2023/01/07 のログ
サマエル > 「まぁ、そこは住んでいる環境の違いですよね。
でもそういう意味ですと、アルグレーネさんみたいに普通に話してくれる人は嬉しいです。
こう、自分で言うのもなんですけど僕、見た目の時点でよく話してくれない人がいますから」

あはは、と自らの後頭部に手を回して。この話題は失敗だったかなと内心でごちる。
とはいえこれは本心であり、こうして話してくれているのが嬉しいのも事実だ。
こういう気持ちは素直に伝えるべきだと思うのがこの少年の気持ちだった。

「それは……そうですが……。
わ、わかりました。そこまで言うなら素直にいただきますね……」

あまりにも気安く言うものだから、それが正しいのだろうかと思って口に出来ず。
おずおずとそのコーヒーカップを両手に持って口に含む。
苦味と酸味、そしてその中にある確かに美味な感触に少年の眉が上がった。

「あ……わかっていたつもりでしたけど、ここのコーヒーも美味しい……。
まだ、カフェオレとかカフェラテばかりでコーヒーは飲んでなかったんですよね……」

そう感嘆の息を吐き出しながら、その黒いコーヒーを見つめて。

アルグレーネ > 「そうだね。住んでいる環境の違いは大きいと思う。
……まぁ、仕事柄、身分はそこまで関係ないことも多いからっていうのもあるかな。
実力があれば、上がってこれる世界でもあるし。」

ある程度家柄が必要な事もある。
が、それらがなくても実力を示すことで騎士に叙任する者もいる。
そういう意味では、身分がどうこう言っていては仕事にならない事も多いのだ。
だからあまり気にせずに話をするという所もあったのだけれど。

「ああ、あまり気にせずに。」

素直に頂くと告げてくる少年に、やはり気安くそう返して。
そして続く感想に小さく笑いをこぼせば

「カフェラテを飲んでいたから、ブラックは苦手なのかと思っていたんだがね。
そういうわけでもなさそうでそれは良かった。」

サマエル > 「なるほど。実力主義っていう環境も強いんですね。家柄もあるんですか?
……なんだかアルグレーネさんって自分に厳しそうな印象がありますね」

言葉遣いからして厳格そうなイメージもあり、そう口に出す。
実際、謙虚もありながらも鍛えているのは間違いないだろうことはわかっている。
であれば、おそらくは自分を甘やかさない人なのかなという想像が出てきて。

「ブラック自体はどっちかというと苦手ではあるんです。
でも飲むことには慣れてるから……うん、ここのブラックは美味しいといえますね」

小さく笑った彼女に、少しはしゃぎ過ぎたかなと思ってちょっと顔を俯かせる。
それでもちびちびとコーヒーを飲みながら、最後のホットケーキを口にして。

アルグレーネ > 「家柄を重視する師団もあれば、実力だけで判断する師団もある。
私はどちらかと言うと後者に属している、と言うわけ。
……そう、かな?あまり意識したことはなかったけれど。」

自分に厳しそうと言われれば少し考える。
あまり意識してこなかったのは、そういう風に教育されたからと言うのもあった。
そういう意味ではあまり自覚はないのだが、他人から見てそうならばそうなのかもしれない。

「ラテをよく読む人はそう言うね。
慣れで変わることも多いのだけれど。
……そう?ならよかった。」

このブラックが美味しいと言ってくる少年に少し安心した様子を見せる。
ホットケーキがなくなる様子に足りてよかった、と言う意味でも少し安堵していた。
足りなかったら足りなかったで店員を呼べばいいのだが、
まだまだ忙しそうにしているのを見ると、少し恐縮してしまう所もあって。

サマエル > 「ふむふむ。騎士団にもそういうのがあるんですね……ちょっと大変そうです。

はい、まぁあくまで僕のイメージの話ですし。こうして話していい人なのは間違いないですから」

臆面なくそう言い切って、ちょっと考えている彼女の顔を見上げる。
顔の感じは、輪郭でしかないがやはり厳格……あるいは、真面目そうという印象が強い。
身体的にも決して妥協せずに鍛えたのだろうと予想もできるが故に。

「多分今まで飲んできたブラックコーヒーがよくなかったんでしょう。
ここのコーヒーをこの一回だけでそう感じるぐらいですしね。
ふふ、これも一つの発見です。ありがとうございますね。
……ん?あっ……」

そうしているうちに気が付けばコーヒーも飲み干してしまっていた。
それに気づいて、非常に申し訳なさそうな顔を浮かべる。

「ごめんなさい、全部飲んじゃいました……」

まるで母親に怒られるのを怖がる子供のように、上目遣い(目は閉じているのだが)で彼女を見上げて。

アルグレーネ > 「この辺の問題は、どこでもあるものだからね。」

大変そうだと告げる少年に苦笑浮かべて付け加える。
どこへ行っても付いて回る問題だ。
そういう意味では今所属している場所はまだマシな方ともいえる。

「腕がいいと飲める、っていう人もいるからね。
そういう意味ではサマエルにも合ったようでよかった。
……ん?」

そんな会話をしていれば、不意に上がる声に小さく首をかしげる。
が、続く言葉が耳に届けば

「あははっ……気にしなくていい。
渡したのは私なのだから、別に飲み干されても問題はないよ。」

上目遣いめいた仕草で告げる少年に、気にするなと言うようにひらりと手を振って、
笑い飛ばして見せた。

サマエル > 「うぅ、本当にすみません……」

笑い飛ばしてくれたことに、さらに申し訳なさを感じてしまう。
気にしなくてもいいといわれても気にしてしまうのがこの少年の性であり。
だからこそ、なんらかのお詫びをしたいと考えるのだが。

「あっ!今度お詫びとして、またここのコーヒー奢らせてください。
コーヒーの一杯ぐらいならいいですよね?いろいろこうして教えてくれましたし!」

どこか必死な様子でお詫びをしようと彼女へと軽く身を乗り出す。
ガタガタと椅子が揺れるがそれもお構いなしで、周囲の客も店員も気づいていなかった。
とはいえ、少年もこれで断られたら素直にそれを受け取るつもりではあるのだが。

アルグレーネ > 気にするなとは言ったものの、気にしてしまう様子の少年。
その中で、思いついたことを言葉にして向けてくれば、
必死な様子からも気にしている事はすぐ悟れる。

「まぁ……気にしなくてもいいんだが、そうもいかないみたいだね。
ならば、今度そうしてもらおう。まぁ……お詫びではなくて、普通にまた会ったら奢ってくれればいいよ。」

それで気が晴れるなら、と言う程度の気安い調子。
高いものなら断ったかもしれないが、
所詮コーヒー一杯程度。
それで気が晴れるなら、と。

サマエル > その気安い調子で言われたことに少年はホッとした顔を見せる。
別に彼女が怒っていないのも気にしていないのもわかってはいるのだが。
だからこそ、気遣ってもらったことに若干の負い目も感じてしまう。

「よかった……。ありがとうございます、アルグレーネさん」

そう素直にお礼を言いながら、また席に座りなおして。
また周囲が若干混んできたことに気づいて、そろそろ会計の準備をしようと少年はポケットから財布を取り出す。

「そろそろ、出たほうがよさそうですね。また人が集まり始まったみたいですし」

アルグレーネ > ほっとした様子にこちらも少し安心した。
何も困らせたいわけではないし、
負い目をおわせたいわけでもない。
それでもそう思ってしまうタイプなのかもしれないが、
少しでも軽くなったのならばそれで良かったと思う。

「いえいえ、どういたしまして。」

刻限も程よい感じの時間になった。
少年の言葉に頷いて、ゆっくりと立ち上がれば

「そうだね。そろそろ出るとしようか。」

同意を返せば、伝票を手にして会計の方へと連れ立て移動していくだろう。
そして、今日の所はそれぞれに会計を済ませて店の外へと。

サマエル > ひょい、と椅子から降りて。軽く伸びをする。
思っていたよりも長く座っていて体の筋肉が凝り固まっていたらしい。
それほど彼女と話す時間が長かったということを考えたら、悪い気分はしなかった。

「ふぅ、今日は本当にありがとうございました」

そう言って会計を済ませながら、少年は軽く頭を下げる。
いろいろと楽しい話も聞けた。こうして彼女と出会うことも出来た。
今日は実にいい日だったと少年は思って、朗らかな笑顔を見せる。

「いろいろと面白い話が聞けて楽しかったです、また会いましょう。次この店で会ったら、ちゃんと奢りますからね!」

そう言いながら少年は手を大きく振り。
そのまま背を向けて彼女とは別の道を歩いていくのだった。

アルグレーネ > 店の前、頭を下げてくる少年に、笑みを向け

「それならばよかった。……ああ、また機会があれば。
そうだね、次にこの店であったら、ね。」

少年の言葉にそう返事を返せば、手を振る少年にこちらも返し、
暫しその背を見送ってから、女騎士もまた自宅への帰路へと付いたのだった。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からアルグレーネさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からサマエルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にサマエルさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からサマエルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にクレイさんが現れました。
クレイ >  
 とある屋敷の前。明らかに衛兵らしくない男が突っ立っている。
 その屋敷に1人の女が近寄ってくる。

「手紙と手出せ」

 その男はやってきた女にそういう。
 まずは手紙、正式に招待された客である事を確認。差し出された手に石を当てる。光る色は青。

「入れ」

 それを確認すれば男はその女を屋敷に通す。

「……かぁ、つまんねぇ」

 そうぼやく。そりゃそうだ。色々な意味で非常につまらない依頼だった。
 依頼内容はパーティの警護。なのだが、表向きあまり褒められた物ではない為に普通の衛兵ではなくこうして傭兵である自分が門番として駆り立てられている。 
 そのパーティとは……わかりやすく言うのならばマッチングパーティのようなもの。実際は貴族や極秘で参加した王族がお気に入りを誘いまくった会場。
 見た目の良く、その上でこういった事に興味がある貴族や冒険者、娼婦等様々な役職が秘密裏にお誘いを受けて中でマッチングして性の限りを尽くす。
 1人と終わればまたパーティ会場に戻り相手を探す。その繰り返し。
 報酬もいいし、何なら休憩時間にパーティに参加して良いとの事だったが、参加したところで相手を見つけるのが難しい。なぜなら大体が特定の貴族に招待された客だからだ。つまり来た時点で相手が決まっている事が圧倒的に多い。
 そうじゃない客はその誘われた客が貴族に許可をもらった上で連れてきた友人だったり、何らかの事情で自分からコンタクトを取って招待券を勝ち取った奴。ほかには貴族や王族、もしくはその所有物である奴隷やその貴族に縛られてる存在がにぎやかしの為に参加させられているケース位のものだ。
 というわけで。

「休憩時間かぁ」

 休憩時間に入ったものの中に入らずこうして外でボケーッと突っ立っている。交代要員が来たにも関わらず入る気は無いと言わんばかりに。
 入ってもにぎやかしにしかならないのならこのまま外で良い。
 入ってくる客はそんな男に怪訝な顔を向ける事も珍しくない。なにせ明らかに兵士や騎士ではない男が極秘パーティ会場の前で何もせず突っ立っているのだから。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にダイアナさんが現れました。
ダイアナ > さて、そんな極秘のパーティともなるとそれはいろんな人がいるというもので。
彼女もまたその一人であったのだが……つまらなそうな顔をしながら外に出ていた。
別に、さほど期待はしていなかったがあまり惹かれるような男がいなかった。

ヒールの音を立てて片手に飲み物が入ったグラスを持った、扇情的なドレスに身を包んだ女が一人、入口にいた。
月を見上げつつ、会場に入っていく人を時々見るが、どれも口には合わなそうというのが本音。
もともと自分は誘われた側……ではあるが、それは女友達から。
いわば飲みに誘われるような感覚で、自分の眼鏡に合いそうな人がいなかったからこうして出てきたわけで。
まぁその友人はいい人を見つけて今は"スポーツ"に励んでいる頃だった。

「(つまらないわねぇ、なんだか)」

そう考えながらずっと突っ立っていると。
時々話しかけてくる人もいるが軽くあしらって。
そこそこそのうち、目立ち始めるだろうか。

クレイ >  クアァと欠伸。門番仲間も門番仲間で行かないのかなんて言わない。
 いくらなんでもわかっている事がある、仮にも傭兵風情が貴族が招待した客に自分が手を出すなんて後で何をされるか分かった物ではない。
 だからといって無碍に扱うのもそれはそれで問題だ。というわけでパーティに誘われたものの、休憩場所がここしかないと理解していたのだ。

「なんか面白れぇ事ないか……あ?」

 ふと目線に入るのはおそらく貴族そのものだ。しかし声をかけられても相手をするつもりがないのか冷たくあしらっている。
 まぁ、このまま外で突っ立ってるよりは時間つぶしになるか。そう判断して、壁から1歩離れる。

「ちょっくら暇つぶししてくる」

 そう交代要員に声をかければスタスタと歩いて行く。
 ダイアナの方まで歩み寄れば。

「もし休憩でしたらご一緒にいかがですかご婦人。私も見ての通り……中に入って遊べる立場ではなくて。少しお話でも」

 そう話しかける。敬語なのは相手のドレスを見て安物ではないと判断したから。
 つまり、貴族だとわかっていて話しかけたからだ。
 しかし当然、その雰囲気は客として呼ばれた中の人達……例え欲望にまみれていようと気品がある人とはちがい、文字通りの獣のような雰囲気までは隠しきれていない。

ダイアナ > くい、とグラスを口に向けて傾ける。
片手を胸の下に置いて、軽く持ち上げながら中の飲み物を煽る。
甘い果実の味がちょうどよくその女の舌を楽しませる。
こういう時、出てくるものが高級品なのは手持ち無沙汰の時にはちょうどいいものだ。

「ん………」

こちらに歩み寄ってくる気配に気づいて顔を傾ける。
ここの護衛か、雇われのボディーガードだろうか。
如何にもな雰囲気を持つその男を視界に収めて。

「あら、ごきげんよう。お疲れ様です。
……そうですか。中に入らないのはお気の毒に」

そう言いながら声をかけてきた兵士、あるいは傭兵らしい装いの男を見つめる。
男からすれば、髪によって隠れた目から品定めされていると感じるだろう。
とはいえ、身分の差や立場がある以上はそれが当たり前なのだが。

「ふぅん。ちょっと待ちなさい」

そう告げて別の護衛に彼女は声をかける。
なにか頼み事をする様子で、その護衛が去っていき。

「語らうなら口を潤すものがありませんと。あなたの分を頼んでおきましたわ」

男の申し出を飲んだことを告げたその青い女は、口元に微笑を携えていた。

クレイ >  
 品定めされるような目線には慣れている。というよりそんな目線を気にしていては傭兵など務まるはずもない。常に品定めをされるような職業なのだから。
 なので一切気にしないように口を開いていた。

「ただの傭兵が貴族のお客様に手を出したとなっては問題ですので」

 とお気の毒と言われれば肩をすくめて見せる。
 しかしお酒を渡されれば、少しだけ笑う。

「ご厚意ありがとうございます。頂戴いたします」

 飲み物を注文してくれたのなら、素直に礼は返す。とはいえ、やはりそこは傭兵と貴族の差。例え形だけで敬語を覚えていてもそういった細かな所作はやはり貴族のそれとは異なり違和感を感じるだろう。
 男と話していれば流石にそれ以上声をかけられる事もないだろう。
 代わりにというのも変だが、男が話しかけてくる。

「それにしても、中には入られないのですか? ゆっくりするにしても中の方が暖かいでしょうに」

 外に比べればマシだろうが、やはり外は冷える。
 なのに外になぜいるのか。そんなことを聞く。とはいえ、正直言ってしまえば外にいる理由などそんなに多くは無いので何となく候補は見つけているが。話のネタとして振る。

 

ダイアナ > 「ふふ、そうですわね。
ここで私があなたと話したということ自体。
それが出回ったらお互いに大変なことになる……かもしれませんわね」

くすくす、と鈴を転がすような笑い声をしながら。
揶揄うつもりなのだろうか。思ったいたよりは楽しそうな声で。
彼がグラスを持てば、そんな様子を見つめる。

「素直なのね。まぁそれぐらいじゃないとその仕事は務まらないでしょうけど」

どこかつまらなそうに言いつつ、自分のグラスをまた傾ける。
どこかの元貴族というわけでもなく、平民の傭兵だろう。
所作にはなんとか取り繕う努力は見えるが、身に染みていないのはすぐにわかった。
大方、立ちんぼな自分に興味を持って話しかけたといったところか。

「中は逆に"熱"がこもりすぎて息苦しさを感じましてね。
むしろここの方がまだ居心地がいいぐらいですわ。
ま、体が冷える前にはまた中に戻りますけど」

そう言いながら顔を横に逸らして、庭へと目を向ける。
こういったパーティにはよく足を運ぶが、今のところ当たりは見つかっていないな。と思いながら。

「ディア。呼びたいならそう呼んで頂戴」

クレイ >  
「話す程度ならば問題ないでしょう、それ以上は色々と考えないといけませんが」

 なんて、ここのパーティに来ている相手だ。それぐらいの発言は許されるだろうと。
 素直なんて言われれば苦笑い。

「この商売信用が全てですので。真面目にやらないとすぐに干されてしまいます」

 干されるというが、その動作は明らかに絞首刑のそれ。
 真面目にやらなければお金を稼げない。そうなれば犯罪に走るしかなく最後には処刑台の錆。そういいたいのだった。

「なるほど、納得です。その上でその貯まった熱を吐き出させてくれる相手もいないんじゃ中にいる気も無くします」

 1人という事は相手も見つかっていないということだろう。だからそんな言い回しをして。
 それにしてもと彼女を見て。

「……少々失礼ですが、ディアさんはどこの方でしょう。それともこれは聞かなかったこと。という事にした方がいいですか?」

 見た感じ雰囲気などを合わせてどこかの貴族の娘という感じには見えない。当主か、もしくは夫人か。
 故に聞かなかったことという選択肢を残した。

ダイアナ > 「ふふ、しっかりと危機意識があるようで安心しましたわ」

にこにこと、片手で軽く口元を隠しながら笑みを浮かべる。
思っていたよりも若い反応が楽しくなってしまった。

「そうですわねぇ。信用を失った者の最期というのは基本悲惨なものですわ。
どの人もそうなれば最後……民衆が楽しむ見世物程度にしかなりませんもの」

そう言いながらもそれすら楽しそうに彼女は言う。
処刑もまた、一種の見世物。そう彼女は考えているようで。

「えぇ、話してても軽く"その気がない"素振りを見せたら。
露骨に離れていくような人ばかりでしたもの。
まぁ、そういう人ばかり集まるところだからわかってはいましたがね」

そう顔も見ずに言ったが、彼が自身の顔を見ているのを感じる。
目だけを軽くそちらに向けて。

「ふふ、好奇心を隠しきれずに、でも
それで殺されたくない、とでも言うような言葉ですわね」

くす、とまたそれ笑って彼へと顔を向ける。

「ここではそういうのを不埒、というのを教えて差し上げますわ。
聞きたいのなら、言わせたい、と言うふうにさせませんと」

手を伸ばして、抵抗しなければ軽く目前の青年の顎を撫でる。
そのまま、若干の髭の感触を味わいながらも若い肌を感じて、そっと青年の唇を人差し指で撫でよう。

クレイ >  
「まぁ、この場に来る相手なんていうのはそれ目的ですからね。お話目的で寄ってくるのなんて逃げたい誰かの所有物か、もしくは私のように中に入れない者位でしょう」

 と言う。
 しかしその後の彼女の返答を聞けば、ニヤリと笑う。先ほどまでとは違う。貴族向けの作った笑顔ではなく、彼本来の。先ほどまでは滲みだす程度だった獣の要素を前面に押し出した顔。

「いいや、そういうんじゃねぇんだ。まぁ当然だけど敬語ってのは苦手でさ、もしディアが聞かなかった事にした方が良い立場。つまりここで会ったことを闇に葬るって相手なら敬語止めようかってな。だってそうだろ、貴族関係者のディア様じゃなくて……個人の名もなき女って対応になるからよ」

 聞きたいなら言わせろ。その言葉を聞いて予想を立てたのがこの答え、つまり敬語を消しても問題ない立場という事だ。
 触れるならばやはり貴族のものとは全然違う。肌だって貴族の方が綺麗だろうし、髪だってゴワゴワしている。
 だが、傭兵として鍛え上げた上に全盛期に入っているその体は、それを帳消しにしかねない程にまでの感触を返してくる。
 そして唇に振れた手を掴む。
 その手は堅く、ゴツゴツとした。気品などやはり感じさせない。しかし強靭で、たくましい手だ。

「それと、その気がねぇならこういう事はやめときな、勘違いさせるぜ? ……それとも、お眼鏡にかなったという事か。ご婦人?」

 こっちとしても正体不明の推定貴族を中に連れ込むわけにはいかない。つまりその気があったとしても色々と考える必要があるわけで。
 その上で聞く。その気があるのかと。

ダイアナ > 雰囲気が変わった。
取り繕うのをやめた青年はこれが正しい姿なのだろう。
獰猛な笑みを携えて、こちらへと視線を向けている。
そんな彼の姿に、彼女はその微笑を――三日月のような孤に変貌させる。

「そうそう。男はそれぐらいがちょうどいいというものですわ。
あなたが"わかって"くれてよかった」

そう楽し気に言うと彼女は掴んで来る彼の腕に、自ら体を擦り寄る。
先ほどまでと様子が変わり、草食動物のような顔は鳴りを潜めて。
今では肉食動物のような、青年と似た笑みを顔に浮かべて。

「ご婦人、というのはやめてくださる?
ここにいるのはただの女のディア、ですわ」

そう言いながら、彼の顔を見上げて。
寄せるまでもなく豊満な胸元が彼の腕にその感触を教えてくれた。

クレイ >  
「こりゃ失礼、そうだったなディア」

 個人として扱う。そういう事ならばたしかにご婦人はおかしいだろう。
 さて、少し考える。当然だが中には入れない。もし彼女を知る相手がいたら? それは大問題も大問題だ。なにせここで言えない立場の相手なのだから。
 ふと思い出したように。

「そういえば、この屋敷の裏には庭師用の小屋があるんだ、今日はパーティだから一時的に暇をもらってるみたいだが」

 泊まる事は流石にしないが、仮眠用の簡易ベッドぐらいならあるはずだ。
 わざとらしく思い出すように。

「もし中が暑苦しくて体調が悪いなら。そこで”休憩”もできるがどうする。歩けないならつきそってやるが」

 中には連れ込めないし流石に外はリスクが大きい。そうして思い出した場所がそこだった。
 どうするよと首を傾げる。

ダイアナ > 「ちゃんとわかってくれる人は好きよ」

彼が思案する顔を見つめて、これからどうするか考えている、というところか。
すでにこちらも誘いに乗っている以上、彼に任せることになるが。
さて、どこに向かうことになるのだろう。

「へぇ、それはそれは、とても静かに過ごせそうな場所ですわね」

わざとらしくも、それに対してこちらも返した。

「そうですわねぇ。ちょっと中の空気で気分が悪くなってしまいましたわ。
申し訳ございませんが、エスコートをお願いできますか?」

そう言いながら、体を預けるように彼の腕に抱きつく。
その熟した体と肌、胸の谷間を見せつけるように、歩みを共にしよう。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からクレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からダイアナさんが去りました。