2018/04/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 執務室」にオーギュストさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 王城 執務室」にサロメさんが現れました。
■オーギュスト > 第七師団長オーギュスト・ゴダン。
彼は執務室で、珍しく書類と格闘していた。
とはいえ、決済書類ではない。
いくつかの資料だ。
「――やっぱりな」
そう、この国の歴史に関わる資料。
その中で「あるもの」について調べていたのだ。
■サロメ >
ドアが開く、ノックはなかった。ただ一声、入るぞ。と
見慣れた顔、見慣れた表情、見慣れた女だろう
小脇に紙束抱えて、つかつかと執務机の前へとやってきた
そして、ちらりと机の上の資料を横目で見る
「考えることは同じか」
ばさりと紙束を机の上へと置く
達筆な筆跡で多くのメモが取られていた
それは全部、この王国の200年前に関する記述
「ヤルダバオートの神殿、その一つの古書蔵に行ってきた」
■オーギュスト > 「おう」
何も言わずに衛兵が出て行く、手馴れたものだ。
オーギュストは資料から顔を上げ、入ってきた副将軍の顔を見やる。
「で、あったか?」
魔族たちが言う、その力を弱める結界。
それが神の力だというなら話は簡単なのだ。
だが、彼女の顔からは、その線は無さそうだが
■サロメ >
椅子を引き、腰かける
目を伏せがちに小さく息を吐いた
「まず最初に答えるべきことは、魔を退ける力については何もわからなかったということ」
机の上の紙束にも、それに関するメモは何もない
調べても一切が出てこなかったということだろう
「しかし気になることはあった」
紙束を再び手にとって、一枚一枚、捲くってゆく
「王国の図書館、ヤルダバオートの書庫。
どれもこれも200年前、それ以前に魔族が攻めてきたという記述はない。
残っている記録は全て黒の王の時代からのもののみだ。
そこで何かがあったのは明白、だがそれを記したものは何も残っていない」
紙束を机へと戻し、もう一度深く嘆息し…今度はオーギュストの顔へと真っ直ぐに視線を向ける
「たった200年で全ての記録が自然に消滅…風化すると思うか?」
■オーギュスト > 「ねぇな」
オーギュストはにべも無く答える。
たかが200年で記録が風化する?
冗談ではない、200年どころか、あの島には1000年以上前の記録ですら残っていたのだ。
「無い、ってんなら、誰かが消したんだろ」
そう、誰かが。
――その記録が都合の悪い、誰かが、だ。
オーギュストは一度立ち上がり、棚へ向かう。
酒を取り出す為に
■サロメ >
「そうだ、つまり今の王国民が知られては都合の悪い何かがそこで起こってる」
膝下で手を組む、その手は僅かに震えている
「魔を退ける力は神の力だ、いや、そう仮定する。
黒の王の時代に突然魔族が人間の国まで現れるようになった。
しかし魔族がそれ以前にいなかったわけじゃない」
仮説、そうこれはただの仮説だ
実際の戦闘に置いて、魔族が勢いづくのはどんな時か
神魔法部隊が展開する結界が緩んだ時に他ならない
「魔を退ける力はこの国に元々あったものだ。
200年前に、何らかの理由でそれが弱まった……と私は考える」
神の力が弱まる時はどんな時か
──信仰が失われた時だ
「オーギュスト、この件はこれ以上深く足を突っ込むべきじゃない。
口外しないほうがいい、忘れよう。我々の領分ではない‥」
■オーギュスト > そう、これは王国の根幹を揺るがすかもしれない問題。
すなわち――「神の権威の否定」。
当然、サロメが怖気づくのも分かる。
「――サロメ、俺達はなんだ?」
だが。
自分達は何者か。
第七師団。
王国より魔を退ける、退魔師団ではなかったのか。
「俺達は何者だ、言ってみろ!」
怒気を孕んだ声でサロメに尋ねる。
強めの酒を一気に注ぐ。それも、二人分。
■サロメ >
「…我々はマグメール王国軍第七師団─退魔の一団だ。
だが、だからこそだろう、王国の人間全てが魔を退ける力の存在をしらないわけはない!
だが我々は誰一人としてそれを知らなかった、知らされていなかった!」
立ち上がり、声を張り上げる
どこか不安に駆られたような、そんな声を向ける
「力を知れば根源を探す、より有効な使い方を探す。
それがひいては王国全体を揺るがす危険な行為に成りかねない…」
生まれてきた時から、この国に在るべき当たり前の何かが崩れてゆく
それは焦燥と不安を生み出す。当然混乱が起きる…下手をすれば、現在の王国に対しての───
「…そういう力がこの国の土地の大部分にある。
そこまででいい、それ以上…踏み込むな」
■オーギュスト > 「――サロメ」
ぐいと杯を飲み干しながら、もう一方の杯を相手へと差し出す。
飲めと言わんばかりに。
「お前は耐えられるのか?」
尋ねる。
オーギュスト・ゴダンは許さない。
曖昧な答えを、逃げる事を、決して許さない。
「もしそこに、俺達の手の届く所に、魔族に対する切り札があったとして。
それから目を背けて、逃げ出して、己の、そして王国なんぞの平和の為に、それを放り投げて!」
杯をさらに差し出す。
飲め、お前もこちら側へ来い。
「今まで死んでいった連中と、これから死に行く連中の怨嗟に! 無念に! 後悔に!」
「お前は耐えられるのか、サロメ=D=アクアリアッ!!!」
■サロメ >
「……それに耐えるのも、長の役目と覚悟だろう」
しばしの沈黙の後、絞り出すようにして紡がれた言葉
杯を受け取るも、それを眺め視線を落とす
「…お前は何のために魔族と戦う?
私はお前についてゆくと決めたが、それはこの国とそこに生きる人を守る為だ。
──無論、誇りのため、力もつ者の責務として…他にも理由はあるが、
その根は変わらない」
その質問は、以前もしただろうか
しかし、あえてもう一度問うのだ
「──なぜお前は魔族と戦うんだ?」
功名、それだけならば人との争いで良い
多種多様な力を持ちその危険度すら天井のわからない相手をなぜ選んだのか
■オーギュスト > この娘もそれを聞くか。
ならばまぁ、答えなければなるまい。
――こいつにだけは、嘘をつけない。
「サロメ、魔族と人間はどちらが優れていると思う?」
どっかりと再び椅子に腰を下ろす。
酒は瓶ごと手元にある。杯に再びなみなみと注ぎ、口をつける。
「力、魔力、寿命、どれをとっても魔族の方が優れている。
なのに、何で人間と魔族は拮抗しているんだと思う?」
■サロメ >
「………」
魔を退ける力、それの影響で魔族が攻めあぐねている
それも事実だ。だがその質問はそのような答えを求めてはいない
「──我々の命は短い、命を惜しむ。
力も弱く、魔力もそれに倣う。───言葉は単純だが」
「生きるため、"必死"になれるからだ」
杯を見つめ、一気に煽る
──強い酒だ。喉を熱が通過する感覚に思わず眉を顰める
「お前も、そうだというのか」
■オーギュスト > 「違う」
そうだ、生きる為に必死になる。
誰もが今を精一杯生きている。
今ある自分の手札だけで、何かを為そうと必死に生きている。
「――俺は貴族や王族が大嫌いだ。生まれた時から何の不自由も無く、ただ生きているだけで幸福が向こうから転がりこんでくる。
今必死に生きている連中を嘲笑い、己の好きなように嬲り、慰み者にする」
サロメにもう一杯酒をつぐ。
本来、こんな風な呑み方をする酒ではないのだが。
「その頂点にいるのが、魔族だ。
絶対的な力を持ち、寿命も魔力も、下手すりゃ技術でさえも俺達の先を行く。
子供を生む事だって出来るし、己の国を作って繁栄している」
そう、かつてあの魔王に言った言葉。
オーギュストの根底にある感情。
「――俺はな、サロメ。連中が怖い。心底恐ろしいんだ」
■サロメ >
「怖いから、恐ろしいから、──怯えを祓えと。
……おい、師団での生活で慣れたとはいえ私はもう──」
言うのが遅かった、杯には並々と酒が継がれている
おかげでもう一つ深い溜め息が出てしまう
「根絶やしにしてしまえば、我々はその恐怖からは開放されるな。
……途方もない話だ。連中の国にいる魔族や魔物の総数すら知れんというのに…」
呆れたように、杯を煽る
■オーギュスト > 「誰だって怖いさ、怖くないヤツは、感情が壊れちまっただけだ――
だが、戦ってる時は、怖がらなくて済む、恐れなくて済む」
そう、恐怖を克服するには、立ち向かうしか、戦うしかない。
それをオーギュストは知っている。
恐るべき魔族たちと対峙し、そこで生死のやり取りをする戦いの時にだけ、彼はその恐怖から解放されるのだ。
「まぁ――最近もうひとつ、方法があるって知ったんだがな」
サロメの文句は無視して杯に口をつける
■サロメ >
「──しかし、切り札には成り得るかもしれないが魔を退ける力の根幹は禁忌だ。
下手をすれば王国やその命を受けた他の師団からも命を狙われることになるぞ」
リスクが高すぎる──…この男にリスクの話をしたところで無駄かもしれないが
「それは良いことだな…」
もう一つの方法がある…などと聞けばやはり呆れたように肩を落とす
まったく、意を決して進言に来たというのに
怖がる怖がらないなんて話になっていくとは思っていなかった
言葉だけをかいつまんでみてみればまるで子供との会話である
■オーギュスト > 「おうおう、それも怖いな。
ミレーみたいに奴隷にでもされちゃたま……」
そこでふと気付く。
ミレー族? 奴隷にされている? 200年前?
「……おいサロメ。確か、ミレー族が奴隷にされてる理由に、あいつらの『偽りの伝承』があったな?」
オーギュストもよくは覚えていない、この男はそういう神学の授業の時は居眠りばかりしていたのだ。
だが、引っかかる、何かが引っかかる。
何かが、何かのピースが、埋まろうとしている
■サロメ >
「そうだな。正否はともかくとして人間に残されている伝承が200年前で消えている以上、彼らの伝承がより古いものとなるだろうが…」
杯を煽る手が止まる
「…詳しい内容までは覚えていない。
しかし彼らは我々とは別の神を信仰し、ヤルダバオートを偽りの神と呼ぶ。
宗教観念の対立によって敷かれる奴隷制度など珍しくはないだろう」
───とは思うが、目の前の男の中では何かが形を為そうとしているようだった
「……早馬で忠告に来たというのに、無駄だったか」
まぁ、そこまで期待はしていなかった
大きな溜息と共に再びその細い肩を落とす
■オーギュスト > 「あぁ、そうだな。珍しくない」
杯を机の上に置く。
軍用コートを羽織り、サロメに告げる。
「――そのミレーの主張が、本当だとしたら?」
偽りの神が信仰を得て、本物の神への信仰が失われた。
故に結界が弱まり、魔族の侵攻を招いた。
つじつまは、合う
もっとも、こんな事を大声で言えば、あっという間に投獄からの宗教裁判行きだが。
「ミレーの連中の信仰を調べる必要がある。お前は文献をあたれ。教会の禁書庫なら、その手の書物に事欠かんだろ」
そして男は、ミレーの隠れ里へ向かう準備をはじめる
■サロメ >
「酒を入れた状態で早馬を飛ばすつもりか? 早るな、落ち着け」
早速行動を起こそうとしている
それがこの男の良いところでもあるが……
そもそも強い酒を再三飲ませた自分にいきなり文献調べろなどと言う
一体何を考えているのだ
「全く、人の心配を他所に、いい加減私のことを何だと思っているのかわからなくなってきたぞ」
──ふと、自分の言葉で誰かの言葉を思い出す
"聞いてみたらどうだ?"
「……オーギュスト、もうひとつだけ話がある。
酒のついでだ、軽々しい話の一つくらい構わないだろう」
■オーギュスト > 「――なんだ?」
確かに酒を入れてしまった。
一杯ならいいが、三杯は流石に多すぎたか。
コートを椅子に置き、どっかりと腰掛ける。
まぁ、もののついでだ。今日は酒を飲んで寝て、出発は明日にしよう。
■サロメ >
「書類には書けない報告事項があったのを忘れていた」
僅かに歩み寄る
さて…こう言ってみろとは言われたものの、
普段からそういうことがほとんどない自分にうまく嘘がつけるだろうか
見破られたなら見破られた、である
「お前が腐っている間、タナール方面や魔族からの守りに関して第零師団に助勢を頼んだ」
そこまでは報告書にも書き、師団同士のやりとりも既に終わっている
───必要があるのか、悩むが。知っておくことは必要だ
「その条件として私の身体をアーヴァイン・グラウ・カルネテル卿に要求され、預けた」
言い方は硬い
しかしそれの意味することは、察しの通りだろう
もちろんそんな事実はない
彼は王国を守る師団の仲間として、無条件で協力してくれた
ただ、オーギュストの中でサロメという人物が占める要素
その話になった時、彼は僅かに不満気だった
そして言ったのだ、こう言ってみろ、確かめてみろ──と
……嘘で試すなど、自分らしくもない。
まぁ、きっと酔っているのだ──
■オーギュスト > 「――あん?」
酔いが冷める。
冷めていく。
そして、変わりに――
湧き上がるのは、恐ろしいほどの、怒り。
「――てめっ、そういう事ははやく言え!」
立ち上がり、慌てて自らの大剣を引っつかむ。
こいつが誰かのモノになる?
冗談じゃない!
剣呑な目をして大剣を掴み立ち上がる。
ほぼ正気ではない目で
■サロメ >
「!? おっ、おい!」
慌ててその前へ立ち塞がる
「何を考えてる!? 剣を置け!」
突然の激昂
さすがに予想の範疇ではない
立ち塞がった後も、自分自身のものとは思えぬほど鼓動が早くなっている
■オーギュスト > 「あん!?」
感情の歯止めがきかない、激昂している。
とりあえずあの澄まし面を叩き斬ってやらないと気がすまない
「うるせぇ!」
思わずサロメを突き飛ばす。
本当に、何故ここまで自制が効かないのか。自分でも分からない
■サロメ >
「ッ──」
突き飛ばされ、床へと尻もちをつく
「落ち着け、オーギュスト!
養子とはいえ彼は王族になった身だぞ、何をする気だ!?」
その場で叫んではみたものの、言葉が聞こえている気がしない
…いや、届いていたとしても──これは収まるのか
私にこれを言えと言った彼は、これを予想していたのだろうか?
「いいから剣を置け、私の話を聞くんだ」
突き飛ばされた姿勢から立ち上がり、その言葉を背へと投げる
「───………嘘だ。だから、落ち着け」
■オーギュスト > 「――嘘?」
嘘だと?
いや、嘘だろうと許さない。
そんな嘘を許せるものか。
サロメをもう一度突き飛ばし、覆いかぶさる。
そういえば、こうして押さえつけようとすると、あの日を――こいつのはじめてを奪った日を思い出す。
「許さん」
そんな嘘を言ったこいつを。
――この胸に火をつけた女を。
(あぁ――そうか)
そしてようやく、自分の感情を理解する。
そうか、これは――
■サロメ >
「──っ…ゆ、許せとは言わない、が…罰するならば彼ではなく私だ」
突き飛ばされ、覆い被さられる
オーギュスト・ゴタンという男の中で、自分はなんなのか
将軍を支える後ろ盾であり、副将軍として補佐する、それが立場の筈だ
彼はその私の答えに納得がいっていないようだった
故に、言ったのだ"試しにこう言ってみろ"と
結果は火を見るより明らか…むしろ、火そのものだった
「お前を試すような真似をした。……気の済むようにしろ」
試される、などこの男の性格からすれば怒るのは当然だ
そしてなおかつ、信用されているだろう自分が嘘に巻いたとなれば、尚更だろう
…指揮権はオーギュストへと戻った
嘘を吐くような副将など不要と言われるならばそれも受け入れよう──
■オーギュスト > 「――許さん。他のヤツのモノになるなんざ、絶対許さん」
そうだ、こいつは――
こいつは、俺のモノだ。
「サロメ、お前は――俺の傍に、いてくれ」
唇を重ね、貪るように女を求める。
ただ、男が女を求めるように。
それが必要な事だと――男は、ようやく認めた。
■サロメ >
「…? 何を言っ……ん、ぅ───」
言葉は唇を塞がれ、途切れて
───………
「っ…っは……お前は、突然すぎる……」
激昂していたかと思えば…こうだ
心の準備も何もあったものじゃないと僅かに瞼を下げた視線を向ける
頬に朱が差しているのは……仕方がない、この男とのこういうコトには未だ慣れがない
「──側にいろというなら側にいよう。
さっきも言っただろう、剣折れてもお前について行くと決めたんだ」
■オーギュスト > 「違う」
今度もはっきり言う。
剣とかそういうのではない。
俺は――
「女として、俺の傍に居てくれ、サロメ」
この男にしては、一世一代の口説き文句であったろうか。
彼女の目をしっかり見て、呟く。
そして再び、キス。
■サロメ >
「………───ッ」
その言葉に一瞬その切れ長の目を丸くする
そして再び、今度は言葉を返そうという前に、唇を塞がれる
……成程
彼の言っていたことがようやく理解できる
女遊びも激しいこの男に限って、ありえないと思っていたから想像もしていなかった
再び唇が離れた時、サロメは騎士としては少々頼りない程、穏やかな眼になっていて
「……お前も相変わらず趣味が悪い。
よりにもよってお前の一番嫌いな者達の手垢で汚れきった女を傍に置こうというんだからな」
──まぁ、そんな細かいことは気にしないのだろう
きっと、細かいことなのだ。彼にとっては──
■オーギュスト > 「安心しろ」
この男にしては珍しく、優しい声色で言う。
もっとも、それに続く言葉は――
「お前を汚した連中は、俺が一人残らず始末する」
物騒な事この上なかったが。
とはいえ、それも男にとっての愛情表現ではあるのだが。
「最期にお前が居てくれれば、それでいい」
それは、男にとっての、ほんの少しだけの弱さ――
恐怖の中にある、死ぬ時は一人であるという実感。
それを埋める為なのかどうかはわからないが。
オーギュスト・ゴダンはただ、彼女を求めた。
■サロメ >
「………」
ふ…と、鼻から小さく息が抜ける
それは安堵したような、呆れたような……
「言うことが一々過激すぎる。
……傍に私がいなければ、どうなってしまうことか。
なら、約束しよう」
言い終わるとオーギュストの頬へと手を添える
──年相応には見えぬ少女のような顔のままの……
「お前の最後は私が見届けよう、…お前の一番傍でな」
誓いの口吻とするにはあまりにも簡素な、少女らしいキスを今度は此方から
───年甲斐もなく顔が熱い、まあ赤くなっているのだろうと、それを終えれば思わず視線を外してしまうのだった
■オーギュスト > 「――あぁ」
安心したように、こちらも溜息をつく。
まったく、柄でもなかった――
そして相手が赤面するのを見れば。
今頃になってこちらも赤くなり、思わず立ち上がるのだった。
「――さ、明日からまた忙しくなるぞ」
やる事はまず――ミレーの里を訪ね、伝承を聞く事。
そして、キルフリート攻略準備の再開だ
「よろしく頼むぞ、サロメ」
■サロメ >
「(卿に会ったら礼を言っておかねばな)」
赤くなったこの男などめったに見れるものでもない
その様子に思わず小さく笑って、身を起こし整えながら……
「私が師団に入ったばかりのあの時のように続きまでするのかと思ったが?
成程な、案外お前はこういった感情に不慣れらしい」
柄でもないなどと思っていたのだろう、たびたび思うことはあったが少年のようなところがやはり在る
「ああ、お前の隣を歩くだけなら迷うことももうない。
その代わり、お前は道に迷うなよ。オーギュスト」
──魔を退ける力、その根源を解き明かすこと
そして魔族の国への遠征と攻城戦の準備……
どれもこれもリスクが高い……まぁ、いつものことか、と
良い意味で開き直ることはできたのだった
■オーギュスト > 「――今日は無しだ、気分じゃねぇ」
赤くなりながら顔を逸らす。
まったく、いつもの調子が出ないこんな時に、抱けるかってんだ。
「うっせぇよ、お前だって――まぁいい」
言いかけてやめる。まぁ、お互い様だ。
リスクが高い生き方だが、それしか出来ないのがこの男だ。
あらためて、お互いの存在を確認し、そして歩いていく方向が定まった。
男は意気揚々として執務室を出て、次なる戦場へ向かう。
ご案内:「王都マグメール 王城 執務室」からサロメさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城 執務室」からオーギュストさんが去りました。