2018/04/23 のログ
フェイレン > 金のためだと言ってのける豪胆さに呆れかけるも、
こんな事態となっても怖気づかない彼女には似合いの台詞のようにも思う。
次々示される新たな反応に、彼女に抱く印象はすっかり散漫していたが、一言で言うならばこうだろう。

「お前……生意気だ」

片手の親指で秘裂の上部にある突起を剥き出し、そこへ硬い鞭を押し付ける。
ぐりぐりと強く擦り上げつつ、先端で下から持ち上げると、軽くしならせながら乱暴に弾くのを繰り返した。

「期待して来ただと? ……そうか、既に躾の済んだ獣らしいな。
 ますます旦那様の好みだ」

彼女の見せた敵意を逆撫でするよう言い放ち、溢れ続ける透明な液体を三本の指で掬い上げ、膣口へ突き入れる。
宣言通りすっかり濡れた膣内は蕩けそうなほど熱く、指をぐっと押し込んで最奥へ届かせ、かき混ぜると水音が地下室に響いた。
激しく抜き差しすると溢れた蜜が寝台をみるみる汚していく。

「……喜ばれては罰にもならない。このまま衛兵に突き出した方がいいか?」

そう鼻で笑い、蔑むように吐き捨てた。

ネコ > 少女は相手をまっすぐ見るが、その表情と瞳の色はどこまでが本気なのか。
少なくとも、依頼を達成しようという意思だけは本物のようだが。

「よく言われる。
 んっ……んぅぅっ!」

あっけらかんと言い返したものの、クリトリスを剥かれ、鞭による愛撫を受ければ喉から甘い声が漏れた。
身体を思わず揺らすものの、逃げようとはしない。

「まぁね、アタシ、エロいこと好きだし。
 っつーか、アタシのことどうにかしようとしたら、ウチのご主人様がただじゃ済まさないと思うよ?
 あの人、爵位とか王族とか関係無しにいく人だから。
 んひいぃぃいいいっ!!」

相手の逆撫でするような言葉には、若干覚めたような様子で言い返す。
少女としては、そんな捕まえるとかなんとか、そんな話はどうでもいいのだ。
ただただ、目の前の相手と快楽を分かち合いたい。そう思っているだけ。
体内へと指三本が入ってくれば、嬌声を上げ、腰を前に突き出してしまう。
奥までをしっかりとかき回される感触に、少女の表情は蕩け始め。

「……む~。ムードも何もねぇなぁ。
 よいっしょおっ!!」

相手の蔑むような言葉に、いよいよ不満を感じたか。少女は器用に両腕で相手に抱きつくと、ぐい、と引き寄せ、抱きしめる形になる。
足を拘束されているのに、上半身のバネとバランスだけで動くという、ちょっとしたスキルであった。
そのまま、相手の唇を奪い、甘く吸い付くと、耳元で囁く。

「そ~いうのいいからさぁ……。アタシとドロッドロに溶け合おう?
 何回でも生中出ししていいしぃ……アタシのマンコ、結構イイって、皆言ってくれてんだぜ?」

毒の如き言葉を耳元に注ぎ込む少女。御託はいいから、犯して、注いで。
目線でもそう懇願しながら、少女は腰を振る。

フェイレン > 相手の背後に存在するらしい巨大な力を仄めかされ、男の眉がぴくりと震えた。
この場しのぎの出まかせかと思ったが、相変わらずあっけらかんとした表情からその意は読みづらく、真実には辿り着けそうもない。

突き入れた指を迎えるように腰が浮き、少女の表情が乱れ始める。
このまま弄り続けて先ほどの話についてもっと深く聞き出すべきだろうか。
そんな打算を巡らせているうち、不意に抱き寄せられ、唇に熱が触れた。触れるどころか吸い付いてくる。

「! ……っ、……」

反射的に飛びのこうとしたが回された両腕に阻まれ、その柔らかさをすべて受け止めてしまう格好になった。
途端に血液が沸騰する感覚に襲われ、頭がぼうっと熱を持ったかと思うと、
その熱は背筋を通って下肢へと流れ込み、男の男たる箇所を痛む程に刺激した。
誘う台詞が甘い吐息となって耳に掛かり、その卑しい熱に拍車をかける。

引き寄せられる力に沿って彼女の身に覆い被さると、自分の手でボトムを掴んで引き下げ、
滾ったものをそのまま相手へと押し込んだ。
こちらを迎え入れる感触に身震いしながら懲らしめるように腰を打ち付け、両の胸を鷲掴みにする。

「く、そっ……、お前……、……っ」

罵ってやりたいのに、それ以上言葉が出てこない。
内壁を擦るように張りつめた熱棒を行き来させ、彼女の望むまま忙しなく犯し続ける。

ネコ > 別段、少女の主人は大物というわけではない。
だが、自分の家族同然に思っているメイドを傷つけられれば、どんな相手だろうと報復するのは間違いない性分だ。
少女はそれを把握した上で、適当なことを口にしている。

相手の指の動きに強い快楽を覚えつつも、少女は逆襲に出る。
早く相手の理性を溶かして。犯してもらうために。
体はとっくに焔がついているのだ。じらされるのは我慢がならなかった。

「ん~っ、ちゅっ……はぁ……」

唇を舐め、吸い、相手の口内に舌を滑り込ませる。
培ってきたテクニックで、なんとか相手を篭絡しようとする少女。

覆いかぶさってきた相手を、絶妙な力加減で支えれば。
相手が、ようやっと中へと入ってきてくれた。

「んあああああああああああっっっ♪」

きた、きた、やっときてくれた。喜悦は歓喜を呼び、少女の中を吹き荒れる。
そのまま、激しく中を犯されながら、更には胸までも犯され。
膣内は蜜をとめどなく分泌し、まるで生物のようにうねり、肉槍へと絡みついていく。

「んあっ、はあぁっ♪ いい、からっ♪
 何も、言わないで? 犯してほしいの……アナタに……♪
 ね? フェイレン。愛して。今だけで、いいからっ……」

相手が何かを言おうとするのを察し、少女は相手の唇に人差し指を当てる。
蕩けた表情と声で、先ほどまでとはまったく違う振る舞いを。
犯されれば、身体が揺れる。そのまま、相手の情熱に身を委ね。
しかして少女も確かに快楽により上り詰め始めていく。

フェイレン > 深い口づけのたびに脳が甘く痺れ、思考がぼろぼろと抜け落ちていく。
そのせいか肌の感触にも鋭敏になって、触れ合う場所のすべてが気持ちいい。

滾りを突き入れ、引き抜く都度、濡れた襞が絡みついては鮮烈な快感を生み出して、青年の鼻先から余裕のない吐息がいくつも漏れた。
先ほどまで強気な口を叩いていた娘は、今は甘えるような声色で男に語り掛け、一夜の繋がりを求めている。
愛など知るものか。その言葉には辟易する他ないのに、熱を宿した身体は言うことを聞いてくれなかった。
ねだられるままより短い間隔で女の最奥を突き上げ、胸に伸ばした手で先端の突起を摘まみ、痛いくらいに扱いていく。

「うる、さい……! お前こそ、黙れ……、ッ……!」

縋るように身体を前傾させこちらから抱き着くと、獣の耳の先を甘噛みし、繋がった場所が泡立つほど激しく抽挿を繰り返した。
こみ上げる鋭い快感に肉棒はびくびくと脈打ち、やがて堪えきれずに決壊した。
先端から恐ろしいほどの勢いで精が弾け、彼女の中を白く染め上げていく。

「ふ、く――……っ、あ……、……っ」

射精しながら結合部を揺すり、残滓さえすべて注ぎきろうと擦りつけて。

ネコ > 絡む唇と舌。交わる吐息。そのどれもが、この交わりが間違いなく現実だと知覚させる。

ぎしぎしと身体を揺さぶられながら、少女は相手に笑顔を向ける。
愛おしい異性を見るかのように。あるいは、母親が息子を慈しむように。
優しく、しかし、どこか淫靡に。
奥までを激しく突かれ、更には硬くなっていた乳首を攻め立てられれば。
少女は大きく身体を仰け反らせてしまう。

「きゃふうぅぅぅっ!? は、ぁ、あっ……!
 そう、そう、よ。フェイレン……!
 もっ、と。もっとはげし、くっ……アタシを、愛してぇ……♪」

黙れ、と言われながら。少女はそれに従わない。むしろ、更に行為を懇願する。
耳の先を噛まれる。気持ちいい。何度も何度も体内を掻き回される。気持ちいい。
自分の中で相手のペニスが震えるのを感じれば。少女は、再度腕を相手の身体に回す。
その位置は首。激しくも口付けを交わしたまま、少女はその時を待ち。

「~~~~~~~~~~~っっっっ♪♪♪」

そして、自分の膣内を精が穢すのを感じ取り、少女もまた絶頂する。
だが、キスは辞めない。むしろ、舌を絡ませる激しさは増しているほどだ。
とろん、と蕩けた目で相手を見つめ。全ての精を受け止めた後。
ようやっと、少女は唇を離す。

「は、あ、ぁぁぁ……噂どおり……ステキだったにゃぁ、フェイレンちゃん♪
 好きにゃよ、大好き。……愛してはいないけど」

笑顔だった少女が、最後の一言の時に真顔に戻る。声は、酷く冷たい。

フェイレン > 甘美な声が一際男を煽り、行為の続きをねだる。
翻弄されている。今日会ったばかりの、それも随分年下の娘に。
そうわかっているのに優しい眼差しを向けられるたび、口づけを受けるたびに自分の芯のようなものがぶれ、
ただ与えられる快感以外には何もわからなくなってくる。

首根をきつく抱かれ、精を吐き出す瞬間さえ呼吸を奪われて、眩暈がする。
腕の中で娘も果てたらしく、その愛らしい顔を艶やかに染めきると、繋がった場所は男を締め付けて震え、根元から搾り取られるようだった。
柔らかな唇がようやく解放されると、男は荒い呼吸を繰り返し、汗ばんだ顔を彼女の白い胸に埋めた。

ふと甘ったるい猫撫で声で名を呼ばれ、視線だけで答えると、
すう、と少女の顔から笑みが消え、その急な変化に背筋がぞっとする。

「はぁ…、だったら、どうした……」

愛されないことには人一倍慣れている。
汗を浮かべた顔で切なげに眉をひそめながら、細い腰を両手で掴み、余韻に浸る間もなく繋がったままのものをぐいと擦りつける。
愛だの好きだの、そういう感情がこの行為に必要だとは思えない。今はただ、目の前の熱が遠のくのが惜しかった。

ネコ > 貪られるまま。少女は快楽に溺れ。少女の肉体は、相手を高ぶらせようとしていく。
身体の中を目一杯に広げられ。足を拘束され、大事な部分を隠すことも出来ない体勢。
それらがまた、逆に少女を興奮させていく。

繋がった部分以外にも、抱き合い触れ合った場所の熱がやけに熱くて。
少女は、思わず息を吐いてしまう。少しでも熱を逃がしたいというかのように。
胸元に相手が顔をうずめてくれば、なんとはなしに、頭をなでてしまう。

「別に、ど~もしない。だってアタシとアンタはそういう関係じゃにゃいもんね。
 よっ、と」

相手の言葉に、くすくすと笑いながら、少女は両腕を振る。
次の瞬間、メイド服の袖からダガーが飛び出し、少女はそれで足を拘束するベルトを切断する。

「……って、うおぉぉい。まだヤる気?
 タダ乗りで二連発とか……。結構フェイレン、エロエロさんなんだにゃあ」

そうしている内に、再度相手が行動を起こしたので、少女は思わず文句じみたことを口にする。
だが、逃げることはせず、むしろ自分から腰を揺らし始めた。

「ん、あ、んっ。イイ……っ。
 ……自由になれば、好きに女も抱けるのににゃあ。
 それに……自由じゃなきゃ恋もできないっしょ」

相手に腰を掴まれた、その両手から腕、肩までをなぞり。
相手の鼻をちょんちょん、と人差し指でつつく少女。
その仕草は、年相応の、ちょっと背伸びしたような仕草で。

「でもまぁ、フェイレンはエッチ上手だから、好きなのはホント。
 だから、考えておいてよ。アタシもアサシンギルドに所属するつもりだし。
 ……一緒にお仕事、とかもよくない?」

フェイレン > しなやかな手に頭を撫でられると、つい目を閉じてしまいそうでかえって不安になった。
服の袖から飛び出した刃がベルトを絶つのを見届ける。
確かに押し倒してからも余裕を見せていたが、どうやら本当に、逃げ出そうと思えばいつでも逃げ出せたらしい。

飽きずに身体をすり寄せると、文句じみた言葉が返されるも、そこに不満の色は見えなかった。
彼女から提示された自由――そして恋、という単語を口の中で反芻すると、違和感で舌がもつれそうになる。
それは彼女自身の仕事を全うするための誘い文句なのだろうが、
そこにこちらを労わる感情が垣間見えるようでなんだか落ち着かず、青年は動きを止め、小さく首を振った。

「……そんなもの、俺には不要だ。……?」

不意に女の指先が腕や肩を撫で、そのまま鼻頭を突いたので、青年は瞳を何度か瞬かせた。
ここまで彼女には驚かされるばかりだった。彼女の言う通り、共に仕事でもすれば新鮮な驚きの連続なのかもしれない。
それは今と比べて魅力的な生き方にも思えたが、そう望むには自分の手も心も汚れ切っており、到底相応しい身だとは思えなかった。

一拍置いた後、返事の代わりに繋がりを強く穿つ。
再び硬度を持ち始めたそれを強引に捻じ込みながら、慣れない手つきで相手の頭を抱き寄せると、毛艶の良い耳に唇を寄せて。

「お前は変な女だ。……だから殺さないでおこう」

とだけ囁き、痛みの薄らいだ身体でもうしばし、不思議な娘のもたらす熱に縋るのだった。

ネコ > 明らかに相手のほうが年上なのに。なぜか、少女は母性のようなものを感じていた。
この相手を、甘やかしたい……というのは少し違うけど。
何か、癒してあげたい、というような。らしくもない感情で。

自分の言葉や行動に、いちいち反応を返してくれるのが、なんだか嬉しかった。
少なくとも、からかいはしても、相手のことを否定したりバカにしたりするつもりはない。
ただ。ちょっと堅物すぎるとは思うし。もっと自由でもいいとも思うのだ。
だから、ついつい不要な会話をしてしまう。

「不要かどうかなん、って……死ぬ瞬間までわかんにゃいっしょ」

相手のつっけんどんな反応に、息を切らしつつ答える少女。
まだまだ人生長いにゃよ? なんて言いながら。相手のモノが身体の中で、自己主張を強めていく。
不意に、ぎこちなく抱き寄せられ、耳元に囁きが溢れた。

「……そりゃど~も。でも一つ言っておくけど……。
 アタシに惚れるとヤケドじゃすまにゃいかもよ?」

少し照れたように、顔を背けながらそう言う少女。
相手に貪られるのなら、それを味わうことだろう。
求められる限り。いつまでも。逃げずに、相手のそばにいて。
自分の身体を差し出すことだろう。……無論、時が来れば逃げるつもりだが。

ご案内:「王都マグメール王城地下 仕置き部屋」からフェイレンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール王城地下 仕置き部屋」からネコさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」にフィーネさんが現れました。
フィーネ > とある日の午後。天気のいい庭園には相変わらず様々な花が所狭しと植えられている。その様子を眺めながら歩く人物が一人。

「何にもない時間ってどうしてこうも楽しいのかしら!」

連日ダンスや音楽の稽古で突詰めだった自分にはこれとは思えないほど贅沢な時間だ。
てくてく、と歩いていく途中には今まさに花の植え替え中であろう庭師がぺこりと会釈してくれる。
本来ならば言葉のひとつやふたつでも交わすのだが見たところ忙しそうな様子なのでひらひら、と手を振り返して過ぎ去ることにした。
次はどんな花が植えられるのかとわくわくしながら。
そういえば近々近隣の貴族たちを招いての夜会をするとか何とかって言ってたけどそのためなのかと思考を巡らせ。

フィーネ > 夜会は嫌いではない。
普段はあまり口にしないような珍しい食べ物が沢山出るし、着飾る人々は美しい。楽団が演奏する音楽も耳に心地いいけれど・・・ひとつ、引っかかることが。

「婚約、かぁ・・・」

自身の婚約相手探し。
自分は何もしなくても兄が勝手に見繕ってきたり、あからさまに権威や地位を目的とするような貴族が寄ってくるので特にどうこうすることもないのだが。
相手の機嫌を損ねないように。世間体を気にしつつ、当たり障りのない言葉でそれらしい文句を連ねればいい。
何度となくそのような場面に出くわしてきた彼女には簡単なことだ。

「せめて、自分で相手を見つけられればいいんだけど。」

ぶつぶつと思っていることを口にしながら歩いている先には少し日陰になった場所にベンチが。
そこに腰掛けるとふわっとひとつ欠伸をして長いため息をつく。
考えても仕方のないことだとはわかっていても、口にせずにはいられない。
王族というのはそういうものだ、と何度聞かされてきたことか。
そもそも、もうすぐひとつ年齢が上がるというのにまだ婚約もしていない方が珍しいのだ。
自分がこれ以上ないくらいに恵まれていることは百も承知だが、それでも夢見てしまう。

「絵本のように上手くはいかないものね。」

奇跡的にも運命の人を見つけ、二人は幸せに暮らしました、というような夢のようなハッピーエンドの結末を思い描きながら。

ご案内:「王都マグメール 王城」にヴィルヘルミーナさんが現れました。
ヴィルヘルミーナ > 依頼の報告をしに行った帰り道。
蛮族は庭園を見に来ていた。

普段用事もなければ城に入れない身分なので、ここぞとばかりに色々見て帰ろうと。

すると、貴人らしき娘さんがベンチに腰掛けては独り言を口にしている様子が目に入る。
蛮族は聴力に自信があるので文言を全て拾っていた。
これは仕事になるかなあと思った蛮族。 ダメ元で声をかけてみることにした。

「ご希望はあるのかい、お嬢さん。 俺で良かったらコレって相手を連れて来てみるが。
…ああ、俺は仕事に困っているただの庶民だ。 憐れむ位で気軽に話してくれると助かる。
勿論、聞いた内容は漏らさないよ。」

蛮族はご令嬢に声をかけつつ、さりげなくベンチに腰掛ける。
武装こそしていないがいかにも蛮族らしい恰好。
ドレス姿の令嬢とは対照的だ。

フィーネ > ぽけーっと何をするでもなく空を見上げていると横から聞こえたのは知らない声。
完全に気分は上の空だったため、ひゃっ、と素っ頓狂な声をあげるもしまった、とばかりに口元を両手で押さえ相手のほうに向き直る。

「あ・・失礼、ごめんなさい。誰か来るとは思わなくて。」

悪い意味ではないんです、と前置きしてから自身が呟いていた独り言を聞かれたかと知ると赤面気味になり。
話してもいいものだろうか、と迷いはあったが内容は漏らさないという発言に少し安心してぽつりと話し出す。

「・・・これっていう理想の人は私まだよくわからなくて。ただ、好きでこの人と一緒にいたいなって思う人だったらいいの。相手もそんな風に思ってくれてたら嬉しいなって。」

何だか上手くいえないけれど。
家柄や財産などは彼女にとってはあまり興味がないらしい。
そのようなことを織り交ぜながら口下手気味に説明してみる。

ヴィルヘルミーナ > 「驚かせちまって悪いな。」

赤い顔の令嬢にまずは謝意を示す蛮族。
彼女が事情を口にすると、言い終えるまで黙って聴いて。

「なるほどなあ。 お嬢さんみたいな地位のある家柄の人になると相手はそっちを意識してしまうよなあ。
持ってる奴も持ってるなりに大変なんだよなあ。」

蛮族は隣に座る令嬢の横顔をじっと観察。

「よし、それなら街に繰り出してみるか?
お嬢さん、顔も綺麗だし庶民っぽい恰好してれば良い男も見つかるんじゃないか?
今からで良ければ俺も付き合うぞ。
ちなみに俺はヴィルヘルミーナ。 お嬢さん、失礼だけどお名前は?」

蛮族は外からやってきた存在故に城の内部事情は疎い。
お嬢さんの素性も知らぬまま声をかけている始末であった。

フィーネ > 「いいえ、私は気にしてないから大丈夫。
王城って色んな人が来るし、私も気を抜いていたから。」

彼は何も悪いことなどしていない。
それなのに謝らせてしまったことが申し訳なくフォロー交じりに気にしなくていいという旨を伝えると。

「私まだお金の価値がどういうものかわからなくて。
ずっとここで育ってきたから必要なものがあるのは当たり前で、財産や家柄がなかったらどうなってるかなんて考えたこともなかったから・・・」

なんて贅沢な悩みだ、と言われてしまえばそれまでなのだが、実際そういう危機的状況に遭遇したこともないのだからどうしようもない。
悶々としていると、街に繰り出してみる、いう彼の言葉にはっとして。
その後実は・・・と言い難そうに口を開く。

「実は私少しだけど街に出たことがあるの。
貴方の言うように変装して繁華街を歩いたこともあって・・・
でもそのときは何もなかったの。
私がいいなって思う人をみつけるためじゃなくてただ単に街の様子を見に行きたかっただけだからかもしれないけど。」

以前に行った街はそれはそれは賑やかで王城の厳格な雰囲気とは違い、人々は楽しそうに商いをしていたのだ。
そのことばかりに目を奪われ、どの人が素敵だとかは見る暇もなかったのでもし、街にいけるのであれば今度は違う目的でいくのもありかなとは思っていたのだが、まさか彼からそのような言葉が出るとは。

「貴方が一緒ならとても心強いと思うわ。
ああ、失礼。まだ名乗っていなかったわね。
私はフィーネ。よろしくね、ヴィルヘルミーナ。」

そう言ってにこりと笑顔を向け。

ヴィルヘルミーナ > 「まあ、お嬢さんがその気がないのなら早いとこ城から離れるべきだとは思うがな。
お嬢さんは知らないかも知れんが、城の中も色々あることはあるようでな。
金は必要だが、この国で暮らすのなら冒険者でもなんでも仕事をしている奴を捕まえたら
いいんじゃねえか? 今よりは生活レベルは下がるが、喰ってはいけるだろ。」

汚れ仕事も引き受けることのある蛮族は城のネガティブな面をなんどか目にしている。
お嬢さんみたいに大人しいタイプは権謀術数渦巻く場所は向いてない気がした。

「なるほどなあ。 それなら今から俺とデートでもしてみるか?
形だけでも恋愛をしてみたら男を見る目も変わるだろう。」

街に出たことのあるご様子。
それなら必要なのは恋愛経験だろうかと、とんでもないとを提案する。

「長いからミーナでもヴィルでもいいぞ。
宜しくな、フィーネ。」

フィーネ > 「そう、ね・・・。
私も薄々そうは思っていたわ、城を出るのもひとつの方法だってこと。」

城を出たらどんな生活が待っているのだろうとわくわくする考えもあったがその反面、今まで甘やかされて育ってきた自分にそんなことが出来るのだろうか、という不安があるのも確かだった。
が、しかし彼女は城の外は本当に端っこを齧るぐらいしか見ていないので、彼が話の折々に混ぜてくる街の様子に目をキラキラさせていた。
冒険だとかデートだとか。
彼女には何もかもが新鮮で心くすぐられるものばかり。

「デート?っていうはあれかしら、男女が仲良くお出かけしたりすること?」

いつか街で見た仲睦まじい男女のことを思い出しながら聞いてみる。
あのときは談笑しながら繁華街をショッピングしたり一緒に食事したり、というような風景を目にしたが、そういうことだろうか。

「恋愛経験・・ミーナが教えてくれるなら私、そうしてみようと思うわ。」

ヴィルヘルミーナ > 「まあ、無断で家出となるとそれなりに大変なんだけどな。
確実に捜索隊が組まれるだろうな。」

許可を取らずに城を出るならそれなりの準備が必要なことを口にして。

彼女は蛮族の話を楽しげに聴いていた。外での話は刺激的に感じるようだ。

「まあ、そういうことだな。
ただ出掛ける相手は気心の知れた奴にしろよ?
誰彼となくでかけたらトラブルになりかねん。」

このお嬢さんは色々危なっかしい。
そう思った蛮族。

「なら決まりだな。 二人の時は俺が彼氏役をしようか。
で、どうするフィーネ。 今から街にデートに出るか?
それともお前の部屋で色々と語らってみるか?」

彼氏役となれば、もう少し互いに遠慮なく接しよう。
蛮族は少し詰め寄ると、彼女の腰に手を回す。

フィーネ > 「それは承知してるわ。
兄様が無断で私を出すわけがないんだからそこのところはよく計画を練らなくちゃ。」

捜索隊が来るなんて御免だ。
ただ、そうならないためにはかなりの知恵と人脈がないと難しいかな、とも考えながら。

「でも大丈夫、だって出かけるときはミーナが一緒に来てくれるんでしょう?
私ひとりじゃトラブルになるかもしれないけど貴方がいてくれれば大丈夫な気がするの!」

やはり一人で街を歩くのは些か不安だと思ったらしい。
でもこうして彼と話してみると気兼ねしなくていいし、何より楽しい。
一緒にデートしてみればまた新たな発見があるかもしれない。

「んー・・・さすがにちょっと部屋には・・・」

気兼ねしなくて良い相手だと思えても流石に会って間もない彼を部屋に招き入れるのは気が進まないと思ったらしい。
言葉を濁して街でデートの方がいいかな、と呟き。
腰に手を回されれば一瞬びくっとしたがこれも恋愛経験の一部だと思うことにした。

ヴィルヘルミーナ > 「ま、日を跨がずに戻っているうちは大丈夫だろう。
ただ泊まりで出るとなればそれなりに計画は要るだろうな。」

その時までに色々と準備が必要だ。
彼女の家族の事、または弱みなど。

「ああ、勿論だ。
流石にその恰好で今すぐ出るわけにはいかないよな。
日を改めて別の日に出かけるか?
日時を指定くれれば、上手いこと連れ出すぞ。
その時は庶民らしい恰好を用意してくれ。
あと、行きたい物とか見たい物とかあるか?」

見つかったら大変なことになるが、蛮族は面白さが勝っていた。
おまけに彼女は可愛らしい。
仮でもデートとなれば楽しいだろうなと。

「なら外だな。
フィーネがどんなデートをしたいかだが。
それと、彼氏役にはなにか要望はないのか?」

腰に手を回した蛮族は、ドレス越しに彼女の身体を触れていた。
あくまでスキンシップの範疇から出ない程度を意識してはいるが。

フィーネ > 「泊まり?ああ、そんなの考えもしなかったわ。」

今まで泊まりというものを経験してこなかった彼女には日を跨いで家を空けるという概念がない。
親しい友達というものもないし、普段過ごしている夜とはまた違った経験ができるのではないかと胸を躍らせる。

「今すぐ、と言いたい所だけどあともう少ししたら私、顔を出さなきゃいけない用事があって・・・
街に行くための準備は全部揃っているのだけれど。
ゆっくりデートしてみたいしまた後日にしてみるわ、ごめんなさい。
あ、でもね!私街で流行ってる美味しいデザートが食べたい!それと海も見たいし、お買い物もしたいの!」

いつか自由になれたらやってみたいこと、行ってみたいことを考えていただけあって次から次へととめどなく溢れてくる。
どんなデートだっていいの!新しいことができれば構わないわとうきうきした様子で語らい。

「要望?ぱっとは思いつかないけど、貴方が私と同じように楽しんでくれればそれでいいとおもってるんだけど・・・それは要望とは少し違うかしら。」

あまり自分の意見というものを聞かれたことがないので返答に戸惑ってしまうが、そういうことに気を回す彼はきっと良い人なのだろうと納得して。
ダンス以外で体に触れるというのも彼女には初めてで、こういうのが街では普通なのか?と疑問に思いながらも依然体は強張っていて。

ヴィルヘルミーナ > 「泊まりとなると流石に色々聴かれるだろうからな。
まあ、しばらく夜には部屋に連れ戻すぞ。」

期待に胸を膨らませる彼女には悪いが、ガードが固くなっても困る。
しばらくは日帰りでのデートを重ねることになるだろう。

「なら、俺の方に手紙でも出してくれると助かるな。
フィーネの都合がいい時に合わせて俺も準備しておこう。
なら海辺の町に行くか?
それなら今の3つとも全て適うぞ。 
まだ少し早いが海を見ながらの食事もなかなか楽しい物だ。」

その時は彼女に喜んでもらえるような内容をこちらで用意しよう。
蛮族は乏しい恋愛経験の中で一生懸命頭の中の引き出しを開けることだろう。

「フィーネが良いのなら俺はそれで構わんぞ。
まあ、どうせなら彼氏彼女らしいことも今後はしていきたいな。
フィーネはこんな風に体を触られたことはあまりないだろう?
恋仲ならこれ位はするし、キスもよくするぞ。
ま、今日はそこまではしなくていいがデートの時はしてみようか。」

今日はここまでだとばかりにぎゅうっと強く抱きしめる。
そして、彼女を解放する。

「俺も今日は仕事があるし、そろそろ失礼するよ。
また会おうな、フィーネ。」

身を屈め、互いの額を擦り合わせて。
蛮族は背を向けると城の出口へと向かって行く。

フィーネ > 「ええ、それで大丈夫。
私も回りに言い訳をしなくて済むし・・・」

長時間城を空けて入れば誰もが怪しむのは確実だし、質問攻めになることは目に見えている。
数を重ねれば安心、いうのには彼女にとっても安心だったらしくヴィルヘルミーナに意見に賛同して。

「わかったわ、近いうちにお手紙を出すわね。
そのときまでに私も色々考えてみるわ。
海辺の町は話にも聞いたことがないからすごく楽しみ!海を見るのは初めてだし、きっと素敵な思い出になるわ。」

なんて待ち遠しいのだろう。
こんな風にデートをするという習慣は王族にはないからだ。
彼氏彼女という関係だけで自分が王族だということを忘れられる。今まで抱いたことのない感覚に胸の高鳴りが止まらない。

「き、キス?私まだ一回もそういうのしたことない・・・手の甲だったら慣れているんだけどそうではなくて、ってことよね。
心の準備をしておかなくちゃ、ね・・」

キスの経験もない彼女はどぎまぎしながら胸の高鳴りを抑えるのに必死だった。

「あ、そうよね、貴方にもまだお仕事があるものね。
ごめんなさい、引き止めてしまったわ。
でも、今度会えるのを楽しみにしてるから。」

ぎゅっと抱きしめられればこちらも抱きしめ返して、小さくなっていく彼の姿を見えなくなるまで見送り。

ご案内:「王都マグメール 王城」からヴィルヘルミーナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」からフィーネさんが去りました。