2021/01/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 王立図書館」にミシェルさんが現れました。
■ミシェル > 国内最大の蔵書数を誇るだけに、王立図書館は富裕地区の中でも大きな敷地を持つ建物である。
しかし国内最大の蔵書数を誇るだけに、普通に並べていたのではそれでも足りない。
となるとどうするか、上に延びるのだ。
長い長い廊下の両脇には、見上げるほど大きな本棚。
びっしりと本が並べているそれは、人間の背丈の何倍もある。
当然、そのままでは上部の本を取ることはできない。
その為専用の移動式梯子が備え付けてあるのだが、王国で最も本をよく読む人種、つまり魔術師なんかは他の方法を使うことも多い。
「お、あったあった」
ミシェルは本棚の最上段から本を抜き取ると、籠に放り込む。
己が跨っている箒の持ち手に引っ掛けた籠だ。
女男爵の空飛ぶ手段は、魔術師らしく魔法の箒。
彼女が視線を前に戻すと、それは音もなくすうっと奥へと飛んでいく。
■ミシェル > 「んー、『ステーシーの魔法生物総覧』はここら辺に…よしよし」
分厚い本をどさりと籠に入れ、次の本棚へ滑るように飛んでいく。
ゆっくりと高度を下げながら、背表紙を眺めていく。
「『巨人族の生態』…無いな。借りられたか?
ん?『催淫術入門』?いやなんでこんな棚に…司書に渡しておこう」
そんなことをぶつぶつ呟きながら、目当ての本を次々籠に投げ込んでいく。
純粋な勉学の他、己の研究に。さらにはより高位の魔法習得にと魔術師が図書館に通う理由は多い。
ミシェルはあまり毎日図書館にも行けない為、来た時には大量に本を借りていくのだ。既に籠には本が大量に平積みにされている。
しかし、1冊の分厚い、いかにも重い本を籠に放り込んだ時のことだった。
ガタッ!
「うわっ!?」
あまりの重さに、箒が傾く。
その拍子に籠が箒から滑り落ちようとし、ミシェルは慌てて手を伸ばす。
「おぉっと!?」
そして、かろうじて取っ手を掴むことができた。
「セーフ…うわ重い!!」
たまらぬ重量に、ミシェルは一旦箒を下降させる。
地面に籠を置いて一息つくと、自分の慌てた様子や思わず上げた声を誰かに見られ聞かれてはいないかとちょっと恥ずかしくなり、辺りを見渡した。
■ミシェル > 「……やぁ、入れすぎたかな?ここら辺にしておこうか」
誰にも見られていないことが分かって安堵した後、再度籠を見る。
本がみっちりと詰まり、相当な重量だ。
ミシェルは指先を隣に浮いている箒に向けくいくいと指示を出すと、
ひとりでに箒が動き、籠の取っ手を引っ掛けて持ち上げ浮遊する。
ミシェル分の重量を抜けば十分運べる。
そのまま彼女は浮かぶ箒を連れ、来た方向と逆に、本棚の間を歩き去っていった。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 王立図書館」からミシェルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にヴィルアさんが現れました。
■ヴィルア > 「冷えてきたな。…雪が積もりすぎてしまえば交通にも不便が出る…」
がたがたがた、と馬車を揺らして進む貴族の男。
外は雪景色であり、流石に積もりそうだ。
雪は綺麗ではあるが交通を阻害する。
こうした時には病気も蔓延しやすいため警戒が必要だ。
リルアール家の収入源は商いである。
それが止まるのは避けたいところだが、天気次第と言ったところか。
滑りを防ぐため、馬車はゆっくりと道を進む。
石畳を蹄が掻く音が心地よい。
「…後は、屋敷に帰って暖かさでも求めるか…」
寒い、という感情は人間共通だと思う。
何気なく馬車の窓から外を見つつ、ふ、と笑い。
屋敷の地下に飼っている奴隷でもいいが…娼婦などを呼びつけてもいいかもしれない、と仕事で疲れた頭を、色欲を浮かべることによって緩和する。
■ヴィルア > (新しく雇った護衛もメイドもよくやってくれている。
…後は、そろそろ父上を安心させたいところだ)
未だ自分は『遊び』に明け暮れ…正妻と呼べる相手を見つけられてはいない。
これでは、父親も…安心して当主の座を譲れないだろう。
馬車の窓から外を見つつ、物思いに耽る。
忙しい彼の、ひと時の休息だ。
馬車の中には身の回りの世話をするためメイドを同乗させており。
彼の物憂げな横顔はメイドたちの密かな話題の種となっているそうだ。
(…なんにせよ、やらなければいけないこととはいえ、仕事ばかりでは心が死ぬ。
適度に遊びを持たせないと、な)