2018/07/03 のログ
ルシアン > 「いや、そういう事を言ったんじゃないさ。…気に入らなかったなら、謝る」

口が達者というわけではない青年。どうも拗ねられてしまったらしい様子に、困ったように眉をハの字にしてしまいつつ。
真っ当に食べるにも困るような人がいる。それもこんな子供に。
そんな事実を良く知ってはいるのだけど、改めて目にするとどうにもやるせない。

「落ち着いて食べな。誰も取ったりしないから。
 …似たようなものかな?これは僕が世話になってる孤児院の子たちの食べ物だ。身寄りもない子を引き取ってる施設だよ。
 時々、貧民地区なんかで炊き出しなんかもしてたりする。そういうの、知らないかな?」

与えたパンも、パン屋で焦げたり形が崩れたりで売り物にならないから、安く処分してくれたもの。
高級な住宅地ほどこの手の型落ち品は増えるのだ。
限りある懐具合で運営する貧乏な施設には、とてもありがたいお話である。
それだけに味は悪くないはず…黙々と食べていく少女の様子に、少し安心したような笑みを見せて。

「…こんな事をしてればいずれ捕まる。あまりお勧めはしない。こんなご時世だけど、教会やしかるべき施設で食事を配ったりすることもあるし、そういうのを探すのを勧めるよ?」

少女の傍にかがみこんで、のんびりした調子でそんな言葉をかけてみて。

ツァナ > 「うん、\その。こっちこそ、ごめん。
何だかちょっと。売り物とか、品物みたいで、ヤだなって。思った、だけ。」

相場という表現の響きで、そういう物を連想してしまう。
勿論、男がそういうつもりで言った訳ではないだろう、と思うものの。
こればかりは、ミレー族故の警戒意識。
この国における、同族の扱いを鑑みたなら。多分仕方がないだろう。
いずれにせよ、此方こそ悪かった、と。首を振って。

「う…ん。うん。……ソレ、貰っちゃった。…大事に、食べる。」

この界隈なら。どうせ、多少かっぱいでも、食べ物なんて余る程持っている人達ばかりだろう。
そう思っていた為に。
寧ろ相手も、困っている身の上なのだろうと思うと。少々申し訳なくなってくる。
とはいえ、口を着けた、半分食べてしまった物を、今更返すワケにもいかない。
出来るのは。それこそ、大事に。きちんと、有り難みを味わいながら。きっちり食べる事だった。
残りの半分も、ちみちみと囓っては飲み込みながら。
男の言葉に、少しだけ、困ったように俯いた。

「教会は――駄目。行けない。……カミサマ、違う、から。」

飲食という意味では。魅力的で、そして善意に満ちた提案だった。
それでも、頷けない…頷いてはいけない。
この国の教会。それは自分達のカミサマを、貶め、隠し、無かった事にしている…
決して赦してはいけない相手なのだから。

ルシアン > (一時中断)
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からルシアンさんが去りました。
ツァナ > 【継続予定】
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からツァナさんが去りました。