2016/08/16 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にヴィールさんが現れました。
ヴィール > 滞りなく行われたとある富豪の祝賀会。
一家で顔見せに訪れる中、空気に馴染めるわけもない少年はひとり会場を抜け出して噴水広場に来ていた。
備え付けられた長椅子に腰を下ろし、ため息をつく。

「―――ばっかみてぇ」

やるせなく呟いた台詞は、誰に聞かれる心配もないから零したそれ。
無論、自身に相談できるような仲の友人などいる筈もないのだが。
ぱたぱたと両足を揺らす。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にフォークさんが現れました。
フォーク > 「……こんな場所に、こんな所で一人。訳ありだな――」

などと、いかにも何か含みのある物言いをしながら、男は登場する。
少年と噴水を挟んだ向こう側にある茂みから姿を現す男。
みすぼらしい格好をしてはいるけど、体格は非常に逞しい。

男は妙にシリアスな表情を作れば、少年に向かって頷いた。

「呑むかね?」

懐から強い酒の入った小瓶を取り出し、ポイと少年に向かって放り投げよう。
そして少年の隣に、どかりと腰を降ろすのであった。

ヴィール > 「―――うお、おっ」

がさり、と音を立てながら、茂みより巨漢が姿を現した。
びくっと一瞬身を震わせながらも、気を取り直してよく男を観察してみる。
と、放り投げられた小瓶をキャッチして。

「……呑めねぇよ。つか、この中身なんだよ」

遠慮なく隣に腰を下ろした男を呆れたように見上げながら問う。

フォーク > 「俺の好きな酒だ。少量でもよく酔える。お子様にはちょいとキツイかもしれんがね」

と、肩を揺らして笑う。
この如何にも豪傑風の男が、なぜこのそぐわない場所に居たのかを説明すれば、時は少し前へと戻る。

フォークくんはとある富豪の祝賀会が行われることを町の噂で聞きました。
傭兵のフォークくんは金持ちとのコネが欲しかったのですぐに富豪地区へと向かいました。
だけど、祝賀会に参加するコネがなかったので、ふてくされて噴水広場の茂みで眠ってしまったのです。
すると、人の気配がして目を覚ませば貴族っぽい格好の美少年が長椅子に腰掛けていたというわけ――

そんなこともおくびにも出さず、男は少年に言う。

「見たところ、貴族の子弟のようだがこんな場所に一人でいると人さらいに狙われるぞ?」

打算まみれの男ではあるが、意外と優しい部分もあるのである。

ヴィール > 「酒かよ。んなら俺は呑めねぇから、おっさん呑んどけって」

ぽん、と男に向けて小瓶を放り投げる。
隣に座る傭兵の男が、貴族とのコネを探している裏事情など知りもしない少年はつっけんどんな態度を崩さずに。

「これでも逃げ足は速ぇんだ、心配ねぇって。人さらいがいるってのはホントみたいだけどな」

頬杖をつきながら呟く。
鋭い目鼻立ちが、不機嫌そうな様相を隠さない。隠す必要もないと思っているのだが。

フォーク > 「おっさんではない。俺はまだ39歳だ!」

充分におっさんなのだが、認めたくない繊細なお年頃なのだ。

(なるほど、たしかに俊敏そうではあるし、利発のようにも見える)

と、少年の顔を見つめれば不意に股間に熱いものが滾った。
元々、肉欲の情が強い男。成人の男性に食指は動かないが、少年のようにまだ中性的な顔立ちには反応を示してしまうのである。

(俺、生まれが良くないからな。貴族とかそういう高貴な存在に対してコンプレックスがあるかもしれねえな)

ふい、と空を見上げて自己分析。

「俺はフォークってんだ。失礼ながら、御名を頂きたい」

貴族らしい少年なので、敬語で名を聞く。
あと、さらりと太い腕を少年の肩に回すようにしておこう。

ヴィール > 「俺からすりゃじゅうぶんおっさんだっつーの」

一刀両断、切り捨てた。
相手の繊細さなど知る由もない。口さがない悪ガキの言葉。

「フォーク。……俺はヴィラル。よくヴィールとかヴィルとか、好きに呼ばれてる」

それから今、自分が身につけている服に遅ればせ気づいた。
この華美さからして、貴族という立場にあることは察されているかもしれない。
男の太い腕が肩に回ってくる感覚に、口をへの字に曲げながら。

「――家は、バロッツォ。そこの三男だ。……これでいいか、おっさん」

フォーク > 「ほう、立派な家名じゃないか」

知る人ぞ知る貴族の名だ。
少なくとも富豪地区で飯の種を探している男には聞き覚えのある名だった。
しかし三男ということは、よほどのことでも無い限り家督を継ぐことはないだろうとも男は考える。

「ようし、ヴィル。お前さん、今『逃げ足は速い』といったな。それがどういうことかわかるか?」

男はそっと少年の形の良い耳に囁く。

「それはな、自分に自信がねえってことさ。自分に自信のある奴は逃げ足を誇ったりはしねぇ。腕っ節を誇るもんさ。『たとえ素手だって人さらいなんて叩きのめしてやる』って言うもんだぜ」

と、少年を軽く挑発してみるのである。相手が乗ればしめたもの。
自分の実力を示すことができれば、また新しい道も開けるだろうと。

ヴィール > 「それはどうも。同じことをうちの父上にも言ってやってくれ」

そっちの方が百倍喜ぶ、なんてやる気の無い口調を続ける。
事実、家督を継ぐ可能性は限りなく低い為こうして好き勝手やっているのだ。

「………あ?」

耳元で男が囁く。
まっとうな大人であれば、笑って聞き流すことも出来ただろう。
しかし如何せん、年幾つもいかぬ子供。カッと頭に血が上った。


「ん、だとテメ―――!」

バッ、と肩に乗る腕を振り払わんとして。

フォーク > 「十回、戦場で大将首でも獲らない限り難しいだろうねえ、それは」

貴族にお目見えするのがどれほど難しいかはわかっている。
その繋がりを作るのに、こっちは必死なのだ。

「ほー。怒るってことは、それなりに男のプライドってのがあるってことだな?」

男は長椅子から腰を上げる。それだけで長椅子は強く軋んだ男を立てた。

「あっちの茂みに、ちょうどいいスペースがある。素手の取っ組み合いをするにゃもってこいのな」

広場にある茂みは、小さな森になっており散策も楽しめるのだ。今は時間的に誰も来たりはしないだろう。
男は茂みに向かって歩き出す。。

「度胸がなければ来なくていいぞ。もし来なければ、明日からヴィラル・バロッツォは一番の臆病者だ」

口から先に生まれたような男。高笑いをしながら茂みの奥へと入っていった。

ヴィール > 「そりゃまた、苦難の道だな。ただ、父上は気位も高いからな……」

生半可な道のりではないだろう。
それは端で見ている己でも痛いほどわかる。

「ったり前だろーが!!」

売り言葉に買い言葉。
立ち上がった男の巨大さなど一切気にせず、彼が茂みに入っていくのを見届けてから同じ道を辿る。

「言わせておけば、好き放題言ってくれやがって……!」

フォーク > 「来たな。小さい勇者」

太い腕を組み、少年を待っていた。
もともとは昼寝などを嗜む場なのだろう。木々に囲まれた一角は、半径10mほどの芝生になっている。
取っ組み合いをするには持って来いの場だった。

「自分よりも大きな相手に挑む勇気は賞賛するぜ。とはいえこちらは戦闘のプロ。ハンデをくれてやらにゃならん」

男はおもむろに鎧を外した。そして衣服を脱いでいく。
褐色の肌に包まれた肉体は、地道なトレーニングと実戦で鍛え上げられた筋肉の塊だった。
無造作に下履きも脱ぐ。
ずるり、と現れた男根は褐色の肌よりも黒く、禍々しさを秘めていた。数えきれない女の蜜を吸った男根だった。

ハンデを与えるために裸になるというのは方便。強靭な肉体と雄として優秀な男根を晒すことで精神的優位に立とうという策だった!

ヴィール > 昼寝をするのに心地よさそうな、開けた芝生にやってくる。
腕を組み、悠然と立ち尽くす男を切れ長の鋭い瞳が見上げた。

「……はっ。お褒めの言葉、感謝するぜ。―――ハンデ?」

首を傾ぐなり、唐突に目の前の男が脱ぎ始めて面喰らう。
鎧を外し、服を脱ぎ、巨根を晒す様子に息を呑んだ。
男が精神的に優位に立ったのは間違い無いだろう。

「……ん、だよアンタ、いきなり。ハンデって……それか?」

フォーク > 「こっちは生まれたままの姿でお相手しようってことさ」

太い腕を組み直す。
ぐい、と男根が隆起した。
軽い露出趣味があることもあるが、美少年が己の男根に息を呑む顔に興奮を覚えたのである。

「どうするね。武器を持っているなら好きに使ってもいいぞ? なあに俺が自分でハンデをやると言ってるんだ。貴族の恥にはならんさ」

基本的に男は武器を遣わない。肉体を鍛えあげて全身を凶器に仕立て上げている。
相手がそれを知らないことを逆手にとっての挑発である。

「ま、俺がお前さんならハンデなぞいるか、と同じ姿になるけどね。男だからな……」

と、やはり挑発するのである。どんな相手でも勝率を上げようとする。これぞ傭兵フォーク・ルースだった。

ヴィール > 「………なるほどな。出血大サービスってやつかよ」

隆起した男根を一瞥し、顔を顰める。
言うほど(視覚的に)有り難みもないサービスではあるが、これで男の身に攻撃が直接通るようになった。
武器を使うか否か。
応と言ったとて、めぼしい武器など持ち合わせていない。

「……はっ。悪ィけど、それには乗らねぇよ。ハンデを自分から台無しにしてどうすんだ」

二度目の挑発には引っかからなかった。

フォーク > 「そのとおり。ただし出血するのは、そちらの方だろうがな」

男は両手を腰に当て、仁王立ちの構えである。

「なるほど、どうやら自分の身体に自信がない御様子だ。
言っておくが、俺がお前さんくらいの年にはすでに椅子を遣わずに棚の上のものが取れたぞ」

と、遠回しに少年の背丈が低いことをからかうのである。

「さあ、かかってこい。小さな勇者よ。俺は大きな勇者だから何をしてきても逃げやしないぞ!」

すごい自信を見せる男。しかし内心――

(忘れてた……攻撃魔法とか使ってきたらどーしよ?)

策を弄する割に、後先をあまり考えない性格だった。しかしそんな動揺は隆起する男根をこゆるぎもしない程に隠すのである。

ヴィール > 「言うじゃねぇか」

ふん、と鼻で笑って臨戦態勢となる。
が、次いで身長が低いことを遠回しながら揶揄われるとかちんときた。

「あぁ!!? ――ごちゃごちゃウッセェんだよデカブツがっ!!」

激昂しながら、自信溢れる男へ正面から突っ込んだ。
攻撃魔法どころか、防御魔法も使えない。正真正銘の肉弾戦だ。

握り締めた拳を、挨拶代わりとばかりに男の腹部へと叩き込む。
ヒットする直前、微かに身長を弄って威力を底上げしたが反応はどうか――

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からヴィールさんが去りました。
フォーク > 少年の拳が腹部にめり込んだ。

軽い吐き気が男を襲う。
どうやら相手は見かけよりも喧嘩慣れをしているようすだ。

「やるね」

どんなに痛みがあろうが苦しかろうが、不敵な笑みで迎え撃つ。
戦場でもっとも恐ろしい感情は笑顔だ。

「今夜は一晩中、踊ってもらうぞ、小さい勇者!」

そして始まる肉弾戦なのであった!!

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からフォークさんが去りました。