2019/01/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 広間」にレナーテさんが現れました。
レナーテ > 普段なら優雅な音楽とともに王族や貴族がステップを踏み、美酒美食に酔い痴れる一幕に興じる場所。
だが、今宵は少しだけ様相が異なった。
ミレーの少女達が、来客に給仕をするというのはよくある光景かもしれないが、少女の方は組合の紋が入った制服に袖を通しており、音楽は流れても踊る人は誰もいない。
大体は軍属か、若しくは商人の類であったり、その関わりの貴族、もしかしたら王族もいるかも知れないが稀な方だろう。
なにせ振る舞われているのは、麦色の凹凸の多い質素な板切れ状の食料と、窓際に突貫作業で拵えられたスペースで作られる戦場の料理。
どれも味は美味い方だろうが、到底上流階級が好んで口にするようなレベルのものでもない。

「こちらは、今月から発売予定の新商品になります。元々は私達の組合員が、非常時に空腹を満たすモノとして作られたものです」

板チョコの1/8程度の大きさをした、薄茶色の食料。
それを配る少女達から受け取った来客は、訝しげな顔でそれを覗き込む。
潰して乾燥させた麦を固め焼いた様なものだが、意外と溢れる香りは心地よいものだ。
果実の香りに交じる生姜の刺激的な匂いが重なるが、見た目がどうにも食べ物ではない。
未知との遭遇に困惑する客の前で、製品の説明をするのが今宵の仕事。
客の様子を見渡しつつ、柔らかに微笑みながら更に言葉を重ねていく。

「見た目は変わっていますが、甘くも生姜が効いているので、体の温まる味ですね。軽いですが密度があるので、1つで数時間は胃を満たせますし、包みに纏めておけば省スペースながら多くの携帯食にもできます」

どうぞ食べてみて下さいと勧めて行けば、疑わしく裏表を確かめる一人が、一口齧っていく。
見た目と噛み砕いた小気味いい乾いた音とは裏腹に、言葉通りに密度が高く、飲み込むまでに何度も咀嚼する事になる。
その合間に広がるのは雑多に集めた果実の蜜が織りなす無数の甘み、そして生姜の淡い辛味が引き締めていく。
噛むほどに唾液が分泌されるせいか、焼き菓子程に乾きを覚えぬ不思議な食料に、少しずつ噛み砕く音が増えていった。

(「……あの人、本当に金稼ぎには目がありませんね」)

どこぞの受付嬢の様に微笑む最中、そんな事を脳裏で呟く。
これなら量産後に売り出しても、一時的な空腹を満たせるが、恒久的な糧食として使うには難しいからと、市販しようと言われたの先日のことだ。
軍としては警備や偵察、哨戒の最中に手軽に腹を満たすものとして。
商人には、荷物とともに旅する合間の非常食として。
組合の樹液皮膜を用いて真空密閉を行えば、年単位で日持ちさせる事もできる。
何時発売するのか、どれぐらい卸せるか。
そんな問いかけに笑顔で説明を重ねながら、今宵も秘書らしかぬ雑務を熟していた。

レナーテ > 戦場に素早く器具と共に暖かな糧食を提供できる装備や、人員、そして今後の食料に関する研究について等など……こちらと手を組むメリットを目白押ししつつ、今宵も更けていく。
暫しは、その仕事に忙しくなりそうだと、疲れた吐息をこぼしながら。

ご案内:「王都マグメール 王城 広間」からレナーテさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」にコルガナさんが現れました。
コルガナ > 誰もいない王城の長いテーブルの上座に一人男が腰かけていた。昼には会食なども行われるであろうこの場所。
自分の手元の為の照明以外は窓から見える月明かりだけが明るくなっている。

今年の農業の作物の予定、兵員の配置、他地区への査察などやる事が1月も終わりに差し掛かり大分増えていた。
当然男の仕事は増え、食料の事情として優先したい作物の生育の計画、そして今月は何が収穫出来るのかなど
その書類や済ませなくてはならない仕事は多く。まさに日付も変わろうと言った所でようやく今日の分を
終えたのだった。既に自分の邸宅に戻る時には既に明日になっているのは明白だったので、今日の分だけではなく
明日に済ませればいい書類仕事の分まで今日の内に終えてしまった。

今目の前にあるのは書簡と、空になった皿。今日の昼に良ければと平民から貰っていた春前の今年取れた
ジャガイモを蒸かした物を夜食代わりに食べたのだった。