2020/11/27 のログ
ティエラ > 手に取った魔導書は、強化、弱体に関しての魔導書、強化魔法、弱体魔法をそれぞれ紋章に落とし込んだ研究書で、単純に強化する方法から、選択して強化する魔法。
弱体に関しても、きめ細やかに書き込んであり、研究していることが判る一冊である。
紋章魔法に関しては、紋章を知って居れば良いという訳ではない、その紋章で、書き込んだ魔方陣で、どのような効果が、どのような反動があるのかをち密に計算しなければならない。
大雑把な魔法もあるにはあるが、魔法の力は弱くなる。それを補強するために魔方陣を大きくしていけばいいと言うのは有るが、其れにも限界がある。
魔法使いの魔力に合わせて適切に使うならば。この魔導書にある様に適切な魔法を作り上げる必要がある。
そういう意味ではこの魔導書は適切だと思える。
女は静かに本を持って、読書スペースへと移動していく、読書スペースに移動してから、腰を下ろし、魔導書を開く。
魔導書に書き込まれている魔法の研究、どのような意図をもってこの魔法を研究したのか、魔術師の思考、それらをトレースするために。
女は、静かに一枚、一枚、紙を捲り、ゆっくりと理論を理解するために読み込んでいく。
強化とは、弱体とは、魔法とは。
これを書いている魔導師の思いを、理解を追従するために、魔女は、静かに本を捲る。
集中する、その技術を自分の物にするために。

ティエラ > 文字は奇妙で、理屈は難解で、魔導書は、己の力に直結するからこそ、普通に読めるものではない、解読し、読み解き、理解して初めて、という物である。
物によっては、魔導書自体が精神支配の効果を持っていて、書き込まれた魔法を吐き出すだけの廃人を作るという物もあるらしい。
そんな危険がないからこそ―――否、その危険を把握したうえなのだろう、此処に置かれるのは。
魔導書のブースに関しては、この周囲に関しては、紹介があっても、才のない物は入れてもらえないのだろう。
そんな風に考えながら、読み解くように、解読するよう本に指を這わせて、一文字、一文字を捲り、探り、読み、理解していく。
魔導書と言うのは、本当に。

「疲れるわ、ね。」

魔女だとしても、矢張り、他人の研究を理解するという事の疲労を感じてしまう。
自分に必要な技能だとしても、自分と違う考えを取り込むのだから仕方のない事なのだろう、はぁ、とフェイスヴェールの下で溜息を一つ。
こう言うのは、珈琲を片手に優雅にしたい所だが、図書館は生憎持ち込み禁止だ。
更に言うなれば、この周囲の本に関しては、持ち出しさえ禁止だ。
貸し出しなんてもってのほかという所でもある。
此処で読み、覚えていくしかないと理解しているから、女は本を捲り、読み耽る。


そして、其のまま、女は一冊の本と格闘するのだった―――。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 王立図書館」からティエラさんが去りました。