2021/04/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にロブームさんが現れました。
■ロブーム > 豪奢な調度品に彩られた部屋の中、二人の男が話をしている。
一人は、燕尾服を着たでっぷりと太った男。
そして、もうひとりは随分と豪奢な宮廷服を着た、それでいて目の前の男とは対照的に痩せた男だ。
見た目にかけられた値段としては、痩せた男の方が明らかに高いのだが、しかしその体型や、何よりにちゃりとした油染みた笑みを浮かべる太った男の表情は、彼こそがこの場の主導権を握っていることを雄弁に語っていた。
「――戦闘能力を持つ者三十人。美しく、肉体的に清らかな人間が十人。ある程度以上の技能を持つ娼婦十人。計五十人を頂きたい。
具体的な人材の選定は、我々で行う。
――五十万ゴルトの対価としては破格と思われるが、如何かな」
『う、うううう……!』
この痩せた男は、とある小王国の王である。
王、といってもその領土は、マグメール王国の貴族程度のもの。
その領土自体も、決して豊かではない。むしろ、最近の政治の失敗や、無理をして輿入れさせた王妃の浪費により、財政は落ち込んでいる。
売るものがない、彼に残されたたった一つの手段は――"国民を売り物にする"事だけだった。
尤も、幾ら他国とはいえ、正当な理由のない奴隷売買は、立派な犯罪である。
それをまさか王城で行うなど、普通の神経ではない――が。
「(姿かたちを幾らでも変えられる私としては、バレたとてどうということはない)」
寧ろ、わざとこの商談に繋がる手かがりを残して、解る者には解るようにしているぐらいである。
そうすることで、有能な者に見つけてもらい、新規の客を得ることも出来るだろうし、何より。
「(もし、その手がかりを見つけたのが美しき心を持つ女なら――それはそれで楽しみもあるから、な)」
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にソラムさんが現れました。
■ソラム > 「~~♪」
鼻歌を歌いながら王城の廊下を歩いているのは、紺色の外套を羽織った小柄な人影。
外套がはためく度に白と金の2色で彩られた服が見えるだろうか。
フードが捲れる雰囲気はなく、その中からは血よりも濃い赤い瞳が覗く。
「また来ちゃった、けど」
相変わらず綺麗な内装だと呟き、足を進める。
一度目は忍び込んだ形だったが、今度は服装も改めて来ると、あっさり通してくれた事に疑問を持ちつつも王城に入ったのだった。
「(まぁ、お金は腐るほどあるし、いいか)......?」
ふと耳が何かの音を捉える。
ボソボソとだが、確実に捉えたのは、二人の人間の声。
その方向に足を向けると、先にあったのは1つの個室。
個室の扉付近の壁に寄りかかると、耳を傾ける。
暗殺を行っていた賜物で気配を遮断し切る。
盗み聞きは悪いことだと重々承知している彼女だが、好奇心が勝り、紡がれているであろう会話に集中する。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からソラムさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にソラムさんが現れました。
■ロブーム > 彼女が耳をそばたてると、まだ商談は続いていた。
声だけ聞いている限り、二人の姿は解らないだろうが、それでも一人が声を荒げているのを、もうひとりが余裕を以て受け流しているのが解るだろう。
「せめて、七十……いや、六十五万にはなりませぬか。
こちらも、掛け替えのない臣民を売る以上、せめて国を建て直さねば、彼らにも申し訳が立たぬ……!」
「おやおや。今まさに我々は貴公の民を金に掛け替えをする話をしていると思っていたのでしたが、どうやらこちらの勘違いでしたな。では、この話は……」
「ま……待て……!」
その内容は、明らかに不法な奴隷売買を暗示するもの。
此処まで声を荒げていると、やもすると耳を傾けずとも聞こえてしまいそうだが、しかし何らかの魔法がかけられているのか、一定以上大きくなって外に響くことはない。
そんな魔法が使えるならば、完全に声を遮断することもできそうなものだが――。
「さてさて。それでは、商談を詰めましょうか。
貴方の国民を奴隷に掛け替えるための――ね」
皮肉げな笑いと共に言われる言葉は、どう聞いても違法行為でしかない。
実際、彼はわざと言ったのだ――外にいる誰かに、今行っている話がどういうものかを聞かせるために。
■ソラム > 「(国民を....奴隷に...?)」
そんなことが可能なのかと自問するが、当然返答は返ってくることはなく、そちらへ思考を向けたくなるが、彼女は衝撃的なことに気がつく。
「(今、私に告げたようにも....。私の存在に気がついている?)」
少女は少し混乱に陥るが、それもすぐに収まる。
先ほど、余裕をもって受け流していた男から発せられた内容から察するに、自身の存在は丸見えに等しいようだ。
「.....わからないと思ってたんだけど、ね」
腹を括り静かに姿を表す。
今は目元がフードで覆われ、男か女かは判別がつかないだろう。
______尤も、それは人間のお話であるだろうが。
■ロブーム > 国民を奴隷にする、というのは難しいことでは実は無い。
要は、適当な冤罪をでっちあげて、牢に入れる代わりにこっそり奴隷商人に引き渡してしまえば良いのだから。
実際、貴族が税を払うため、自分の領民を売り払うという前例はある――王族がそれを行うのは前代未聞だが。
「いや、君は実際良くやっていたよ。
私が気付いたのは、単にこの部屋にちょっとした魔法をかけていたというだけの事。人間相手なら……まあ、大抵は気付かないだろう」
実際、彼は気付いていなかった様だしね、と言って、先程まで話し込んでいた、痩せた男を見やる。
彼は、突如現れたソラムに、腰を抜かした様で、「だ、誰だこの子供は!?何処から聞いていた!?」と喚いている。
「見苦しい……」
太った男は軽蔑の表情でぼつりと呟き、それから、椅子ごと身体の向きを変えて、彼女の方に向き直る。
その表情は、痩せた男に見せたのとは打って変わって、にこにことした、それだけ見れば人好きする様な笑顔だった。
「さて、君には選択肢がある――一つは、何も知らぬフリをして、此処から逃げることだ。尤もその場合、この事が外に漏れた場合、君をただで済ませる訳にはいかないが。
そして、もう一つは――私と戦い、我々二人を官憲に突き出す、という選択肢」
立ち上がりもせず、それがもし成れば自分自身も破滅するような選択肢を告げる。
にこにことした表情を崩さずに――。
「さあ、どうする?君の事だけを考えるなら前者をお勧めするが――後者を選んでくれたほうが、私も楽しめて有り難いのだが」
■ソラム > 戦うという言葉にピクリと顔を少しだけあげるが、すぐに思い留まる。
「(勝負内容がわからないから用意にはいとは言えない...けど)」
僅かな葛藤悩み少しの沈黙のあと、勝負を持ちかけてきた男性に視線を向けると、
「.....その勝負。受けます」
そう伝えるだろうか。
戦闘気質なのは種族として仕方ないのかなと思いつつもどんな内容かにもよるけど、と付け足すだろうか。
■ロブーム > 「おや。受けるとは思っていたが、まさか奇襲などもせずに内容を問われるとは。
私としては、いきなり攻撃されても構わない、ぐらいの心持ちだったのだがね」
と言って、フム、と一息。
男としては、いきなり襲われても、何ならこの場で衛兵を呼ばれても全く構わないつもりでいたので、これは少し予想外だった。
その場合、商談相手の命はどうなるか解らないが――それは彼にとっては優先順位が低い事柄である。
「では、そうだな。そういうことなら、場ぐらいは整えるとしようか。私としても、邪魔者がいる状態で"遊ぶ"のも、あまり気乗りしない所ではあったからね」
ぱちん、と指を鳴らす。
すると、突如として、周囲の風景が一変する。
豪奢な王城の客室から、コロッセオの様な場所に。
ダイラスの闘技場のようでもあるが、しかし壁の朽ち具合からして、明らかに整備がされている雰囲気ではない――どちらかというと、コロッセオ風の遺跡と言った方が正しいだろう。
そして、そんな大胆な空間移動を行った男はと言えば、未だに先程の椅子に座ったままで。
「此処は、無名遺跡群の一部であるコロシアムだ――さほど王都からも離れていない。
君の足……否、翼か。ならば、容易に戻る事も可能だろう。
そして、勝負の内容も、この場なら一目で解るだろう?」
そう言った男の手には、いつの間にか金色の杖が握られている。
蛇が十字架に巻きつけられた様な意匠が先端に施されているそれを握りながらも、しかし男は未だに椅子から立ち上がろうとすらしない。
「尤も、まともにやりあったら勝負にもならないだろうからね――ハンデをあげよう。
私は、この椅子から座ったまま、相手をさせてもらう。
更に、私を倒すのは勿論、椅子を破壊しても君の勝ち――これなら、多少ゲームにはなるだろう」
まるで――或いはまさに逆鱗に触れるような言葉。
だが、その言葉には確たる自信が含まれており、単なる挑発では無い事は解るだろうか。
■ソラム > 「......挑発的な言動は腹立つ、けど」
それなりの自信はあるようだね、と男に問いかけつつも、心臓にかけていた制限を解除し、龍血を全身に循環させて身体能力を向上させる。
外見に変化はない。だが雰囲気が少々変質するだろうか。
「......(油断したら駄目、かな)」
いざとなったら完全解放しようとプランを立てつつ、相手がどう出るか、外套の中で赤い瞳を光らせ、相手の出方を窺うだろうか。
■ロブーム > 「ふむ……動かない、か」
敢えて、こちらから動かそうという事だろう。
あちらは竜人……その身体能力を以てすれば、多少の攻撃は回避できるし、カウンターも狙える。
悪くない手ではある。だが、しかし、それは同時に戦いの主導権をこちらに譲り渡す事にもなりかねない。
「(まあ、こちらもいきなり終わらせるつもりもない……。まずは、私とまともに戦う資格があるかどうか、見定めるとするか)」
そう言うと、杖を横に一振りする。
すると、その杖の軌道から、鉄でできた輪が四つ、宙に浮かんで現れる。
それらは、がちん、がちんと歯を打ち鳴らすように開閉する。
まるで、腹を空かせた犬のように。
「まずは小手調べだ。『噛み付く枷(バイト・ケーン)』」
それらは、一斉にソラムの手足に噛み付く様に、襲いかかる。
実際には噛み付くのではなく、寧ろソラムの手首を拘束する為に、手足に嵌ると言った方が適切だ。
それらは一度嵌ってしまえば、空間に固定され、彼女の動きを完全に奪うものだが――
■ソラム > 「(拘束系の魔法...).....厄介なモノ、ね」
凶暴な犬のように襲いかかってくる四つの鉄製の輪に捕まらないように、且つ手刀や踵で後側を叩き強制的に方向転換させ、いなしきる。
「(これは機動力と拘束力があるものの、叩くことは容易ってことか)」
いなし続けながら心の中で自分なりの考察を整理する。
輪が一度離れ切ると本来よりは小さい翼脚を広げ、コロシアムの端まで飛び、壁に着地する。
その拍子に外套のフードが後ろへあおられ、幼さの残る顔が露見する。
無論、その額から生える3本の黒いツノも、血よりも濃い赤い瞳も見えてしまうだろうか。
■ロブーム > 「ほう。素晴らしい身体能力だ」
下手をすると、手首や足首を逆に捉えられかねないが、そこを上手く見極めて叩いたのは見事と言う他ない。
そして、フードが外れ顕になった顔を見ると、
「ほう。これはまた、随分と可愛らしい」
額に生える三本角など、まるで見えてもいないかの様に、そう評する。
元より、相手が竜である事など、見ただけで理解している。
だが、あちらが竜ならばこちらは魔王。
魔の王――当然、竜ですらその統治下とするものだ。
「さて、それでは少しばかり、強度の強い下僕を出すとするかな……それ」
今度は、杖頭で地面を叩く。
すると、そこから巨大なミミズの様な魔物が地を裂いて現れる。
ミミズは、宙に飛び上がってはまた地面を潜るを繰り返し、そして、ソラムの立つ地面から現れる。
当然、反応が遅れれば、ミミズの口内に飲み込まれてしまうだろうが――
■ソラム > 「......」
口元にフッと笑みを浮かべた直後、ミミズのような魔物が少女を飲み込むだろうか。
ミミズのような魔物が男の方へ戻ろうとすれば、その動きがピタリと止まってしまう。
「...なめる、なぁ!」
そんな声が聞こえたかと思うと、少女を飲み込んでいたミミズのような魔物の頭部がパァンと爆発するように爆ぜるだろうか。
魔物の血肉が飛び散るなか、空中で制止している少女がいるだろうか。
その姿は銀色の鱗で全身が覆われ、双眸の左目は赤から白に変化しており、その黒いツノの一部が赤くシミのように輝いているだろうか。
その瞳は冷徹、且つ冷静に男の次の手を観察するだろうか。
■ロブーム > 「並の冒険者程度なら束になっても屠れる程度の強さはあるのだがな。五分経たずか」
さして、驚きもせずに男は言う。
その間も、彼は全く動いていない。彼女が空を飛んだとき、その方向に合わせて椅子の向きが変わったりはしたが……
「さて、と。とはいえ、これでは並の魔物は相手にもならんな……」
そう言うと、男は杖を振るう――今度現れたのは、巨大な柱の様な魔物である。
但し、その表面にはびっしりとした灰色の触手が生えており、ぬたくっている。
その高さは、闘技場の一番高い観客席を更に超えるほどの高さで――
「薙ぎ倒せ。【のたうつ天柱】」
そう言うと、空中の彼女を薙ぎ払う様にその柱が振り回される。
動き自体は単純だが、勢いと速度が凄まじい。
風切りで、コロッセオの砂が舞い上がる程である。
その中でも、男の衣服はまるで汚れる事もなく、眼に砂が入るという事もなく、ゆうゆうと肘掛けに肘をついて彼女の戦いを見物している。
■ソラム > 「(高みの見物って奴....?)只の人間じゃ、ないね。あの男」
それはそうと、と言うと音速に近い速度で振り回される触手を紙一重でかわすが、触手の先端から飛ばされた小石で目元を切り、血が涙のように頬を伝う。
「.....もっと」
男には聞こえないであろう距離でそう呟くと、翼脚で根元付近を掴み回転を止めるが、その代償に翼脚の爪が欠けて吹き飛ぶ。
「.....もっとだ」
ツノの一部がさらに赤く、黒を侵食する形で広がりつつも輝きは収まるどころか輝きを強めていくだろうか。
右手を拳で振り上げると、柱に殴り付ける。砕けなかったら左拳で殴り、それでも砕けなかったら再び右手で殴る.....。
狂ったように殴り続けながらその威力を上げていくだろうか。
威力を強める度にツノが深紅に侵食されて光輝き、やがて白い稲光がツノの間でバチッバチッと散るのが男の目からも見えるだろうか。
■ロブーム > 「ふむ……?」
何やら、様子が変わったと感じる。
触手の柱は、全体が柔らかい触手で覆われているため、そう簡単には壊れない。
だが、それでも威力が強まるごとに、その奥にダメージが入り、やがて血しぶきが上がる。
触手で守らているがゆえに、その奥の表皮は柔いのだ。
尤も、だからといってやられっぱなしという訳ではない。
近づいたならばこれ幸いと、表面を覆う幾本もの触手が彼女の動きを封じようと手足を拘束しようとする。
「(まあ、竜があの程度で拘束できるかは分からんが……)」
それより、あの光。
何らかの力が込められているのは容易に想像がつく。
流石に、ロブームを殺せるほどの力ではなかろうが、しかし。
それでも、どれほどの物になるのか、興味はある。
「さて、そろそろ私に攻撃を届かせてくるか、それとも……」
■ソラム > 「......っ!」
拳を振り上げた直後、背後から迫っていた触手に絡み付かれるが、赤熱と化していた少女の拳に触手が触れた直後、ジュッと言う音と共にあっさりと溶解していくだろうか。
「ら、ぁぁぁぁぁ!」
彼女が普段は出さない裂帛の叫び声をあげ、殴り続けてヒビが入っているであろう根元に渾身の一撃を叩き込むと、その殴ったところから丸く穴が開く。
開けたあとの柱の破片にはいつの間にか彼女のツノから流し込まれた純白の稲光を纏って彼女の周辺を漂っている。
「....飛んで行け」
目を細め、彼女が無造作に手を横に払うと、その破片達は生きているように飛び、手始めに触手たちに穴を開け、上空からは白い稲光を纏った破片、男の座る真っ正面からは赤熱化して火の玉のように火で包まれた破片の群れが飛んで、または降ってくるだろうか。