2018/03/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城」にサロメさんが現れました。
■サロメ >
女は苛立たしげに王城の廊下を歩いていた───
第七師団将軍、オーギュストの私邸に副将としての立場を提示し
無理やりに踏み入ったものの、そこには既に彼の姿はなかった
別宅があるという話は聞いたことがない
こうしている間にも、元々自分達を疎ましく思っている王国貴族達からの圧力は強まっている
将軍不在、その時期が続けば続く程に彼の立場を守ることはできなくなってくる
長期の離脱を理由に解任、下手をすれば第七師団そのものを再編成させようとしてくるのは目に見えている
「くそ……一体どこで何をしてるんだ、あのバカは…」
ここのところ、険しい顔ばかりだ。主にあの男のせいではあるのだが
今日もまた呼び出され貴族のご機嫌をとり弁解をし時間を稼ぎ……
足早に第七師団の執務室に向かおうとしていたが、その途中、足を止めて大きく息を吐く
心にゆとりは必要だ、中庭で小休止をしようと行き先を変えた
ご案内:「王都マグメール 王城」にアーヴァインさんが現れました。
■アーヴァイン > 隠れ里の事以外にも、色々と問題や舵取りの話が舞い込む日々。
息抜きに城の中庭へと向かうと、そろそろ開花しそうな桜の木を見上げる。
去年、この花を見上げた時はこうも忙しくなる手前だった。
あっという間の一年を思い出しながら、今日は隣にいない存在に陰りのある笑みを浮かべていく。
そこらの茂みでは早咲きの彩りが見えるところもあれば、まだ緑一色のところも多く、肌寒い風は春の到来まで少し遠そうだ。
仕事着のまま、適当なベンチに腰を下ろし、ゆっくりと息を吐き出す頃。
近づく気配に顔を上げれば、そちらへと視線を向ける。
「……久しぶりだな?」
以前、彼女の上司を探しに歩き回った時以来か。
苦笑いを浮かべつつ立ち上がれば、そちらへとゆっくりと歩んでいく。
纏っていた雰囲気もそうだが、ここ最近の噂も重ねるなら状況が宜しくないのは知っている。
周りに人がいないのを確かめると、素の口調のまま言葉を続けた。
「色々噂は聞いているが……悪化の一途というところか」
その様子を見る限りと言いたげに、彼女の瞳を覗き込み、苦笑いのまま語る。
■サロメ >
歩いた先にあった顔は、見知ったものだった
「──カルネテル卿」
足元を揃え、敬礼する
その前に…彼の口調の差異を感じ取り、それをやめた
中庭には、確かに今誰もいないようだった
「ええ、まったく屋敷すらも放り出して何処で腑抜けているのやら。
いい加減愛想も尽きてしまうというものです」
大きく肩を竦めるようにして、そう言葉を返した
■アーヴァイン > カルネテル卿と呼ばれるのも、一年経ってもあまり慣れた心地がせず、眉をひそめて笑っていた。
普段と変わらぬ気配に気づいてくれたらしく、畏まった礼が溶けていく。
こちらでも調べていた情報と変わらぬ答えに、そうかと納得したように小さく頷くと、顎を指先で撫でた。
「こちらも調べているが、屋敷には居ないのは確かなようだな。何処かに引き篭もっている……とすれば、ダイラスかバフートだろうな」
足取りをハッキリとは掴んでいないが、消去法で浮かぶとすればその二つ。
予測程度の足取りを語るものの、それよりも現実に差し迫った問題のほうが気がかりだろう。
何処と無く彼女から苛立ちを感じれば、一間置いてから、言葉を重ねた。
「……そろそろ存続も危ういと聞いているが」
肝心の師団長は、身を焼くほどの炎槍として役割を果たさない。
彼女が色々とご機嫌取りに動き回っているのも、仕事から貴族づたいに耳にすることもある。
解体と再編成、その現実性を率直に問うような言葉を投げかけ、じっと彼女の様子を確かめていく。
■サロメ >
「…どちらも広い。あれの性格的にヤルダバオートは確かに合わないでしょうが」
ダイラス、バフート
そのどちらも人口は多く、商人達の町であるという特性上、秘密主義で口も固い
確固たる証拠がなければ踏み込んだところで満足に情報を得られるかも怪しいというところだった
「……戦力的に損なった部分はそれほど大きくはありません。
統率も…代理指揮権を発動させた副将軍である私の指揮を皆守ってくれます。
しかし第七師団は元より騎士資格すらない、民間・傭兵問わず彼の理念の元に集った一団です。烏合の衆でなくとも、我が強い…」
故に、綿密な作戦行動などが全くとれない状況は脱していなかった
「存続できなければ、剣を向ける先を誤る者で現れるかもしれません。…私とて……」
続く言葉は、口を噤んだ
■アーヴァイン > 「一応、こちらの人間に偵察に行かせているが……貴族達からも聞き出したほうがいいかもしれんな。目的があって動いているなら、足跡ぐらいあるかもしれない」
彼の性格上、宗教都市に行くとは思えない。
あるとすれば港町か奴隷市場、どちらも歓楽街としては最大級だろう。
悦楽だけを求めている…とは思いきれず、小さく頷きながらも、彼の存在を掴めずにいるのも、目的がわからないというのもあるだろう。
「……彼の人柄でまとまっていたようなものだからな。似たようなのを見ていたから、よく分かる」
力があるものは、それだけ意思も強い。
従うか従わぬかは力だけではなく、従えようとする人間に寄る方が大きい。
その点、荒々しくとも人を率いるセンスに満ちた彼だからこそ、成り立っている。
存続できなければ、その言葉に小さくため息を零すと、軽く頭を掻いた。
「……彼が戻らないなら、権力で潰されるだろう。君らの誰か一人、規律に反して小さな傷を着けるだけで付け入るスキを与えることになるからな」
好き勝手暴れた結果に、国に被害をもたらしたなら。
それが小さかろうと、彼がいない今なら大きくなると囃し立てるのは目に見えること。
薄氷の上に立つような状態を、遠慮なく突きつけるも、ただ絶望を突きさしたいわけではない。
「一時うちの傘下に入らないか? 再編の支援という名目で預かれば横槍も入らない。勿論、彼が戻ったら……その時は彼に返すが」
足がかりというきっかけをくれた将軍への恩もあるが、彼なりの思惑は含まれている。
だが、その中でも大きく占める要因の一つは、目の前の彼女だ。
これだけ支えて、報われないのは間違っている。
苦笑いを浮かべながら提案を掛けていく。
■サロメ >
「…ありがたい提案です、しかし───」
ひとたび、目を伏せる
こんな言葉、この場に誰もいない状況でなければ零すこともできないが…
「第七師団は、第零師団およびカルネテル卿の持つ理念とは大きくかけ離れています。
一時非難、と割り切るのも難しいでしょう」
再び、目線をそちらへと向ける
どこか哀しみを湛えたような色を瞳に映して
「先程の言葉の続きになりますが…
私とて、この国を守る為に剣を振るっているわけではありません。
無論、そうやって国に剣と命を捧げていた時期もありましたが。
第零師団に迷惑をかけるわけにはいきませんね」
■アーヴァイン > 「……さして変わらない。結局、彼も自分も、願ったのは弱き者の住処と国の有り様だろう。ただ、手段が異なった、それだけだ」
滅ぼすか、導き受け入れるか。
どちらにしろ、根本にある動機は似たようなものだと思っている。
見方次第だというように頭を振るものの、彼女の見せた瞳を見つめ返し、再び小さくため息を零す。
呆れているというよりは、困った様に眉をひそめると、続けた言葉に答えるべく唇を開く。
「それなら彼の為か? サロメが彼の為に動くのは分かる、だが……それを元に破滅したなら、意味はないだろう。無事に生き残らねば…彼が喜ぶとも、納得するとも思えない」
そこまでして彼女が守ろうとする理由があるとすれば、やはり彼に帰結する。
弟から伝え聞いた捕らえていた時の惨状を思い起こせば、潰さぬ代わりにと無理難題をふっかけてくる事も考えられた。
既に前歴があるなら尚更と思いながらも、彼女の方へ一歩近づいていく。
「それでも、居場所だけを守って彼を絶望させるつもりか? わからないわけではないだろう」
真っ直ぐに彼女の金色を見つめつつ語りかけ、視線を逸らすこともしない。
嘘を吐かせぬように、じっと見つめ続けた。
■サロメ >
「私が剣を捧げるのはこの第七師団そのものです」
真っ直ぐ見据えるアーヴァインの視線を受け止める
その瞳に様々な色は見えるも、迷いは一切見当たらない
「少女の頃に抱いていた、国を守るという理念はこの国そのものに否定されました。
卿もご存知でしょう、私が王国貴族達から受けた辱めや仕打ちを。
私は第七師団の在り方と、不甲斐ない私の変わらぬ居場所であってくれた、この団の為に剣を振るいます」
帯剣された魔剣が呼応するように冷たい輝きを放つ
強く、美しくもどこか儚げな、その決意を示すかのように
「オーギュストは失望するかもしれませんね。絶望するやも。
まぁ、それでもあの人であれば私が選んだ矛先を嘆くことはしないでしょう。
文句くらいは、聞かされるかも知れませんが」
■アーヴァイン > 幼心に抱いた清き夢、それを嘲笑った国。
それは自分とて同じことで、彼女の言葉を否定することもない。
自由のためにその身を捧げたミレーの少女が、口封じに潰された時に国を信じられなくなった。
人を駒にするなど、あっていいはずがない。
ましてや女子供を糧にするなど、もってのほかだ。
自分が作った集落があるように、彼女にとっての故郷は第七師団となったのだと思えば思うほどに、握りこぶしが固く締まっていく。
「その程度で済むものか! サロメ、君は自分自身を何だと思ってるんだ……絶望するとわかってるなら尚更だ。サロメを失って、彼が正気に戻ってみろ。もう二度と彼は立てない。仮に立ったとしても、それは野望ではなく弔い合戦に変わる。最後に残った君が終わるということは、全て終わるということだ」
自身を軽んじるような言葉に、感情が爆発してしまう。
久しく語気を荒げながら畳み掛けるように言葉を並べていくと、その勢いに肩で息をしながら眉間にシワを寄せながら彼女を見据える。
詰が食い込みそうなほど握り込んだ拳、人差し指をゆっくりと伸ばしながら、彼女を指し示していく。
「覚悟があるなら、心身無事に彼を迎えろ! それが覚悟だ。自身を軽んじる者に覚悟なんてものはない」
ある意味、昔の妻と似たような部分を感じさせられるも、それよりも酷く自己を軽く扱っている。
そんな印象に言葉の勢いを止めることは出来なかった。