2019/06/19 のログ
モリィ > 「猫を見逃したらどうするんですかそんな余裕はありません。それいいですね、じゃあ今顔を怪我して魔物のほうがいくらかマシな顔になったので見ないほうがいいですよ」
 きっぱりと拒否して歩みを進め――

 見てしまった。貴族とのコネという餌を前に普段の怠惰が嘘のような機敏さで富裕地区に展開した先輩たちの一人が、顔中ひっかき傷だらけになりながら件の猫様を抱き上げて大喜びしている姿を。
 ひゃっほうこれで俺も大金持ちだだの貴族のお抱えだの何だのと大騒ぎしているので否応にも目立っている。同僚として恥ずかしい。
 ――いや、それはいい。任務達成、素晴らしいことだ。

 どうしよう、この状況で顔を見せない言い訳ができなくなった。

ジュン > 「いや流石にさっきの一瞬でもそんな傷なかったし…おや」
一緒についていくうちにこちらも騒ぎを見つける

「もしかしてあれが件の猫?」
呆然とした様子の所に追いつき並べば騒ぎを指さして尋ねる

「だとすれば任務達成だねえ、よかったよかった、うん」

モリィ > 「はい、非常に良かったです」
 さて――どうやって逃げよう。
「し、仕事は終わりましたので屯所に帰ってもいいですか。いいですよね?」
 こっそりと方向転換し、不名誉な姿を見られまいと逃走を図る。その拍子に眼鏡拭きに包んだいつもの眼鏡が落ちた。
「…………あっ!」

 思わず振り返る。そして、ばっちり目が合うだろう。
「そうですよ眼鏡変わりましたよこんな普通の女の子が掛けるような眼鏡私には似合わないでしょう!! わ、笑うなら笑いなさい!」
 かぁっと耳先まで真っ赤にして、彼に人差し指を突きつけ叫ぶ。

ジュン > 「うん…あら、何か落したよ」
そう言って落ちた眼鏡を拾って渡そうとしたところで目が合う

「ん、おぉ…」
思わず見とれた眼鏡でここまで変わるんだなあと思いつつも
叫びだされたところで

「っと、ちょっと待って落ち着いて落ち着いて…
別にそんなこと思ってないしむしろ、うん、更に可愛くなってるじゃん、うんうん」
となぜか満足そうに頷いている

モリィ > 「かわ……」
 しかしてこの根性の曲がった衛兵はその言葉を素直に受け止めきれないのだ。
 満足そうに頷く彼に突きつけた指先を更に押し付けるように額に寄せて、
「いまこの状況でそんなお世辞は無用ですっ! かっ、可愛いだなんてですね、自分の顔は自分が一番わかってるんですからそんなお世辞には乗りませんよ!!」
 自分は可愛くなんて無いという強烈な固定観念。
 そりゃあ長身で肉付きのいい、体格の良さという点で一般的な可愛いと乖離してこそいるが、しかしてモリィの一番かわいくないところは容姿ではなくこういう性格なのだろう。
 容姿自体は美人とまでは行かないだろうが、磨けば光りはするのだ。当人に磨く暇があれば任務正義治安維持、という意識が根付いているせいで現状磨かれることのない原石はただの石ころ同然なのだが。
 閑話休題、その評価をおちょくられていると勘違いして赤い顔をさらに赤くしてジュンの発言に噛み付く。

ジュン > 「だからそんなことないって言ってるのになぁ、お世辞でもないって」
まあこういうタイプは言っても仕方がない所があるとはわかっているが

「存外そういうのって自分で気が付かないもんなんだよなぁ…うん」
と一人納得したようにうなずいている

モリィ > 「むむむ……」
 一人したり顔で頷いているのが妙に腹が立つ。
「だいたいですね、本当に可愛いのならあのあれですよ、ここっこ、恋人の一人や二人いてもおかしくないでしょうが私はそういうのいませんが?」
 そう、恋人が居ないのである。モリィの知る美男美女はほとんど皆恋人が居た。つまり恋人がいる=美男美女、美男美女=恋人が居ないとおかしい、なのだ。
 ということは居ない自分はかわいくない。証明終了。
 ――これも仕事に夢中でそういう私事を片端から放り捨てた結果であることは当人だけが気づかぬことだった。

ジュン > 「別にそういう人もいるけどねぇ具体的にはどうこう言えないけど」
顎に手を当てて考える別にそれはイコールでつながるようなものでもないんじゃないかと

「それに恋人ができれば可愛いという事になるわけだけども…ふむ」

モリィ > 「な、なんですか……何か言いたいことでも?」
 こうなれば恥をかくだけかき捨てよう。気になる物言いは問いただすまで。
「言いたいことがあるならはっきり言ってください。さっきから一人で納得したような考えるような仕草、気になるでしょう」

ジュン > 「いやまあ言いたいことはその眼鏡にあってるし可愛いって事なんだけどもあぁ、そうだね」
何か思いついたのか少し悪戯っぽい表情をして

「まあ俺ならモリィちゃんと恋人になるのもいいかなぁって、そうすれば可愛いって認めることになるし
っと言ってもモリィちゃんは絶対嫌とかそういうふうに返って来るだろうけど」
じーっとモリィの顔を見ながらこともなげにそう言った

モリィ > 「絶対嫌です」
 ぶんぶんと首を横に振って眼鏡を掛けかえる。視界が少しだけぼやけるがそれが今はありがたい。
 慣れ親しんだいつもの視界、耳と鼻に乗るいつもの重み。これだ、これがいい。
「だいたいですね、恋人を作る暇があったらパトロールに出るべきです。私は衛兵なのですから、市民の皆さんのためにお巡りさんとして働くのが本分」
 こほんと咳払いをひとつ、呼吸を整えて。
「そうでなくとも恋人というのはもう少しお互いをよく知るところから始めるだとか、誠実にぶつかるだとか、そういう手順が必要でしょう。いいかなぁ、なんて曖昧な気持ちで交際だなんて互いに不幸になりますよ?」

ジュン > 「だと思った」
ほんの少しだが人なりが見えた思想返ってくるのも予測済みだったようで

「すごくまっとうなお説教を喰らってしまった、その通りではあるけれど
しかしお互いをよく知るところからね…それじゃあ……あーいやそれはいいか
どうせ約束もしてるし、今日はいいものも見れた」
違和感の正体を探るという目的も果たし既に用は済んでいる

「それじゃお仕事引き続き頑張ってちょうだい、またねー」
そう言ってさっさと去っていく

モリィ > 「分かって頂けて何よりです。――約束のことは忘れていただいてもいいんですけどね」
 こんな衛兵と話して何が楽しいやら。肩を竦め、彼の背中を見送って任務に戻る。
 同僚が猫を捕らえたのを見ていたとはいえ、こちらは収穫なしの報告をしなければいけない。
 その後はゆっくりと警邏に戻るとしよう。今からでも平民地区の巡回には間に合うだろうか。

「……全く、それにしてもあの人は苦手です」
 人を食ったような態度というのだろうか。あれでもう少し真面目で正直なら――あるいはもう少し強引なら多少は違うのだろうけど。
 白と黒をはっきり分けたがる少女にとって、灰色の態度はどうにも相手し難いのだった。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区【イベント開催中】」からモリィさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区【イベント開催中】」からジュンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区【イベント開催中】」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > 「……う~ん?」

富裕地区、歓楽街にて男が一人、首を傾げて唸っていた。
ここ最近の富裕地区は、なんとも賑やかだ。
男はまだ情報を仕入れていないが、どうにもまたこの国にも動きがある雰囲気だが。
そんなことは今の男にとってはどうでもいいらしく。

「なんだか、ピンとこねぇなぁ」

行き交う人々を見ながら、そんなことを呟く男。
本日のこの男の目的というか、探し物というかは……。

「どこかに、俺のことを興奮させてくれる良い女はいねぇかなぁ~」

そう。いつも通り、夜を共にする相手、であった。
本来ならこの女好きの男、適当に声をかけたりもするのだが。
男には悩みがあった。……最近、どうにも自分のセックステクが衰えている気がするのだ。
故に、男は本日はグレードの高い女性を狙っていた。
それこそ、互いに貪るような濃厚な夜を共にしてくれる相手を、だ。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区【イベント開催中】」にオルティニアさんが現れました。
オルティニア > 「はぁ? なになになんなの? あんたバカなの? 何訳解んないいちゃもんつけてンのよニンゲン。ぶつかってきたのはあんたの方でしょ。あんたのその無駄に広々とした横幅は邪魔でしょうがないのよ。オークみたくみっともないお腹、ちょっとは肉屋にでも売ってきた方がいいんじゃないの?」

歓楽街と言っても富裕地区。無様に酔っ払って大声でがなりたてる様な者などおらず、そのざわめきも下町に比べれば非常に穏やかな物である。
そんな中、明らかに毛色の異なる、それも若々しくトーンの高い声音が攻撃的に響き渡った。
ギョッと目を向く上品な着衣に身を包む紳士淑女の群。その視線が向かう先にいるのはゴテゴテと趣味の悪い貴金属で全身を飾り立てた肥満体の中年男と、その腕に細腕を絡めた高級娼婦と思しき女。そして、その正面に立ってギャンギャンと吠えかかるチビ。
そのチビは若草色のチュニックの胸元を、小柄な背丈にまるで見合わぬボリュームで膨らませ、上品な夜会巻きに纏めた髪の側頭からはピンと尖った笹葉状の長耳を伸ばしていた。エルフである。
エルフというには艷やかであっても暗い髪色やら、無意味に大きな乳房の膨らみやら、ちんまりと小柄な体躯やらが一般的なイメージからは外れる物の、キュッと目尻を釣り上げたその顔立ちは、エルフの名に恥じぬ見事な整いを見せている。
そんなエルフ娘の歯に衣着せぬ啖呵に下膨れの顔を真っ赤に染めた肥満中年は、二重顎をしゃくって背後に控えていた護衛と思しき二人の男達に合図を出す。それに答えて中年男の前に進み出た男達の巨躯に比べ、その胸元程にも背丈の無いエルフ娘はオーガを前にしたフェアリーか何かの様。
これから見るに堪えない惨劇が繰り広げられるだろう事は誰にでも予測出来そうなものではあるが、そこは腐敗も著しい王都の富裕層である。
見目麗しいエルフ娘がむくつけき大男達に叩きのめされる光景を期待する、酷薄なニヤニヤ笑いを向けるばかり。

セイン=ディバン > 「……頭、痛ぇぇぇぇぇぇ~……」

歓楽街で品定め、なんてしてたはずの男が、急にそう呻く。
耳に飛び込んできた声。聞いたことがある、どころか。
聞き覚えありすぎて思わず汗が額を流れた。
ちら、と視線を向ければ。想像通りの状況。
一度ため息を吐き。いや、いっそ無視するか、と思うも。
それができるほどの外道でもない訳で。
男はその騒乱の只中へとゆっくりと歩んでいく。

「あ~、すまんなオッサン。ウチの弟子が粗相をしたみたいで。
 その、なんだ。俺も謝るから、ここは穏便にすませちゃあくれないか」

ギャンギャンと叫ぶエルフの頭に手を置き、そう言えば。
男は頭を下げ、まるで弱腰。そのままぐい、と手に力を込め。

「オラ、お前も謝るんだよ」

なんていきなり言ってのける。

オルティニア > 「――――ハ、何よ。二人なら勝てるとでも……んにゃ?」

今にも腰の幅広剣を引き抜こうとしていた護衛を前に、小柄なエルフは可憐な桜唇を好戦的な笑みに歪めて装飾も見事な細剣の柄に手を掛けようと―――した所への闖入者に、切れ長の翠玉を丸くして動きを止めた。
どこぞの執事の様な黒服のしなやかな身のこなしから、少なくとも彼の背に隠れる事となったチビよりは厄介な相手だと判断したのだろう。プロ意識の高そうな無表情に僅かな困惑を浮かべた護衛達は、雇い主の指示を仰ぐためにチラリとその双眸を背後に控えた中年男へと向けた。

「―――セインじゃない。結構久しぶ……って、ちょ、やめっ!? な、なんであたしが謝んなくちゃいけないのよっ! そこのブタがよそ見して歩いててあたしにぶつかって来たんだから、謝るのはあっちの方でしょっ!」

頭頂に乗せられた手を引き剥がそうと、小さな両手て男の手首を掴んだりぺちぺちと叩いてみたりするものの、魔力はともかく膂力は見た目相応でしかないエルフ娘である。
力任せにその腕を下げられれば、華奢な体躯はどうする事も出来ずに腰を折り頭を下げる事となった。
そんなエルフの"ブタ"呼ばわりにはこめかみをピクつかせる中年男なれど、おそらくは貴族ではなく最近名を上げた豪商か何かなのだろう。
口調こそ乱暴なれど、その身を包む黒衣は上等に見える正体不明のこの男が、どこぞの大貴族の執事であったりしたら困った事になるという計算でも働かせたのか
『ふ…ふんっ、まぁよいわ! 弟子だかなんだか知らんが、きっちりと躾けておくのだなっ!』
なんて捨て台詞を残し、足音も荒く立ち去っていった。

「ちょ、こらぁぁああっ! 待ちなさいよギンギラオークぅ! 逃げんのっ!? 散々偉そうな事言っといて逃げ出すのっ!?」

一人空気の読めないチビっ子だけは無理矢理頭を下げさせられながらスピッツの如き吠え声を響かせるも、程なくして肥満体の中年男一行の姿は歓楽街の喧騒の中に消えていった。

セイン=ディバン > すぐにでも踏み込まなければ荒事になるどころか、流血沙汰になりかねない雰囲気。
それを感じ取ったからこそ、男は俊足で踏み込み、仲裁するようなことを言う。

「黙れバカ弟子。いいから謝れ。どっちにしろお前が悪いに決まってる。
 そーだそーだそうに違いない。いつもお前はトラブルばっかり起こすからな」

相手の訴えをすげなく蹴り、ぐいぐいと頭を下げさせる。
ぺこぺこ。ぺこ。ぺっこぉ。何度も何度も、そうしながら相手をちら、と見るが。
相手がなんだかんだと文句を言いつつも引き下がってくれたので、まずは安堵、である。

「黙ってろバカ。あのなぁ、お前も冒険者なら、無用なケンカ売るなっての。
 冒険者が力を振るうのは、主義主張を通すときと、利益が出るときだけだ」

少しは学べ、と相手に苦言呈する男。
そこで、相手のことを見ながら、おぉ、そういえば、と男は手を打ち。

「それに、だ。お前みたいに実力があって高貴な身分の存在がだ。
 あんなチンケなオッサン相手にするなんざ割りに合わなくないか?」

ん? と相手に向かってそう言う男。
そのまま、相手の肩を抱き、にや、と笑う男。

「それよりも、だ。ちょっと話あるから付き合え」

有無を言わせぬ、肩への力の入れ具合。
そのままずーるずーると引きずり、向かう先は連れ込み宿。
そう。本日の標的、決定である。

オルティニア > 「―――――………勝てたもん」

シミひとつ見られない純白の頬をぷくっと膨らませ、桜色の唇を不満げに尖らせたエルフ娘は己の師を自称してはばからない中年男にぷいっとそっぽを向いた。
実際の所、1対1ならともかく、2対1で剣の勝負となれば負けていたのはオルティニアの方だっただろう。精霊魔法も解禁すればどうとでもなっただろうが、細かな制御の出来ない魔法をこんな場所でぶっ放していれば、勝敗はともかく非常にまずいことになっていたのは確かである。
とはいえ、彼の世話焼きに素直に礼を言えるほどに大人びていないエルフ娘は、見るからに不満げな様子でふてくされるのだ。しかし

「――――っ!」

続いて彼の口から出たセリフにエルフ耳がぴょこんと跳ねた。
不満げだった口元が、くすぐったさを堪える様にぴくぴくと戦慄き

「ふんっ、まぁ、そうかもね! たしかに高貴なエルフ様が、わざわざ手ずから成敗してやるほどの相手ではなかったわ! 何よ、だったら最初っからそう言えばいいのよ!」

などとあっさりと機嫌を直し、その美貌に得意げな笑みを浮かべて胸を張る。
身の丈にまるで見合わぬ豊満な乳房が、その動きに合わせてたゆゆんっと重たげに揺れた。

「はぁ? ま、まぁ、用があるって言うなら付き合うのも別にいーけど……ちょ、な、何よ、引っぱ……引っ張らないでよーっ!?」

再び小さな手指でてちてちぺちぺち痩躯を叩くも、非力なエルフはあっさりと連れ込み宿にお持ち帰りされる事となった。ワンコの事で何か話でもあるのかなぁ…程度にしか考えていない小娘なので、ちょっと心配になるくらい無警戒について行った結果である。

セイン=ディバン > 「勝てた、負けたじゃねぇ。
 何のメリットもねぇのに暴れ散らすなんざそこいらの暴漢と変わらんって言ってるんだ」

男としては、この弟子のことは認めている。剣技にはまだまだ伸び代がある。
魔術に関しては素質はある。なによりも精霊に愛されているのを感じる。
だが、だからこそ冒険者としての心構えなどをないがしろにしているのを悩ましく思っている。

「……うん。お前のその相変わらずな能天気な性格?
 キライじゃないよ?」

あ、やっぱアホの子だわコイツ。なんて思っておきながらもそうは言わない。
この弟子は一度ヘソを曲げるとなかなか扱いが難しくなるので。
おだてるならおだてたほうが扱い楽なのである。

「黙ってついてこい。傍から見たら俺が犯罪者みたいだろうが」

相手の体を引きずる間、そう言う男。周囲の視線が気になるが、愛想笑いでごまかし。
そうして連れ込み宿に入って、スムーズに部屋まで相手を拉致すれば……。

「……率直に言うわ。お前、俺に抱かれろ」

ベッドの上で東の国の『セイザ』をしながら、相手にいきなりそんなことを言う男。
それはもう真剣な表情であり、そこだけ見れば、何か考えあってのことではないか、という雰囲気が出ている。

オルティニア > 「ふふんっ、まぁ、エルフ様はとーっても美しいし、惚れちゃうのも仕方ないわよね。でもダメよ、あたしの身体はワンコの物なんだから♪」

"脳天気な性格"がキライじゃないと言う男の言葉を、どこまでもポジティブに受け止めて小鼻をヒクつかせるエルフ様。彼の脳裏で発せられた"アホの子"という感想を知れば、再びその美貌を紅潮させてギャンギャンと噛み付いた事だろうが、知らない方が幸せな事もあるという事なのだろう。
そんなわけで、雑なおだてですっかり機嫌をよくしたエルフ様は

「ハ、あんたみたいな冴えない中年が、あたしみたいな美少女エルフ様と一緒に歩いてたら人攫いとかと勘違いされるのはとーぜんでしょ」

なんて相手をイラッとさせる言葉をごくごくナチュラルに口にしつつ、それでも細脚をとことこ動かして彼の後についていく。連れ込み宿という概念もよく分かっていないため、宿の部屋まで連れ込まれた後も「貧相な部屋ね」なんて感想を漏らすばかりで危機感という物が欠片もない。
そんな能天気エルフ様なので、彼の率直な言葉には

「―――――――?」

こてん、と可愛らしく小首を傾げ、エメラルドを思わせる翠の双眸をきょとんと丸めるばかり。一度、二度と瞬きを繰り返しつつ、これから腹でも斬るのではないかといった覚悟を見せる男の表情と、唐突で頓狂な言葉とのギャップに今一度小首を倒した。

「ええっと……抱かれるっていうのは、ぎゅーってしたげればいいって言う事じゃなくって、男と女の……?」

セイン=ディバン > 「死ね」

相手のポジティブシンキングに、思わず本音が漏れてしまうが。

「あ、ゴメン。今のは言い過ぎた。調子に乗るな」

と、言い直す男。おだてておこうと思ったのだが、こう素を出されてはついついツッコンでしまう。

「冴えない、ね。自覚症状はあるよ。
 いいから黙って付いて来いっての」

相手の悪口も受け流しつつ、ずりずり。いつしか、相手が歩いてくれているので楽に移動ができた。
そして、相手に言葉を投げかければ。

「うん。そう。セックスしろってこと」

改めて告げ、そのまま更に言葉を続ける。
相手を騙すのはこの男の得意技。詐称術は磨き上げている。

「っていうのもな。最近、イヌがちょっとな?
 色んなやつに犯されちゃってたりするわけ。
 本人もやっぱり後ろめたさがあってな。
 言ってたわけよ。『オルティ様に激しく愛されたい』ってな」

ハイ嘘です。当然、そんなことは無い。いや、案外あのメイドはそう考えていてもおかしくないが。

「で、俺もちょっとテクが錆付いててな?
 ここらでお互い、テクを磨かないか? って話さ」

オルティニア > 「―――ハァ!? あんた今死ねっつった!? 世界の至宝たるエルフ様に死ねっつったぁっ!? ちょ、言い直してもそれ!? あんたもうちょっとエルフ様と一緒にいられる事がどんだけ幸せな事か考えた方がいいわよっ!!」

出会ったばかりの頃から失礼な奴ではあったが、道中のこんな会話も案外嫌な気分ではない。ギャーギャー言いつつもその表情は、先程の肥満体に向けていたのとは異なる親しみを滲ませていた。
そんなこんなありつつたどり着いた狭苦しい宿の一室、彼の紡いだ唐突な一言の意図の確認。それに対しても平然と返されるドストレートで赤裸々な返答に、絶句したエルフの白頬がかぁぁぁぁ…っと赤みを広げていく。

「なっ、なっ、なっ、なぁぁああぁあっ!? せ、せっく……ななななななんであたしがあんたとセック……え、えっちしなくちゃなんないのよっ!?」

整った美貌をりんごの様に赤く染めたエルフ娘が、半ば反射的な動きで己の豊乳をかばって後ずさる。しかし、続いて彼が発した『イヌ』の近況には、引き気味だった小躯もエルフ耳をピク付かせつつ動きをとめて、困惑に彩られて考えのまとまらない頭で彼の申し出を吟味する。
ぶっちゃけ理屈にもなっていないこじつけでしかないのだが、元々おっぱいに奪われて頭に栄養の回っていないエルフ娘である。混乱したその頭は、彼の妙に覚悟の決まった態度のせいもあって、口から出任せな言葉すら一考の余地がある物の様に感じてしまい

「―――な、なるほどね。そう、ワンコのためってわけね。ふぅん、そっか……う、うん、まぁ、ワンコのためなら、その、やぶさかではない、のかな……?」

未だに納得しきってはいない物の、色々とチョロいエルフは既に7割がた男の勢いに流されていた。もうひと押し、というか、もうがばーっとヤッちゃえばそのまま最後までイケそうな風情であった。

セイン=ディバン > 「あーあーあー、うるっせぇうるっせぇ。
 お前もうちっとさぁ、エルフっぽく高貴に洗練された大人としての精神性ってのを身につけろよ」

正に激昂、という様子で騒ぐ相手に、男も地を出して答える。
とはいえ、男としてはそんなどこにでもいるエルフよりも、こういった相手のような存在の方が好ましくは思うわけだが。
なによりも、個性がある。人間味……エルフに人間味とは、と思うのだが。まぁ。
人間味を感じられるのだ。
さて。そんな人間味というのは、相手の反応にも出ていて。

「だぁっ、狭い室内で叫ぶなってぇの!」

キィンッ、と耳が鳴るが。そこで男は、相手のことを宥めるように説明を開始する。
慌てるような様子を見せていた相手も、少しずつ落ち着きを取り戻すのを見て。
あぁ、やっぱりコイツチョロいわぁ、なんて思うの半分。
師匠として不安になるの半分、であったり。

「うんうん。ほら、例えばだぞ?
 アイツが、ネコの持ってるような魔法のディルドでチンコ生やしたとしてだ。
 お前のテクでメロメロになって『オルティ様、出ちゃいます、もう出ちゃいますぅっ!』とか言ったりして。
 お前が射精を完全にコントロールしちゃってアイツアヘ顔晒す、とかよくねぇか?」

などと一気に捲し立て、相手をベッドに優しく押し倒す男。
表情は真剣だが、よく見たら口元がぴくぴくと引き攣ってたり。
なお、イヌメイドの声真似は凄まじくレベルが高かった。

オルティニア > 「ふむ…ふむん……………。いいわねっ! それ、なんかいいわっ! 今度にゃんこからおちんぽ棒奪ってこなくちゃねっ!」

やけに似通う恋人の声真似に、稚気を残したエルフの微妙が非常に嫌そうな表情を覗かせるも、彼の提案自体はいたくお気に召したらしい。
オルティニアの巨根を突っ込まれてどろっどろに蕩けるイヌも好きだが、ふたなり化して刺激慣れしていない肉棒を弄くられ、泣きそうな顔で射精の許しをせがむ彼女もまた新鮮味があっていいかも知れないと思えたのだ。
先程まで微妙に半信半疑だった顔が、今やもうすっかりヤる気となって

「――――んきゃあっ!? も、もぉ、エルフ様はあんたらニンゲンと違って身体が繊細なんだから、もっと丁寧に扱いなさいよねっ!」

再びぷくりと頬を膨らませつつも、寝台に倒れ込んだ小躯は細脚の先をもぞもぞさせてブーツを脱ぎ、肉付きの薄い腰を浮かせつつ剣帯を解いて寝台脇のチェストの上に乗せる。
持ち上げた下肢が細くとも柔らかな太腿の純白の奥、下帯の食い込む恥肉をチラリと見せる。本日はきっちりと処理してあったらしく、薄衣からはみ出した恥丘は陰毛の剃り跡さえ見当たらないパーフェクトなパイパン状態を見せつけていた。
とは言え、いざヤるとなると流石に平然とはしていられないのか

「そ、それで……? こっからどうすんのよ……?」

若草色のチュニックを重力に拉げていてさえボリュームたっぷりの柔肉でふくらませる双乳の上、少しばかり気恥ずかしげに指を絡ませたオルティニアは、彼から微妙に翠瞳を逸らしつつほんのりと赤みを帯びた顔で問いかける。

セイン=ディバン > 「てか、俺売ってる店知ってるぞ。
 そうなんだよな……それをあのバカネコに教えたのが良くなかった……」

頭を抱える男。興味本位で物を教えるのは良いとはいえない、という典型例である。
相手が何を想像しているかは分からないが……。もしもそういったことをすれば。
おそらくは本当に、イヌメイドはそんな、男を喜ばせるような改めこのエルフ少女を喜ばせるような振る舞いを天然でしてしまうことだろう。

「いやぁ、この胸で繊細ってのは……」

相手の訴えに、くすくすと笑いつつ言ってしまう男。
相手が器用にブーツやら、剣帯やらを脱ぎ脱ぎするのを見て、思わず鼻の穴が膨らんでしまうが。
一応師匠を自称しているので、下手な興奮は隠そうと、ガマンガマンである。

「……そうだなぁ。ちょっと待ってろ……。
 が、あ、あぁぁぁああぁあっ!」

そこで、ふむ、と思い。男は魔力を練り……苦悶の声を上げる。
すぐさま男の肉体は変化し……。その姿は、件のイヌメイドのそれになる。
肉体変化の術で、姿を変えたのだが。もちろん中身は男のままだ。
しかし、服を脱げば、体つきもまったく完全に真似ている。
違うのは、股間に男のサイズのままのペニスがあり、勃起状態のそれは、相手も知ってのとおり25サンチを越える超巨根なわけで。

「それじゃあ、まずはパイズリフェラの練習をしてみましょうか?
 オルティ? ほら、しゃぶってみて?」

声帯も変化しているため、完全に相手の恋人の声で。
喋り方も完全コピー。しかし、中身が男のままなので命令調であったが。