をかけて頬杖をつけば、男の語りはじめを待つ

キニス > 「おぉ」

彼女の魔力が動き出したかと思えば、テーブルと一組のチェアが出現する。
転移魔法だろうか?なんにせよ素晴らしい魔法を持っていて羨ましいと思いつつ、彼女の向かい側の椅子に座る。
さて、何から始めようか。と考え込めば、よし、と決まったように彼女の方を見据える。

「そうだな。…古い話になる。
 俺は元は探検家でね。遺跡の探索やお宝の発掘で生計を立ててた」

深く椅子に腰かけて、思い出すようにそう切り出す。
しんみりとした口調で言葉を紡ぎ、彼女へ自分の経験を曝け出す。
探検家であったこと、遺跡の探索をしていたこと、そして、灰の聖剣。

彼女が灰の聖剣についてどれ程知っているかは知らないが、とにかく、自分の知っていることを語る。

ロザリア >  
「ほう」

探検家
そういうことであれば噂に対して耳聡いのも納得がいく

この国にも遺跡や、お宝の噂のあるものはいくつもある
無論自分の城もその中の一つであるが

「その灰の聖剣とやらの話は吾も初めて耳にする。
 ──あぁ、こう見えてこの世界では新参のほうなのでな。
 どちらかといえば剣というよりも…術具に近い何かか」

男の話を興味津々のように聞き入る
愉しげに結界を解いていた様子も含めて、魔術的方面へ興味が突出しているようだった

キニス > (…この世界?)

彼女の言葉に引っ掛かる部分があり、心の中でそう復唱する。
となると、彼女は異世界の存在なのだろうか?
ぼんやりとそう考えつつも、今は自分の話だと即座に切り替える。

「そうだな。……実際の所、同化した俺本人も性質が良く分からん。
 お前がさっき人間じゃないように見えたのは聖剣のせいだろ。
 …ぶっちゃけ、死んでも生き返るなんて俺自身一番信じられねぇし…」

何はともあれ、興味津々に聞き入ってるようで安心する。
これなら彼女の要望通りに愉しませ、暇を潰せそうだと考えれば、魔術的方面へ話を広げていく。

ロザリア >  
「それは興味深いな。
 不死を体現した吾としてもその性質は面白い。
 どれ、軽く死んで見せてみよ」

からかうように言葉を投げかける
本気でないのがわかる辺りは、それなりに対話を愉しめているらしい

「しかしそうなるとますます聖剣というものがわからんな。
 話だけ聞けばまるで聖剣の加護というよりは呪いのようだぞ」

キニス > 「勘弁してくれ。
 死んでも生き返るが、しっかり痛覚は機能している。
 痛いのはマジで御免だぜ」

揶揄うような言葉に小さく微笑んでそう返す。
興味深いと彼女が対話を楽しんでいるとわかれば、安心すると同時に
何故だか彼女に自分の事を語るのが楽しいと思い始めている自分が居た。

「伝承によれば、俺が剣の所有者になるよりずっと前に作られたもんらしい。
 …神になりたいと願った人々の『祝福』が込められた聖剣だとよ。
 笑えるな。不滅こそが神になった証拠であり、幸福になれる唯一の手段だと考えている、愚かで短絡的な…」

彼女の発言を聞けば、少し険しい顔をする。
苛立ちと怒りが感じられる発言に自分でもハッとなって頭を抱える。
「いや、すまない」と彼女に告げれば、少し無理に笑顔を取り繕った。

ロザリア >  
「城の警護に向いているのか向いていないのかがわからんな」

痛いのがいやだと聞けば苦笑
怪我くらいはつきものではないだろうか、
不死身と考えればどう考えても危険な仕事は向いているのだけれど

「神になろうなろうとする人の想いなど執念にも似る。
 そんなもの呪いに相違ない。祝福や加護などといえば聞こえはいいが、
 肝心のそれを受けた人間であるお前がそんな顔をするのだから良いものではないな」

それでも笑う男
不滅の存在となって長く生きてきた故にできる芸当なのだろう

「解呪の手段を探さぬのか?
 更に長い年月をかければそれも可能かもしれぬぞ」

祝福や加護の類であれば自身の魔術ではまるで役に立たないであろうと理解した上で、そう声をかけた

キニス > 「誰だって痛いのはヤだろ?
 まぁ、元々デスクワークの向いている性格じゃないから、冒険者とか城での警護を選んだんだが」

不滅の肉体があるから、という理由が大きいが
こう見えてもデスクワークなどの地味な事務作業は苦手としている。
頭は悪くないんだけど、と苦笑いを浮かべる。

「そうだぜ…全く最悪だ」

大きな伸びをしながら、同調してくれた彼女に笑顔を見せる。
彼女もそれなりに長く生きているからだろうか。話が合って助かる。

「一応、世界中を旅してその手段を探してる。
 …体は何度でも蘇っても、やっぱり心は人間のままだ。
 今までの旅をこれまで以上の時間続けると考えれば、心が折れそうになる」

頭を抱え、発したのは弱気の発言。
本当の意味で死ぬことも狂うことも許されない、終わりのない旅。
精神こそ人間のままの彼の心がその旅に耐えられる保証は一切ない。

ロザリア >  
「そうか、吾は人であった頃の心などとうに捨ててしまった。
 お前を羨ましいとは思わんが、心が折れればその時は人であることを捨てる時だな」

思い悩む様子を見せる男を、どこか懐かしむような目線で眺めて

トン、と指でテーブルを叩けば、黄金に光る魔力の粒となって消え行く

「なかなかに良い暇潰しになった。
 人間相手に全く敵意なく話をしたことなど、いつぶりだろうな」

優雅な立ち振舞で腰を上げれば座っていた椅子もきらきらと消えてゆき

「また会うかどうかはわからぬが名前くらいは聞いておこうか、人間」

キニス > 「…まさか」

彼女の発言に腕を組んで小さく呟く。
人であることを捨てる時、即ち…それこそ、神か。
神になるなんて想像できないなと冗談交じりに思案すれば、フッと小さく笑う。

「そいつは良かった。
 真祖様が満足できるような時間を提供できてこちらも嬉しく存じます」

魔力の粒と化し消えゆくテーブルを見れば、椅子から立ち上がる。
暇つぶしになって良かったと安心しつつ、冗談交じりに紳士っぽい発言をして一礼。
椅子も同様に魔力の粒となり消えれば、軽く肩を回して彼女へと改めて自己紹介をする。

「あぁ、はいはい。
 キニス。キニス・スタフティだ。この街でしばらく冒険者として活動することになる。
 まぁ、何だ。よろしく」

ロザリア >  
「ロザリアでよい。
 様などつけて呼ばれるのは家臣達からだけで十分である。
 ……キニス、その名は覚えておこう」

言うと、ドレスの上にばさりと闇色のマントを羽織る
まるでそのまま闇に溶け込むようにしてその場から消えてゆく

後には小さな、黄金に光る蝙蝠が夜空へとひらひら羽ばたいて

『今宵は吸血姫の、城への侵入を食い止めたと誇り吹聴して構わぬぞ』

空から鈴のような声が降りかかり、やがてその蝙蝠も夜空の向こうへと姿を消した

ご案内:「王都マグメール 王城外周」からロザリアさんが去りました。
キニス > 「ロザリア、か。」

聞いた話とはずいぶんと違う彼女の印象。
とても怪物とは思えない優雅な立ち振る舞いや言葉遣いは改めて考えてみれば衝撃的だった。
呼び捨てでいいことを告げられれば、名前を復唱する。

「…あぁ、そうする。」

黄金に光る蝙蝠の声。
それを聞けば、小さく笑い、王城へと戻っていく。
吸血姫を食い止めたことを報告済ませる。

そして後日、何故だろうか…吸血姫に一人で立ち向かい、城への侵入を防いだという事になっていた。
変なように解釈されるも、それはそれで悪い気はしなかったので特に否定はせずに注目の的になったのであった。

ご案内:「王都マグメール 王城外周」からキニスさんが去りました。