2019/09/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城/バルコニー」にシェスティン・エルミニアさんが現れました。
シェスティン・エルミニア > 「はぁ……どうしてこう、私は意気地がないのか……」

いかにも物憂げな顔で、バルコニーに出てくる一人の貴婦人。首から上を見ればいかにも上品で若々しく、そして清楚そうな顔が目には入るだろうが、首から下は肩と背中、そして胸の谷間部分も大きく開いた娼婦のような格好だ。というより、実際に彼女は娼婦で、その事を知っているものもこの城には少なくない。そして、その娼婦は今宵も『客』を求めていたわけだが、

「……相手を選んでいる暇などないというのに……」

小さく呟いて、しかし、貴族の男達の下卑た視線を思い出すと、どうしても彼らに抱かれようという気にはなれなかった。その視線は、彼らの性質というより、自分のこの格好が招いたものなのだということもわかっているのだけど……。
自己嫌悪に陥りそうになっていたとき、先客がいるのにようやく気づいて、

「……ごきげんよう。星を、見てらしたのですか?」

小さく会釈して、笑顔を作って見せた。

クロニア > 燐寸を箱の壁面で素早く擦るとポッと音をたて小さな火が点る。
その火が消える前に煙草に似た何かの先端に火を移すと燐寸は辺りにポイと投げ捨て、
靴底でグリグリと踏み潰して火を消して燐寸をすり潰す。

――…其処で来客に気がつき、ご禁制のそれを吸う前に唇に咥えた姿で軽く会釈を。

「……どーも、アンタも会場の熱気で酔ったのかい?それとも………。」

言葉を区切る。
会釈で軽く下げた顔だが顔を上げると同時に視線は確りと後入りの客の足元から露骨に値踏みするような眼差しを注ぎ、
足元に脚に腰に腹部に過剰に開かれた胸元に向けて……。

「ああ客探し、っても……何だ、いや、そう星を見てた。」

続けて繋いだ言葉はちぐはぐで継ぎ接ぎ。
舌先で濡れた煙草に似たそれが滲み出す成分で僅か意識が弛んで、
故に後入りの客の返答と挨拶をしなくてはいけないという思考がぐちゃりと混ざった。

それも最初の一吸いだけで後は耐性のあるお陰で誰かと会話する程度は出来る。

その分深く楽しめないが、それもまた何時もの事。

シェスティン・エルミニア > 「……ふふ、申し訳ありません、こんな格好で」

目の前の彼が、こちらの身体をあからさまに観察していたのにはすぐ気づいたが、今さらそれを批難できるような立場でもないし、なんなら、それほど不快に思ったわけでもなかった。
それよりも、今はとにかく会話がしてみたい。そう思って、

「星は、私も好きです。ほら、これをご覧になって」

そう言って右手で軽く自分の髪を漉き上げるような動きをして見せると、小さな……しかし宝石をちりばめた金の髪飾りが小さく揺れる。

「これも、星をイメージして作らせたものなんですよ。私の髪の色を、夜空に見立てて。ふふっ」

最後に小さく笑ったのは、まるでわざわざ高価な品を自慢しに来たかのようになってしまった、という自嘲だった。

クロニア > 舌先で濡らしたものを深く咥えなおし、
軽く煙草に似た何かを吸い上げて甘ったるい特有のそれの味を堪能する。

濃厚なご禁制の香りが肺に溜まり、鼻腔を抜けると少しだけ冷静になれた。

と、人と話す時はモゴモゴと喋るわけにもいかずと……
人差し指と中指で指咥えているそれを挟んで口から抜いて、
同時に文字通り薄ら紫色の紫煙を相手にかけぬように夜空に吐く。

「……とスマンね。服装に関してはオレも正装には遠いからな、お互い不問って事で。いや何、服装よりもだ。」

少しだけトロリとした碧眼を瞼を閉じて隠し、直ぐに開くと普段と変わらぬ輝きを戻して、
彼女がそうしたように誰かと対峙してるのにそれを止められない捨てられない自分に自嘲気味に笑う。

何はともあれ一つ一つの仕草が妙に様になる娼婦にしては気品の欠片が見えるのが気になるが、
あくまでも相手が娼婦だと言い切るだけの証拠も無く、
問い詰めるのも無粋であるので続けた言葉は緩い笑みを湛える口元で紡いで、
彼女の自嘲も見せる自慢話の髪飾りへと向ける。

「……中々の一級品じゃないか。オレの趣味ではないが、アンタの髪色と合わさると悪くはない。空を見上げるより手軽に夜空を楽しめそうだしな。」

相手を侮蔑に嘲笑と言葉を並べるのは得意だが、
褒めるのに慣れてない言葉で不慣れに褒めてみせる。
だから会場では喋らず笑顔を振り撒くだけにしていたのだった。

シェスティン・エルミニア > 「そうですね、服装ひとつ取っても、人には考え方や、事情というものがありますから」

また自嘲気味に笑いながら答える。不器用なところがあるように見えるが、優しい人のようだ……と、思った。実際にどうかはともかく、そういう印象を受ける。
だから、彼が髪飾りを……そして、自分の髪を誉めてくれたのも、社交辞令だなどと冷めた受け取りかたはしないよう努めて、改めて恭しく頭を下げる。

「ありがとうございます。……その、貴方が吸っているのは……」

そうしたら、今度はこちらから彼のことに関心を向けるのが礼儀だろうと思ったのだけど、話題として注目すべきものとして最初に目に入ったのが、彼の持っている煙草…とおぼしきものだった。

クロニア > 褒め言葉が通じたようでホッと胸を撫で下ろしたいが、
其処はそれ表情には欠片も出さず、再び煙草に似たアレを咥え直す。

――折角火を点したのだから最後まで吸わないと勿体無い。

次に紡ぐ言葉が煙草に似たアレを咥えながらの器用な言葉で。

「ああコレか?コレはアレだアレって奴だよ。まあほら吸ってる奴と一緒に居るところを見られると、迷惑か掛かるしアンタを見て夜空を眺めるのも十分堪能できたから、オレはこっそり別の所で吸ってくるわ……。」

で、言葉を紡ぎ終えると深くその甘ったるい何かを吸い上げて肺を満たして、
再びトロリと濁り蕩けた眼になると寄りかかっていたバルコニーの背もたれを肘で押して姿勢を正し、
鼻歌を歌いながらバルコニーからもう一つの穴場に向けて、
歩き出すのであった。

ご案内:「王都マグメール 王城/バルコニー」からクロニアさんが去りました。
シェスティン・エルミニア > 「あ、ちょっと……」

と、後を追いかけようとして、なぜそこまで彼に付きまとう必要があるのか、と冷静になった。どうやら何か事情があるのだろう、ということは察せられたのもあって、

「……まぁ、また会うこともあるかしら」

と、小さく笑うと、こちらもバルコニーからは立ち去ることにする。今夜もまた、誰か『客』でも取らないといけないのだから。

ご案内:「王都マグメール 王城/バルコニー」からシェスティン・エルミニアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にヴィルアさんが現れました。
ヴィルア > マグメール王都、その王城。
その廊下を歩くのは、金髪碧眼の美男子。
今夜は珍しく護衛もつけず、静かに歩を進めている。
既に他貴族や、自分が会える範囲の王族との会談は終わり。
後は本邸に帰るだけなのだが、どうにも気が重い。

王族の血を引いていない彼としては、より自分の将来…
あるいは自分の跡継ぎのためにも、貴族内での地位を確立したいところだが。
貴族ではなく商売人、と揶揄される通り、あまり貴族内では評判は良くない。
ここで有力な貴族とパイプを繋げれば…その相手にも利益を渡しつつ、自分も安泰になるのだけれど。

(そう、うまくはいかない、か…)

ふ、と自嘲しながら大廊下で少し立ち止まり。
多数設置されている豪奢な窓にもたれかかる。
夜となっても未だ消えない、むしろ輝きを増すマグメールの街を見て。

(もう少し、活動圏を広げ、諸侯にアピールすべきか。…人員の確保が問題だな…)

仕事のことに頭を悩ませつつ、他貴族の侍従などに不思議そうな目で見られながら、大廊下で佇んでいる。