2018/08/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城/離れ、通りの見える窓辺」にベルナデットさんが現れました。
■ベルナデット > 与えられた離れの二階、窓辺へと椅子を引き摺り持って来る。
少し椅子は重く苦労してしまった。
窓枠に頬杖を突き、そこから覗き見える景色は雨模様。
時折通り過ぎていく人々が傘を差していたりいなかったりと統一感がないのは雨が小雨だからだろうか、それとも傘も差せぬ人々もいると言うことだろうか。
色取り取りの傘、小走りに駆け抜けていく少年、脚を引き摺るように歩く老人……。
彼らがどのような人生を歩んでいるのか……そんなことに妄想を膨らませるだけで少し楽しい。
昨夜は自室でのお役目だった。
途中で気絶してしまったのか、昼過ぎに起きた時には相手はもういなかった。
たしかどこぞの貴族ということだったが……記憶が飛んでしまっている。
後で侍女に教えてもらわなければと思う。
もっとも、その侍女は現在下でベッドを直してくれているのだから、迷惑は掛けられない。
掃除が終わるまではと部屋を追い出されてしまったのがちょっと寂しい。
今日は湯浴みの準備もまだ出来ていないということだが、時折こういうこともあるので仕方がない。
それは職務に忠実な侍女と身体を使って王侯貴族に取り入ろうとする侍女の差であるのだが、人の善性を疑わぬ聖女はそのようなことを気にしない。
後者に取って王侯貴族の玩具は自らの成り上がりの邪魔者でしかないのだから。
今日の担当の侍女がたまたま後者だっただけの話……。
だが、それでも聖女は部屋を整えてくれる侍女へと感謝の心を懐きつつ、希少なひとりきりの時間で外へと想いを巡らせるのだ。
ご案内:「王都マグメール 王城/離れ、通りの見える窓辺」にコルガナさんが現れました。
■コルガナ > 雨の降る町の通りに人々が行きかう中、遠くで様相が少し違った者達が足早に歩いてくる。
その人数は多く、4人の憲兵風の武装した男、その後ろに雨合羽を着用した2人の軍服を着た男
そしてその奥に一人だけ傘を差している役人風の男が歩いていた。計7人の男達が
雨の通りの中を馬車も使わず歩いており、通りの人々は異様な様子に自然と道を開けて通る。
軍服の一人が何かを命令すると兵士が二人、通りの先に向かって走っていく。
残り二人の兵士は何かを報告しているようで、それを二人の軍服達が追加で説明し
傘を差した政治家風の男はソレを聞きながら手帳やメモ、リストに何かを書き込んでいる。
ひとしきり説明が終わった後は、静かに、何を言っているかは雨音でよく分からないかもしれない
傘を差した男が何かを話していて、すぐに軍服二人が説明に入る。
■ベルナデット > 微笑みを浮かべながら通りを眺めていると何やら物々しい集団が歩いてくるのが見える。
憲兵などと言うものは城内ではほとんど見掛けることはない。
故に一体何なのだろうと両手と額を窓ガラスに押し付けて見下ろしてしまう。
下から見上げれば真っ白な少女を幽霊と勘違いしてしまう者もいるだろう。
よくわからないが何かを探しているのだろうか、それとも調査?
今まで見たことのない緊迫した場面、そう、まるで本の物語のような光景に思わず頬を染め引き込まれる。
じっと眺めているとどうやら三種類の役割があることがわかった。
小忙しく走り回っているのは警官だろうか。
雨合羽を着込んでいる二人はその上司?
ということは、一番後ろで傘を差している人は……探偵?
そんな妄想を膨らませながら、お城の中では決して見ることの出来ない非日常に夢中になる。
■コルガナ > 残り二人の兵士達を外に待機させ、軍服と傘を差した役人風の男達は
この離れの建物の中に入る為に雨合羽を脱ぎ、政治家のような男は傘を畳んでいた。
辺りをふと見まわしている兵士が窓から見える彼女の存在に気付く。
兵士はソレを軍服と政治家の男達に報告しているようだった。黒服たちも同じように窓を見る
少しだけ長い間窓を見ると政治家と黒服二人で話し合っている様子があり。
そうして話ながらこの離れの中へと入っていく。
暫くの時間がすると思いブーツの音がこの建物内でも響き、この状態では誰が話しているかは
分からないがもう一人は間違いなく彼女に対応している侍女の声がしていた
『そうだ、ココの…そうだ…部屋移動の際の書類を見せろ』
『……あの時…の状態は?……よし』
最も近くまで近づいてくるのは一つのブーツの音で、それが部屋のすぐ先で
立ち止まると、軽快に彼女の部屋の扉を叩く音がする
■ベルナデット > じっと窓から見下ろしていると男達は城の塀の中へと足を踏み入れる。
もしかしてお城の中で何か事件が……!?
遠い世界だと思っていた物語が急に身近になり、驚きに真っ白な睫毛に飾られた空色の瞳を見開く。
さらには明らかにこちらを見上げ何かを話している。
まさか……目的は私?
突然物語の登場人物へと引きずり込まれた少女は慌てて窓から額を離す。
何だろう?何かを目撃してしまったのだろうか?
ここ数日の記憶を思い起こすも思い当たることは何もない。
むしろ、いつも変わらない城内の景色、そして、男性の裸……ここしばらくの間、それ以外の景色は見た覚えがなかった。
そうこうしていれば、建物の中に聞き慣れないブーツの音が響き、階下でベッドを整えているはずの侍女が誰かと話す声が聞こえる。
何だろう……胸の中が不安と非日常への期待に高鳴る。
そして……ノックの音。
もしかして……私が犯人!?
よくわからないが何かをシてしまったのかも知れない。
昨夜の方は朝起きた時にいなかったけど……まさか……殺……。
普段ならば思い描くことすらもない犯罪行為は縁がなさすぎて具体的な像を描かない。
それでも、緊張に喉を鳴らし、震える足で椅子から降りるとドアへと歩み寄り、そっと少しだけドアを開けて不安げな顔を覗かせる。
■コルガナ > ドアの先から覗き込んだのであれば、見えるのは窓の外からでも見えた軍服の男だった。
彼はロマンティア風の簡易的な祈りを挨拶として彼女に向け、再び見下ろすように彼女を見る。
その雰囲気はかなり冷徹な物を思わせたが、相手の国に合わせた挨拶を行い
それなりの経緯を目の前の女性に払っていた。
『ベルナデット・クェルハ氏ですか?』
『少しお話があります、お時間を頂く事はできますか?』
ドアの隙間からもし階段が見えるのであれば、もう一人の軍服と政治家風の男が
上がってくるのが見えるかもしれない。
■ベルナデット > この国へと赴任してからほとんど見ることのなくなった懐かしい祈り。
それを見て緊張に包まれていた顔に柔和な笑みが浮かぶ。
そう、私はロマルティアの聖女なのだから。
恥ずかしくない姿を見せなければならないことを思い出した。
ドアを完全に開くと同じく祈り、そして、祝福を与え何か御用でしょうかと小首を傾げて見せる。
お話がある、というのであれば断る理由など何ひとつない。
階段を上ってくる足音へとちらりと視線を向けた後に静かに頷き、パンと一つ手を打って侍女を呼び、客を迎える準備を命じる。
しかし、指示を与える際も少女は一言も言葉を発さず、勝手知ったる侍女は身振りだけでも少女の意図を汲み恭しく一礼し、一階へと降りていく。
階段を降りる際、侍女はこの場で最も力を持っているであろう黒服の男へと控えめに尋ねる。
『寝室はご使用になられますか?』
と。
侍女の気遣いに気付いているのかいないのか、白の聖女はにこにこと柔和な笑顔を浮かべ、闖入者達へと相対しながら階下の準備が整うのを松。
まるで花嫁衣装のような胸元を強調した純白のドレスに身を包んだ少女の笑顔は、しとしとと小雨が降る外とは対象的にまるで小春日和のような印象を与えるだろう。
■コルガナ > 彼女の問いかけの前に二人の軍服は驚いた。本当に喋らないのだ、というような顏だ
面食らったように驚きお互いの顔を見合わせた。
そして寝室の利用についての内容は、その奥にいた政治家風の男が口を開く。
「いえ、夜の方の用事ではありません。クェルハ女史」
その政治家の男は物凄く、その国の出身としか思えない程流暢なロマルティア語で話しかけた。
軍服の男達は何と言っているのかよく分からなかったのか、すぐに政治家の行く道を開ける為
1歩左右に下がる。政治家の男は彼女の前に立つと軍服と同じく簡易的な祈りで挨拶した。
政治家の男の衣服は黒く全く飾らず地味にも見えるが、非常に良く整えられ
洗練された上質な物を纏っている。
「何やら準備をもう…して頂いてるようなので…次第、そちらでお話の方をして頂ければと思います。」
「お前たちは外で待て」
『はい』
軍服の男はまた足早に建物の中から出て行こうと雨合羽を着なおしていく
■ベルナデット > それこそ国を出てから一度も聞いていない母国の言葉。
不意に聞こえてきたそれに思わず瞳を見開き口元に両手を当てる。
軍服の男達が脇へとよるとそこにいたのはお城の中ではよく見掛ける服装の男。
政治家なのだと悟ると恭しく軽く瞳を伏せ、右手の指を宙へ。
『ロマルティア聖教国外交官ベルナデット・クェルハでございます。
お見知りおきを。』
指が踊ると魔力の残光が文字を描く。
母国の言葉で語り掛けてくれた相手へと返すのは当然この国の文字。
少女にとっては異国の文字ながらも男の側からきっちりと読めるよう、それは鏡面文字で描かれていた。
そして、スカートの裾をそっと持ち上げ優雅に一礼する。
ベッドを使わないのであれば客間はいつでも使えるよう整えられている。
お茶の準備だけを終えた侍女が準備が出来た旨を伝えにやって来て、彼女の後ろを客人をエスコートするよう付いていく。
そして、客間に入ると上質のソファを客人へと勧め、自らも愛用の椅子へと腰掛ける。
すぐにお茶を注ぐ侍女へと外で待っている方々も中でお寛ぎ頂けるよう、と指示し彼女が恭しく頭を下げて部屋を出た後に視線を客人へと向け、どのようなお話でしょうと微笑みをうかべ小首を傾げて見せた。
指示を受けた侍女が外で待機する男達を案内下場所……そこは聖女の寝室。
普段は売女のごとく扱われる少女が聖女として敬われることに反感を覚えたのだろうか、男に尻を振って媚を売っている癖に、と。
まだ片付けきっていないベッドのシーツは乱れ、男女の性臭が残る。
『映像もございますが、暇つぶしにご覧になられますか?』
侍女はいやらしい笑みを浮かべ、男達の前で水晶玉を弄んで見せた。
■コルガナ > 「王国枢密院及び特別憲兵代表アルバ・コルガナ・オルロハンです、拝顔の礼に預かれた事を嬉しく思います。」
普段はコルガナ大公と呼ばれる男が目の前にいる人物だった。
優雅に持って一礼を受ければ男もまた同じように、一礼を持って返す。
軍人の出自があるのかその動きにはムラが無く、服装と同じく非常に整えられた
立ち居振る舞いをする。
案内されるままに男は静かに背もたれにもかけずにソファに腰かけ
器の茶が揺れるのを見ながら、早速話を進めてもらえると、非常に物静かな雰囲気の男は
これもまた静かに口を開いた。
「雅に礼があったというのに…この話は大変心苦しいのですが。」
「クェルハ女史…貴方の昨晩についてのお話で参上しました。」
一方、案内されていく軍服と兵士達が行きついたのは寝室だった。
怠い匂いの残る寝室と、下心ありげな侍女に対してお互いが顔を見合わせ苦笑いを浮かべ
兵士達は性的に興味ありげに寝室を見回していたが、侍女の水晶を持ち出した時
その表情は一変した。兵士も軍服も空気の緩やかさが一切消え去り、其処に笑みは全く無く
冷徹、しかも一瞬即発のように張り詰めた空気を醸し出し、兵士たちは寝室の出入り口を
塞ぐような配置で立つ。
『……映像があるのか?』
■ベルナデット > 自己紹介を受けるとご丁寧にと頭を下げる。
アルバ・コルガナ・オルロハン……外交官として叩き込まれた知識の中にその名はあった。
確か、エルフの血を引く大公家、その長兄。
古くから王国に仕えていると聞くが若く見えるのはエルフの血だろうか。
内心、探偵さんじゃなかったんですねと落胆しながらも微笑みを浮かべたまま話を促す。
……昨晩の?
自身の妄想が半ば当たっていたことに胸がドキッと高鳴る。
やはり、自分でも気付かないうちに何かやってしまっていたのだろうか……。
でも、侍女は普段通りであったし……。
内心どういうことか分からず、困惑に長い睫毛で瞳が隠れるほど視線を伏せてしまう。
寝室で侍女は鼻白んでいた。
聖女の評判を落としてやろうと画策していたのに、男達の食いつき方が思った反応と違ったからだ。
出入り口を塞ぐ兵士へと怯えた様子で水晶玉を差し出す。
少し魔力を籠めれば虚空へと映像が映し出されるだろう。
汗が浮く白い背中、そして、その上で踊る純白の髪。
音声はなく、映像が揺れているのは撮影者が動いているからだろう。
画面が少し下がりでっぷりと太った腹と形のいい白いお尻の谷間が映る。
■コルガナ > 探偵、との言葉に思わず表情を崩して笑った。そうか、まさか探偵だなんて思われていたとは
瞼の上に人差し指を当てながら、笑いを堪えるような素振りで笑っている。
「なんと…そんな…そうか…私が、探偵など…」
「まぁ、やっている事は少し似ているかもしれませんな」
懐から取り出した小瓶の中にある水薬(ポーション)を一滴舐めると、其処で初めて
供された茶を啜る。視線を伏せる彼女に対して言葉を続ける
「貴方は昨晩の事を覚えていますか?…相手にした人物がいなくなるまでの事です」
「覚えていますか?」
兵士と黒服たちは水晶の映像を見ていた。
それは情事に生唾を飲んでいる訳ではない。この様子はどちらかというと検閲
何か彼らにとって拙い物が映っていれば、その対処には手段を選ばない。
そういう表情だった。黒服が確認している中、2人の兵士は侍女に変な動きが無いか
監視するように凝視していた。映像がもしも白い少女を相手にしている後の姿を
映し出していないのであれば、冷酷な声色で軍服達は
『映像はコレだけか?コレ以上は続いていない?』
そう侍女に尋ねるかもしれない。
■ベルナデット > お茶を口にする前に薬を飲む様子を不思議そうに眺める。
身体がどこか悪いのだろうか、何か治癒の祈りを……そう思案していると投げかけられた質問は……まさに妄想の中と同じ物。
思わず男を見上げ、驚きの表情を隠せないまま宙に指を踊らせる。
『途中で気を失ってしまいました。』
文短に答えると何があったのか不安そうに表情を曇らせる。
一体この男達は何なのか、侍女はすっかり怯えてしまっていた。
今までこの離れへと訪れたのは誰一人例外なく下半身で物事を考えているような男達ばかりだった。
昨夜の男もそう……。
別室にまで聖女の嬌声が夜遅くまで聞こえてきたものだ。
映像の中でもでっぷりと太った腹越しに赤黒い肉棒が聖女の排泄孔を掘り返す映像が続く。
そして、純白の髪を掴んで無理矢理上向かせた聖女の……よだれと涙に濡れた恍惚の表情。
『最大で1時間程は続くかも……。』
怯えた侍女は男達に凝視される中、震える声で答えた。
■コルガナ > 「何も覚えていない?…その間は何も無かったのですね……気が付けば既に彼はいなかった」
「そういう事ですな?」
男の声には重みが増し、何度も杭を打つように尋ねた。
切れ長の目が彼女の美しい顔立ちを凝視する。表情も声色も穏やかだな
その目は全く笑っていなかった。
「…その後、この事をこの離れにいる者以外には話しましたか?…」
怯える侍女を睨みつけるように凝視し続ける男達。
一時間ほど続くという言葉に兵士の一人が黒服を見ると、黒服は
特徴的な形をした時計を取り出した、3つの時計が繋がり、アルファベットを
設定するダイヤルがそれぞれの短針と長針に銀色のピンが備えられ、時計として機能
しているのは一つの一番大きな時計だけだった。その風変わりな時計と手帳を交互に
見ると、黒服の一人は頷き、もう一人が侍女の方に顔を向ける。
『水晶の映像を止めろ』
冷たい声色でそう告げた。時計を持つ黒服の持つ手帳に何かを書き込み
手帳に乗っている地図を確認すると、ソレはこの離れの見取り図だった。
再び顔は侍女の方を向く
『この日の夜、貴様は何をしていた?』
白い少女の寝室、もう様子は殆ど尋問だった
■ベルナデット > 果たしてこれほど鋭い視線を受けたことがあっただろうか。
これが政治家の目なのかと思う。
今まで面識のある政治家と言えば皆好色さを隠そうとしない者ばかりだった。
そして、彼らの前で股を開き尻を向ける。
そうすれば恥ずかしいけれど、彼らは身体が求める以上の快楽を与えてくれる。
政治家とはそういう者だったはずだ。
けど、そう、目の前の男は憲兵の長なのだ。
初めて向けられる腐敗していない視線にどうしても威圧感を感じて身が竦んでしまう。
故に男の質問には小さく頷くことしか出来なかった。
昨晩は凄かったから……上になって腰を振ってから後は行為中の記憶すら途切れ途切れだったのだから。
寝室では侍女が完全に怯えきってしまっていた。
一体何が起こっているのかわからない。
あの売女の聖女が何かやったのか……。
侍女は自分勝手に心の中で聖女を詰りながらも震える声で答えることしか出来ない。
夜半、聖女の声が聞こえなくなるまでは詰めていたが、その後は本城の使用人室に戻って休んだ、と。
■コルガナ > 目の前の白い少女には知り得ないが、憲兵の他にも
特別憲兵、いわゆる秘密警察の長でもある男。
男の目は腐敗していない、しかし高潔でもない、瞳の小さい三白眼は
正義感にある熱は一切感じない邪悪さを秘めていた。
我が国が大陸間の長である事
吐き気を催すような自分の気に入らない相手を想像も付かない絶望によってこの世から抹消する事
それこそが男が最も愛する快楽であった。下半身の色情による欲望の多いこの王国では霞んで忘れられがちだが
嫌いな物を好きなだけ打ちのめしたいという暴力性という欲望もまた存在するのである。
もしもソレを目の前の白い少女が察するようなら少しまた穏やかな表情に戻るかもしれない。
「そうですかっ」
明るい声色で再び話しかけた。
「覚えが全く無いなら良いのです。本当に申し訳ない…ご心配をかけた事をご容赦ください」
証言を聞く男達、怯える侍女を、ここぞとばかりに威圧するように凝視する。
しばらくすると男たちの表情に僅かに緊張感がなくなる
『そうか…離れにいなかったならソレでいい。』
黒服は胸元から何か一枚の紙を取り出し、侍女に手渡す。
それは小切手だった、恐らく使用人が月に稼ぐ金額の3倍のゴルドが書き込まれている。
『もしもこの映像がずっと残るような物であったら…またどこかで伺うかもしれない』
ただ一言だけ告げると、最初の空気に戻り兵士たちは物珍しそうな顔で部屋を見回し
外交というのも大変だと兵士と黒服たちで話をしていた。
侍女がもし察するならこう言う事である。
【もし映像が他の者に流れる程残っているなら、その時にはお前を殺す】
というメッセージだった。
■ベルナデット > 男の視線に背筋に冷たい汗が流れる。
祖国では聖女として、王国では上質の肉として、求められることしか知らなかった少女にとって他者を排除することに燃やされる情熱というものはあまりにも異質過ぎた。
それは理解するにはあまりにも世界が違いすぎ、ただ何かわからない熱に怯えるしかなかった。
不意に向けられる明るい声にはっと我に返る。
『昨夜何か?』
問わずにはいられなかった。
何かこの国の法に触れるようなことをしてしまったかも知れないから。
怯えて小さくなった侍女は手渡された紙切れを見て目を大きく見開く。
一体何事かわからない。
が、降って湧いたあぶく銭に笑みが溢れてしまうのは仕方のないことだろう。
それほどの大金だった。
仕事を終えたのだろう、緊張感を解いた男達へと媚びるような笑みを浮かべて馴れ馴れしく身体を擦り寄せる。
――新しいのが撮れたらお教えしますよ、と。
■コルガナ > 「まさか…記憶が無いのに罪を犯すというのですか?狼男でもないというのに」
男はまた笑いかけた。静かに茶を啜りながら外の様子を少し見ている
男は、性欲のはけ口に使われる女性たちを遣わす側。それによって進む
政治の動きで得を得る側の人間である。白い少女は彼にとって【玩具】ではなく
【戦略資源】なのである。
「随分と昨晩の御仁は激しかったようだ。頭が解ける程とは…驚愕に値します。」
ひっくり返るように様子が代わり兵士にすり寄る侍女に
兵士は、繁華街を歩く兵士達と似たような顔になる。まんざらでもないようにしていた
黒服は簡単な読心術の魔法を嗜んでいたらしく。その様子に苦笑いをしながら
『売女はお前だろう』と小さく呟きながら、暫く見て回っていたようだった
■ベルナデット > 「……。」
狼男……幼い頃に読んだ本の内容を思い出そうと頬に指を当てて視線を彷徨わせる。
確か月夜に狼へと変わってしまう人間の悲しいお話……。
再び妄想のような思考を巡らせていると不意に掛けられた言葉にはっと我に返る。
昨晩……激しかった……。
その言葉の意味に頭が追いつき、カァァと頬を染め両手で股間を抑えるような姿勢で恥ずかしそうに俯く。
そして、俯いたままそっと右手を上げ――。
『凄かったです♥』
羞恥に悶えながらも律儀に感想をハートマーク付きで答えるあたり、羞恥心を感じながらも求められれば誰相手でも股を開くこと自体は恥と感じていないことが見て取れるだろう。
それは聖女の心tお身体の調教が行き届いていることの証。
すっかり緩くなった空気に、この男達と繋がりを持つことは決して損にはならないと踏んだ侍女は兵士の手を自らの控えめな膨らみへと振れさせ媚びるような視線で誘う。
――何ならお相手しましょうか?
それとも聖女サマの緩い孔のほうがお好き?と
■コルガナ > 「-っ…」
白い少女の言葉に思わず中指で目頭を当て、冗談っぽく呆れる様な素振りを見せながら
「成る程…良く働かれるようで何よりですな…」
政治を揺り動かすのに手段を選ばない男。場合によっては自らも色事に加わり
搦手の用意をしなければならない。
「いずれ私が貴方を抱く事になっても、その様子なら問題は無さそうですな」
もう少しだけ政治面で詳しくなってもらったら、と付け加えようかと思ったが
この場においては無粋なので黙った、重い空気を払しょくする為にも
彼女が普段過ごす生き方に合わせた態度を取る
黒服や兵士たちがやれやれというような表情で寝室から出てきては
また建物の外へと戻っていった。兵士の一人は少し名残惜しそうにしていたが
男が兵士を一つ見ると、元の調子に戻った。
■ベルナデット > 「……?」
何故呆れられたのかわからない。
両手を膝の上へと置いたままきょとんとした表情を向ける。
よく働いて……はいるのだろうか。
少なくとも求められる役割は果たしているような……気がする。
少女は自身を貢ぎ物だとは毛ほども思っていない。
聖教国に売られたのではない、二国間の架け橋となる為にやってきたのだ、と。
故にこの国の人と親しくなりたいし、求められれば答えたい。
幸いにも肉孔として求められることが多く、孔を塞がれて掻き混ぜられるのは機雷ではない、はっきりと言えば好きだ。
求められるのも嬉しいし、何よりも生きている実感を感じられるから。
それに……気持ちいい、神への誓いを忘れてしまう程に。
『求めて頂けるなら。』
少女は慈しみすらも感じさせる柔らかな微笑みを浮かべ虚空に文字を示した。
――その胎の中に昨夜の男の精子を泳がせながら。
ようやく解放された侍女は寝室の床へとへたり込む。
何故自分がこんな目に……これもすべてあの売女のせいだ。
そう毒づきながらしばらくの後に寝室の片付けを再開した。
■コルガナ > 男は何も言わずに静かに頷いた。
黒服たちは外に出る前に男に何かを手渡した。
もしも一瞬だけ見えるならばそれは開封されていた麻酔薬である事が分かるかもしれない
何やら寝室から回収したようであった。
男はソレを確認するとすぐに懐にしまい込み、白い少女に笑いかけて立ち上がる。
「今回の所はお聞きしたいのはコレだけです。蛇足な話にも付き合い頂いてしまい申し訳ありませんでした」
男は静かに握手を求めつつ、片手で最初の挨拶と同じく簡単な祈りの挨拶を示した。
兵士達はもう既に外で待機していて、何かを話し合っているようだった
■ベルナデット > 「……?」
何だろう?
部屋に入ってきた黒服の男が何か手渡したのを見て不思議そうな表情を浮かべる。
一体何があったのかは結局分からず仕舞いながらもとりあえずの解決は見た様子に、少し小首を傾げながら男に続いてスカートを抑えながら立ち上がる。
『お力になれたなら。』
求められるままに柔らかく小さな手を差し出し、虚空に光る文字を残した後に祈りを返し祝福を捧げる。
触れ合うような距離だと、頭ひとつ分以上身長差がある相手の顔はほとんど真上を見上げるような位置。
汗の珠が浮かぶ深い谷間が惜しげもなく晒され、ピンク色の乳輪までもがわずかに覗くだろう。
何か外で話している……ちらりと意識がそちらへと向く。
■コルガナ > 男は握手と共に白い女性の胸元を見る。生唾を飲む様子も無く
冷静にその姿を見ていた。再び男は笑いかけ、黒服たちと共に一礼すると
離れの建物から出ていき、兵士たちに囲まれて去っていく。
『薬の効果だと思いますか?』
「……完全に効いた時の記憶が無かった。十分に機能している。」
『侍女の方はどうしますか?』
「まだ金目当てで寄ってくるようなら適当にはぐらかしておけ、目に余るようなら黙らせろ」
『分かりました。』
傘を差した男は胸元から麻酔薬を取り出し、道の端にある排水溝に中身を捨てると
そのまま雨の降る町の中に消えて行った
■ベルナデット > 玄関を開ければ雨はかなり強くなっていた。
そこにいた男達ひとりひとりに祝福を授けた後、その後ろ姿が見えなくなるまで手を振って見送る。
侍女以外とこうして身体を交えず話をしたのは久しぶりな気がする。
ふと思い出されるのは遠くへ行ってしまった大切な人。
寂しくは思う……が、その寂寥感に浸れるほど子供でもいられなかった。
そろそろ湯浴みをしなければ……。
今晩はお相手の部屋へと呼ばれているから、しっかりと身体の奥まで綺麗にして置かなければならない。
……湯浴みの前に掻き出して貰ったほうがいいだろうか。
雨音を聞きながら、侍女を探して離れの中へと戻るのだった。
ご案内:「王都マグメール 王城/離れ、通りの見える窓辺」からコルガナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城/離れ、通りの見える窓辺」からベルナデットさんが去りました。