2018/04/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城内研究施設」にミリーディアさんが現れました。
ミリーディア > 次までに、最近の変わった動き等があれば正確に伝えるように。
なるべくならば、余計な見逃しが無いようにお願いしたい。

久し振りに名指しで呼ばれた時に、お上の連中から言われた事だ。
室長室の柔らかな椅子へと身を沈め、軽く溜息を漏らす。

実際に、最近は各師団で色々と動きがあるのは知っている。
お上に言える事はちゃんと伝えているだろうが、伝えれない事がある事も。
それは、伝えれば間違いなく大問題となる事まで。
人間は無駄に気にするものだ、どんな些細な事だろうと、知りたくて仕方ない。
だから、呼び出されるたびに伝えても害の無い程度のもので誤魔化してきた。
例えば誰がどの相手に対してどんな不満を洩らしていたとか、その程度のものだ。
しかし、最近は無駄に目立つような事をし始めている者達が居る。
そのせいで、お上の連中にもそれが端的に伝わり…今回の呼び出しがあった訳だ。

もっとも、それは自身にもある事だが、自分に関しては不問となっている。
今上に立つ連中の先代、先々代、もっと先、その頃から国に携わっている存在ゆえに、だが。

「さて、どうしたものか…」

天井を見上げ、少女はぽつりと呟く。

ミリーディア > さすがに、珍しい少々強めの釘刺しだ、軽く考えるべきではないだろう。
もう少し周囲に気を使ってくれていれば、こんな事にはならなかったのだろうが…
そうそう話が挙がる事がないだけに、本人達もどこか気の緩みがあった、と言ったところか。
…もちろん、自身も含めてである。
視ていて飽きないが、何か考える必要がありそうだ。

一度身を起こし、デスクの上に広げられた包みから、クッキーを一枚摘み口の中に。
そして紅茶のカップを手に取り、一口啜る。

「………まぁ、まずは連中がどこまでを知っているのか、調べなければな。
その上で、儂自身が出向いて伝えねばなるまい」

面倒だ、面倒ではあるが、もっと視ていたいならば仕方ない。
ここで下手に連中に深くまで勘付かれ、終わりにされたら楽しみが失われてしまう。
楽しみの為ならば、少し動く程度の事は我慢しよう。

ミリーディア > …と、そんな堅苦しい考えは、この辺りで止めておこう。
やるべき事が決まれば、後は行動に移すだけなのだから。
行動に移すのは、もう少し間を置いてからでも十分だろう。

「うーむ…それにしても、もう少し考えて購入させるべきだった。
この紅茶にこの菓子は…微妙だ…」

手にしていたカップをデスクに戻し、そう言いながらもクッキーをもう一つ取り出す。
甘党の自分からして、少々甘味が足りなかった。
呼び出しがあった為、研究員の一人に買出しに行かせたのが間違いだったかもしれない。

ご案内:「王都マグメール 王城内研究施設」にヴェルムさんが現れました。
ヴェルム > 「ここだったかな…」

珍しく王城内のその姿を現す第十三師団の長。
普段は王都から離れた拠点を根城にして活動しているため、その具体的な活動内容などは報告書程度でしか伝わってこないところ。
ヴェルム本人もそのようなもので、あまり他の師団との関わりも深いものではない。
そんな彼が王城内にある第二師団が管轄する研究施設に顔を出せば…まぁちょっとだけ目立つかも。

「ミリーディア殿はいらっしゃるかな?」

研究施設内にいる研究員の一人に声をかけ、彼女の元に案内して貰おうとする。
一応軍の懇親会みたいなので軽く顔合わせはしている程度の間柄だが、アポイントメントなどは取っていないので会って貰えるかどうかはわからない。
とりあえず手土産は用意してきてはいる。

ミリーディア > 『室長ですか?でしたら、そこに見える室長室に居るはずです』

この研究施設への来訪者は多くは無いが、多種多様な者達である事は研究員も知っている。
それも、大概は室長である少女を目的としてが多い。
その為か、急にやってきた男に声を掛けられた研究員も、当たり障りの無い対応で室長室の場所を指し示す。
室長室と言う割に、研究施設に入ってすぐ側にある扉を。
アポイントメント等はまったく気にしてない様子である。

その扉も、特に鍵等もしていない。
ノブを回して扉を開ける、ただそれだけで入れるだろう。

ヴェルム > 「そうか、ありがとう」

研究員の対応は当たり障りの無いものであるが、そのほうがありがたい。
何かと十三師団ということで色眼鏡で見るものも多いためだ。
彼らのやっている研究にちょっとは興味があるものの、はたして理解できるかどうか。
ともあれ早速、研究員に礼を言えば示された扉をノックする。

「十三師団のヴェルムです、失礼します」

そう言って扉を開き中へ入る。
敬語なのは単純に、肩書きはほとんど同じだが王国軍としては彼女は先輩に当たるためというのもある。
彼女自身の存在がいろいろ特別だということもあるが。

ミリーディア > 何枚目かのクッキーを頬張り、残りの紅茶も残り僅かか。
紅茶を注ぎ足すかどうか、それを迷ったところで手が止まる。
新たな来訪者、それ自体は研究所に足を踏み入れた時点で気付いていた。
が、目的がここだと確信したからだ。
室長室へと入れば、デスクの上の紅茶と包み、柔らかな椅子で寛ぐ少女が見えるだろう。
部屋を見回すならば、資料を無造作に突っ込んだ棚とか、必要か不要か分からない小道具やらが散乱してるやら、色々と酷い。

「珍しい客人だ、今日はどんな用事で来たのかね?
後、普段通りに接してくれて構わない、それが普段であるなら何も言わないが。
なにぶん、そういった席以外での堅苦しいやり取りは好きじゃないんだ」

椅子で寛ぎながら、その相手を見る少女。
ローブはさすがに側に掛けてあり、動き易そうな軽装だ。
寝起きを思わせるような、寝癖とか、服装の乱れとかも目立つかもしれない。
実際に、ここで寝泊りをしていた訳だから仕方ないのだが。

ヴェルム > 室内に入るとほのかに香る甘い匂いは紅茶か甘味の香りか。
それはいいのだが、部屋を見渡すとなんというべきか、研究者が寝泊りして仕事してる部屋感がすごい。
典型的というべきか、これこそ研究者の部屋というイメージのまんまだった。
そんな部屋の主もまた来客応対など考えていない、いかにも研究者らしいみてくれである意味安心する。

「助かるよ、僕もフランクなほうが楽でいい。
それと、これは手土産ね」

彼女が甘味好きというのは公然の事実。
というわけで富裕地区にある銘菓店にて入手したチョコレートケーキを彼女に進呈する。
別に賄賂とかよろしくとかそういう意味合いはないが、突然手ぶらで訪れるのも色気がないと思ったから。
早速要件を尋ねてくる彼女に対し、向かい合うようにして椅子に座る。

「うん、魔導機械に詳しいか尋ねたくてね。
僕は…心臓を魔導機械にしているんだけど、部下にメンテナンスとかは大丈夫なのかと聞かれてしまって、そういうものの点検ができる人を探してるんだ」

つまり、体内にある魔導機械の点検ができるならやってもらいたい。
あるいは詳しい人を紹介してもらいたいということ。
ただ単純な魔導機械ならともかく、人の体内…しかも心臓の代わりをしているものを調べられる人物となれば限られてくる。
だからこそミリーディアに尋ねるのが一番だろうと考えた。

ミリーディア > 「いや、こちらもある意味助かった。そちらのも含めてな」

聞いてはみたものの、本当に堅苦しいのが元々だったら気疲れしてしまうのだ。
そして、そちらの、は男が手にしてた包みを見てのもので。
もちろん、それが何かなのはすぐに分かった。
改めてカップへの紅茶を注ぎ足し、君も要るかね?と聞いてみようか。

続く言葉に、少女は軽く思案する仕草。

「詳しいかどうかは聞くまでもないだろう、詳しくなければこんな場所には居ないだろうしな。
それのメンテナンスに関しては、魔導機械に関わる者は大体出来るはずだ。
…が、身体に組み込まれた魔導機械となると話は別か、単に弄れれば良いだけではないしね。
そうなると、人間の身体に関しても詳しく、魔導機械を弄れる者に限られてしまう。
そういった人物を探すのは極めて至難だろう」

腕を組みながら、男の質問に答える。
それだけを聞けば、男が考えていた通りにかなり辛そうな感じを受けるのだが…

「まぁ、探すまでもなく、目の前に出来る人物が居るのだがね」

最後に付け足すように、そう続けた。
どうしてそんな言い方をしたかと聞かれれば、男の反応を見て楽しみたかっただけ、と言う非常に意地悪な理由であるが。

ヴェルム > 「あはは、僕も師団長としては新人だし、十三師団はのけ者だからいろいろ気を使わなきゃならなかったから、こうして対等に話せるだけありがたいよ。
紅茶、頂こうかな」

身内同士で気の使い合いなどしたくはないところであるが、ヴェルムの出自を考えれば彼が他部隊に気を使うのも仕方が無い。
こうしてミリーディアの元を訪れたのも、彼女の人柄を考えて受け入れてくれる可能性があったからだ。
そういうことを事前調査しなければならなかったのも馬鹿馬鹿しい話ではある。
彼女の好意に甘え、紅茶をいただくことにした。

「難しい話なのはわかってる。
本来ならこれを施した技師を尋ねればいいんだけど、戦争でね…」

彼女の話を聞けば改めてその難しさを実感する。
魔導機械に詳しいというだけでなく、医学的な知識を持つ人物でなければメンテナンスすらままならない。
もちろんこの施術を施した人物を当たるのが筋なのだが、ティルヒア動乱にて帰らぬ人となってしまった。
やはり厳しいか、彼女の話からそう思わざるを得なかった、だが。

「マジで!?…っと、ほ…ホントにできるの?」

諦めかけていたそのとき、彼女の付け足した言葉に思わず今時の若者感溢れる反応をしてしまい、照れたようにいい改める。
反応を見て楽しむという彼女の思惑に、まんまと乗せられた。

ミリーディア > 「立場等を考えれば若いのに大したものだ、儂にはとても真似出来ん。
とは言え、五月蝿いのは無能なお上の連中くらいだろうがな」

聞かれれば何を思われるか、みたいな発言をさらりと言いのけながら、側にあったもう一つのカップに紅茶を注ぐ。
男が何を思い訪れたのは少女の知る由もないが、確かに知ると知らぬではかなりの違いはあったかもしれないか。

なるほど、男の言葉を聞いて、一つの疑問は消えた。
真っ先に浮かんだのは、男に魔導機械を施した者だったのは確かだ。
だが、出身がティルヒアと知っている為、遠出をしなければならないのを考えれば…そう思っていた。
が、それ以外の理由があったらしい、亡くなっていては探さなければいけないのは当然だろう。

そして、思い通りの反応をした男に、腕を組んだまま満足そうに頷いてみせる。

「もちろん、魔導機械において儂に出来ない事はない…と言うのは言い過ぎか。
但し、今は亡き、その技術者のみしか知り得ぬかもしれない、あるかもしれない君の弱点。
それを、儂が知ってしまう可能性があるかもしれないが、それでも良いならね」

弱点、それが男の持つ魔導機械にあるかどうかは分からないが、念の為に聞いておく。
メンテナンスをする上で、その魔導機械を知る事となるからだ。