2017/01/12 のログ
■クラーラ > 「じゃあサロメさんの御先祖様…かな?」
そう思うと、遠い孫に当たる彼女を可愛く思っているのかなと想像が浮かび、柔らかに微笑む。
柄を撫で、語らう様子もそんな風に思えた。
「…時には大胆に?」
そう歳差もない彼女の姿は、携えた剣のように怜悧な存在だと思うからこそ、大胆な行動というのが浮かばない。
ドアの前に立つ彼女が語るのは、自分も思う事だった。
女の身で剣を握るには生き辛く、在り続けることが困難。
そして、抱えた傷は誰かにみせたなら、更に傷口を広げられかねないと。
「支え……それは、ちょっと分かるかも」
自暴自棄になったときに、無茶苦茶な方法で生きろと告げた魔剣の持ち主を思い出すと、苦笑いが溢れる。
振り上げられた足、目を少しばかり見開いて驚くと同時に、割れたドアノブ回りの鈍い音が廊下に響く。
「……私も、私だけを見てくれる、そういう人が出来たら…そうなれるかな」
しみじみと呟きながらも、もしも貴族が潜んでいたなら逃げ出そうとするかもしれない。
動きを封じる程度のショックを与える電気を、魔力で変換しながら掌に貯めつつ、中を覗き込む。
それにしても…と前置きをつぶやいて、彼女をちらりと見やった。
「絶対、サロメさんのほうが…いい度胸してる」
以前、彼女の上司に言われた言葉だが、本当に蹴破った彼女のほうが胆力があると感心してしまう。
■サロメ > 「先祖か、そういうわけでもないらしいんだが」
小さな笑いを零し、部屋へと踏み入る
「なんなら第七師団に客員剣士として来てみるか?
色んな意味で吹っ切れることができるようになると思うぞ」
温室育ちだった当時の自分を思い出してみれば、何かのプラスになることは間違いない
マイナスがないとは言わないけれど
「さて……」
そもそもの登城をしていないのか、逃げたのか……
■クラーラ > 御先祖様とは違うらしいが、それでも仲が良いことは良いことだ。
部屋の中へと踏み入りながら、彼女の提案にかなり心が揺れ動いていく。
「……ちゃんと、皆に説明してから…かな」
小隊長という立場もあって、数の少ない練兵小隊が崩れないだろうかと不安はあった。
けれど、一時的な事で、ずっとではない。
更なる高みに至るためのことならばと、部下が頷くだろう未来は見えた。
遠回しながら、彼女の提案に肯定の意を答える。
「……やっぱりいない」
部屋の中を探し回るも、貴族が潜んでいる様子はなかった。
しかし、急いで飛び出したのだろう、ところどころ散らかっている中、散乱した書類や、丸められて捨てられた紙など、足がかりが残っていそうなところをくまなく探す。
その中に、娼館の主のサインが入った意味深な内容の手紙があった。
「……これ」
はぐらかしてはいるが、彼女絡みの事柄であるのは、今回の出来事を知るものが見れば明らかだろう。
■サロメ >
「まぁ、逃げ足も早くなければ、悪事には手を染めないだろうな」
腕を組んだ深く溜息
だいたい予想通りである
逃げていないというのなら、せいぜい家探しさせてもらおうというものだが…
「──む」
手紙、そのサインは……
見慣れた、ものだった
■クラーラ > 「なんとも……悪党らしい、逃げの速さ」
己の身の危険を察する嗅覚ぐらいは、地位に弛んだ神経でも持ち合わせているらしい。
残念と軽く肩をすくめるも、拾い上げた手紙を彼女に差し出すと、明らかな反応が見える。
「…そのサイン、知ってるの?」
娼館なんて足を運んだこともなく、悪党貴族の繋がりも深くは知らない。
彼女の反応を確かめるように問いかけた。
■サロメ >
「あぁ、嫌というほど見たさ。
わざわざ私の身体にまで刻んでくれたモノだからな」
手元で手紙をひらひらと揺らして
「何らかの手がかりにはなりそうだが…、
どうする?クラーラ、君に委ねるべきなのだが」
飽くまでも第七師団は対魔族用の部隊
貴族達の中の魔族との繋がり、そして魔族の成りすましを暴くのが本懐である
■クラーラ > 「それは……うん、忘れない」
その印が分かる理由を耳にすれば、言葉がつまりながら、少しだけ視線を逸らした。
この書類の辿った先は、彼女が追い求める答えとは少し違った着地点か、それとも答えにつながる鍵かは分からない。
だからこそか。
「サロメさんの追い求める答えにつながるかもしれないから…、私もそう思って追いかけてた。サロメさんが追いかけるか…私が追いかけるかは、どっちも一緒。どっちがいい?」
最後は彼女の求める答えにたどり着く一つかもしれない。
彼女が必要とするなら、自分はそのお手伝いをしたい。
勿論、自分にまかせるというなら、そのまま一人で足取りを置い続けることになるが、どちらを選ぶかは彼女へ委ねようと問い返した。
■サロメ >
「そうだな…。
私は私の筋で追うことにするよ。
私自身のこともあるが、何よりも魔族達がこの国に踏み込んでいることのほうが耐えられないからな」
そう言って踵を返す
「君に任せても構わないだろうか」
■クラーラ > 「ん…じゃあ私が」
彼女の選んだ答えに小さく頷いた。
「サロメさんも…気をつけて? 治ったばかりだから、無理は禁物」
心身が癒えたと見えるも、『また』がないとはいえない場所。
彼女の後に続き、部屋を出ると、室内で集めた僅かな情報を元に次の足取りを追うのだろう。
魔族が王都に巣くい、侵食している。
もっと上の方にまでそれが染み入っているなら、ふとした油断で消されてしまいかねない。
一抹の不安はあるものの、それじゃあまたと、廊下で彼女に別れを告げ、曲がり角の向こうへと立ち去っていくだろう。
■サロメ >
「ああ、ありがとう。
……君も、無理はしないようにな」
彼女のその口ぶりから彼女が自分と同じような傷を抱えているであろうことがわかる
「(願わくば、何があっても強くあって欲しいものだが)」
それは自分にも言い聞かせるように───
ご案内:「王都マグメール 王城」からクラーラさんが去りました。
■サロメ >
「(皆の助けで折角自分を取り戻したのだ)」
剣の柄に手をかけて…
「(この国の腐敗を浄化するために、私は全力を尽くそう)」
柄を握る手に決意を懐き、力強く廊下を歩き先へと向かった
ご案内:「王都マグメール 王城」からサロメさんが去りました。