2018/09/23 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にルーミスさんが現れました。
ルーミス > 「……ったく、こんな時間になっちまった」

夜も更けた頃合、噴水を取り囲むように置かれた長椅子に腰を下ろし、ぶつくさ文句を口にしている錬金術士。
仕事で訪れたは良いものの、中々返してくれず気がつけばこんな時刻。
今から郊外にある自宅に帰るとなれば危険が伴う。
かといって宿も取っていない為、どうするかと此処で考え込んでいた。

王都には一晩泊めてくれるような知り合いもいない。
駆けずり回って空いている宿を探すというのも面倒だが、それしかないか…と。
そんなことを頭で思い描きつつ、静々と水が流れ落ちる噴水を見上げた。

ルーミス > 「野宿……いやいや」

其処で金を出し渋ってはいけないと思い直す。
小さくため息をつき、どっこいしょ、と立ち上がった。
両腕を空に突き上げ、大きく伸び。パキ、ポキ、と背骨が音を立てる。
豊かな乳房がふるん、とその拍子に揺れた。

「ま、ここで考え込んでるよりは、行動した方がずっと早いよな」

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にヘルマさんが現れました。
ヘルマ >  木の車輪が付いた古ぼけた鞄を引き摺るマント姿の妖精。
 見た目は人間と変わらないが、余り女性が出歩く時間でもないため、その辺りは多少眼を引くか。
 迷いの無い足取りで、真っすぐに彼女の方に向かっていく。
 丁度、彼女が立ち上がった時、彼女から少し離れた位置で足を止めた。眼は彼女を見詰めている。

「失礼、私はご覧の通りの旅行者なのだけど。
 間違っていたら失礼……貴女、もしかして今夜の宿に困っていたりする?
 怪しい者ではあるが、多少耳を傾けても損の無い提案をしたいんだけど、どうだろう」

 突然話しかけて来る人間がどういうイメージを持たれるかなんてわかり切ったもの。
 もう怪しい事を全体に、まずは穏当に話を持ちかける。

ルーミス > 車輪の音を響かせながら此方へ近づいてくる女性の姿に、立ち上がって伸びをしてから気づいた。
少し驚いたように瞳を瞬かせ、彼女を見つめ返す。

「……何だよ、藪から棒に。旅行者……」

不躾にじろじろと眺め回す。青紫の長い髪、白い肌。
一通り見つめた後、かくりと首を傾いだ。

「怪しい者、って自分から言い出すなんて変わった奴だな。……まぁ、宿に困ってるのは確かなんだが」
「その提案っての、試しに聞かせてみろよ」

ヘルマ >  細く白い指先で自分の米神を軽く、トントンと叩いて目を上に向ける。

「驚かせたと思う。申し訳ない」

 まずは、筋を通しておく事にした。
 じろじろ見たくなるのも、道理。見られて警戒心が緩むのなら幾らでも、といった気分。

「実際、こんな時間に声をかけられたら、私は少し怪しいかな? と思う。
 なので、一応先にその気持ちは分かる、という意思を伝えたわけだ」

 それは置いておいて、という仕草をして。

「簡単に言うと、私は旅費を節約したい。二人以上で入ると非常にリーズナブルな宿が近くにあって。
 良ければパートナーにならないか、というお誘いなんだ」

ルーミス > 「ん、うん」

素直に謝られ、ついそわついてしまう。
腰に両手を当て、リラックスしたポーズで話を聞くことにする。話しぶりからすると、彼女が言うほど怪しい者でもなさそうだと判断。

「……ほう。そりゃあ、悪くない話だな。安い宿か…」

旅費を節約したいという思いは、此方も同じだ。
顎に手を当てる仕草で少し考えた後、一度大きく頷いた。

「わかった。私も困っていたし、願ってもない提案だな。よろしく頼むぜ」

ヘルマ > 「安い。かなりお得だよ」

 まるでその宿の広告塔のように、力強く頷く。

「しかし、困った事に……何と言うか、一人で入るには難が有るんだ。
 その問題さえクリアすれば、設備もきちんとしているし、まともな食事にもあり付ける」

 胸の前で軽く腕を組み、さてどういう返答が貰えるのだろう、という待機姿勢。

「……お、おお。
 助かる。非常に有難い。こちらこそ宜しく頼むぜ」

 彼女の流儀なのだろうか、多地方の挨拶を真似る要領で同じ言葉を使う。
 腕組みを解いて、すっと腕を差し出す。握手を求めるポーズだ。

「私はヘルマ。家名は無い。困っていた貴女の名前を教えて貰えると嬉しい」

ルーミス > ここまで強く薦められると、その宿の回し者ではないかと疑ってしまいそうになるが、それはさておき。

「それは、二人以上でしか受け付けていないってことか?」

それとも他に何か難があるのだろうか。
最も、それを聞いたところで既に了承してしまった故、行くしかないのだが。

「はっ…無理して同じ言葉使わなくてもいいぞ。…ヘルマ、だな」

握手を求めるポーズに応じ、此方からも腕を差し出した。
軽く手を握った後、小さく揺らす。

「私はルーミス。錬金術を仕事にしてる。ここにも仕事で来てたところだ」

ヘルマ > 「そう、ヘルマ。貴女はルーミス…明るい感じがしていい名前だね。唇が踊りそうだ」

 あまり人を寄せ付けない雰囲気はあくまで雰囲気で、フレンドリーに握手して手を離す。

「錬金術か…頭がいい者の話は好きだ。是非、落ち着いたら仕事の話を聞かせて欲しい」

 あまり表情は変化しないが、声はそこはかとなく楽しそうだった。
 
「ああ、悪い。もっと端的に言えば良かった。
 ん? ああ、見た方が早いか……丁度、看板がここからなら見える」

 建物と建物の間に、魔法の光りでライトアップされた看板が見える。
 直線距離で徒歩五分程度だろう、そう遠くない、というか程近い。

「目は悪くないか? あの看板が見えたら見て欲しい。
 一言で言うと……あれだ、いかがわしい宿だ」

 文字通り……いかがわしい宿の看板が光っている。

ルーミス > 「そりゃ、どうも。実際明るいかどうかは、まぁ私にはわからん」

暗くはないと自負しているが。肩を竦めてニヤリと笑った。
表情こそ変化しないものの声の調子で感情は伝わる。

「勿論だ。難しい話になってもいいなら、教えてやるよ」
「ん? ………あぁ、成る程…な」

示されたいかがわしい雰囲気溢れる看板を見上げ、合点がいったように頷いた。
ならば、と。彼女の手を取り、指を絡める形で繋ごうと試みる。

「入る時だけでも、それっぽい雰囲気を作らなきゃダメだろ?…さ、行こうぜ」

ヘルマ >  理解出来るかどうかはともかく、難しい話を聞くのは好きだった。
 質問が多い、と辟易される事もしばしばだが。

「流石錬金術士」
 
 関係有るかは不明。

「理解が早い。
 見ての通り、二人以上で入る事が常識になっているようでね。
 一人で休憩しようとして、以前、かなり手厳しく追い払われた」

 手を伸ばされると、彼女の手が動くのを感じて、全く抵抗無く指を絡める。

「なるほど、そういう事か。流石、錬金術士……」

 二度目。他意は無く素直に感心している様子だった。

「ああ、安心してくれ。貴女が嫌なら、実際いかがわしい行為に及んだりはしない。
 私は狡猾な狼ではないので」

 木の車輪が付いた鞄の取っ手を持って、ガラガラ引きずりながら歩く。

ルーミス > 流石と言われて、何ともむず痒い心地となる。
面倒なことは好きではないが、教えることに関しては嫌な気持ちは無い。質問攻めも望むところだった。

「まぁ、一人で休憩するだけなら他所に行けという感じなんだろうな」

探せば一人で入ることも許容してくれる宿はありそうだが、まぁ時間がかかる。
特に抵抗なく手を繋ぐことが叶えば、足取りを揃えて歩き出す。

「別に、嫌ってわけじゃないぞ。ヘルマなら私はそういうコトも歓迎だがな」

勿論、自分も見境無しな狼というわけではない。
するもしないも彼女次第だと言外に含みつつ、二人歩いていれば間もなく宿に到着するだろうか。

ヘルマ > 「まこと、世の中というのは面白い」

 いかがわしい宿と、その仕組みも面白い。
 道中、ここまで来る馬車が途中で轍に車輪をとられて動かなくなってしまい
 結局歩く事にしたら、こんな時間になってしまった──
 などとこんな時間にうろついた理由は語る。すぐ、いかがわしい宿の前に辿り着く。

「ほほう……それは、いい事を聞いた。
 行きずりの相手と肌を合わせるのも、旅の醍醐味と昔教わった」

 多少、突拍子も無い方向に拡大された格言だが、当人は疑いを持っていなかった。
 種族柄なのか、それとも性格の問題なのか、肌の触れ合いは好ましい。

「が、実は私には肉体的な、かなり相手によってはシリアスな問題があってだな」
 
 宿の前で一度足を止め、顔だけ向き直る。真顔で、

「実は不可抗力によって、その……有るんだ。私には。あれが、男の」

ルーミス > 「確かに。そんな面白い世の中に住んでる私達も、面白いもんだ」

この時間にうろついていた理由を彼女の口から聞きながら、さて宿の前。
いかがわしい魔法の明かりを一度見上げ、彼女と視線を交わし合う。
拡大解釈された格言は何となく理解したが、特に口を出して訂正することもなく。

「シリアスな問題か。…………ほぉ」

肌の触れ合いは好ましい。
彼女の有している肉体的な問題を、嫌う人も勿論いよう。しかしこの錬金術士はそれに含まれない。

「私は全く構わないぞ。アレがあろうが無かろうが」

ニヤリと笑う。繋いでいる片手、重なり合う掌。戯れるように擦り合わせ、もう少し強く握り合わせた。

ヘルマ > 「む、全く構わないと来たか。
 この問題で長い事頭を悩まして来た私としては、とても嬉しい言葉だ。
 旅先でいい雰囲気になっても、肌を晒した瞬間空気が重くなっていたたまれなく事も珍しくないから」

 その思い出を振り返る時、ふっと遠くを見て溜息をつく。
 すぐに表情は、ほんのわずかに、微妙にだが明るくなって、

「ぽかをやらかした馬車の御者には感謝しないと。
 でなければ、この巡り合わせは訪れなかっただろうから」

 禍福は糾える縄の如しだな、と続けて。
 多少遠慮が有って力を込めていなかった指先に力を入れ、手をしっかり繋合わせると、

「では、当初の予定とは趣が異なるが、正しき客として入ろうじゃないか」

 旅行鞄を引きずり、堂々と入店──

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からヘルマさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からルーミスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区/図書館」にルルさんが現れました。
ルル > 使用者のあまりいない静かな図書館の奥待った本棚の間。
人が少なければ奥に入れば入るほどに人の姿もなく使用者は今は一人。
自分一人しかいなければ人目を気にする必要もなく、多くの本を抱えて次の本を探し本棚の間を歩く。

「……確かこの先に……」

趣味の物語から使う予定の辞書を何冊も積んで進む足取りは危なっかしく。
それでもあと一冊とラストに探す魔導書がある本棚へとゆっくりと進んでいく。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区/図書館」からルルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 以前、バフートで再会した奴隷の少女、ネーヴェにより紹介された仕事は、思ったよりも好待遇であった。
雇い主が貴族ということでいろいろと訝しんでいたのだが…
不当な扱いというわけでも、給金が支払われないということもない。
言ってしまえば普通の警備でいつも以上に収入が入ってくる。
身内からの斡旋ということもあるだろが、悪くはない。

「さってと…」

今日の依頼は夜間警備であり、雇い主である貴族の屋敷のまわりの巡回が主な仕事となる。
まぁ、場所が場所なだけに、少し退屈しそうではあるが
退屈で報酬がもらえるならばむしろ得だ。
装備を整え、明かりをともし、夜の住宅街を注意深く歩く。

ブレイド > それなりに灯りはあるが、やはり商店の建ち並ぶ通りとは違って
とても静かであり、自分の足音がいやに耳につく。
それだけ、なにか異常があれば気づきやすいということだ。
かといって、そうそう泥棒やら暗殺者やらと遭遇することはないだろう。
注意はしつつも気を張りすぎない程度に見回りを続ける。

「あー。月が……」

ふと空を見れば、輝く丸い月。
なんとなく気分が良くなる。
このように夜空をみあげるのもなんだか久しい気がする。