2017/10/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にオルティニアさんが現れました。
オルティニア > 「ハ、貧相な宿の癖に、随分なお金を取るものね。これだから人間っていけ好かないわ。」

小鳥の囀りにもにた愛らしい声音が、小生意気な口調で棘々しく吐き捨てる。
荒々しい歩調が硬質な足音を響かつつ、若草色のチュニックの胸元を悩ましく揺らす。

小柄な少女である。
歳の頃は14、5歳。
上品にくすんだ焦茶の長髪を夜会巻きにて編み上げた顔立ちは美しく、すれ違う平民達からあからさまなまでに浮いていた。
それもそのはず、彼女は小さな頭部の側面からにゅいっと伸び立つ長耳も誇らしいエルフ族の一人なのだ。

白貂のファーを施したケープも、細身を包むチュニックの生地も見るからに上質で、どこぞの貴族令嬢かといった出で立ちなれど、活動的なデザインの服は肌の露出がやけに多い。
黒タイツに包まれた膝上は真白な太腿が剥き出しで、チュニックの側面に深々と切れ込んだスリットからは下着の横紐までもが無防備に晒され揺れている。
蝶々結びの紐の一つを引っ張れば、チュニックの前垂の下は大層恥ずかしい事になるだろうに。

そしてその胸。
先程からたゆんたゆんと揺れっぱなしな双乳は、小柄な体躯にまるで見合わぬ豊かな生育を見せていて、下着の横紐と共に男たちの視線を強く引き寄せているのだった。

オルティニア > 貧民区にほど近い位置にあった冒険者ギルドの併設宿から始まって、平民区の大通りを経由し、数多の宿屋にいちゃもんを付け、ようやく落ち着いたのが富裕地区の外れに位置する高級宿。

エルフの里から持ち出した装飾品やら宝石やらのお陰でまだまだ懐に余裕はあるが、それでもその宿で1年も暮せばすっからかんになる程度。
貧乏臭くて雄臭くて汚らしくて粗暴で下品な男どもに塗れるのは大層不本意なれど、ここは早めに冒険者ギルドで仕事を探すべきだろう。

類まれなる己の才覚を目にすれば、それはもう莫大な報酬を伴う壮大なクエストが依頼として舞い込むはずだ。
数ヶ月に一度の頻度でそうした仕事をこなしていれば、早々にもっと良い宿に移ることが出来るだろう。
いや、なんなら己にふさわしい大邸宅の一つでも買ってやろうか。

「んふっ………んふふふふふ……っ。」

華々しい未来を夢想して、大通りのど真ん中にて怪しい笑みを浮かべる少女。
幸いにしてエルフの美貌はそんな笑みすら可憐に飾り、周囲から引き出されるであろう可哀想な子を見る視線を防いでいた。
とは言え、少女の細身に絡みつくのは、ほとんどが下劣な欲望を伴った雄の視線か、腰横の下着紐を引っ張ってやろうと狙う悪ガキの視線なのだけど。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にエリミアさんが現れました。
エリミア > 色々と装備を修繕しなければならず、割がよく中々捕まらない貴族の顧客を得られたまでは、少女は幸運であった。
しかし、付かず離れずで護衛をしなければならない依頼では、到底「食事」をとることは叶わず、腹部からきゅうと腹の虫まで鳴くほど。
大過なく依頼を済ませて、報酬を弾んでもらえたことで、修繕を終えてピカピカになった装備を引っ提げながらも、少女はひもじい思いをしていた。

「う~…もっと何でもありな依頼にしないと……あれ、なんだろ?」

とにかく寝床を探さなければならないとあてもなく街をとぼとぼ歩いていると、
街を行き交う人々、特に男性の視線が一方に集中していることに少女は気づいた。
その男性たちの視線を薄く開いた目で何となく追ってみると、その先には随分と目立つ出で立ちの相手がいた。
なんだか妙な笑い声も聴こえてくるが、その理由は少女にはわからなかった。

「わ、エルフだ。…バレないよね?」

遠くから見て気づかなかったのは、その小柄さ故か、あまり出会うことのない表向きの同族に、少女は少し警戒する。
しかし同時に、エルフは肉体的に強くないが魔力を高く保つ種族だと、うっすらと聞きかじった知識が訴えてくると、
一時は気が紛れていた空腹がまた呼び起こされていってしまって。

「こんにちわっ、貴方『も』エルフの人かな?」

少女はニコニコと笑いながら、何か思索を巡らせている相手の前に立って、気軽な調子で声をかけた。

オルティニア > 「―――――ん?」

不意に聞こえた明るい声音に、エルフ少女は長耳をぴくりと跳ねさせ目を向けた。
エメラルドの双眸が映し込んだのは、己同様華奢な体躯。

「貴方、『も』?」

数度瞬き、少女の姿を上から下まで観察する。
エルフらしからぬ黒い髪、エルフらしからぬ褐色肌、エルフらしからぬ猫じみた八重歯、エルフらしからぬいやらしい服装。
まぁ、下着の如く小股に切れ込む衣装は、ちょっと心惹かれる物がある。
品はないし、エルフらしくはないけれど。

とはいえ、唯一エルフらしいと言えるのは、黒髪から覗く耳の尖りくらい。

「…………貴女、そのなりで自分もエルフだとでも言うつもり?」

互いの背丈の差を、ツンと持ち上げた顎にて強引に縮め、傲岸不遜な視線で相手を見下す。
ミスリルの脚甲で石畳を叩いて近付けば、豊かな乳房の先端が、彼女の膨らみに微かに触れる。
ふわりと漂う香りは、花の様に上品な物。

彼女の姿が魔術によって偽られた幻影の類なら、オルティニアの周囲を取り巻く精霊たちが看破して、その正体を伝える可能性もある。
とはいえ、敵意は感じられぬのだからと、精霊たちも今はまだ静観の姿勢である。