2022/12/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 ナイトクラブ」にルーシディータさんが現れました。
ルーシディータ > 商家の主である養父に連れられ、足を踏み入れた倶楽部──。
娘にとっては聊か喧騒が耳に痛い。
艶めかしい踊り子たちを眺めながらの商談はなかなかに捗っているようで、今宵は己の出番…つまりは接待はないだろうと、ホッと胸を撫で下ろし、いつもの如く持参してきた竪琴をそっと抱きしめた。
華やかで、色づいた舞台上で、美しい熱帯魚の如く舞い踊る踊り子たちの姿は、少女にとってもそれなりに目に楽しく、さすがにチップを挟むようなことはしにいかずとも、倶楽部の片隅にて、見事なステップや柔らかく時に激しい動きに、小さく聞こえないような拍手を送る。

「──……きれい。 あんな動き、どうしたらできるんだろ…」

などと呟きつつ、そっと己手の掌を前にかざし、真似て動かし、我ながらその動きのぎこちなさに、じわりと頬を染めて、ステージから見えるかもしれない仕草を、なかったことにするかのように、その手を後ろに隠した。
歌と楽器だけではなく、あのように舞うことも出来れば、もう少し小遣い稼ぎも捗るかもしれない──などという、少々せこい思考が過る。

レナード > この場は決して色事だけの社交場ではない。
時に大金が動き、時に何処かの商家や貴族が破滅する欲望の世界。
男は幸いそうしたドロドロとした世界には無縁な田舎貴族であれば
ただ一夜の出会いを探すだけの単純な遊びを愉しめる身分。
舞台は勿論だがフロアにも男の琴線に触れるような子はいるだろうかと視線は会場を俯瞰したかのように眺め見れば、曲の終わりへと向けて激しさと妖艶さを兼ね揃えるような振りを舞い踊る踊り子の姿を、眺め真似るような仕草を刹那に見せた純白の少女の姿を見つけた。
淫蕩な場には聊か浮いたようにも見える姿に興味を持ったのか、友と別れて話す相手も居ない男は、グラスの酒を飲み干しては席を立てば、クラブの片隅にて竪琴を抱く少女へと歩みを寄せて行き。

「――お嬢さんも踊りに興味があったりするのかい?」

真似ては隠した姿から何となくを想像しては不躾ながら声を掛けてみた。
名も知らぬ男からいきなりの話しかけられるなど警戒もされるだろうが、こんな場で遠慮などしても仕方ないとの心算で。

曲目が終わりを迎え、舞台上の踊り子は舞い踊る中で受けたチップの量や身なりから、お目当ての相手を見つけたのだろう。
意味深な視線をお目当てへと残して舞台袖へと捌けて行き。
また新たな音色と共に、次の踊り子が舞台上のポールへと足を掛けてクルリと身を翻し廻り踊り始めた。

ルーシディータ > 殊更色気を振りまく格好ではなく、肌はなるべく長衣にて覆ったままの姿は、様々な色彩の光舞い踊るフロアでは浮いたものだったかもしれない。
もっとも、それはなるべく商品となるものを人目にさらさせぬようとの養父の指示でもある。
自ら身体を動かすことはなくとも、歌舞音曲には親しむ身、自然と流れる曲に鼻歌を混じらせ、小さくリズムをとるなかに──不意、かけられた声にびくりと背中を跳ねさせた。

すぐには取り繕えず。自然と頬が赤くもなるが、ゆるく首を横に振る。
如才ないように、商談や社交の場での振舞いは躾けられている。

「ご覧になっておいででしたか。……お恥ずかしい、です」

浮かぶ笑みには、どうしても照れが混じる。
僅かに首を傾げて。長衣の一部を摘まみ、簡略化した淑女の礼を。

「関節がどこにあるのか、わからないような柔らかな動きで。つい見惚れてしまいました。
あんな動きが、わたしにもできるのか…すこし、試したくなって。
──騎士さま…? は、彼女たちにお声がけをなさらないのですか?」

舞台をはけていく踊り子たちへと賛辞の拍手を送り。
この場は、そういった部分のある場所ゆえに、その雰囲気から少し違えていると自覚しているだけに、少し不思議そうに首を僅かに傾げた。
そう口にして、始まるポールを使った躍動感ある踊りに、其方に興味があるのかもしれないと──余計なことを口にしたかと、慎ましく自身の口許に手を当てた。

レナード > 鳴り響く音楽に乗せて目立ちはしないだろうがリズムを刻んでいた少女のノリを妨げてしまったのはやはり不躾であっただろうが
こんな場にあっても簡易とは言え淑女としての嗜みを見せている当たりは何処ぞの令嬢あたりだろうかと思いつつ、男も右手を胸元辺りに添えて簡易な礼で返礼を。

「確かに、別の生き物というか女性特有のしなやかさってやつなんだろうな。でも、お嬢さんなら少し修練すれば様になるんじゃないか?先ほども曲に委ねる姿は自然なものに見えたのだが。
――残念ながら騎士ではなく冒険者でね、しかもド田舎貴族なもんで、女の子達も分かるんだろうねぇ。残念ながら見向きもされない有様でね。」

舞台で舞う女性たちではなく少女へと声を掛けてみたのは残念ながら自身の出自と資産力の弱さだと語り。
舞台の前では新たに舞う踊り子へと束のように高額換金のチップが振舞っている貴族達を眺めては、男の手には同額のチップ1枚のみという戦闘力の弱さをヒラリと翻し見せては、肩を竦めてみせた。

ルーシディータ > 舞い踊りはできずとも、曲を愉しむには充分である。
自身の知らぬ旋律を覚え、また酒場にて即興を振舞う際の己の引き出しにするために、貪欲だ。
そういった一部を、養父のテリトリーであるこういった社交場にて見咎められるのは、少しだけ気まずい。
少しだけ、あたふたとした仕草を隠しきれず。

「騎士さまでは、ありませんでしたか。
それは失礼をいたしました……とても鍛えられたお姿をなさっているものでつい、勘違いを」

その自身の動揺を、彼の身分を見違えたことの申し訳なさに紛れさせて取り繕う。

「ありがとうございます。そう言われると、面映ゆくも嬉しいものですね。
けれど。もし、そう見えたのでしたら…きっと、父に社交のためのダンスを嗜ませていただいたおかげかと。
──……なるほど?」

踊り手を誘うにはささやかな戦闘力が揺らめくのを見て、ふと、口唇に小さく笑みを。
少しだけ声を低め──

「そういったことでしたら、同じ舞台で戦うよりも…同額の、小さな花束をお送りしたほうが、女心にクルのでは?」

少し、悪戯に。
内緒話のように囁くために、口許に手を当てて背伸びを。
女性のための反則技。囁き声では、高らかな曲に掻き消されてしまうかもしれないけれど。

レナード > 身分違いの謝罪については軽く手を揺らして気にしていないとの意思を表す。
寧ろ田舎とは言え貴族という身分がなければただの冒険者ではこの場に踏み入れる事すらも妖しいのだから。
そして少女の素性については最初の予想は概ね正しいだろうと自己の予想に対しては結論をつけ。

「――あぁ、なるほど。それなら猶更難しい事では無いんじゃないだろう。
まぁ、踊り子達のはやはり性的なアピールの色が強いだろうけど
社交界でのダンスも要は淑女…っていうか女性の美しさを魅せる踊りなのだし。
――ただ、雰囲気としては貴女なら社交の舞いの方が綺麗なんじゃないかなってのは、俺のイメージかな。」

純白の少女の舞踏の姿をイメージしては可憐でありながらもしかしたらその雪の精の如き姿には神秘さすらもあるのではないかと思いふと口走る。
悪戯めいたように背伸びして囁くようなアドバイスは、喧騒の中でも男の耳はしかと届き。

「――なるほど…?無いなら無いなりの戦い方って事か。」
男目線では発想としてなかなか届きにくい視線でのアドバイス。
数より質とでも言えるだろうか。
丁度舞台上で舞う舞姫には、また資産的余裕のある客がチップを掲げては誘いを出しているが、靡く様子は見えずただチップへの返礼のみの笑みを注いでいるようにも見えるか。
舞姫の御眼鏡に叶う相手はいないのか、次第に曲も中盤から終盤へと向かってゆく中で、一つ実践をと
ホールの端に立っているスタッフを指で呼び、仔細を伝えて手もちぃのチップを渡して、舞姫の控室へと花束を贈る手配を依頼してみた。
――その結果はこの舞台の後にでもわかるだろうか。

「――ま、お嬢さんのアドバイスでももしダメだったら
今日は日が悪かった、位のギャンブルだと思えば案外この反応を待つ分位は楽しめるかもしれないか。」

そう言って男は肩を揺らしてはおどけてみせた。

ルーシディータ > 「……そぅ、でしょうか。 
わたし自身、実は身体を動かすのは不得手でして。
舞踊の家庭教師を半泣きにさせてしまうこともありましたので…全然自信がありません。
けれど、音楽に身を任せるのは好きですから…そう言っていただけると、一筋の光明のようで、少しがんばってみようという気持ちが芽生えます。

──…ふふ。 ありがとうございます。
剣士さまは、貴族でいらっしゃるのであれば、ダンスはなさらないのでしょうか?」

ほんの僅かに垣間見ただけだが、耳に拾った靴音による歩幅の安定。体捌きから想像できる身のこなし。
同じく嗜んでいるのであれば、見事なものになるだろうというほのかな期待を何気なく口にする。

「はい。詩人が相手を見て、贈る歌を選ぶのと同じです。
お花だけでなく、お菓子、装飾品。高額のチップなら選択肢はいくらでも。
ちなみに……

──わたしは、花より同額のチップがいいです」

けろり。悪びれもしなかった。
ホールスタッフへの指示を見送ってからの、保険。
簡易な賭場的スリルとして愉しむ男性へと、自身も小さく笑みを浮かべしたり顔。
彼のなけなしのチップによるベットに舞姫がどのような反応を見せるのか、反応が見られないのは少し残念ではあったものの。

「成功したら、アドバイス料を、くださいませね?」

などと、こちらも負けずにおどけて見せた。

レナード > 「――音楽のために合わせて踊るよりは、音楽に委ねて踊れるのならそちらのほうが凄いんじゃないか。
曲を身体で理解できるセンスがあるんだし、自信を持てと言うつもりはないけど、練習はその感性を磨くと思って、な?

――……ぁー…まぁ昔、仕込まれたってのはあるが…
社交の踊りは苦手なんだが、師匠に仕込まれた東方の剣舞ならまだ見れるくらいには、ってところかな。」

先ほどまで知ったような事を並べていただけに、自分の事となるとポリポリと頬を掻きつつも、達人が描く剣撃の舞いの方ならば
少女の仄かな期待には応えられるだろうか。

「――って、あれ?これはもしかして引っ掛けられたパターンというやつか?」
悪びれもせずにチップチョイスな言葉には、掛けるタイミングを間違えたかと、背筋を嫌な悪寒が走る気がしてならず。
とは言え、話始めた頃より表情豊かに感情表して楽しんでいるようならば、まぁ負けの可能性大であっても悪い気はしないでもないだろうかと、諦めの境地を悟ってしまったかもしれない男。

「ちゃっかりしてるなぁ……まぁでも、『もしも!』『も・し・も』当たりだったら
そん時はしっかり冒険者ギルド所属のレナード宛に請求してくれればいいさ。
――さて、僅かな戦力も喪失しちまった事だし、いい勉強したと思ってお兄さんは退散しますかねぇ。」

可能性はゼロではないと、反面自分に言い聞かせるかのような強調はしつつも、敗戦の色は濃く。
負け戦かねぇと、肩竦めて笑いつつ、男は恐らく少女の名を聞かぬままヒラリと掌を揺らして、一時の会話の場を後にしていった。

舞台上の踊り子の舞いは、音楽の終わりと共に終幕を迎え。
舞姫は『誰か』をその場では選ばずにただ、己の舞いを見た観客の喝采に応えるのみで手を振って応じながら舞台袖へと姿を消し。
その後、クラブのスタッフがこの男を呼びに現れて、踊り子の控室へと案内してゆくのだが、それを少女が見ていて後日請求が来たかどうかはまた別のお話――。

ルーシディータ > 「音楽はともかく、踊りに関しての知識は乏しいのですが──剣舞、ですか。
武は、舞(ブ)に通じると申しますし。
研ぎ澄まされた動きからの舞は、見ごたえのあるものでしょうね。
いつか、拝見させていただければ、嬉しく存じます──」

幾度か、小さく納得の頷きを繰り返したのち、にこやかに笑みを深めた。
社交や商談の場では、常に控えめに表情乏しく人形に徹している娘にしては、表情を色変わりさせる夜だったかもしれない。
殊更舞いを意識せずとも、無駄な動きを排した演武の動きは見惚れる価値が十分にあるものだ──ということを思い出したのだろうか。

「殊更、ひっかけた…というつもりはありませんが。
剣士さまも、戦いの際は相手や場を見て戦術を変えるものではありませんか?
とはいえ、あのように様々に選ぶ側である女性に関しては、往々にして同じアプローチではなく別のカタチのほうが成功率は高いものかと…」

滑らかに口をつくのは、詩人としての話術としての煙に巻く言葉。
核心をつかず、言質をとらせず。
とはいえ娘から見れば、決して敗戦色が濃いとは思えず、立ち去る姿をにこやかに見送る。
こういった場所で、名乗りが必要なのは人脈作りに商談相手に限られる──己は、そういった立場にはない。
ゆえに、互いに名乗らぬことを不自然とは思わなかった。

ただ退屈なだけとなるかもしれなかった養父の付き添い。
被ったたくさんの猫の皮を、ほんの一枚、二枚、緩めることができた夜は稀有で。
それだけで、少女にとっては『アドバイス料』分の価値はあったのかもしれない──。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 ナイトクラブ」からルーシディータさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 ナイトクラブ」からレナードさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール パーティ会場」にヴィルアさんが現れました。
ヴィルア > 面白い魔道具の商談がある。そのついでにと誘いを受けて
富裕地区で行われているパーティに参加した男

貴族の屋敷で行われたそれは、中々に大々的なもの
料理も存分にふるまわれ、広い部屋は炎の魔法が込められた魔道具により暖かい
酒も上等なものが用意され、会場には名の知れた貴族も混じっている
とは言っても…パーティの主にとって商談は二の次でありどちらかといえばパーティの方が本命だったようだ

魔道具のツテを利用して他の商談も広げようという魂胆だろう
特に、元騎士や貴族、攫ってきたミレーなど…要するに奴隷商売の販路を、このパーティの主は広げたいようで
始まったのは、オークションのような形式の奴隷売買
来歴、各部のサイズ、どれだけ調教したかなどがパーティ会場より少し高くなった壇上で赤裸々に語られている

晒される奴隷は、恥ずかしがったり絶望に染まっていたりと様々だ
…ただしどこか、今のところは…そういう演技をしろ、と言われているように見える

(こうも露骨だと、いっそすがすがしいな)

リルアール家が奴隷を裏で大きく扱っていることは、耳が良い貴族なら知っていることだ
当然ながらその相手に売りつけた、となれば奴隷商として一定の箔が付くことになる
売買の進行役からちらちらと視線が送られているのも露骨。

(全く。今のところは、つまらない催しだが…。
今更抜け出すのも面倒だ。終わるまでは付き合うか)

琴線に触れる者が出てきたり、あるいはこの場でも新しい出会いがあるかもしれない
ウェイターが持ってきた上等な酒をグラスから軽く呷りつつ
内心ため息をつきながら、舞台を眺めている