2018/04/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城」にベルナデットさんが現れました。
■ベルナデット > 王族、貴族、将校、そして、彼らに仕える侍女や兵士が入り乱れる賑やかな王城。
しかし、そんな華やかな建物の中にも薄暗く閑散とした闇が存在する。
むしろ、光が強いからこそ深い闇が生まれるのだろう。
この片隅の廊下もそんな場所だった。
見回りの兵士や迷い人くらいしかやって来ないような使われていない客室の前、窓から差し込む陽光に純白の髪とドレスが眩しいほどに輝く。
しかし、その顔を覗き見ることは出来ない。
純白のドレス姿の少女は廊下の隅で蹲っていたから。
そして、その目の前には仁王立ちするひとりの男。
服装から下位の役人であろうことが伺い知れる。
その股間に少女は顔を埋めていた。
下卑た笑みを浮かべる役人と軽く前後する少女の頭から、何をしているか一目瞭然ながらも、少女の一応の身分を考えれば下位役人ごときがそのようなことをさせられるはずはない。
しかし、間抜けな顔をして腰を震わせる役人の様子から、ウェディングドレス姿の少女が男を満足させたことを周囲へと伝えた。
ご案内:「王都マグメール 王城」にセイン=ディバンさんが現れました。
■セイン=ディバン > 「……ふぅ」
もはや何度目かも分からぬ王城への侵入を果たした男は、廊下の隅で息を吐く。
何度やっても慣れる事などない。見つかり、ばれればそくお尋ね者のハイリスクミッション。
それでも、男は王城内部の情報収集のため、この行為を続けていた。
今日の目的の情報を収集し終えた男は、一度呼吸を整えると、背筋を伸ばし廊下を歩く。
まるで、王城に前から居た執事であるかのように。
そんな中、男は一度立ち止まり、耳を済ませる。
(……なんだ? 物音?
おかしい。こっちのルートは巡回も甘い経路で、人通りなんてほとんど……)
そう、何かの物音が聞こえたのだ。男は警戒心を強める。
もしや巡回ルートが変わったか? と内心焦りつつも、気配を殺し、その物音の正体を探ろうとする男。
ゆっくりと突き当たりの曲がり角から顔を出せば。そこで男が目にしたのは……どうみても、そういうことで。
行為にふけっている人間。女性のほうは距離と角度のせいで姿は見えない。
だが、男の方は服装から役人だと判断できた。
そこで男は考える。当面、この男を排除すればこの道を通るのは問題なさそうだ、と。そして……。
「失礼。お楽しみの所申し訳ありませんが……。
少々ご確認したいことがある、と。侍女が申しておりました。
役人の方には、速やかに第二閣議場へとお集まりいただきたいのですが」
男の背後から近づき、男はそう深刻そうに言う。当然ウソだが。痴態を見られていた後ろ暗さから、役人が動いてくれれば儲け物、である。
■ベルナデット > 近づけば聞こえてくるのは粘着質な水音。
役人の表情とその股間で前後する頭の動きから蹲っている少女の口淫が娼婦の如き快楽を与えていることが見て取れるだろう。
そして、不意に声を掛けられた拍子に暴発したのか、男の腰が大きく震え、くぐもった呻き声がその股間から響く。
果てた瞬間を見られた気不味さからだろう、役人は慌てて女の口から自身を引き抜くと服装を正し振り向き、鷹揚に「わかった。」と一言告げ、そそくさとその場を離れていく。
残されたのはきょとんとした表情でその背中を見送る少女。
その背中が見えなくなると屈んだまま空色の瞳を執事風の男へと向け、白濁とよだれに汚れた口元を片手で隠し、恥ずかしそうにはにかんで見せた。
■セイン=ディバン > 物音の正体が巡回中の兵士とかであれば、男は逃走用ルートの変更を考えただろう。
だが、実際はなんとも淫靡な行為を行っている男女が居ただけのこと。
ならば武力行使もいらんし、男を追い払えばいい。そう考えた男の作は見事にハマった。
「では、お気をつけて。最近、賊が城内に侵入している、と噂ですので」
男は内心舌を出しながらそう言い、役人を見送る。侵入者は男自身なのだが。ともかく、これでこのルートは安全が確保できた。
第二閣議場は、男たちの居る廊下からはかなり遠い場所だ。
そうして、男は役人の姿が消えれば、女性を見た。
「……あー。アンタ、その。大丈夫?
あんな木っ端役人のモノ咥えさせられて大変だね」
その姿が。美しかったから。男はつい、声をかけてしまった。
煌く髪。透き通る瞳。女性らしい肉体は、ドレスの上からでもシルエットが想像できた。
あまりにも美しい女性。役人とはつりあわない。だから、男は女性が無理やり行為を強要されていたのだろうと考えた。
「ホラ、口拭いなよ。あのさ、この城の中、野蛮な男も多いから。
気をつけなきゃダメだぜ?」
懐からハンカチを取り出し相手に差し出す男。相手の美貌に中てられたか。
執事らしい演技をすることすら忘れてしまっていた。
■ベルナデット > 差し出されたハンカチを受け取り少し不思議そうな表情を浮かべた後に顔が見えないよう俯いて口元を拭う。
そして、こっそりとすんすんと鼻を鳴らしてその雄の匂いを嗅ぐ。
2年もの間あらゆる感覚を封じられた無感地獄の中にいた少女にとってどのような色、形、匂い、味、音であれ感じられるということに喜びを感じてしまう。
「……。」
無言で顔を上げるとドレスで持ち上げられ深くなった胸の谷間の上にハンカチを持った手を置き、右手を伸ばすと細い指先で虚空に魔光の軌跡を紡ぐ。
『私はロマルティア聖教国外交官ベルナデット・クェルハ。
ハンカチは洗ってお返しいたします。』
男から読めるよう細い指先は鏡面文字を描き、つい今まで男のモノを咥えていたと思えない慎ましやかな微笑みを浮かべて見せた。
■セイン=ディバン > 相手が口元を拭う間、男は周囲への警戒を行っていた。
こっそりと身体強化の呪文を使い、聴覚を強化。
少なくとも、この場所へと向かってきている人間は一人も居ない。
50メルトル四方。間違いなく無人だ。
そんな警戒をしていたものだから、相手が鼻を鳴らし、匂いを嗅ぐ仕草は見えなかった。微かに、音が聞こえはしたけど。
「……お? なんだいその光。面白いね。
綺麗な魔力だ……。あー、オレはセイン=ディバン。
いわゆる冒険者で……侵入者、です。……ん?」
相手の不思議な自己紹介に、男もまた頭を下げて自己紹介をする。
その微笑に思わず鼻の下が伸びるが、そこで男は懐から書類を取り出す。
今回入手した獲物は、この国の外交情報。その中の一つの書類には……相手の姿や特徴、プロフィールが載っていて。
「……アンタ、もしかして『聖雪の聖女』様?」
男とて、国内外の情報は欠かさず集めているが。目の前に高名な外交官かつ奇跡の御業の持ち主と分かれば、目を見開く。
なんとも凄まじい相手と出会ったな、と思う中。書類を見れば……。
本当か? と疑うような内容が記載されていた。苛立ちから吐き気を覚えるような調教の内容。そして……。
紙の端には、乱雑な走り書き。曰く、この少女の具合は最高だ、とか。
これまた怒りがこみ上げるが……同時に、男は目の前の女性の淫靡な姿を想像してしまい。
ズボンの中で、凶悪なペニスがむくり、と大きくなりつつあった。
■ベルナデット > 男の自己紹介を聞き、一瞬きょとんとした表情を浮かべるもののすぐに両手を口元に当てて声を立てないようくすくすと笑い始める。
自分を侵入者だと名乗る侵入者なんかいるはずない、と男の言葉を冗談を受け取っていた。
「……。」
自分の素性を知られると『そんな大層なものでも……。』と視線を逸らし恥ずかしそうに後れ毛を掻き上げて見せる。
聖女と呼ばれるようになってしまったが、少女自身は神の教えを守っているとしか思っていないのだから。
故に……男が苛立ちを覚えるほどの調教を受けてもそれを神の試練だと受け入れることが出来たのだろう。
もっとも、毎日の祈りの時間が許されていなければおそらくは壊れてしまっていただろう。
地獄の中に拠り所と悦びを与えられ、聖女としての本質を失わないままに娼婦へと仕立て上げられた……調教師の自慢の芸術品……それが純白の少女だった。
「……?」
男の内心など伺い知れないまま、不意にそこへと視線を向けてしまったのは直立する男の身体の中で動きを見せたからだろう。
ズボンを中から押し上げるそれは2年間の無感地獄の中で自身が生きていることを実感させてくれた愛しいモノ。
見てしまったことに羞恥を感じ顔を伏せるものの、どうしてもちらちらと視線を向けてしまうのは少女が肉の悦びなしでは生きていけないよう躾けられてしまっているから。
■セイン=ディバン > 「ありゃ、笑われた。でもまぁ。
キミの笑顔が見れたから良し、かな?」
実に淑やかに笑う相手に、男も微笑む。相手が自分の言葉を冗談だと思ったのであれば、わざわざそれを再度説明することもない。
信じるも信じないも相手次第、なのである。
「いやぁ、すっげぇなぁ。
噂でしか聞いたことないけど……。キミ、『奇跡』を起こせるんだろ?」
内心に芽生えた苛立ちを隠すように、男はそう切り出した。
奇跡、というものの内容は男には分からない。だが噂では少女はまさに聖女と崇められるだけのことをしてきたらしい。
だからこそ、こんな国に囚われ、調教された少女を痛ましく思う。
思うの、だが……。
「……あの、さ。もしかして……ベルちゃん。
興味、ある? そ~いうこと」
相手がイキナリ俯いてしまったので、男は何か失礼なことをしたかな、と思う。
だが、相手がちらちらと何かを窺っているのを見れば、その視線を辿り……。そして。
男はその窺いの意味に気づいた。いや、正確には、もしかしてそうなのか? という程度の気づきだ。
だが、男は相手の顔に、ぐい、と股間を僅かに近づける。
「……興味あるなら。見てみる? オレのチンポ」
男自身、何を言っているのだ俺は、という思いはある。
だが、もしもそうなら。……そんな期待が、口を開かせてしまっていた。
ズボンの中では、男の怪物級のペニスはガチガチに硬くなっている。
あとは、相手がどう動くか、だ。
■ベルナデット > 奇跡、その言葉に少し困ったような、しかし、誇らしげな笑みを浮かべて見せる。
奇跡は自身が起こすのではない、あくまで神の御業であり、自分はそれを仲介しているだけの話。
故に聖女と呼ばれると恥ずかしく思うし、同時に神の御業を人々に示し、その偉大さを知らしめることが出来ることを誇らしく思う。
故に奇跡を見せろと言われても微笑むことしか出来ない。
神の御業は見世物ではないのだから。
内心、言葉に出来ないそんな想いをどう説明しようかと考えつつも油断すると意識は男の股間へと向いてしまう。
「……っ!」
故にその内心を見透かされると見る間に顔が真っ赤に染まり、しかし、顔の前に突き出された男の股間へと顔を埋め、その匂いを嗅いでしまう。
そして、恥ずかしそうに俯き表情を隠しながら、清楚で可憐な見た目に不釣合いなほど手慣れた手付きで男の股間を寛げ、中から雄の象徴を引っ張り出す。
■セイン=ディバン > 男は、相手の複雑な感情の見える笑みを見ながら思う。
何故この子は喋らない? と。ちら、と手にした紙を横目で見るが……。
詳しい情報は載ってはいない。男は色々と思案をしてみるが。
「……おほっ、大胆」
そうしている内に、相手が股間へ顔を埋め……匂いまで嗅ぐようにすれば、男はからかうように言う。
そのまま、相手が慣れた手つきで男のモノを取り出せば……。
勢いよく、20サンチを超えるペニスが飛び出すことだろう。
「……好きにしていいぜ、ベルちゃん。
それとも、さっきしゃぶってたから……もう、入れてほしい?」
■ベルナデット > 取り出した肉棒が跳ね上がり少女の鼻を叩いて立ち上がる。
その威容に空色の瞳を大きく見開き可憐な唇を半開きにじっと見つめる。
そして、喉を鳴らした後にその根本へと顔を寄せ幹の根元を横食みに咥え、舌先で裏筋をくすぐった後に袋を口の中に含んで男を上目遣いに見上げる。
その潤んだ瞳は恥ずかしそうにしながらも欲情の色を隠しきれず、しかし、少し寂しそうに眉根を下げ、幹へと舌を這わせながら立ち上がる。
「……。」
セックスしたい……そう潤んだ表情で語りつつゆっくりとスカートの裾を持ち上げ、その中を見せつける。
白い腿には幾筋もの蜜の跡が残り、少女趣味なリボンは膨らんだ陰核に結び付けられている。
そして、本来あるはずの下着がなく、代わりに細めの張り型の柄が股間から覗く。
そして、その下腹部にはこの国の大臣の名前と今日の日付、そして、【予約済み】との落書きが為されていた。
■セイン=ディバン > 勢いよく飛び出したそれは、まさに男の、雄の象徴であった。
びくびくと痙攣する様は、相手を犯すのを待ち望んでいるかのようだ。
その幹へと、相手が奉仕すれば、男の鼻から息が漏れた。
根元、裏筋、袋。丁寧なその奉仕。上目遣いの視線は、男の中の嗜虐欲をいたく刺激した。
「……うん? こりゃまた。悪趣味な……。
まぁ、法的拘束力はないだろうし。
……よい、しょっとぉ」
相手が立ち上がり、スカートの中を見せれば。男は鼻の穴を膨らませるほど興奮するが。
そこに見えた張り型の柄や、落書きに男は頭を掻く。
男も乱暴に女性を抱くことはあるが、こういう趣味の悪さはキライであった。
そうして、男は床へとあぐらかき座り込む。楽しそうに微笑みながら相手を見て。
「入れたいなら、ど~ぞ。まぁ、オレのは太いからさ。
結構ツラいかもしんないけど……マンコでもアナルでも。
自分のしたいようにしてみな?」
それはある意味、逆に失礼な行為でもあろう。相手は聖女とまで言われる外交官だ。
どこの馬の骨とも知れぬ男のモノなど、使っていいよと言われて使うなど。普通なら考えられない。
■ベルナデット > 胡座を掻く男の股間から天を突く肉棒はまさに怒張。
それを挿れれば……と与えられる快楽を想像し喉を鳴らす。
スカートの中で風もないのにリボンが揺れるのは男の勃起と同じ理屈で膨らんでいる陰核が震えているからだろう。
欲しい……そう思うものの、自らの立場と今晩の相手、そして、約束を破った際に祖国にどれほどの迷惑が掛かるかと思えば男の上に跨ることが出来なかった。
誰彼構わず受け入れる淫婦に仕立て上げられながらも、自らの欲望を制御出来る理性も残されてしまっていたが故に。
「……。」
少女は残念そうに、申し訳なさそうに俯きスカートを下ろす。
そして、一介の冒険者に深々と頭を下げ、その場から逃げ出すよう駆けていく。
一度くらいなら……そう思うものの、一度味わえば約束の時間を過ぎても止まらなくなることもわかっていたから……。
■セイン=ディバン > 座して相手の行動を待つ男。なお、傍から見たらオオマヌケである。
なにせ男根まるだしで床に座っているのだから。これは結構なマヌケである。
さて、目の前の相手は、明らかに迷っていたにもかかわらず。頭を下げ。
「……へぇ」
そして、まるで逃げるように駆け出していった。男は、その姿を黙って見つめていたが。
相手がいなくなってしまえば、猛る肉槍をズボンへと収める。
そのまま立ち上がり、顎をさすりながら。
「……あっきらかに欲しがってたのに、理性でそれを抑えるか……。
おもしろいねぇ、あの子」
くすり、と笑いながら男は言い。そして男もまた廊下を後にする。
今度出会ったのならば……もっとロマンチックに誘おうか。
そんなことを考えつつも、男は無事に城から脱出する。
外に出た後、一度城を振り返り思う。
あの聖女様は。どれだけの苦難に耐えるつもりなのだろうか、と。
そう考えると、少しだけ胸が痛んだが。……籠の中の鳥を、ノリだけで助けてはいけないのだ、と。
男はそう考え、闇へと溶け込んだ。
ご案内:「王都マグメール 王城」からベルナデットさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」からセイン=ディバンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城休憩区画」にバルベリトさんが現れました。
■バルベリト > 王城の中は相応に雑音が入り混じる。
鎧や脚甲の擦れる耳障りな音が多いのは、巷を騒がせる『過激派』とやらが出没した報告か、対処か。
これらが活発化している原因は自分達第八師団の責でもあると言われた時は瞠目したものだ。思い出しただけで苦々しい。
目の前のグラスにはすっかりと室内の温度により温くなった穀物酒が注がれ、琥珀色の水面に大好物の酒を目の前にしている割に――渋面を浮かべた無精髭の男の顔を映し出していた。
酒を煽れば酒の苦味によって胸の中の苦い想いが紛れる。
混ざる。
――そしてどうしようもないほどに沈殿し、胸の奥底に蟠りと言うものを残していく。
「――テロなんざ準備させた段階で後手だっつーの……動き始めたテロを止めるなら拠点を突き止めるか、連中の支持層を壊滅させるか。」
どちらも容易な事ではない。5年ほど前か動き出しているテロ行為に陰りは見えない――つまりは彼らを匿う勢力は無視できるほど小さな規模や、力のない集団ではないと言う事が一つの事実。
――もう1つの心労については9割ほど諦めている件ではあるが――いずれにしろ、そちらは自分の出来る範疇を超えた心配だ。
■バルベリト > 第八師団は、華々しい戦果を上げられるような部隊ではない。
当然、騎士団の中での序列や補給、補充人員の優先順位は低い物となる。
その中でミレー族の行為と噂されるテロ行為からの防衛任務。
タナール砦への防衛部隊の派遣。遠隔の貴族領土や王族の領土への伝令と。
ほぼすべての人員が王城の外に出払ってしまっている。
自分も先程王城に戻った所だが――自分以外無人の師団室に長居する気になれず。
食堂に来て安酒を軽く呑む程度の娯楽で一息をついている最中だった。
■バルベリト > 「――行動を起こした割に、その活動は小規模。――結果、貴族や王族には堅い護衛が付き始めている。」
国の根幹を揺るがすと初期は噂されたミレーの叛乱。テロ行為。
だが大多数のミレーは現状の地位からの脱却のために力を見せる事を余り善とはみていない。これは救いだろう。
だが、テロという行為はあくまで引き金の一つの筈だ。
テロを起こすことが最終目的なら、このテロの首謀者は――
「魔族か、それともどっかの貴族か。武器を売りさばきたいか――単純に馬鹿か。」
魔族が裏で糸を引くことは考えたが、ある理由でそれは除外した。
となればテロを起こさせる事で旨味を味わえるどこかに首謀者、協力者が固まっているか。――それとも。テロを起こせばすべてのミレーが蜂起すると信じて疑わなかった純粋な指導者なのか。
それとも、そんな考えなんかよりも違う高みの次元に解があるのか。
どちらにせよ、動き始めた歯車をとめるのは歯車を動かすよりも強い力が必要となる。――結果、騎士団も余裕を削り取られている側面が大きかった。特に、まがりなりにも『防衛』を主任務に据えられた第八師団は。
■バルベリト > 南西からの穀物酒が値上がりした。理由は、まぁ。
そのテロ行為に加担していたとされる大規模農家が摘発され、穀類が一時値上がりした為に酒に回される筈の穀類が食物として流通した為だった。
そんなわけで数週間前までは安酒だった筈の――2本目のボトル。
焦げ茶色の僅かな果実の香る液体は、今や元値の倍ほどになっている。
少しすれば落ち着きを見せるだろうが、相場の変動が続けば酒に限らず食にも変動の波は到達するだろう。
食料として流通させたのは誰の指示かは知らぬが――理に叶った判断だったか。
自分にとっては大いに不満だが。
■バルベリト > 「国の機能を今、この瞬間正すってーのがどんだけリスキーか。一般市民目線でさえ理解してるだろう事なんだがなぁ。」
テロを起こすだけなら時期が悪いにも程がある。
根回しも不十分過ぎる。何より、計画全体が運任せの広がりを期待しているように見える自暴自棄とも取れるのがテロだ。
――にも関わらずだ。異端の神の存在を知らしめ、そして終末思想にすら思える題目を唱え続ける彼らには首を傾げざるを得ない。
本当に、異端の神であれば――異端の神とされるのであれば。
さらにその名と存在を血で汚さなくてはならない理由が彼らにはあるのか?
彼らにとって、その異端の神はどういう位置づけなのか。
――根元に思考が向おうとすると、あまりにも根が絡まり、広がりすぎて問題解決の根幹が見えてこない。
目の前の酒の問題もそうだが――放置しておくと王国にミレー。
どちらにも悪影響しか及ぼさないとしか思えない始末ではある。
■バルベリト > 「ってむずかしいーこと考えるのは頭脳班に任せとけって話だな。今は酒酒。」
鮭に失礼があってはならない。ぬるくなってしまったが、まだ穀物酒には芳醇な香りが残されている。
穀類特有の甘味と、地質から僅かに混ざる塩が酒の風味を引き立てる。
この塩の影響で酒としての質が低いと評されるが、自分はこの味が好みだった。
さらに、塩の味を薄めたいが為の工夫なのか。僅かだが果実の――野性味ある芳香がまた面白い。
バランスの悪さが寧ろ自分の舌を楽しませてくれるのだから酒というものは面白い