2021/05/16 のログ
アルヴィス >  同じベンチに腰掛けた女性は、何か書き物を始めていた。
 視線の向けどころに少しだけ悩んだのは、監督する立場でもない限り、人の作業を覗き込むのは不躾であると、心得ているからだろう。
 ゆえに、それからはできるだけ意識を逸らし、視線は噴水へと流した。

「 うん。 だから──……楽な、姿勢をするために、一人の場所を探して… 彷徨っているよ? 」

 少し不思議そうな表情を白い面に浮かべ、僅かに首を傾げた。
 言外に、人がいるから楽な姿勢を取らないようにしているのだと滲ませる。
 それは自然と身についた習性のようなものだ。
 人がいるならば、装うことは常に必要となる立場でもある。好むと好まざるとに関わらず、人に見られることは常に意識していなければならないのだし。
 何気なく、月の光へと手を伸ばして、透ける白を眺めやる。

「 行儀、悪いところ……見られるの、ちょっぴり、困るから 」

 最後に付け加えた言葉には、ちょっぴり悪戯な色彩を載せて。

ソラム > 「そう...私の勘違いのようですね」

変なことを言って失礼と少年へ一言告げると、パタンとファイルを閉じ、体を反らしながら大きな伸びをすると少年の方へと顔を向ける。

「為にならないかも、しれませんが.....私から一つ、助言しておきます」

そう言ってフードの端を指で掴むと、少し上に上げる。月明かりに照らされて浮かび上がるのは、人とは思えない程白い、雪のような肌。目元の隠れたフードの影からは淡い赤色に発光する真紅の瞳が少年の目には映るだろうか。

「...“息抜きも、必要”...私から言えるのはたったこれだけです」

すぐにフードを下ろし目は見えなくなったものの、色白の肌は月明かりでそのまま照らされており、その口元には穏やかな笑みを浮かべているだろうか。

アルヴィス >  二度、三度、瞬きをしてから、少し困ったように唇は笑みを浮かべる。
 ひょこり、と弾みをつけて、ベンチから立ち上がり、くるりと軽やかに爪先で身を翻した。
 隣へと座った彼女へと、振り返り。

「 ──…… 蛍雪ならぬ、月明かりで書き物を続ける、キミに言われるのは、変な感じが……する、ね 」

 息抜き。この庭園で、それを為していない彼女から聞くのは、二律背反──ではないだろうかという微妙な疑問。
 とはいえ、視線を重ねて、その忠告に関してはありがたく受け取る様子である。
 淡い色の口唇が、ありがとう、と形作る。
  
「 じゃ。 忠告、受け入れて…… 息だけじゃなく、気も、抜いてくる。 キミも、根詰めないで、ね…? 」

 その二つが同時に叶うのは、王城の一角に与えられた個室の寝台でのみ。
 胸と背に手を当て、片足を引くようにして、淑女へと送る騎士の礼をとる。 少しばかりぎこちないのは、ご愛敬。

「 おやすみなさい。 蛍雪の御方── 」

 古語めいた謂れで熱心さを讃じ、名を知らぬ女性へとあいさつに代えて。
 少し照れ臭そうな笑みを浮かべて、少年めいた姿は、庭園を後にする。
 彼女の忠告に従い、朝までの『息抜き』を得るために。

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ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からソラムさんが去りました。
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ヴェレニーチェ > 今日こそは、と勢い込んで修道院を出ようとしたら、折悪しく雨が降り始めた。
それでも、懇意にしているシスターに薄墨色の外套を借りて羽織り、
ようやく辿り着いた広場の前、少女は思わず立ち竦む。

「………やっぱり、大きい………」

見上げる城門、荘厳な佇まいの王城。
その中に住まう人々はきっと誰も彼も、美しく着飾って、優雅に微笑み、
夜ごと、贅を凝らした宴に興じているのだろう。
質素なドレスと野暮ったい靴、という格好の少女は、あまりにも場違いに思える。
しかも、今日は雨に濡れた、フード付きの質素な外套に包まっている。
祖父が記してくれた、旧友たる貴族に宛てたという書状を胸に、
城門脇を固める守衛に、堂々と取次を願えば良いのだろうとは思うが、

「………どう、しましょう、……本当に、大丈夫かしら」

生まれてから一度も、王都に足を踏み入れたことさえなかった。
祖父の名前が、どの程度、知られているのかも判然としないから、
もしも怒鳴りつけられたり、門前払いにされたりしたら――――
そんなことばかり考えて、足が動いてくれないのだ。
このまま、こうして立ち止まっている方が、ずっと怪しいかも知れない。
そうでなくても、そろそろ、顔のひとつも覚えられ、
怪しい小娘だという触書くらい、回っていてもおかしくないが。

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エイブラ > (ときどき王城へと登城し、沈没船で回収した宝物を
納めることで収入の一部を得ており、今日もその用事を終えて
さて帰ろうかと想い城門から外へと出てくる。
そして外套を羽織り質素なドレスを着た少女の姿に気が付き首
を傾げてそちらへと近づいていく)

「こんにちは、お嬢さま。何かお困りごとですか?」

(少女へと声をかけて、こちらを向いてくれれば片手を己の胸
にそえ、反対の手を後ろ手に腰に回し一礼をする。
それから顔を上げては静かに優しげな笑みを浮かべて)

「初めまして、私はエイブラと申します。
もしお嬢様がお城の方に御用がおありでしたら私の方から取り
次いで頂けるように手続きさせて頂きますが、如何でしょうか?」

(どこか困ったようにしていたことから、城に用事があったも
のの声をかけるのを躊躇しているように見えた為、自分が取り
つぎましょうかと尋ねる)

ヴェレニーチェ > 天候のせいか、城門前の広場に人影はあまり無く。
それだけに、ぽつんと佇み城を見上げる少女の姿は、それなりに人目を引いただろう。
しかし、当の本人はと言えば、どんな意味でも、自分が目立っている自覚は無かった。
――――不意打ちめいてかけられた声に、びく、と大きく肩を揺らして、

「え、あ、あのっ、……わ、私、っ………?」

見ず知らずの男の人、しかも、優雅な一礼から顔を上げれば、
すらりとした背の高さが際立つ相手。
刹那に頬を紅く染め、おどおどと挙動不審になりながら、
半歩、後ずさりさえしたけれど。

「あ、……お城で、働いてらっしゃる、ん、ですか……?
 でしたら………え、と、あの……」

ごそごそと外套の懐を探り、一通の書状を引っ張り出す。
深紅の封蝋が施されたそれを、躊躇いがちに差し出して、

「私、……スフォルツィ男爵の、ま―――――娘の、
 ヴェレニーチェ、と申します。
 そ―――――父、から、書状を、預かってきたの、ですが、あの……」

たどたどしい口調は、自分が対外的には、お祖父さまの『娘』であることを、
このタイミングで、辛うじて思い出したためでもある。
そうして、続けて口にするのは、とある貴族の名前。
お祖父さまが王都に出入りしていた頃には、王族の覚えもめでたい人物だったらしいが、
―――――果たして、今はどうか。
そもそも目の前の人物が、善意の第三者であるかどうかも、この時点では不明である。
少女のほうはすっかり『そう』だと信じ込みつつあるが。

エイブラ > 「驚かせてしまって申し訳ございません。
何かお困りの御様子でしたのでお声掛けさせて頂いたのですが。
私はいわゆる御用商人のようなものですが、何度も登城させて
頂いておりますので、取次係の方とも顔馴染みになっておりまして」

(驚かせてしまったらしい相手に謝罪をし、城で働いているの
かと問われれば御用商人であることをつげる。
そして男爵の娘と聞いて、差し出された書状を受け取り封蝋を
確認してから宛先を見て)

「スフォルツィ男爵様のご息女様ですね。
では少々拝見させて頂きます……なるほど、この方でしたら私も
何度か取引させて頂いておりますので、宜しければご案内もさ
せて頂きましょう。
ご一緒させて頂きますので、参りましょう?」

(言えばこちらです、というように手で指し示して入城手続を
行っている受付へと向かいゆっくりと、相手の歩調に合わせて
時々振り返って確認しながら案内し始める)

ヴェレニーチェ > 丁寧な謝罪の言葉に、少女は慌てて、ぶんぶんと左右に首を振る。
フードが頭から滑り落ち、柔らかな蜂蜜色の髪が露わになるほどだ。

「いえっ、私が、……あの、私のほうこそ、失礼を……、
 ――――――御用、商人、さん……?」

商人、という単語から、少女がイメージする外見とは、
どうにもかけ離れた印象の強い相手だが。
田舎娘の想像力など、所詮たかが知れている――――恐らくは王都で、
城に出入りする商人ともなれば、立ち居振る舞いが洗練されているのも当然なのだろう。

かくして、疑うということを知らないような少女の手から、
書状は相手の手に移る。
どうやら相手も知っている名であったらしい、案内してもらえる、となれば、
まだ幾らか緊張に赤らんだ頬のまま、ぱっと相好を崩して、

「え、よろしいのですか……?
 は……はい、よろしく、お願いします……!」

ぴょこんと頭を下げる仕草さえ、何処か子供じみて見えるだろう。
ほっとしました、お会いできて良かった、などと、弾んだ声で口にしながら、
やや小走りに、男について歩き出す。
案内される先に待つのが、お祖父さまの旧友、信頼に足る人物だと、
疑いもせずに信じたままで――――――。

エイブラ > <<場所移動の為、退室致します>>
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