2019/01/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 宴会場」にギュエスさんが現れました。
ギュエス > 今宵の宴会場は、人の賑わいに満ちていた。貴族王族から下々の民迄、様々な者達が区画こそ分けられているものの、酒やご馳走を楽しんでいる。
冬も盛り。収穫のない季節となれば、市場も下々の民の懐も冷えてしまうから、ねぎらいの意味を込めて開かれた、気まぐれの様な宴である。
暖房術式の利いた部屋の中で、好きなだけ料理や酒を楽しみ、後は家に帰る――偶のガス抜き、兼評判稼ぎという事なのだろう。
或いは権力者達が、招いた者の中から、その歯牙にかけて楽しむ相手を選別する機会、とも取れる饗宴。この場の持つ意味は、その二つだ。

その中の一区画、貴族の為に仕切られた区画の平民よりの位置に巨体を鎮めた男は、近くの給仕を呼び止めて飯と酒を運ばせながら、周囲に目を向けていた。
時折挨拶にやってくる者達へと会釈をし、少々の由無し事を話し、別れる――毎回行われる、退屈な慣習だ。
せめて社交界に出てくる娘の初顔合わせ、とでも言うのであればやる気にもなるが、大抵やってくるのは男ばかり。
それも、大方が毎度毎度顔を合わせる『お得意様』か『腐れ縁』だ。飽きてくるのも当然で。

「ふん、私に挨拶するなら、私の好む話題を持ってくるのが筋であろうに。
 ――まぁ、期待するだけ無駄なのも分かっておるが……機嫌の伺い方も知らぬのか」

嘆息しながら、ぽつりと零す。鬱憤溜まれば、愚痴も多くなるのだ。
生憎と、普段侍っている実の娘は、他の貴族に挨拶回り、護衛の男は静かに気配を消して、どこかで見守っているのみ。
そこいらの女給に手を出す――と言うのも少々味気ない。なれば、結局この場に居るよりほかはなく、暇つぶしを兼ねて骨付き肉に齧り付く。

ご案内:「王都マグメール 王城 宴会場」にシェリーさんが現れました。
シェリー > 貧しい生まれの少女にとってはこの様な宴は見逃せない物だった。
食事が目当てと言う訳ではない。
身分の高い者から下々までを受け入れる場で顔を売る事が目的である。
どの様な方法でもいい、顔を売って、出来れば取り入って、幸運にも支援をしてくれる金持ちがいるとしたら。
どんなに可能性が低くても、チャンスはチャンス。
モノにしたい。

「…………」

そんな風に考え、精一杯のおめかしをして宴に潜り込んだ少女であったが、何分こういう場には慣れていない。
身分の高い者にどうやって話しかけるのか。
うろうろと歩き回り、品定めするようにちらちらと見ても中々行動に移せない。
精一杯の努力なのか、平民の区画の中では一番貴族よりの位置に陣取って貴族達を見つめている。
その視線の先に、不満そうな表情を浮かべた大柄な貴族もいるのだった。

ギュエス > 骨から剥がれ落ちる肉を口の中に放り込み、咀嚼して嚥下する。
表面に塗された岩塩の塩味と脂身の甘味が口の中を満たす。野性味に溢れる美味とは、こういう物なのだろう。
次いで口の中を洗い流すべく、ワインのグラスを――と顔を上げた所、こちらを見つめる娘と目が合った。
服は王立学院のものを纏った、なかなかの器量よし。遠慮容赦なく視線を下ろすと、成熟しきっていない肢体も見える。
――丁度いい。そろそろ何者かにちょっかいをかけに行くところだったのだから、今夜はあの娘にしよう。

「……そこのお嬢さん。そのような場所で立ち尽くしていると、往来の邪魔になってしまう。
 ほら、こちらに来るといい。今なら好みの料理や飲み物も、持ってこさせるが、如何かな?」

貴族の子女については大方頭に入っていが、彼女の出で立ちには覚えがない。
つまり、貴族ではないか、或いは男の記憶から抜け落ちていられた、幸運だった娘なのだろう。
しかしそれもここまで。場慣れしていない彼女を誘うなら、まずは親身になってやるか、と誘い込む。
周囲の貴族の中には、彼女に憐れみを持つ者もいるだろう。或いは、好色と好奇の視線を向ける者も。
それは無論、男の女癖の悪さが反映されたものだが――果たして彼女は気づくだろうか。

シェリー > 目が合えば一瞬びくりとするが、すぐに気を取り直してにこりと微笑んで会釈をする。
貴族の様な振る舞いをしているつもりであるが、付け焼刃である事は見て取れるだろう。
声をかけられ、緊張で若干上ずる声で返事をする。

「は、はい。申し訳ございません……
 それではお言葉に甘えまして、お邪魔させていただきます。」

貴族の不興を買わないか、と言う平民として、また野心を抱く者としての恐怖はあるが、勇気を持って一歩踏み出す。
そもそも平民が貴族の近くに行ってよい物か。
周囲の貴族たちの視線が気になってしまうが、それも今は努めて気付かないふりをした。
もちろん、どう言う意味合いかの視線かについては本当に気付いていない。
見た目に違わぬ初々しさで、緊張を隠しきれない挨拶をする。

「お声をおかけ頂きまして光栄でございます。
 王立コクマー・ラジエル学院の生徒、シェリー・ファルスタッフと申します……」

短いスカートをさらに少し摘み上げてお辞儀をする。
白くむっちりした太ももがちらりと覗くのは、半分わざとでもあった。
自分を印象付ける為に。

ギュエス > 精一杯に笑顔を向けてくる彼女――なんと健気な事だろうか。
あからさまな付け焼刃。あれでは、襲ってください。騙してくださいと誘っているようなものだ。
声をかけたのが自分でよかった。他の貴族に渡すのは、少々惜しい得物だろうから。

「ふむ、その様に硬くならなくて良い。肩の力を抜きなさい。
 見た所、王立学院の学生かね?道理で、利発そうな顔つきだ」

彼女の勇気を認めながら、それすらも食い物にする心算。
貴族であればこのような逡巡はするまい。ならば彼女はやはり平民なのだろう。
それがこのような場所で、わざわざ貴族の区画に近寄ってくるのだ。
彼女にも何か、欲しいものがあるのだろう。それが富か名声か人脈かはわからないが。

「シェリー・ファルスタッフ……ふむ、覚えておこう。
 私はギュエスだ。王立学院で学ぶなら、私の姓等既に知っているだろうが、ね」

知っているならばそれで良し、知らなければそれだけで彼女に圧をかけられる。
貴族の不敬を買う、という事がこの国ではどのような事か、理解していない訳がない。
白く柔らかそうな太腿に視線を落としながら、男はにこやかな笑みを浮かべる。
彼女の策は、単純故に読みやすい。ならば敢えて乗りながら、少しずつ外堀を埋めていくこととしよう。

「――それにしても、実に可愛らしいお嬢さんだ。
 さぁ、もう少しこちらに来なさい。私の、手の届くところに」

まずは、彼女を隣に侍らせよう。そっと手招きをしながら、彼女を手元に呼びつける。
拒否すれば、機嫌を損ねる演技でもしてやればよい、と彼女の反応を楽しみにしながら。

シェリー > 「あ、ありがとうございます!
 どうか、お見知りおきを……」

男の思惑に全く気付かないほど初心ではない。
ただ好意で褒めてもらっているとか、本当に見所があると思われているなんて思わない。
だが、追い払われる訳でもなく、少なくとも自分の"何か"に興味を持っているのは確かだろうとは思う。
それが何にせよ、足がかりにはなる。
今はとにかく機嫌を損ねないのが最優先だ。

「と仰いますと……ギュエス・ゴルトムント様?
 お目通りは初めてですが、もちろん存じております。
 色々な武勇も聞き及んでおりまして……」

こちらも努めてにこやかに。
彼女にとっても貴族や金持ちはある意味で獲物である。
有名な者の名前やある程度の話は覚えていた。
その中でも思わぬ大物がかかってしまい、若干気後れはしたものの、結局はその手の内に飛びいることを選ぶのだった。

「はい、失礼でなければ……その様に、させていただきます。」

色々と考えていた。
お世辞であったり、場合によっては挑発であったり、色仕掛けであったり。
実行するとなると、緊張で考え抜いたそれらの言葉が出てこなかった。
その様な理由で言葉少なではあったが、機嫌を損ねぬように従順に男の言葉に従う。
まずは手を軽く伸ばせば届くほどの近さに立つ。
触れられたり抱き寄せられたりしても、びくりと震えるだけであろう。
そうして破裂しそうな鼓動を隠しつつ、嬉しそうな笑顔を取り繕うのだ。

ギュエス > 社交辞令に乗らない利発さとこの場に立っている度胸――そこいらの娘よりは気骨がある様に見える。
これならば、ちょっかいを出すついでに、少しばかり後援するのもよいかもしれない。
――何せ資財は溜まる一方だ。彼女に分け与えた所で、痛痒など感じないのだ。

「無論だ。私に態々挨拶しに来たのだから、それを無碍にはするまい。
 さて、シェリーの様な娘だと何を好むのか……果実のパイか……ふむ、何が良いかな?」

此方の機嫌を損ねない様に、そんな気配が透けて見える。
ならば、彼女をすぐさま手元に置きたいなら、不機嫌になって見せればいい。
――だがまずは、機嫌を取られているまま、彼女の拒絶を引き出してみよう。
その方が、より不機嫌な振りを強くできる。失点は大きい方が良いのだ。

「ご明察。よく勉強している――良い子だ、シェリー」

誉め言葉のついでに、彼女の頭に手を伸ばす。
そのまま幾度か撫でると、唐突に彼女の後頭部へと手を回し、ぐいと引き寄せてしまい。

「おっと、大丈夫かな?やはり距離が遠いのはよろしくない。
 だが近くに席があるわけでもなし……おぉ、そうだ、私の膝の上に座るといい」

わざとらしく、名案を思いついたように彼女へと膝の上を進める。
ガウンで包まれたそこに座れば、彼女の尻に硬い一物が当たる事も狙ったうえで。
拒否するか、受諾するか。どちらであっても構わない。
恭しく機嫌取りをする彼女を、まずは軽く嬲ってみることにする。