2017/10/16 のログ
エリミア > 「……うっ」

ぱちぱちと瞬く相手の瞳、じろじろと注がれる視線には、自分の身を無骨な手甲で掻き抱いて逃れようとする。
やはり本物を前にするのは危険だったかもしれないと、欲をかいて判断が鈍ってしまったことを軽く後悔していく。
相手に観察されている間、自分もまた相手の恰好を盗み見ていく。
結果、その肥沃な肢体、優美な印象の肌などは、まさしくエルフというにふさわしいものだと感想を抱くことになって。

「…そ、そんな~、高貴なイメージだけがエルフの全てじゃないよ?私みたいなイモっぽいけど力持ちなエルフの氏族だっているんだし…。
それにほら、私『は』ちゃんとエルフらしいスレンダーさじゃない?」

小柄ながら、その身体の肉付きにおいては相手に完敗している。
身にまとう装備も、無骨な自分と比べると豪華さが見て取れてしまう。
そしてくっついてくる豊満な胸の膨らみを見下ろす形となり、情けない声色で言い募りながらちょっとした仕返しの言葉を交ぜ。

「ね、仲良くしようよ、私この辺で用心棒やってるから助けになれるかもしれないよ?」

これまではよくエルフを知らない相手に、適当に言って繕ってきたが今回はそうもいかず。
気難しそうな相手に、少女は精一杯のフレンドリーさをかき集めて、敵意がないことを示そうとする。

―――傍目人間にしか見えない姿は、自分の本質であり、人の中に紛れ込むためにわざわざそう作ったものでもある。
最も、魔界の奥地に引きこもっていた研究者が、本物のエルフの精霊まで騙そうと考えていたかは自分も知る由はなく、
そもそも今まさに正体がバレるかの瀬戸際であること自体無自覚だった。

オルティニア > ちなみにオルティニアに取ってのエルフ像は、金or銀の癖のない長髪、人とは一線を画した上品な美貌、シミひとつない白い肌である。
身長は生まれた里によって人間の平均を超える物から、子供じみて小さな物まで差があるし、胸の大きさはこれはもう個人差という物なのだ。
エルフは控えめな胸でなければならないなどという古き考えは今風ではないのだ。

怯んだ様な彼女の仕草に、言い訳がましい物言い。
ますます怪しい。
なんて思っていた所に弱点を指摘する鋭い一言。
真性エルフ様のこめかみがぴくくっと小さくヒクついた。

「―――たぅ……た、たしかにぃ、エルフってそーゆー……、細身の人が多いけどぉ……そんなのは栄養状態の悪かった昔のエルフだけで、これからのエルフはわたしみたいな身体の子も多いとか聞いたり聞かなかったりするしぃ……ごにょごにょ……。」

引きつる笑みで必死に平静を保とうとするも、セリフの最初は裏返り、口調もエルフらしからぬ品の無さを露呈しつつある。
しかしすぐさま復活し、泳いでいた視線をキッと彼女に向け直し

「――――ふっ、まぁいいわ。貴女がエルフかどうかは置いておいて、仲良くしてあげる。貴女、エルフらしい品はないけど、たしかに可愛いもの。」

ここはひとまず痛み分け。
そんな感じで心のあれこれに決着を付け、彼女の提案に鷹揚に頷いて見せた。

たとえ彼女の正体がエルフを偽るかりそめのものだとしても、強烈な敵愾心を抱くなんて事はないのだし。
エルフ様と同じになりたい、エルフ様のフリをしたい、なんて憧憬は、エルフ至上主義のオルティニアにとってはむしろ好ましい部類の物なのだから。
精霊たちもそんなオルティニアの性質を知っていたから、彼女の正体について無用な言及を行ったりはしなかった。

「わたしはオルティニア。太古の森から飛び出した、好奇心旺盛な本物のエルフ様よ。」

ふふんっと小憎たらしいドヤ顔で胸を張り、豊かな駄肉をたゆんと揺らす。

エリミア > 「…あ、やば。ほ、ほら、装備とかも充実してるお金持ちなエルフって証拠かもしれないじゃないっ?それに身長だってすぐに伸びるよっ」

軽い仕返しのつもりだったが、思いの他効いてしまったことに少女は焦って、何故かフォローに回ってしまう。
そう慰めるように告げるこれも地雷かもしれない、というよりエルフは全く外見で年齢がわからず、娘としては相手が幼いように勝手に思っていたのだった。
どこか高級なイメージの装備を身に着けている辺り、エルフの中でも有力な氏族の娘であったりするのかもしれないとは思ったが。
ともかくそんな本物のエルフへの仕返しは、思わぬ跳ね返りを生んでしまい、少女はひやひやとした心地で反応を見守っていて。

「う、うんそうだね、エルフ万歳。えへへ、そんな、可愛いって…嬉しいけどオルティニアも可愛いと思うよ?」

結局、エルフとは認めてもらえたかというと怪しい解答だった。
鷹揚な頷きで、少なくとも友好的であってくれるようなため、少女も一安心して可愛いという言葉にもじもじとした反応を示す。
最初の高慢そうな雰囲気とズレて、また戻っていく口ぶりには、親近感がわくが、同時に少し残念な部分があるのかもしれないという失礼な気も湧いて出た。

「す、すごい、太古の森ってホントにあったんだ…!あ、私はエリミアって言うんだ。…ねぇ、オルティニアの装備ってミスリルだよね?なんで腕輪は金なの?」

大雑把なエルフ観しか持たない少女は、相手の言葉を真に受けて感動したように目をきらきらと輝かせる。
ドヤ顔と共に眼下で揺れる肉づきのいい大瓜じみた双丘に嫉妬心を掻き立てられながら、少女はふと気づく。
詳しくはないが、凄腕の稼ぐ冒険者が身に着けていることの多い素材でできた武具をふんだんに装備しているのに、二の腕に光る金の腕輪がどこか異質に見えた。
魔法的な知識もない娘は、それがどういうものであるかも知らずに、小首をかしげながら興味を引かれて反射的に手を伸ばしてしまいそうになって。

オルティニア > 「―――ハ……、そうね、身長は、たしかに伸びるかもね。ただね、一度育った胸は縮む事はないの………。育つことはあるのに、縮む事は決してないのよっ! なんなのそれっ、呪いなのっ!? 呪われてるのっ!? お母様だって控えめなエルフ胸なのに、なんであたしだけこうなのかしらっ!? なんなのっ、巫山戯てんのっ!?」

半ギレしつつ、彼女の肩を両手で掴んでゆさゆさゆさゆさっ!
動きに合わせてたわわな双乳が、それはもう激しく揺れて周囲のギャラリーを楽しませる。

ところで、今の時刻はお昼過ぎである。
平民街の雑多な喧騒には及ばぬ物の、大きな商店が軒を連ねるこの場所には、それなりの人通りがあった。
大店の若旦那、用事を言いつけられた丁稚の少年、下級貴族と思われる紳士淑女の姿さえ見受けられる。

そんな中、エルフエルフとかしましい長耳少女と、その娘にも負けぬ愛らしい顔立ちの娘のやり取りは結構な注目を集めていたりもする。
エルフ娘はそんな事お構いなしなのだが。

「ふん、まぁいいわ………って、貴女、何を言っているの? 正真正銘のエルフであるわたしが可愛いのなんて当たり前の事でしょう?」

愛らしいはにかみを見せる彼女とは違い、こちらはきょとんと不思議そうな顔をして答える。
どこまでも傲慢なエルフ娘であった。

「ふふふふんっ、そーよっ! これぞ魔法金属ミスリルの輝きよっ! ………あ、だめ、これはダメなの。触らないで。ダメよ、いけないわ。」

小鼻を高く突き上げて、おほほ笑いさえ飛び出しそうだったエルフ少女が、腕輪に向けられた注目にささっと身を竦ませた。
二の腕にぴっちりと嵌った金腕輪を逆の手指で抑える姿勢は、豊乳をふにゃりと潰して身を覆う、弱々しくもいやらしさの滲む物。

エメラルドの瞳も不安げにあちこち泳ぎ、頬の赤みも強まって、「これはわたしの弱点です!」と力説するかの如き有様である。

エリミア > 「お、落ち着いてオルティニアちゃん、胸が大きいエルフは次世代のエルフなんだよきっとっ。」

思ったより地雷であったらしく、烈火のごとく怒る相手が暴れる身体の動きに合わせて、その巨大な双丘も迫力たっぷりの動きで。
周囲の視線を、最初の男たち以上に釘付けにしてしまっていることには少しばかり焦っていくが、まぁいい宣伝になるかもしれないなんて少女は呑気な考えだった。
しかし、仲良くするための一歩を踏み外してしまっては、せっかくエルフ仲間に認識してもらった相手の機嫌を損ねてしまってはマズいのは少女にとっても事実である。
目の前で弾みまくる爆乳ともいう膨らみの動きにはしっかり目を配りながら、少女は相手を宥めようとすることとなり。

「う、うん?そ、そうだよね、当たり前、かなぁ?」

美形でないエルフというのもあまり聞かない話ではあるが、それに過大ともいえる自信を見せる相手には少女も当惑する。
やはり貴族的な生まれだと、そういう思想が身についてしまうのだろうかと内心で疑問を浮かべるが、その言葉自体は疑いようのないものだろう。

「もしかして貰い物とか…ふぅ~ん?これは好きでつけてるものじゃないんだ?これ取れちゃったらどーなっちゃうのかな~?」

大事なものなのかもしれない、と思い立って手を引こうとする前に、過敏な反応を見せる相手に少女は一瞬虚を突かれる。
しかし、直ぐに理解して、猫のように目を細めて完全にロックオンした目つきとなる。
一応怪力で傷つけないように気は遣いながらも、力づくで豊満な胸ごと右腕を庇う相手の腕を片手で引っぺがしてしまおうとするだろう。
腕輪を指先ですりすりと擦りながら、にまにまとした笑みを浮かべて小首をかしげ、時折小突くように触れてもみせて。
先ほどまでの高慢な態度が急にしおらしくなったことで、妙に嗜虐的なケを呼び起こされてしまっていて、愉し気な表情を浮かべて少女は相手を揶揄ってみようとしていて。

オルティニア > 彼女の取ってつけた様な言葉に、猛っていたエルフ娘は平静を取り戻して揺さぶりを解除した。
そしてそれに対する仕返しの様に、禁断の腕輪について言及されて、からかうように突き回されればあっさりと攻守が逆転する。

「い、いやぁんっ、ほ、本当にっ、本当にダメなんだってば! ちょ、あの……エリミアっ!? やめっ、ぁっ、ンっ、だめ、あっ!」

細身の少女と豊乳のチビエロフが、瑞々しい肢体を重ねるように取っ組み合い、更には腕輪を弄くられる長耳娘が艶事の真っ最中の様な声音を上げるものだから、回りからの視線も相応に鼻息の荒い物になっていく。

「わ、わかったから、わかったからっ! エ、エリミアっ! ちょっとだけ待って、待ちなさいってばっ!」

潤んだ瞳に紅潮した頬。
乱れた後れ髪を首筋にまとわり付かせたその顔は、雄の興奮を煽って止まぬ雌の顔。
細腕に込めていた貧弱そのものの抵抗力を抜き、諦めた様に動きを止めつつ、改めて彼女に翠瞳を向けて告げる。

「いいかしら、エリミア。 これはね、わたしの罪悪。若かりし日の業を封じた物なのよ。これを外せば大変なことが起こるわ。貴女にその責任が取れる? 外した後で後悔しても、もう手遅れなのよ?」

かっこよさげな遠い目をして呟く。
どこぞの中二病患者の如き物言いなれど、その翠瞳は真剣そのもの。
しかし、外す事を真に厭うわけでもなく、むしろ、枷を外して色々とさらけ出してしまいたい、みたいな色さえ覗いている。

―――彼女の褐色肌に己の白濁をぶち撒けたらさぞや卑猥な情景となるだろう。
無論、表皮だけでなく、前や後の穴の奥まで、どろどろの欲望で穢し抜き、数日は己の匂いが取れぬくらいに犯すのだ。

よし、今夜はこれをおかずに自慰に耽ろう。
そんな下卑た欲望が渦巻く顔さえ、エルフの美貌は物憂げな表情として飾り偽るのである。

エリミア > 「そうなの?でも、なんか顔赤いよ?」

どうにも焦り方が大事なもの、というよりは絶対に外してはいけない何かがあるものに見えて、愉しくなってきてしまう。
控えめな胸で相手の豊かな胸を押し潰しながら密着して絡む姿に、周囲の視線が熱っぽくなってくるのも構わなかった。
こうやって絡み合ううちに、少女の方もむらむらと沸き上がってくる貪欲な熱に身体を火照らせていて、触れ合う肌が汗で吸い付くような心地になるだろうか。

「うん、わかった、待ってあげる~」

相手の言葉には、少女は動きは止めるが密着する身体はそのままに待つ姿勢を見せていく。
乱れて色っぽく張りつく髪や、紅潮した頬と潤む瞳は、深刻さよりも羞恥を思い起こさせて、その腕輪の意味をわくわくとした様子で探っている。
そんなギャップを見せる相手への興奮も高まっていて、周囲の視線がなければこのままどこかに連れ込みたいような心地にさえなっていた。

「へえ、大変なこと、かぁ。でもあんなに真っ赤になるってことはさ……実はエッチなことなんじゃないの?」

真剣に告げる相手の態度は、中々様になっていて重大な運命を身の背負う非業のヒロインに見えたかもしれない。
最も、娘はそれまでの反応を見ていたため、全く違う予想を立てていたため、その忠告めいた言葉にも話半分であった。
どこか物憂げな表情を浮かべている相手が、その様相とかけ離れた下品な想像を浮かべていて、
しかもその対象が自分だと知らない少女は、そっと尖った耳元に口を寄せて吐息と共に吹き込むのは核心をついた問いかけ。
意識せず半眼になる視線は、じぃと相手を見下ろしながら、その真意を見定めるように楽し気な光を湛えている様が相手の瞳に映っていく。
さらに動揺を誘ってみたく思った悪戯心から、それがどんな構造なのかもわかっていないまま爪を引っかけて驚かしてみようともするだろう。

オルティニア > 「―――そ、それは……だって……エリミアが、い、いきなり……。」

顔の赤みを指摘されれば、ますます羞恥の色合いを強めて翠の瞳が周囲に泳ぐ。
彼女の身を焼く興奮に、こちらもまた感化されているのか、小さく開いた唇が零す呼気は淫らに乱れた甘い物。

最終確認という態で、その実事に移す前の大義名分を得るための問を彼女に向ける。
対する反応は、奔放無垢な物言いとは裏腹な、存外鋭い指摘であった。
「エッチな事なんじゃないの?」という切り返しに、エルフ娘の下腹が小さく震える。

そこにあるのが卑猥な好奇心であり、同性の生々しいあれこれに対する忌避感で無いことにも目敏く気付けば、オルティニアの桜唇が諦めた様な、それでいて妙な熱を孕む溜息を零した。

「―――そう……そこまで言うなら、わたしの秘密、見せてあげるわ。あ、でも流石にここでっていうのは恥ずかしいし、ついてきて。わたしが借りてる宿で……ね?」

名残惜しげに腕輪を引っ掻く彼女の悪戯に、他愛もなく慌てた嬌声を上げつつも、繊細な指先で彼女の手をきゅっと掴んで、誘う様な足取りで歩き始める。
彼女が大人しくついてくるなら、平民が泊まるには立派過ぎ、貴族が泊まるには手狭そうな、そんな宿に辿り着くのはすぐの事だろうけど、果たして彼女はどう動くのか。

エリミア > 「ふぅん、私のせいなんだ。でもエッチなこと考えたって否定もしないんだね?」

図星を突かれて反応する相手の様子を、間近で見つめながら少女はむくむくと持ちあがる嗜虐心を煽られる。
赤らむ頬も隠しようがなく、目を泳がせている相手の言い訳めいた言葉に、少女はその言葉尻を捕まえていく。
思った以上に、淫らな本性を持っているらしい相手が、どう乱れるのか、金の腕輪の意味は何であるのかなど、少女の好奇心は尽きない。

「うん、ならオルティニアが恥ずかしくないところまで、お邪魔するね~。
わぁ!こんな広いところで暮らしてるんだぁ」

握られた手の、ごわごわとした籠手の革の部分が痛くないようにそっと握り返しながら、手を引かれるままに着いていった。
やがて見えてくる立派な宿に入り、相手の泊まっている部屋に入ると、中まで走りながら無邪気そうに笑う。
そんな少女の背中を相手が見ていたなら、短い黒髪が不意に長く床まで伸びていく光景が目に映るだろうか。

「じゃあ、オルティニアの秘密、見せてもらおっかな…?」

そう振り返る少女の眼は赤く輝き、精霊が危険を覚えればその正体についても詳らかとなるだろう。
髪は床で寄り集まり、触手となって持ち上がっていく。
それは男性器めいた先端を持つものをとっても太さが多種多様で、中には先端がブラシのようなもの、吸盤のようなものもあった。
そんな卑猥な触手たちで相手を包囲しながら、その豊かな肢体を前に舌なめずりをして、熱っぽい視線を注ぐ少女の言葉を皮切りに、触手の群れが相手へと殺到していこうとしていった―――

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からオルティニアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からエリミアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にロイナさんが現れました。
ロイナ > 兎にも角にも、淫気を漁るのであれば人の集まる王都が一番だ。
そう考えて富裕地区に足を運んでみたのだが、読みは的中。十分すぎる程に。

満足げな表情のまま、さて自分も摘み食いは出来やしないかと適当な、人気の無い場を当たる。
人間でもいいし、別に同族だって構わない。

「夜中に出歩いちゃう不届きな女の子はいるかなー?」

なんて呑気な声を上げながら路地を歩き回るのだ。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にロズワールさんが現れました。
ロズワール > 「遅くなっちゃったなぁ……早く帰らないと…」

富裕地区に住まう友人宅から早足で帰途に就く白髪の少女。
自分の住まう平民地区とは比べ物にならないほど高貴な住宅が連なる道を歩いていく。
この時間になるとこんなにも静かになってしまうとは…
お金持ちはどうやら早寝早起きらしい。

「んー、と…ここを通ったほうが近いよね」

大通りを抜け、すっかり人気のなくなった路地へと歩み、全くの無警戒で奥へと進んでいく。
街灯もなく月光の明かりだけを頼りに歩いているため、前方を歩く人陰には気づかなかった。
イリヤはそのまままっすぐ、人影が潜む方へと歩いていく。

ロイナ > 「……んー?」

前方から聞こえる足音に、俯きがちだった顔を上げた。
此方に向かってやや早足で歩いてくる人影が見える。自分と然程背丈も変わらない少女のようだ。
良さそうな獲物が見つかった、とほくそ笑み、そのまま歩速を落とさずに距離を詰める。

「……ねぇねぇちょっと、そこの人」

月明かりでお互いの顔が見えるくらいまで近づいた時を見計らい、声をかけた。

「訊きたいことがあるんだけど……いいかなー?」

ロズワール > 「…っ!…だ、誰?」

闇の中から突然現れる女性の姿。
ここまで近づかれなければ気づけないとは…
どうやらイリヤの索敵スキルも及ばない何か。
彼女を見てまず思ったことは、面前の女性は人間ではないということだ。
それを踏まえても特に警戒する様子はなく、こちらも一歩だけ近づいた。

「聞きたいこと?悪いけど、道案内なら力にはなれないかも。
私、この地区に住んでるわけじゃないから…」

彼女の質問を道案内と勝手に判断したイリヤは困った表情を浮かべ、一言「ごめんね」と告げる。

ロイナ > 「そんなに驚かなくてもー……」

わざとらしく、ちょっと傷ついたフリをする悪戯。
それはさておいて、問いに対するすげない答が返って来れば笑みを深める。断られるのは予測の範囲内。

「えー、それは残念だなぁ。……でも、他にも訊きたいことがあるんだよ。ねっ」

食いさがるようなフリをして更に距離を詰め――互いの視線が交わった瞬間。
キラリ、と瞳が青白く輝いた。淫魔の魅了魔法に彼女は果たして抵抗できるか、どうか。

ロズワール > 「あ、えっと…誰もいないって思ってたから…」

傷つく仕草がフリとは気づかず、あからさまにたじろいでみせる。
完全に彼女のペースでその馴れ馴れしさに違和感は全く感じなかった。

「え…こ、れ……魅了、魔法……っ」

距離を詰める彼女と視線が交わった。
その直後、イリヤはこれが罠だと気づくも、遅かったようで…
まんまと彼女の魔法に掛けられてしまった。
今日は魔法を振り払うポーションなどは持ち合わせてはいないし、今の状況でこれを自力で振り払うことも不可能だろう。

ロイナ > フリは、案外素直に受け取ってくれたらしい。
疑うとかそういう行為は不慣れなのかな、とぼんやり思った。

「あれ、バレちゃったかぁ。安心してよ、ちゃんと一晩で帰してあげるからさっ」

彼女は魔法を扱うのだろうか。あっさり気づかれてしまったのを見て、少し興味が湧いてきた。
とはいえ掛けてしまえばもう此方のもの。彼女の手を取り、手近な宿へと向かうことにする。

ロズワール > そのまま彼女に連れられ、月明かりに照らされた道へと去っていく──
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からロズワールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からロイナさんが去りました。