2016/11/15 のログ
■アダン > 王女が穢され、辱められ、犯されていく。
そんな様を眺めながら、アダンはグラスを傾ける。
王城ですらこのような有様なのである。この国の腐敗は極まったということだ。
何せ、以前に王城で魔王を名乗るものと出会ったことすらあった。
既に魔族などの影響下にあるものたちもいるだろう。
アダンとしては、それらとの付き合い方を今考えているところだった。
魔族の女であれ王族の女であれ、アダンが考えるのは利用することと、欲望の対象にすることのどちらかではあったが。
「根回しはしておくか」
今舞台で犯されている王女の後の事に一枚噛もうと思いつつ、アダンは酒を煽る。
彼女を奴隷都市に売り飛ばす手はずならば簡単につけられる。
■アダン > 一人そのまま過ごし、アダンのシンパの者たちを見つければ、彼らの傍に行き、これからの陰謀について論を巡らせた――
ご案内:「王都マグメール 王城 地下サロン」からアダンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」にクラーラさんが現れました。
■クラーラ > 王城の宴は、大体が王族や貴族達が夜な夜な持て余した暇を潰すだけのものだ。
軍の関係者から誘われ、こうしたくだらない宴に参じることは在るものの、今日は自ら出向いた。
色んな金品が動き回るという宴には、珍しい刀剣も流れるという。
彼等が専らそれらを欲するにはただの所有欲か、ないしはインテリア程度の考え。
魔剣は、持つべき者が持つ物。
ある程度の金は軍の方から引っ張れると許可を得ると、パーティに向かい、こうしてテーブル席に大人しく座っている。
『さて次の品は……』
舞台の上で男がオークションを取り仕切っていく。
次に引っ張り出されたモノに、思わず目を背けた。
見た目こそきれいだが、散々に弄ばれ、心が砕け散り、人形となった少女だったから。
自分よりも幼い存在が、虚ろな瞳で一糸まとわぬ姿で立たされるのは見るに堪えない。
(「最低……」)
ぼそりと心の中で呟きながら、耳を閉ざしたくなる心地で入札の声を聞き流していく。
早く終わってほしいと願いながら。
ご案内:「王都マグメール 王城」にノーガルトさんが現れました。
■ノーガルト > 「………………。」
(忍び込んでみたはいいものの、ため息をつくことしか出来なかった。出来るだけ目立たないように物陰からオークションを見ているが、さっきから出てくるのは悪趣味にもホドがあるものばかり。)
『…失敗だったかもな、ノル。』
「いや、まだ無駄骨だったと決まったわけじゃないさ。」
(ダインの言葉に、あまり表情を変えずにノーガルトは頷いた。だが、普段から釣り気味の眼はいつも以上に釣りあがっている。こんな胸糞悪くなってくるような場所に、何故という想いが頭の中を駆け巡る。)
「世界中の金品がこの場所に集まってくるなら、もしかしたらお前達の兄弟も見つかるかもしれんだろ。」
『………見つかったら、この場所の人間を皆殺しにして、さっさと奪って逃げたいな…。』
(ダインの言葉に、ノーガルトはただ苦笑するしかなかった。)
■クラーラ > 幾らだったかわからないが、少女は貴族に買い取られていく。
人形のように愛でられるなら救いは在るが、性処理の道具にされるなら…彼女は死ぬまで地獄に居続けるのだろう。
金で作られた調度品、よくわからない芸術品、色々と商品が出ては消えていく。
その中で、刀掛台の様なものに載せられた剣が運ばれてくると、傍らにある魔剣が共鳴する。
『次はこちら、迷宮から運び出されてたという剣ですが、普通の剣ではなく、魔法の力を帯びているようです。ですが、どんな力なのか、どんな剣なのかはわかりません。第37王妃からの出品です、500ゴルドから』
真っ白な鞘に収められた剣は、鍔の部分が金色に染められている。
宝剣といった美しさもあるが、ブロードソードのような幅広の剣脊と長めの刀身は他の剣とは少々違った形状をしていた。
インテリアにしては高くないだろうかと思うのか、コールがかからない中、手を上げる。
『500ゴルド、他には?』
それを皮切りに次々と手が挙がっていく。
550.600.650.700……軍から金を預かっての入札とは言え、目にしそうにない金額のレートに目眩を起こしそう。
900で手を挙げると、場は一気に静まり返った。
他にはいないですかとコールが掛かる中、次に上げる手はなく、舞台の男が自分へと掌を向けた。
『900ゴルド、落札です!』
拍手の中、ほっと安堵の息を吐くと静かに立ち上がり、舞台へと向かう。
近づくに連れて魔剣の共鳴が強くなるのだが……なにかおかしい。
共鳴の力が強すぎる。
(「他に魔剣が……?」)
誰かが持っているのだろうかと思いつつ、辺りを軽く見渡す。
■ノーガルト > (目が完全に死んでいる少女は、さっさと売り払われていった。ノーガルトは軽い舌打ちと共に、その奴隷を引き連れていく小太りの貴族を横目に見る。)
『なあ、ノル。あの野郎、斬り殺してぇから俺を抜け。あんなヤツ、海のほうまで…』
「ディン、落ち着け。…そもそも、俺はこんなところにお尋ねものになるために来たわけじゃないぞ。」
(あくまで目的は、今背負っている二本の魔剣の兄弟を探すためであって、お尋ね者になるためじゃない。それを告げながら、ノーガルトは憤るディンを嗜める。次にかかったのは剣、しかもオークションの司会者が言うには、魔力を帯びている代物らしい。)
「…来たな、どうだダイン…?」
(ノーガルトは、少しだけ身を乗り出した。柱の影に少し、動く黒い影。)
『…いや、違う。俺達の兄弟じゃない。残りの俺達の兄弟で、剣の姿をしているのはハバキリだが、小さすぎる。』
(だが、出品されたものは目的のものではなかった。乗り出した身を、再び柱の影にもどす。どんどん釣りあがっていく金額に、さすが貴族の道楽だと飽きれる他ない。)
『逸れに、あの剣は魔剣ではあるが、俺達とは種類が違う。』
「…という事は、あの剣は完全に的外れだな…。」
(他に、剣がオークションに掛けられることを期待するしかないらしい。少し、ため息をつきながら柱の影で腕を組んでいる、背の高い黒外套の男一人が、クラーラの視線の隅に写る。)
■クラーラ > 辺りを見渡すと、柱の陰に潜む男の姿を見つける。
彼が持っているのか、それとも別の存在なのか。
ともかく、今はこの剣を運び出せるようにしないといけない。
運び込んだ箱を開くと、直接触れないように手袋をして丁重に箱へと移すと、機械のごとく箱が勝手に閉ざされていく。
魔法の印が紐のように箱を包み込むと、正しい所有者となるための手はずを踏まねば開かないようになっていく。
「ではこれで……剣は、練兵隊の詰め所にね?」
硬貨900枚ともなると、持ち運べなくなるので軍票の様なものを男へ渡す。
詰め所へと運ばれていく箱を見送ると、次のオークションが始まった。
今度は世界各国から集められた高価な香水だとか、またありふれた物に変わっていく。
自分のテーブルへと戻るように進みながらも、不意に道をそれて柱の方へと近づいた。
「……覗きには、つまらない…と、思うけど?」
ぼそりと静かに呟きながら問いかける。敢えて彼がいる方には視線を向けず、傍にある柱へと寄りかかった。
ここで彼を引っ捕らえる義務もない、問いかけたのは奇妙な覗き魔だと思ったから。
■ノーガルト > (探している剣でないならば興味を引くものでもなく、ノーガルトは柱の向こうから、封印が施された箱の中に仕舞われた剣が、どこかへと運ばれていくのを視線に収める。あっちになにがあるのか知らないが、一時的に物を収める場所、と適当に解釈した。)
「………ふぅ…。」
(そして、またありふれたものへと変わるオークションの品々。香水など男であるノーガルトがつけても、趣味が悪いだけだ。ならば次のオークション品は、プリンセス・アイオーン号という豪華客船の1/100レプリカ。運べるかそんなものと、顔をしかめる。)
『……どうやら、完全に外れのようだな。』
「そのようだな、気づかれる前にさっさと撤収するとしようか。」
(正規の手順をふんで、此処に来たわけではないノーガルトはばれて面倒なことになる前に、撤収しようとした。目的のものが出品されないなら、もはや此処にいる意味はない。踵を返そうかというところだった。)
「………!」
(しまった、気づかれていたか。柱の向こうから聞こえる女、クラーラの声に苦虫を噛み潰したような顔になる。ダインが、『ほれみたことか』と、悪態をついた。その声は、ノーガルトにしか聞こえないものだが。)