2018/06/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にネーヴェさんが現れました。
■ネーヴェ > 良い、から。下がって。――――大人しくして。
でないと どうなるか。解る……よ ね?
(どうにも世情が、王都の雰囲気が、宜しくない。
鳴り物入りで出発した王国軍第七師団。
その出征がどうなったのか。なかなか結果が伝わってこないからだろう。
…勿論、未知なる敵地への長征なのだから、そう簡単に解る筈もないのだが。
だからと言って納得は出来ないのが、大衆心理という物だ。
やきもきしている所に、更に拍車を掛けたのが、貴族による退魔、護身、そういった品物の買い占め。
もしかすれば、遠征は既に失敗しており。お偉方にはだけはその事実が報告されて。
だからこそ、彼等が魔族から身を護ろうとしているのではと……その為に、民衆は犠牲にされるのではないかと。
そんな懸念と不安が、いくらかの市民を暴走させる。
貴族屋敷の界隈に、今にも暴徒に転じかねない群衆が押し掛けて。
それを、王都に残った一部の兵達と共に、追い払う。
太刀を向け、切っ先が石畳に真っ直ぐに瑕を引き。
このラインより先には、踏み込むな――と。)
………………。
(正直。嫌な、仕事だ。
民の言い分も解ってしまうから。
…それなのに、対峙した民衆には、一方的に罵られるから。
「貴族の犬の癖に」、「ミレー族の癖に」、と。)
■ネーヴェ > (正直。苛立つのは、娘も同じだ。
こんな所で、こんな事をしている場合じゃない、と。
漸く、刀を手にする事だけは許可されたものの。
今以て前線には出して貰えない…魔族との対峙は認めて貰えない。
まして、長征に着いていきたいなど。全ての疑いが晴れた訳ではない身には、とても赦される物ではなかった。
今出来るのは、こんな、割に合わない事ばかり。
叶うなら。魔族に。…あの男に。今度こそ一撃、喰らわせてやりたいのに。)
、 っ…! う゛…く。
(意識が思索に囚われた一瞬だった。
民の誰かが投げたのだろう、堅い石が。きっとヒトとの違いめいた狼の耳を狙ったからだろう、額にぶつかった。
痛みが意識を揺らがせる。粘っこい血が顔へと垂れる。
…ぐる、と唸った。投石を受けて倒れず、犬歯を剥いて睨む、貴族の飼い犬に。
僅かばかり…民達は動揺し。)
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にアザリーさんが現れました。
■アザリー > あら~?皆さんいかがしました~?
なんて。群集の後ろから間延びをした甘い声が響いていた。
殺気立つ群集も、目の前の狼耳の女性の威圧感に怯んだ事もあったろう。
大半の群集が後ろを振り向くと、そこには長い黒髪を風に飛ばされぬように手で押さえながら。
朗らかに微笑んだ一人の女がいた。
「えっと~。あちらの方で~なんでも効果の高いアミュレットが大規模に造られたそうですよ~。」
別に助け舟を出すなんてつもりもない。ただ、群集の熱が何に興味を抱いているか判れば効果的に、効率的に散らす為その偽りの情報を流す。
一人がアミュレット欲しさと狼耳の少女に威圧されていたことから、この場を走り去っていく。
また一人、そしてまた一人と。暴走した民なんて矛先を変えてしまえば容易いものだ。
力任せに追い払う選択肢をせず、石を受けても人に牙を向けない、優しい狼耳の女性に興味を抱いたのが切っ掛けだった。
「あの~お怪我、大丈夫でしょうか~?」
ほのぼのとした声は睨む視線をこちらにも向けるのだろうか、狼耳の女性へ。
否、よく見れば少女なのに良く我慢した。とてもとても偉い、可愛い少女――そちらにゆっくりゆっくり近寄っていく。
■ネーヴェ > (流れの変化は突然だった。
原因こそ、長年溜まりに溜まった、魔族という存在への不安と恐怖だが。
それを今日この場で暴発させた切っ掛けは、退魔具の買い占め。
身を護る術を求めた人々は、いざその為の品物が手に入ると知れば、たちまち狂奔の向きを変えるのだろう。
我が身可愛さ、或いは、近しい者達も護る為。
雪崩を打って、「あちらの方」などという何ともあやふやな方角へ走り出す。
…呆気に取られたのは仕方ないだろう。
少し冷静に、そして客観的に見れば。どう考えても怪しい話。
逆を言えばそれだけ、民達の不安が大きいという事かもしれないが。)
――って、 ぁ。
(後に残ったのは声の主。この界隈では見た事のない…少なくとも、己の知る貴族の中には、居ないであろう女性。
この人が、あの流れを作ったのかと。呆気に取られる事、暫し。
思わずしげしげと眺めてしまい……我に返ったのは。直接少女自身へと、声が掛けられた為。)
大丈、夫。 です。…どうか。気にしない で。
……戦に比べれば。こんな の、全然。
(普通より治りの早いのもあるのだし。
それでも。耳を見て、ヒトとの違いを確認して。それでも気に掛けてくれる、その心は。
正直嬉しかった。
太刀を下げ、真っ直ぐに頭を下げる。)
■アザリー > 「だ~め。お姉さんは~自分が傷付いても、人を傷つけたくないなんて子を~放っておきたくないから~。」
言葉の端々が途切れているのは、言語が苦手なのか、それとも怪我なのかは微妙に判別が付き難い。
困った様に、伏せられたままの瞳と笑顔の女性、自分の顎先に人差し指をあてるとこてり。首を少しかしげてから両手を伸ばしてみる。
少女が逃げないなら気安く。血に汚れるかも知れないが、自分の服から血の成分だけ分解するなんて簡単な事なのだから躊躇はなかった。
「戦は~戦の~。こういうのは~こういうのの~。大変な事はあるものですよ~。ちょっとだけ~失礼しますね~。」
可能なら、伸ばした腕の中に少女の頭を抱きしめてしまいたい。
わきわきと伸ばす手には可愛いもふもふの少女の傷を癒す為の、分解と結合の術式の準備は既に完了している。
太刀と、先ほど少女がその刀で引いたラインを無意識に踏み越えようとするが、大丈夫だろうか。
■ネーヴェ > ――別に、 そんな。優しいつもりは 、何も。
…其処までしなく たって、…どうにか なった、から。
(それだけだ。過大評価されているようで、少々心苦しい。
頭を下げた、というより。真っ直ぐに見る事が出来ず、目を伏せていたのかもしれない。
…そんな、下向きの視界に入り込む、女性の爪先。
暴徒に対して引いた、不可侵を宣告したその領域を。彼女が躊躇泣く踏み越えた…かと、思えば。)
っちょ、え …わ …!?
(あっさりと、抱き締められていた。
別に、隙を晒していたというつもりはない。それだけ彼女の動きが自然だったのと…
先程迄この場に荒れ狂っていた民衆のような、反応せざるを得ない悪意を。
彼女が欠片も感じさせなかったから。
勿論、危険な暴徒だから、押し留めていたのであって。
彼女のような人間に、切っ先を向けるつもりは毛頭無かったが。
それでも、あまりにあっさりと腕の中へ囚われてしまった事に…頓狂な声を上げ。
じたりと少々藻掻いてしまう、位は。)
何を …っ、 血、つくから ……っ…
■アザリー > 「うふふ~。良い子、良い子~。」
境界線を超えたのは自分だ。軽く、なんの気無しに。
それでも少女は、少々もがく程度で大人しく自分の腕の中。そして豊かに育ってしまっている自分の胸の中に、大人しく頭を抱きかかえさせてくれた。柔らかな二つの弾力で灰色の髪の毛にくるまれた頭部をしっかりと抱え込み。指先で傷口に触れた――。
先ずは投石による傷周りの雑菌の分解が。ついで少女の毛並み、体質の分析が行なわれた上で、ごくごく自然な皮膚や毛並みに戻るように、魔力で傷口を塞ぎ、その周囲を練成した上で結合していく。
その後でとても可愛らしかった――少女の頭をゆっくりと、白磁の掌で撫でてあやす。
我慢強く、自分のイライラを相手にぶつけない優しい子という評価に落ち着いている少女を甘やかすように。
「血くらい~大丈夫ですよ~。血がついて~迷惑になるって思うなら~。その血を流しても~絶対に反撃しなかった~貴女はとてもとても、立派な子ですよ~。」
いたいのいたいのとんでいけ~という間抜けな声。
何が間抜けかといえば、もう傷口がふさがっている後でいうのだからしまらない。