2020/06/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 図書館」にリヤンさんが現れました。
リヤン > 富裕地区の一角にある図書館の中、メイドが一人静かな館の中を歩いていく。こつ、こつと靴が床を踏む音を響かせて。
そのメイドの服装は、グリューブルム家のメイドの服を身に纏い、その教育の賜物なのか、所作は瀟洒で迷いがない。
静かに、滑るように歩いて、目的の書物の収められている棚にたどり着けば、書物を探すために見上げられる顔、それは端正な顔立ちであり、かわいいというよりも美人と呼べばいい方の女性。
顔は冷たさを覚えるような切れ目に、ぽってりとした唇は引き絞られて薄く見えて、化粧は最低限度身だしなみというもの以上の意味を持たぬが、それでも、他の通りに歩くものよりは美しくある。
ただ、似つかわしくないと言えるものが、その喉元に。大きく引き裂かれたのだろうことが判る古傷だ。
その一本がこの女性の雰囲気を一気に剣呑なものへと落としていく。
その傷を見てから女の顔を見れば、冷たさよりも敵意を感じてしまうかもしれぬ、そんな女性だ。

女は、何も喋ることなく書架を見回す、その瞳は鋼の色でそこにも強く、負の感情が乗る。敵意、殺意、と言ったそれだ。
それをはばかることも無く、隠すことも無く、目の奥に燃やしながら、目的の本を見つける。
身長があまり高くない女では手の届かないところで、軽く周囲を見回してみた、こういう場所には本を取るための台があるはずだから。
自分の足元にはないのでどこかにあるのだろう、女は静かに台を探すために足を運ぶ。

リヤン > 見た所、この周囲には―――この書架のある列には、踏み台は置いていない模様、視線を一度上げて、目的の本を再度確認する。
踏み台がなくても取る手段はいくつかある、魔法を使う事、跳躍する事、等だ。
ここは図書館である、まず跳躍して取るという方法は以ての外で、常識はずれ。
魔法……自分の持つ念動魔法であれば取ることはたやすい、目的の本だけを手にすればいいのだ、けれど、おいそれと自分の手の内を晒すのは阿呆のすることだ。
そうなると、身長の高い誰かに助力を求めるか、もしくは素直に踏み台を探してきて、それを使うという選択肢に戻る。


右を見て、左を見て、もう一度、右を見る。書架の列には、目的にかなうような人物がいない。
――言い方が悪かった、そもそも、図書館に人は少ないので、人を探すぐらいなら、司書を探して呼んで来た方がまだ早い。
はぁ、と小さく唇から溜息を一つ吐き出す。瞳を閉じて、少々の間瞑想を。
再度目を見開けば、メイドは、コツ、コツと、長靴を鳴らしながら歩き始める。
その動きに迷いなどはなく、目的のものの場所が、其処にあるのを知っているかのような動き。

実際、先ほど瞳を閉じたときに、念動魔法で周囲を探ったのだ、そして、目的の物体を見つけて、そちらに移動する。
直ぐに、目的の―――書架用の踏み台を見つける。
銀糸で編まれた手袋に包まれた手で、そっと持ち上げ、元の書架へとキビキビ戻る。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 図書館」にダストさんが現れました。
ダスト > 上級階級の貴族や商人たちが趣味もかねて長い年月をかけ集めたと言われる蔵書が集まる図書館。
新しい魔術の考案に何か役に立つものがあるかもしれないと気まぐれで脚を運び。

とりあえずは魔術に関する古い書物から探そうかと一つの書架へと向かい。
軽く見上げれば上の段にそれらしき書物の背表紙が目に留まり。

男としてはやや小柄であることも手伝って手は届きそうに無かったが。
軽く掌を翳して魔力を向ければ目的の本をふわりと浮かせて取り出し。

「……随分古いな」

あまり手荒に開けば破れてしまいそうな状態となっている本を慎重に開き。
中に目を走らせていた時に気配を感じて顔を向ければ踏み台を手に持ってこちらに向かってくるメイド姿の女性が目に留まり。

リヤン > 静寂に包まれた図書館なれば、誰かが入ってくるとすぐにそれが判る、扉が開く音、空気が動く感覚がすぐにわかるから。
ここは、公共の施設なれば、誰かが来るという事自体は不思議でも何でもない事だ、と思っていたのだけれども、それはどうやら此方の書架に来るらしい。
戻ってきた所、やはり此方の目的の書架の近くで、先ほどは居なかった男性が書物を手にしているのが見えた。
此方に視線を向けているゆえに、一度書架用の踏み台を静かに脇に置くことにする。

「――――。」

少し瞳を伏せて、そっと足を引いて、スカートのすそを摘まんでの会釈。言葉は当然放つことができないが、ここは図書館であり、あまり大きな声での会話は禁止されている場所。
故に、この場所であれば子の所作で十分であろう。
お辞儀を終えてからは、瞳は伏せ気味に、今は主より命じられた使いの途中だ、喧嘩を振りまくつもりもなければ、家の名を落とすことは避けたい。
ただ、彼の近くにある本が必要故に、彼の脇に一度書架用の台を置いた。
もう一度会釈をしてから、台に上り、本を手にする。
下から除くのならば、白いガーターベルトと純白の布を拝むことができるだろう。

ダスト > あまり大きな声を出す事は憚られる施設の中であり。
相手が静かに礼をすればこちらも小さく頭を下げて会釈を返し。

相手が自分の横に来て台を置きどうやら上の本を取りたい様子を見せれば一歩離れて邪魔をしないようにしつつ。
ふと視線を向ければスカートの中に除くガーターベルトと程よく引き締まった脚が見え。

一瞬劣情にかられそうにもなるほど魅力的なそれに視線がくぎ付けになるものの。
小さく喉を鳴らして誤魔化し。

再び相手を見れば台を置いても手が届くかやや微妙な高さの様。
がんばれば届くだろうがやや危険も否めないと考え。
先ほど使った魔法と同じように軽く指を動かして相手が取ろうとしている本を前に飛び出させて取りやすいようにしてやり。

リヤン > 高台にある書物に視線を向けて居た所、下の方で、零れる声。本人としては見て減るものではないし、それで騒ぐような声も無し。
気にすることはなかった、声に関しては。

「――――!」

自分の取った書物、それとは別の本が動く。その本は、自分の取った本の近くにあるわけでもなく、別の段の本であり、本を抜き取ったところで動くようなものではない。
思い当たるのは、今しがたの男性であり、メイドは視線を動かした。
掌をこちらに向けて居る男性、そして、その手にこもる魔力とその流れが見えた。

「―――っ。」

ゆるり、とメイドは男性の方に向き直ることにした、そして、台の上から彼を見下ろす。
その目は冷たく、彼に対しての敵意に塗れていた。
声もかけず、何も言わず、魔力を行使している行為、それは攻撃と取るべき行動だと判断。
しかし、だ。自分が台を使っているから、仕方なく魔法を使っていると言う可能性を、思い出す。
故に、冷たく見下ろして、彼の反応を見ることにした。

鋼色の眼は、剣の様に剣呑な光を帯びていた。
彼のうかつな行動次第では、この女は今にも殴りかかる、そう思わせる雰囲気で。

ダスト > 相手が本を手に取るところを見れば魔法の行使をやめ。
再び自分が先に取った書物が目的に足るものか確認しようと視線を落したとき。
強烈な殺気を感じて再びゆっくりと顔を上げれば此方を睨むような視線を向ける相手と目が合い。

「ふふ、今にも殴りかねないといった風だね。
 そんなメイド初めて見たよ」

通常メイドは非戦闘要員だ、たまに護衛としてそういったメイドを用意するということもあるだろうが。
それなら主と距離を取ったりはしないだろうと不思議そうに。
しかし同時に興味が引かれたようで本を閉じ。

「僕は良いけど。
 ここで暴れるのはちょっとどうかと思うけど?」

剣呑な相手とは対照的に、口元に笑みすら浮かべて。
一歩だけ相手に近づいて見せ。

リヤン > いけしゃあしゃあとは、こういう事を言うのだろう、自分から攻撃して置いて、何を言っているのだと。
笑みを浮かべる彼は、何か勘違いをしている。自分が、優位に立っている積りなのだろうか。この太い眉毛の男は。
へらへらとしながら近づいてくるなら、行動はただ一つ。


  ―――降りるだけだ。


メイドが今いる場所は、書架台であり、本を取るための高台。当然自分の身長よりも高い台の上。
近づいて来た彼の顔にめがけて意図的に降りればいい。
暴れるとかそれ以前、彼の顔面に向けて、落下速度と、踏み付けの勢いと、メイドの体重がミックスされた殴るよりも痛い一撃が落ちる。
彼が回避するならそれで。
回避しないならそのまま踏みしめてやればいい。

何処にでもある、『事故』でしかない。

ダスト > 此方に攻撃した意図はなく。
むしろ本を取るのを手伝ってやっただけなのだが。
それをわざわざ言わずに相手の行動を確かめるように近づくさまはやはり挑発しているように見えるだろう。


そして放たれた相手の一撃は肩の部分めがけて放たれることになるだろうか。
しかし同時にその一撃は体にあたる前にまるで粘っこい水でも蹴ったかのように。
全身に覆った魔力の塊が衝撃を吸収し。
あたるころには勢いも殺した状態であったがすべてを殺すことはできずに後ろへふらりとよろめき。

「危ないなぁ。
 僕が一体何をしたっていうんだか。」

ゆっくりと体勢を戻せば台から下りる形となった相手を見て笑みを浮かべ。
ふわりとローブが浮いたかと思えば二人の間、半径数メートルの区間が濃厚な魔力で満たされていき。

「魔法使い相手に打撃で責めるなら一撃で決めないと、危ないよ?」

相手に魔力を見る目があるのであれば周りに展開した魔力はまるでドームに二人を包むようで。
周囲の人間に対して一種の認識阻害をもたらすだろう。

リヤン > 彼の顔面に向けて落ちる、当たる直前に、柔らかな何かに包まれて攻撃がずらされた、肩口にあたり、其処を思いっきり踏み込んで見せる。
やはり、最初から意図しての行動だったのだろう。事前に魔法をいくつも掛けている、詠唱がないこと自体に驚きはないが、先程の落下なんぞは、不意打ちに近いものであるはずだ。予めその積りで張っていたのだろう。

踏鞴を踏む様子を眺めながら女は地面に、床に降り立ち。次の行動に移った。
彼が、体勢を立て直している間に、そのまま、その場から離れて、受付へ。
本を借りる手続きを行い、そして、魔法を放っている慮外物の事を報告する。
喋れないので、神にふと眉銀髪の顔を書き記し、自分が居たあたりの場所を地図で書き記して、職員に手渡した。

そのままメイドは図書館から出ていく。
己の目的は、主に求められた本であり、それを手にした以上此処に用は一切ない。
そして、報告で慮外物がどうなろうと、知ったことではないから。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 図書館」からリヤンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 図書館」からダストさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にファイネアさんが現れました。
ファイネア > 「は~……。」

窓際。壁の花となって…というよりは壁の方を向いて聞かれないようにため息。
誘われたから来たものの、いかにもな親父ばかりというのはどうだ。
やたら下心丸出しの眼で見られるわ、一晩いくらで口説かれるわ。

(あんまり断りすぎるのもアレだけど、こっちだって人を選ぶ権利はあると思わない?)

そんな風に考えてワインを一口。
出される酒や食事は実に良いものが揃えられている。
誇示と見栄が揃えばこんなものかしら、と別段感動するでもなくそう思う。
むしろこれで酔えたらもっと気楽なのかしらね、と滅多に酔えない自分を内心で嘆く。

ま、一通り挨拶も終わった事だ。あとは好きにしてもいいだろう。
帰ってもいいが…。

(可愛い子か綺麗なお姉様でもいないかしらね。)

と、不届きな事を考える。
少々脂のノリすぎた殿方()だけ見て来たせいかそんな風に思って、目線だけで周囲を見回してみるが―――。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にトルテさんが現れました。
トルテ > (パーティもそろそろ終わりに差し掛かり、酒食に耽る参加者の手も止まり始めた頃、会場の一角にて小さなざわめきが生じていた。その中心にいるのは一人の少女。目にも鮮やかなコーラルカラーのXラインドレスが純白の肌とのコントラストに映え、稚気を残した童顔もまた上品に巻き上げた亜麻色髪で少しだけ大人びて見えた。しかし、ざわめきの主たる理由は緊張気味な硬さも初々しい少女の愛らしさにあるわけではなく、大きく開かれた襟ぐりがどうしようもなく目を惹きつける胸元―――大振りのメロンどころかスイカ程もあろうかというたわわに実った双丘のボリューム感こそが原因なのだろう。)

(「うぅぅ……皆様がわたくしの方を見ている気がします……。ただの気のせいなんでしょうけど……やっぱり夜会は、まだ少し怖いです……」)

(堂々とさえしていれば、恐らくはこれほどまでにじろじろと見られる事も無かったのだろうが、大迫力の豊乳に対して少女が纏う気配はまさに小動物のそれ。かなりの金が掛けられた豪奢なパーティとは言え、参加者は下級貴族を中心とした比較的規模の小さな物で、貴族社会における影響力も少ない。だからこそ、未だに3年前のスキャンダラスな誘拐事件の噂も覚めぬお嬢様のリハビリの場としてこの場が選ばれたのだけれど、参加者の位が低めだからといって余裕を持つことが出来る程、トルテの精神は図太くなかったのだ。)

「―――――………あ」

(そんなお嬢様の不安げにきょろきょろと彷徨う黒瞳が、同様に辺りを見回していたのだろう桃色の瞳とかち合った。トルテの気弱気な垂れ目とは対照的な、どこか猫を思わせる大きめの吊り目。艶やかな黒髪をバッサリと切った思い切りのよい髪型は貴族令嬢としては酷く珍しい。しかし、そうした他者との違いを気にする事なく、退屈そうな雰囲気を隠しもしない不遜なまでの彼女の態度は、トルテにはとても眩しい物の様に見えて、しばしの間思わず見惚れてしまっていた。)

ファイネア > ワイン片手に視線を彷徨わせていた折、奇妙なざわめきが耳に入る。
はて、とそちらを向けばずいぶんと気弱そうなお嬢様が会場にやってきていた。
ざわめきの原因は…うん、まぁ…こういう場所である。つまるところ下卑た内容でのざわめきだ。

(あらあら。可愛そうに。)

まず目につくのはその豊かな胸元である。
それだけでも男性からは下心満載の視線。女性からは妬みの視線を受けるだろう。
単純に驚いたようなひそひそ声も聞こえてくるのだが…。
…それも、ファイネアにとっては詮無き事だ。
その内先ほどの貴族辺りがまた一晩いくらで声をかけるのだろう。
同情はするが、救う義理も―――。


そう考えて部屋の片隅にいる、見た目は同年代の女性である。
少女が助け舟の先として、嘘であっても友人として取り繕うには良いように、見える。

トルテ > (豊かな丸みを形作りつつも、トルテのそれの様に下品なまでの大きさは無い双乳。腰の括れからお尻へのラインを特に強調するようなドレスを強みとする事が出来る様な引き締まったボディライン。もしもそれを着たのがトルテであれば、ウエストのだらしなさが浮き彫りとなって、それこそ失笑の的となっていただろう。)

「――――――……っは」

(不躾なまでにじっと見つめてしまっていた事にようやく気付き、ぽぅっとしていた黒瞳が大きく開かれた後に慌ててぺこりと頭を下げた。その気まずさからそそくさと逃げ出したくなり、改めてきょろきょろと退避先を探すのだけれど、周りにあるのは好色を隠しもしないニヤニヤ笑いを含んだ視線の集中と、とっくに出来上がっているグループ間での密やかな会話。彼ら彼女らが何を話しているのかは分からないけれど、トルテは自分の無様な立ち回りが噂されていると思えて仕方がない。ますます不安げに逃げ惑う黒瞳が、最終的に逃げ場として選んだのは、この時間になってもパートナーがいないのが不思議でしかない先程の少女の近く。ぎりぎりで品位を保った、しかし、礼法の先生が見れば眉をしかめただろう小走りに近い足取りで彼女のいる壁際へと近付けば、改めてぺこりと頭を下げて、彼女から少しだけ離れた場所にその身を落ち着かせた。)

ファイネア > あらら、と視線で逃げて来た少女を追う。
どうやら彼女もこちらを見ていた様子。何やら身体を見られていたような気もする。
特に不躾な装いはしていないはずだが……。
考えながら、ぺこり頭を下げる少女に会釈を返す。
こちらに来るのなら別に離れなくても良いのに、と考えて少しだけ開いていた距離は静かに自分から詰める事にする。

「ごきげんよう。何やら注目の的でしたわね。」

嘲り、辱めの意図を感じさせない声と表情ではある。
虐めたりしたいわけでもなし、事もなげといった様子。
周囲の男性や女性グループからの視線を気にしてもいないし、少女といる事で注目されてもそれこそどこ吹く風という様子。

「……ところで、私の衣装、どこかおかしかったでしょうか?」

小首を傾げつつ、少女にだけ聞こえる声でひっそりと問いかける。
おかしくない、という自負はあるのだが、一応おかしければ正しておかなければ、とは思うわけで。
黒いマーメイドラインのドレスはファイネアのボディラインを浮き立たせ、
至近距離ならばスパンコールのような煌めきが織り込まれているのがわかるだろう。

トルテ > (小さく下げた頭に、彼女もまた会釈を返してくれた。それだけで何やらひどく嬉しくなるのは、この場に気を許せる相手など一人もいないからなのだろう。童顔にぱっと浮き上がる喜色を慌てて隠したのは、そういった迂闊な感情表現もまた貴族社会ではあまり品の良い物とされていないからだ。)

(「はぁ……これがいつもの《遊び》でしたら、こうして見られるのもむしろドキドキして楽しめるんですけど……」)

(緩く握った小さな手を豊満な胸元に寄せて小さくため息をついたお嬢様が、そっと首筋を飾るチョーカーを撫でる。ピンクのドレスとミルク色の肌を引き締めるかの様な黒を基調とした装身具は、トルテにとって大切なお姉様からの贈り物。こうしてそれを撫でていれば、忙しなく乱れていた胸の鼓動も徐々に落ち着きを取り戻していく。そうして幾分かの冷静さを取り戻せば、改めて気になるのは傍らに居る少女の存在。年の頃はきっとトルテと同じくらい。身長も然程変わらないのだと思う。全体的にトルテよりもスリムで、しかし、貧相なイメージなど欠片も浮かんでこないメリハリの効いた身体つき。ドレスから覗く肌は見ただけでもシルクの如き艶やかかさを感じさせて、思わず触れてみたくなる。トルテとしては気付かれぬ様にさり気なく横目を使っていたつもりで、しかしその実はちらちらじろじろとガン見にも近い状態で夢中になって観察してしまっていたため)

「―――――……はぇっ!?」

(彼女の声掛けに対して思わず妙な声音を漏らしてしまった。慌てて彼女の視線の先に目を向けるも、自分以外には誰もいない。一度は落ち着いた心音を、ふたたびばっくんばっくんと跳ねさせながら)

「は、はいっ、ご、ごきげんよう……です。え、えっ? そ、そんな、事は、多分………い、いいえっ、そんな事はありませんっ。むしろとっても良くお似合いで、わたくし、思わず見惚れてしまったくらいで…………あ、あぁっ」

(礼法の先生が見れば、きっとその手で覆った顔を左右に振られていただろう切り返し。上ずってどもり捲っているのも問題だけれど、『思わず見惚れた』というセリフの後にかぁぁぁぁ…っと己の口にした赤裸々な心情の吐露に赤面する様などは無様以外の何物でもない。上品に微笑んでそれを口にする事が出来たのならば、何の問題もなかったのに。自ら近付いてきてくれた彼女は、身に着けた衣装にさり気なく散りばめられた煌めきのせいなのかますます眩しくて「あわわわわわ……」なんて意味のない言葉を漏らすトルテはもう、逃げ出す寸前の子ネズミか何かの様。)

ファイネア > しきりに首元のチョーカーに触れる少女。
大事な物なのかしら、と思うものの、その後はちらちらとしきりにこちらを見ていた様子。
しかも何だかちょっと情欲すら混じってないかしらあの目線、と感じる。

(…まぁ、それならそれで。)

可愛らしい事には変わりない。
どうせ可愛い子か綺麗なお姉様か…この状況に少し癒しを求めていたのは事実なのだから。

「あら。よかった。ふふ。貴女もお綺麗ですよ。」

少女の若干(?)失言めいた言葉にそつの無い返答をし、
自分の言葉に慌てふためく様子に、先程のようにぱたぱたと逃げられてしまう事を予見する。
それでもいいが、少し考えてせっかくならば、と…。

「…ほら、慌てないでくださいな。別に怖がらせようという事はしないので…。」

そっと、少女の手を取って持ち上げる。
落ち着くように促しながら、持ち上げた手は自身の胸元の辺りへ。
視線がそこに向くように導きながら、囁くように語りかけていく。

「ほら、少し深呼吸して…。」

胸元で、きらきらと煌めきが揺れる。
とろとろと、心地よく理性を溶かす蛇妖の鱗の煌めき。
同時にゆっくりと少女の手を自らの胸元に導き、柔らかさを伝えようと…。

トルテ > 「~~~~~~っ!?」

(きっと他愛のない社交辞令なのだろうけど、自分よりも余程に貴族令嬢らしい落ち着きとさり気なさを持った誉め言葉の切り返しに、トルテの顔がぼふっと炎上した。それが思わず後ずさる程の衝撃であったがために)

「―――――ひぁあっ!?」

(彼女の小さな手に自身の手が取られた瞬間、再び変な声が漏れてしまった。ゴルゴンに睨まれたかの如く、完全に硬直したお嬢様のぱっちりと見開いた黒瞳が見つめるのは、形よく膨らんだ彼女の胸元につないだその手が近付いて行く様子。)

(「や、柔らかそう……触ったらどんな感触なんでしょうか……♡」)

(真っ赤に染め上げられた童顔を強張らせながらも心中ではそんな風に考えてしまうのは、王城住まいの親友や、テント暮らしの薬師少女(本当は男の子)、そして何よりもチョーカーの送り主たるお姉様の影響で、同性好きの気質をますますこじらせてしまっているからに他ならない。)

「は、はい……ぉ、お手数、おかけしま………ふぇぇぇえっ!?」

(心配そうにこちらを見つめる桃瞳の煌めきを改めて綺麗だと感じながら、彼女に促されるまま呼吸を落ち着かせようと息を吸い込んだところで――――ふにゅぅんっと取られた手の平に感じる信じがたい程の柔らかさ。いつも抱いて眠るぬいぐるみなどよりも余程に柔らかく、それでいて小生意気に指腹を押し返す弾力をも有する魅惑の感触は、ちょっぴり汗ばんだ手の平にも感じられる仄かな体温が示す通り彼女の豊乳の感触だった。再び漏れた寄声に、少し離れた場所で少女二人のやり取りを観察していた貴族たちが一体何事かと双眸を瞬かせるも、今のトルテにとってはもう周囲の状況なんてどうでもよかった。全神経が手の平に集中していたから。)