2022/06/19 のログ
フェリーチェ > 繊維系やチェーンも一通り試す。
首から下げるネックレスタイプ、腕に巻くブレスレットタイプ、腰元に装着するウエストリグ付きのものまで。
魔導具は専門外なのだが、自身で使う以上、しっかりと自分の目で使い勝手を見極めたい。

「こうして……さっと掛けて出かけて、服の中に入れちゃえば目立たないし。
 んんんぅ〜…………」

色々と試してみると、日常的な付け外しにはネックレスタイプがよさそうだ。
大きな姿見の前で、見本のペンダントトップをぶら下げたネックレスを装着。
髪がふんわり靡くように緩やかに上半身を捻ってみれば、衣服との見栄えも崩れず悪くない。
問題は魔石の大きさが加工によっては邪魔になりそうな位置ということ。

姿見の前でネックレスの動きを見極めるべく、回転を多く取り入れたダンスの要領で身体を動かす。
タタン、タタン、と比較的静かな店内にステップの音が響き渡る。

フェリーチェ > 「いえ……はい……そうですね、動き回れるような……はい」

流石に目立ってしまったのか、暇をしていた見知らぬ奥様に掴まる。
舞踏会が近いのかと問われては笑って返し、他愛ない話に相槌を打つ。
"どこかの見知らぬお嬢さん"くらいの距離感は、少女にとって悪くないものだった。
少なくとも、御家の恥になる前に出ていけという無言の視線より遥かに心地よい。

ひとしきりの雑談を終えて手を振ると、少女の目は次へと目移りする。
今度は動きやすいウエストリグに魔石を収めるベルトタイプ。
飛び跳ねたりはせず、固定具合を確認したら両手を上げた格好で腰を捻る。
普段遣いなら支障は無いのだけれど……最近よくある"薄着でのお仕事"中に着けるには難ありの代物だった。

フェリーチェ > あれやこれやと見て回り、今日は決め手が無いままお開き。
結局購入はしなかったものの、楽しい一日を過ごしてご満悦で帰路についた。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からフェリーチェさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にラファルさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」に影時さんが現れました。
ラファル > マグメールの富裕地区にある、トゥルネソル三姉妹の住む家。
 通称竜の巣と呼ばれている場所、その場所は、広大な土地に、四角いレンガ造りの家屋。
 その場所は、いわば要塞と言って良いだろう、頑強な館だった。
 理由は簡単で、竜の巣と呼ばれるだけあって、竜がその家に飛んできて、屋根に降り立ち、人間の姿になり、階段を下りていく。
 竜を受け止める必要があるからこその頑強な館なのだ。
 そして、庭が広い理由も、ドラゴンがのんびり昼寝が出来るように、との事でもある。
 人と竜のどちらでも快適に住まえるようした結果、と言って良いのだろう。

 そして、其処の主の妹は、今日は庭にいた。
 普段は家の敷地の中にいるのも珍しいと言われているくらいに放蕩している彼女だけども。
 家の中にいるのは理由がある。

 基本的には姉や家族に呼ばれる。
 師匠に呼ばれる。
 何となく家でゴロゴロしたい気分。

 そんな幼女は、今回は、師匠に呼ばれたから、と家の敷地の中でごろごろしている。
 ちゃんと、服は着ている状態で。
 服に草の発破とか、土とかつくのは気にしない。気に成らない。

 取り合えず、呼び出した人が来るまでは、こんな状態な模様。

影時 > 財があれば何でもできる――というのは言い過ぎだが、財貨が保証される国でできないことを数えるのは難しい。
いっそ、考えることそれ自体がバカバカかしくなる。
このあたりの地域は家柄もそうだが、少なからず金銭があることが何よりも前提となる。
一四方で金貨云々という価値を贖えるからこそ、広大な土地を、そして土地に見合うほどの屋敷を構えることができる。
時折でも何でもなく、竜の咆哮が響いてくる屋敷を人はお化け屋敷ではなくドラゴン屋敷とでもいうのか。

ともあれ、そんな屋敷に何のためらいも怖じることもなく出入りできる人間が、ここにいる。

屋敷の玄関で携える刀を家令に預けるのは、いつものこと。
だが、常とは違うのは背に担いだ大荷物故だ。
背負い紐が付いた大きな箱を背に担ぎ、家令の人化した竜に弟子の居場所を尋ねたうえで、庭の方に向かう。

春先を過ぎ、すでに初夏になりつつある気候だ。
窓を閉め切っている部屋は陽の加減で、じっとしていられなくなる。
用のある弟子にかかると、一層部屋でじっと待っていられる道理もないだろう。

「あいつは……、と。居た居た」

さて、庭の方に出て目を遣れば――居た。
ごろごろと草葉や土がつくのも構わぬ姿は、服を着ていてもやはり変わらぬか。
全く、と困った顔で嘯きつつ、足音と気配を隠すことなく、その姿に寄ってみよう。
背の荷物自体は非常に重いわけではないが、少々特殊な代物が。微かに妙な気配が漂うほどの。

ラファル > ごーろごーろ。
 ぐーだぐーだ。

 普段のラファルであれば、空を飛んだり、山野で遊んだり、湖で泳いだり。
 野性満載の、獣ライフを楽しんでいただろう時間帯。
 しかし、だ、今日は来客がある、幼女がお話をしっかりと聞く数少ない相手だ。
 
 がちゃりがちゃがちゃ、と言う金属音に、さくりさくり、と草を踏みしめる音。
 人がどれだけ音を潜ませようとも、鳴ってしまう物はある、骨の軋み、等も、だ。
 人為らざる聴覚を持つラファルだから、そんな音も、自然な動きで限界までそぎ落とした音に気が付くことができるし。
 今回の師匠は、音を隠している様子もない自然体だ。

「ししょー。地面が、暖かいのー」

 ポカポカ陽気で、暖かくなっている地面は、幼女にとってはとても素敵なベッド。
 其のまま目を閉じれば眠ってしまう事なんて、とても簡単な、そんな場所であった

 くわぁ。と欠伸を零しながら、しょぼしょぼしてる目を擦る。
 放置すれば、寝てしまいそうだ。
 ただ、師匠が着てるので、にへぇ、と蕩けた笑いをこぼしながら、やー。と。
 両手を伸ばして手を振って見せる。

影時 > 物々しい重装備の類となると、己も重心制御だけでは足音を殺すことができなくなる。
背に担いだ櫃めいた箱の中身は、身に着けていないがゆえに神経が通らず、どうしても音が鳴る。
そうとなれば、わざわざ足音を潜ませ、隠す所以はない。
もとより、用向きは暗殺でも何でもないのだ。心の下に刃を潜ませ、忍び寄る理由を持ち合わせてはいない。

「よく日が照ってるからなぁ。もう、じきに暑くもなるか。

 しかし、――気持ちは分からンでもねぇが、せめて敷物位敷いたらどうだラファルよ。
 草葉が積もっているから、事足りる気も分からんでもないが」

さて、地面に筒を当てて周囲の足音を聞きとおすという技を覚えたこともある。
屋内で同様にやれば、床材の軋みからどれだけの目方かどうか、反響から武具の有無を予測する技も。
それを竜の身でやれば、どうなるか。すぐに気づく。己が誰であるかどうかも含めて、だ。

ねむねむおめめの幼女が手を挙げ、振ってくる姿に応えるように片手を挙げては懐に手を入れる。
取り出すのは一枚の折りたたんだ布。
ぱさっと降れば、複雑に折りたたんだ布が風を孕んで広がり、寝転がるに十分な広さの敷物替わりとなる。
その布を弟子の近くに敷き、重し代わりに担いできた箱を下そう。

その傍に座り、草履を脱いで足を延ばせば、なるほど。
陽気も相まって眠気がやってきそうな心地にもなる。酒瓶一つでも持ってくればよかったか、と内心で思うくらいに。

ラファル > 「にゅぅ。」

 ばさり、と良い音が響いて、風呂敷が広がった。
 単なる技術ではあるが、それは魔法のように広がっていく。
 大きく広がっていて、それが地面に敷かれて、風で飛んでいかない様に重い荷物が置かれていた。
 其の上に腰を下ろして、自分を手招く師匠に対して、眠そうに返答を返す。

 ころころころりん、と転がって、風呂敷の上に乗っかって。
 のそりのそのそ、と芋虫の様に、近づいていく。
 箱が気に成る。
 金属の臭いもそうだけれど、それ以外にも、くんくんと匂いを嗅いでみる。
 魔力の臭いもするので、やっぱり、何か、そう言った物だ、と言う認識が出来て。
 とは言え、だ、用件を遮って話すのも、何か悪い気がする。
 幼女は、足を延ばしている師匠の、その太腿の上に転がって、だるーんと延びてみる。

「こう、風が吹くとねー。」

 そう言いながら、風の精霊を使役する。
 そよそよと、適度に風が吹き始めて、陽気で火照る体を適度に冷やしてくれる。
 心地のいい空間が出来上がり、くあぁ、と更に欠伸を一つ。
 取り合えず、うつらうつらしながらも、師匠のお言葉を待つ。

 でも、堕ちるまで、あと数秒。

影時 > 仕事着である忍び装束姿に対して、今の剣士を気取った姿はいわば町着、常の姿だ。
この姿でも幾つか持ち合わせておいて、損がないものは目立たない範囲で携えている。
大判の布の類もその一つだ。一つのものを色々と多用途に使いこなしてみせるのも、忍びの技というものだ。

荷物もそうだが、己が座してしまえば四方を抑えなくとも、布は風に飛んでいく心配はない。
そんな敷物の上にのっかり、芋虫めいた動きで近づく姿が草履を脱いだ己が膝上に転がる。
動きは兎も角として、仕草はもはや竜ではなく猫や犬の生態のよう。その仕草に口元を緩めて。

「俺の弟子は竜ではなく、猫の眷属だったか。まァ、それはそれで面白いが」

微かに何かが動く気配を感じる。
魔力とも氣の流れともつかぬそれは、弟子が風を操る際に良く感じるものだ。
さわさわと、爽やかに吹く其れは強すぎることも弱すぎることもなく、涼しさを感じるに足りる。
膝上でいよいよまどろみそうな姿の髪を、右手を遣って撫でて、撫でて、その指で額をぴんと軽く弾いてみよう。

「――こら、起きろ起きろ。この前頼んでおいた奴が仕上がったぞ。
 まだ中身を改めてねェから、一緒に確かめようと思ったが、勝手に俺が開けちまってもイイのか?ン?」

寝るならせめて、諸々の確認を終えてからだ。
屋敷に立ち寄る前、宿に届いていた手紙に従って、トゥルネソル商会が王都に構えた店に立ち寄ってきた。

そこであらかじめ受け取っていた受け取り証と引き換えに、今担いできたものを受け取ったきた。
その中身には、弟子に渡すものも入っている。
当人に説明なく、書置きだけで渡すのは流石に憚られる。

ラファル > 犬猫に通じるのは、屹度幼女の気質も大きくあるのだろう。
 野性を突き詰め切った結果と、寝たり、食べたりなどを繰り返していた結果の性質と言う所なのだろう。
 犬猫だろうが、それで良いと思うのであった。

「にゃぁ。」

 猫の眷属と言われて、にゃあと言い返す幼女、プライドがないのか、と直ぐ上の姉が聞けば突っ込んでくるだろうが。
 忍者とは心の上に刃を乗せる職業だ……とか何とかではなくて。
 師匠の軽口なのだ、冗談であり、楽しい言葉なのであるので、気にすることはないのだと思う。
 心地の良い風が、周囲を回り、肌を軽く擽ってくれる。
 そんな状況で、頭を撫でてくれれば眠気がさらに強くなってくる。
 ああ、このまま眠れば幸せのままに、ぐー。

「にゅぅ。」

 ぴこん、と額に当たるデコピンの音に、幼女は少しだけ眠気を手放す。
 眠い、寝たい、はあるのだけども。

「あー。うー。……あけるぅ。」

 師匠は、トゥルネソル商会に、寄ってきたのだ。
 商会で契約しているドワーフたちに、仕事の依頼を行った。
 この間の冒険で手に入れた金属を加工する事の出来る、人材に依頼を行ったのだろう。
 それを見せてくれる、渡してくれると言うので。
 流石に、寝てはいられない、と思った。

 もそもそ、のそのそ、と、身を起こす。
 くあっぁ、と欠伸をしながら、全身を伸ばして、うにゅう、と啼いた。

影時 > 「そのうち猫の耳でも生やしても、俺は驚かンぞ。ったく」

というより、人化の術の応用――とでも称してやってのけそうな気がしてならない。
竜は諸々個体差があるようだが、空をふと見上げる。
そうすると、“いってくるー”みたいなゆるーい風情で鳴き声を上げ、出発する竜の一体の姿が見える。
商会の業務・ドラゴン急便に従事している個体だろう。彼とも彼女ともつかぬ個体は、街を歩くには大きすぎる。
そんな彼らが人間社会に分け入るために用いるのが、人の姿に変じるという選択だ。
己はそのように読み解き、考えている。だが、必ずしもとる姿は人間でなければならない、という決まりはないだろう。
人ではなく、ミレー族やら、いっそ小動物に変じる変わり者(?)だって、居ないとどうして云えるか。

そして、それをあっさりとやってのける予感を持つある種の天才肌が、弟子である。
先入観に捉われ、型に嵌めすぎてもいけないように教えていれば、野生故の突飛な思考も不思議ではない。
軽くデコピンを決めた手指を戻し、まどろみから微かに戻る額をそっと撫でて。

「よぉし、いい子だ。後で茶でも淹れてもらうかね。
 ではまず、開けるぞ……と」

冒険に赴いた先で見つけた金属、そしてそれで作られた武具は己が手では手に負えない。
故にそれを加工できそうな人材を抱えている、契約しているトゥルネソル商会に依頼したのだ。
その依頼の産物が、今抱えてきた箱の中にある。
弟子を膝上に置きつつ、箱を手を伸ばして引き寄せる。箱自体は頑丈だが、中身ともども重量感は少ない。

箱の蓋の留め金を外して開けば、幾つもの布包みがある。
まず一番大きい布包みを持ち上げて取り出し、続いで、細く短い包みを取り出して、敷物の上に並べる。
そして、最後に出てくるのは――。

「……これだけは、妙にガワが整ってンな」

布包みではない。布張りの化粧箱ともいうべき体裁の小箱だった。兎も角、それも敷物の上に並べおこう。
いずれも微かに、ほんのわずかに風を生むような気配がある。
魔力や自然の氣の流れを、引き寄せる。以前赴いた先で感じたのと強烈ではなくとも近しいものが。

ラファル > 「できるよ?」

 猫耳、犬耳、ロップイヤー、より取り見取り。
 変身するのだから、どんな物でもなる事は可能だろう、人竜だから、人間の姿が楽と言うのもある。
 端的に言ってしまえば、好きな姿になれるからこその変身なのだ。
 ゆるーく飛び始めるドラゴンは、今日の急便の掛かりだ。
 人には見分けが付かないだろう彼の変身は、人間の中に溶け込むための擬態のような物だ。
 なので、師匠の言う通りの姿と言うのも、無くはない。

 つまるところ、師匠の考えて居た事に関しての答えが、最初の一言であり。
 師匠は的を得ていたのだ。
 猫耳どころか、全身をお猫様に変える事だって、出来る。
 できるのとやるのは違うし、お猫様としてなでなでしてもらうよりは、この格好で撫でて欲しいと思う幼女。

「あーい。玉露いっちょー。」

 お茶を、と言うならば、覚えたばかりの言葉を。
 とてもお高いお茶と言うのは知っている、さらに言えば、東方の物だし、輸入を考えれば、お値段はさあ如何ほど。
 それを更っと要求できる程度には、大金持ちなのだ。
 まあ、そのお茶を買い付けに行ったとして、輸送費が桁違に、安いから利がとても大きいというのもある。
 最悪、自分で買いに行けば、無料なのだし。

 なので、師匠の膝の上で玉露をメイドさんに注文して持ってきてと言ってる幼女だった。

「こんなに包装してるのは……干渉するから?」

 箱の中で、幾つも包が小分けにされている。
 過剰ではないか、と思われるぐらいの包装に、理由が気に成って首を傾ぐ。
 金属だからそうそう傷は付かない筈では、と思うのだ。

 一つ、一つと並べられていく箱を、まじまじと見やる。
 いつの間にか、眠気は吹っ飛んでいた。 

影時 > 「できるのか」

真顔で思わずそう答えてしまう。
それはそうだ。できないと考える方がやはりおかしい理屈であり、ロジックだ。
人竜という類の種であるとともに、人間社会に紛れるに一番良い姿とはやはり、人間である。

「……たまーに俺はまだ、故郷の国にいるのかどうかわからなくなるなァ。 
 あー、それなら、あれだ。茶の湯でもキメた方がいっそいいのかね」

この時節なら、氷水で冷やした渋めの紅茶の類も良さそうな心地だが、幼女から出てくる言の葉に思わず空を仰ぐ。
今度見えてくるのは、帰参するドラゴン急便の竜の個体であった。
己の記憶が確かなら、かなり高い類の茶葉ではなかったか。
そのような茶葉を気軽に出せる資産とは、考えるまでもない。想像が及びづらいものだ。
煎茶もよいが、抹茶を点てるというやり方を彼女らは知っているかどうか。あるかもしれないと思えば、気にはなる中で。

「魔封じ――じゃねぇな。単純に品物の保護のための気遣いだろう。
 鎧は兎も角、短刀の類は外側まで金属で作るのは、色々見てきたが滅多に無ぇな」

包装の布は改めて確かめたが、いつぞやの探索行で手に入れたローブと同等のものではない。
単純に保護用の包装だろう。手に取る細い布包みの結び目をほどけば、しゅるりと中身が出てくる。

柄も鞘も黒色で包まれた短刀だ。
エイの皮を巻いた柄は柄巻が施されているが、解けぬように漆をかけて固めた実用本位の仕立ての代物。
もう一方の包みもほどけば、同じものが出てくる。
違いは二つ。弟子の手に少しでも合わせるよう、少し細身の柄の端には紅色の飾り紐が結わえられている。
その紐が巻かれた方を、弟子の顔の前に差しだそう。