2018/03/20 のログ
サロメ >  
「カルネテル卿……?」

その剣幕に困惑の色を見せる
自分自身のことなどよくわかっている、しかし……

「大きな勘違いをしていませんか、卿。
 私は第七師団の副将という立場ではありますが…」

恋人でもなければ、血がつながっているわけでもなく、婚約関係にあるというわけでもない
無論信頼を受けていることはわかっている。必要とされていることも
しかし彼の性格を考えれば、自分という支えがなければいけない…などということは考え難かった

「第七師団には私以外にも優秀な人間は多くいます。彼の支えになれる者も」

アーヴァイン > 「……」

恋愛感情云々だけを指しているわけでもない。
ただ、彼女が壊れた時の話を聞くには、優秀な部下という一括りで終わる世界にいるようには見えない。
仮に、そうあったとしても、それだけの存在を丁重に扱うこともないだろう。
結局は自身を軽んじているという意図は、あまり伝わっていない様子に、肩を落とすように脱力してしまう。

「なら、君にとって、彼の代わりがいるなら言ってみるがいい。オーギュストと全く同じで、君が全く同じ信頼を向けられる人間がいるなら、だ」

そんな者いるはずがないだろう。
誰とて、誰かの代りになどなれない。
爪の食い込んだ掌を軽く振って、痛みを振り払いながら言葉を重ねていく。

「弟が同じことを言っていたら、殴り飛ばしてるところだ。それでも分からないというなら、よく考えたほうがいい」

サロメ >  
「…何を。
 私と彼…オーギュストとでは違うでしょう。
 彼がいなければ、第七師団自体が成り立たない」

困惑の色を隠せないまま、言葉を紡いでゆく
眼の前の彼から伝わる、確かな苛立ち
それを向けられている理由が当たらないことに

「………卿は、確かな確証を持ってその言葉を私に投げかけているのですか」

それほどに自分が、あのオーギュスト将軍の特別な支えだと思っている
そんな理由を彼が知っているのか

アーヴァイン > 「だが、彼は君にはなれない。その逆も然りだ。彼が正常でいられないなら、第七師団は存続できないだろう?」

困惑したままの様子に、どうやら本当に分かっていないのだろうと思うものの、これ以上自分がとやかく言うべき範疇を超える。
忠告はした、そう思いながら話を切り上げようと右足の踵が浮きかけたところで、問の言葉にピタリと動きを止める。

「……オーギュストと義父は似てるところがある。だが、彼のほうが明らかに情がある。もしサロメが便利なだけの存在なら、わざわざ行方を探すことも、治療することもないだろう。職務で散った、そう言えばいいだけの話だ」

非情というところまでではないが、軍人として切り捨てるべきところは切り捨てるタイプだろうと彼を見ている。
そんな人間が、わざわざ傷だらけになった彼女を連れ戻し、心身を癒やして手元に置くのは、手間が多いだろう。
面倒な仕事を引き受けて、真面目なストッパーが欲しいなら、そこらを探せば見つかるはず。
実力だけと言えども、傷物の彼女が本来の力を取り戻すかといえば定かではなかったはずだ。
メリットが薄いと見える行動に、情が絡まなくて何だというのか。

「そんなに疑うなら、彼が戻ってきた時に、師団を守るために俺の妾になったといってみればいい。不機嫌になるか、よそよそしくなるか、どっちかだろうな。嘘だとバレたら俺は殴られる」

最後の言葉は冗談めかしたように、笑い声を交えながら語り、目元を細めていった。

サロメ >  
「っ…そのように嘯くなど私には…… いえ、それも面白いかもしれませんね」

慌てた様子を見せるも、実際にそう言ってみたらどう反応をするのか…という想いが胸に去来する
……本当に、どういう言葉が返ってくるのだろう…あの男から

「…貴重な休憩のお時間を取らせてしまいましたか?」

立ち上がる様子を見れば、僅かに申し訳なさそうに苦笑を浮かべる

アーヴァイン > 「嘯くのが出来ないなら、本当にそうしようか? 直接俺の傘下に入らなくとも、俺の息がかかれば手も出さないだろう」

祟り神の息が掛かった女ともなれば、貴族達もちょっかいは出しづらいだろう。
言葉に詰まる様子に、笑みを深めながらも彼女にもそれなりの感情がありそうだと思わざるを得ない。

「いや、二人共不器用な人間だなと今思い知っただけだ。それに、素で喋れる相手は少ないからな……感情を顕にする話でも、装うよりはいい」

呆れて立ち去ろうかと思っていたところだったが、ただ気づいていなかっただけというのもありそうだ。
普段と変わらぬ穏やかな笑みをみせたところで、いたずらに口角が上がっていく。

「それで……どうする? サロメを疲労させた罰に彼を揺さぶってみるか?」

妾の答えを冗談めかした様な言葉で、改めて問いかけた。

サロメ >  
「お戯れを。この身には重いものです」

笑みを向けられて、こちらも笑みを返す

「ですが…」

言葉を区切り、中庭の空を見上げて…

「───彼に私の言葉が届かなかった時に、試してみるのも良いかもしれませんね」

まず居場所を見つけなければなりませんが、と付け加える
そろそろ、此方も執務室へと向かわねばならない
いつもの用に王室貴族へ提出する書類と…あの放蕩将軍が第七師団の金で買ったモノの請求書がきていることだろう

アーヴァイン > そんなに重たいものでもないと切り返そうかと口を開くも、続く言葉に、笑みのまま小さく頷いた。

「そうだな、その時は試すとしよう。俺も殴られる覚悟はしておく。それと……何か必要なら言ってくれ、個人的にもサロメが心身を壊すところは見たくない」

副官としての位置以外にも、居場所など幾らでもあるだろうと思うも、それは彼女が考えながら探すべきだろうと思えばこそ、唇を閉ざす。
代わりに変わらぬ助力と、アーヴァインとしての本心を口にすれば立ち上がる。
肌を撫でる風もだいぶ冷えてきたところで、城の居住区へと通じる道の方へと踏み出していった。

「ではまた……くれぐれも、無理はしないでくれ?」

念押しの様に言葉をかければ、軽く手を降って石レンガの道を歩いていった。
何処かで呆けているであろう将軍に、早く戻ってこいと心の中で祈りながら。

サロメ >  
その背に返事を返す変わりに、一礼を残す

……無理をするな、という言葉には恐らく応えられないだろう
助力も…目立ったところでは得られない
核心部分を独力で乗り越えられなければ、それはそれで第七師団を嫉む者のつけいる隙となってしまう

───第七師団執務室

予想通りの光景に少々辟易しつつも机につき、書類と請求書を分けてゆく
頭痛がしそうな枚数のその中の一つに、バフートの屋敷を買い付けたものが混ざっていることに気づくのにそう時間はかからなかった

ご案内:「王都マグメール 王城」からサロメさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」からアーヴァインさんが去りました。