2023/03/20 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
■メイラ・ダンタリオ > ◆
王城 その空間はメイラ・ダンタリオからしてみれば作業の一端を担う場所でしかなくなっている。
野外屋外訓練場 戦場に赴く際の轡を並べる者らとのやりとり
必要な事柄にサインと印を施し、要求さえする。
嘘八百ならぬ誠八百 政治というものは清濁含めて成立さえすればいいものを
メイラを含める家系の頑なに変えない人生観は、勝手に憧れも恐れも、そして煙たがられもする。
有象無象の貴族らは関わり合った回数や出来事がなければ全て有象無象
眼を背ける者らに興味もなく、メイラは一人王城の中 暖気用の身軽な姿
ごってりとした服装すら好まない姿で、大小の刀を二本腰にするそれは
貌も知らない者からしてみれば冒険者崩れに見られることだってあるほどだ。
「…、…。」
そうやって黒鉄を身に着ける手指とブーツの小さな金属音の歩音
それが不意に立ち止まるのは、空位の席となった今、前王とすら言われる王の肖像の前。
生身に出会えない以上 王の姿を覗けるのは王城のこういった肖像画前だろうか。
大きな上 頭上に掛けられているからこそ、メイラは見上げる形で臨める分不敬でもない。
獰猛な赤い瞳は 寂しげで 空虚で 求めようとして求めない
本当のあの御方に対して 常々 地獄で再度お会いできたなら と口にしている。
「貴方様がたった一言」
刀の鯉口を左手指が包みながら、ギザ歯が口を開く。
「アスピダを変えてこいとおっしゃってくださるだけで
わたくしは幾千日も臨めましょう。」
それは王の声が欲しい、という乾いた気持ちだった。
声音すら独り言故に小さい。
このアスピダの勃発は王がお隠れになってからの出来事
継承争いに対する派閥が引き込むことができないメイラのような異物は
アスピダで前王に捧げる行為ことが最も望ましい。
今の連中が騒ぎ乞おうとも ピクリともこないのが現状か。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にミセス・ラプソディさんが現れました。
■ミセス・ラプソディ > 芯と鎮まり返った、王城の一角。その静寂にコツ、コツ、コツ…と、一切のズレすら感じられないリズムの靴音が混じる。
王の肖像画と、王に忠を捧げた血筋のみの空間に混じるは、喪服めいて黒を基調としたドレスに身を包んだ、金髪の貴婦人。
コツ、コツ…ヒールの音が止んだのは、見知った女が視界に入ったからか…何かを請う用に、陛下の肖像を見上げる友人を見つけても気まずいという感情は湧かなかったが、かといって彼女の忠義を知っている者からすれば、それに分け入ってまで声をかける程無粋でもない。
黙って通り過ぎる、ということも友人として不適切に感じた女は、結果…彼女の思索が途切れるのを待ってから、声をかけるだろう。
「ごきげんよう、メイ。」
無駄な言葉は付け足さず、ただ静かに見つめながら、ドレスをつまみ、軽いカーテシーと共に挨拶を…ここは王城なのだから。
■メイラ・ダンタリオ > ◆
想いだけで生き続けるような執着は 復讐 恋慕 遺言 狂気
メイラのような立場の場合 忠義 だけで生きている。
“騎士は七度主君を変えねば騎士とは呼べぬ”という 現実 の言葉がある。
七度立場を見極めて変えねば生き残れず 途絶える という戦場の言葉だ。
簡単な心変わりを示すのではなく、見極めろ というそれ
それに抗うようなケダモノになったからこうしている。
途絶えるという言葉とは程遠いところにいるくせに、乾いている。
王の思考を想って動き続けていても、時折は潤みたかった。
半魔とて人間からの派生 メイラが偶の拝謁を望み、こうして内側を再度燃やす
ルーティンというわけではないものの、珍しく静かなメイラがそこにはいた。
足音が一つ近づくころには、メイラは十分に王との謁見を終えている気持ちだった。
静かな足音 気を使っているのか視線だけで言葉はない。
身を整え、気持ちを整え、その赤い瞳は十二分に暗闇でも濡れるようにギラめいている。
ギザ歯から、静かに息を吐き、吸う。
古い気持ちを出し、新たな気持ちを吸う。
振り返れば、金髪でやや自身より小柄 魔道ではなく魔導で同じ高みにいる女がそこにはいた。
メイと呼ぶ声は親し気で、数少ない同性の友人である。
轡を並べるなら自然と男の方が多く、女は言わずもがな。
友人よりそっちが多くなってしまっていた。
「ええ、ご機嫌よう ラブ。」
メイとラブ 略銘で呼び合うミセス・ラプソディ
本名 ラブラティア=フェリエ=ノクターン
軍閥時代はメイラと同じように剛力で言わせた 魔導による肉体強化による同じ道を行く女。
人の形のまま化け物となった女でもあり、メイラが欲せず時折茶をする程度に収まった、珍しい女。
「珍しいですわね ラブ。 貴女が王城になどと。」
現役を尚継続している身と退いている身
誰かが観れば、怪力二人が揃っていると髭と皺が増えている者ほど、一度目に留めるだろうか。
近づくメイラが、ラブと軽く抱擁をしながら ぽんぽん、とその背中をたたく。
ガントレットの鋭い指先に恐れる者がいる中 手のひらで喪服のような黒い衣に振れたなら
二人は連れ立って歩き出そうか。 といっても、方向性もない ただこの広い中
歩きながら話すだけではあるものの、メイラという存在が通り過ぎる爵位の差がある者だとしても
不敬とは言えないだろう 触れたくない者といるミセス・ラプソディに対する扱いである。
■ミセス・ラプソディ > 5分10分は待つつもりでいたが、彼女が祈りを…己が称える陛下への拝謁を終えるのに、己が立ち止まってからさほど時間はかからなかった。
その視線には、覚えがある。会うことが叶わぬ誰かへの思慕。
彼女は陛下へ…己は、亡き夫へ。
そういう意味では、自分たちは同じ傷を持つ者と呼んでも良いかもしれない、なぞと……彼女を見つめながら思案していた。
そして、彼女がこちらに振り向くころには、自分もそんな感傷を終え、静かにただ彼女のみを見ていた。
そこには、己の知る戦友が変わらぬ笑みを浮かべている。
己は夫に寄り添うために軍を辞したが、未だ現役の彼女とは…今でも時折、茶を交わし、武器を交わす間柄である。
「えぇ…私も、折々の行事以外で城にまかり越すとは思っていなかったのですけれど……。」
さして表情の変わらぬ顔に、まるで困った…とでもいいたげに頬に指を添えた。
そんな自分に近づいて気安く抱擁をする彼女の硬いガントレットの感触も慣れたもので…凛と保たれた表情から感情はうかがえないが、その抱擁を当たり前のように受け入れているだけでも、知らぬものは目を剥く光景だろうか。
「軍から手紙が届きまして…軍に戻ってほしいとは言わないが、新兵を見てやってくれないか、と……戦場を離れた女に何を期待なさっているのかしらね。」
ふ、と…表情が崩れぬ程度の微かなため息。
何を今さら、軍を離れて何年経つと…という気分らしいが、新兵を死から遠ざけるための鍛錬を施す事自体に忌避感は無いのだろう、とりあえずは様子見に、脚を運んだとの事らしい。
目の前の彼女…ダンタリオとはまた違った誠…現役時代は「規律」を至高とし、目についた不正も腐敗も須らく踏み潰した女を呼び戻せば、要らぬ軋轢を生むと分かり切っていたからこそ、爛れた存在の増えた軍部も悩みに悩んだのかもしれないが。
当時を知っているものが観れば、この二人が共に歩く場面なぞ、胃痛を覚える光景ではあるかもしれない。
■メイラ・ダンタリオ > ◆
抱擁を終えた後 友人同士歩き始めながら喪服姿同然でも足運びは依然と変わりない。
ブランクや錆びつきも、時折同格と交えなければ弱い者いじめで弱ると常々言われているだけに
互いが汗を流すほどに行うものがあるせいか、覗く笑みは十分弱者への圧を感じた。
黒と黒 怪力と怪力が並んで歩く中 後輩 部下 訓練で揉んだ新兵
それらが頭を下げるのを通り過ぎながら、呼び寄せた理由には肩をすくめる。
「軍も学院も、OBを扱き使うことに変わりはありませんわね。
わたくしも、マリオ叔父様と轡を並べていることもあるけれど。」
規律を重んじる王道の騎士
正義と寛容を謡うつもりはないものの、必要悪や起死回生の一手でもない不正悪
肥え豚貴族の末路を嘆かせる理由には充分なラブの行動。
それは 死んだ英雄だけが良き英雄 と呼ばれるように途中で煩わしくなり始末される
堕としこむ事、それは既にメイラと共にあった存在感である以上不可能
殺す事 それはメイラと共にあった怪力である以上不可能。
殺すなら最低魔族を殺せるほどの力を幾つもそろえなければ成り立たない。
上司の前で手を擦る部下のように 人前でだけ襟を正せばそれでいいのなら
小さなプライドを捨てて利益を獲る貴族達は、全員見た目だけは良い子にしていた。
探偵のように粗さがしをする分類ではない二人は、見逃しもする。
目の前にいるから グー が飛ぶのだ。
「まぁ 脅威を学んだ者を幾つも送り込まなければいけませんもの。
クシフォス・ガウルスがアスピダにいる、となればね。
わたくしもすぐにタナールとアスピダですわ。」
此処にいるのは交代制 及び補給 及び治療 及び報告
小さな休みでしかないのだろう。 メイラの体は雰囲気でいえば
血の匂いが消えないうちに戻ることになる。
「だからラブで学ぶのはいい事でしょうよ。
わたくしよりは、マイルドなのではなくって?」
クス、と笑むメイラ。
重量武器を振り回す姿を想像しながら、メイラやラブより怖くない
それだけで新兵はアスピダで童貞を卒業しやすいのだ。
「わたくしも、此処にいる間は稽古を充分に積んでいるけれど。
偶にはラブと一緒に赴くのも有りかもしれませんわね。」
二人が揃えば 泣くことができなくなる 笑ったりできなくなる が揃うツーペアだ。
■ミセス・ラプソディ > 動と静を如実に表したような抱擁の後、歩きはじめる二人。
メイラの堂々とした靴音とは似て非なる、まるで時計の音のようにリズムが変わらぬ、静かな歩みは…それぞれでピリリと背筋が伸びるような雰囲気を思わせる。
「……あら、懐かしいお名前ですね。…目に浮かぶようです。」
懐かしい名前と共に戦場の記憶が脳裏をよぎり、僅かに口角が引きあがる。
微笑む、とすら行かない程度の表情の変化だが、彼女ならその違いに気が付くだろうか。
急な要請であったので、今日はドレス姿でまかり越したが、次からは軍服を仕立てなければいけないだろう。
ふさわしき場にはふさわしき衣装で…それもまた規律の内なれば。
守るべき規律を守り、任された任務をこなし、思いやるべきを思いやる…ただそれだけをできぬ者の存在が理解できない女は、だからこそ、害と思った者を潰す事を厭わない。
元より二人とも、苛烈ではあるが微に入り細を穿つような性格でもないので、目にさえつかなければ目こぼしがあるのが、まだマシなところだろう。
アスピダの名を聞けば僅かに眉根が動くあたり…退役した今でも、やはり軍人として思うところがあるのだろうか。
「…本当に、戦の種は何時になっても尽きないものですね。」
人である以上仕方のない事ではあるが、嘆かわしい…と言わんばかりにまたため息を一つ。
そのために若い命が一つ二つと散るのだから、また遣る瀬無い。
そう思うからこそ、今回の打診に前向きに返事をしに来たのだが…ドレス姿で来た自分を冷やかし、棒一本で地面を這う事になった昼の新兵達をメイラの言葉で思い出す。
「そうね、せめて夜会用のドレスを着た私の木剣を受け流せる程度には、育ってもらわなくてはいけませんわね。彼らはまだ若いのですもの。」
ただその木剣は、一撃でトロールの頭蓋をたやすく粉砕しかねないのだが…まぁ、それはそれだ。強くて悪いことはあるまい。
「まぁ、それは…良い案ではないかしら。…若い兵に私達の手合わせを見せれば、得るものもあるでしょう。
そういえば、先日珍しい茶葉が手に入りましたの、また都合が合えばお茶でもいかが?」
その言葉を漏れ聞いた古参の軍人が、一瞬で顔が青ざめたが、そもそも気にする二人ではない。
コツコツと、陛下の似姿から二人は遠ざかっていく。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からミセス・ラプソディさんが去りました。