2017/02/22 のログ
マティアス > 「嗚呼。なんとなく、分かった。魔物の類か」

人を嘲笑うような知性を持つような生き物となると、そう多くないのかもしれない。
たとえば竜、たとえば魔族。はたまた、たとえば、と。
由来はどうあれ、街中を跋扈出来る程の大きさで、かつ出来の有無を問わない知性を持つとなると。

「わりと居る被使役種の類だね。
 一匹残さず討つにしても、数に任せて出てこられたら厄介だが……その心配はない、かな?

 兎に角、先に僕が踏み込もうか。後ろは頼むよ?」

くしゃくしゃと己の髪を掻き、腰の剣を引き抜こう。
引き抜いた白銀の刃が使い手が込める魔力と窓から差し込む光を映し、冷たく輝く。
魔法を使う程度の知性があるなら、少なからず戦術の機微程度は解しよう。
事は迅速を要する。見える部屋の扉があれば、そのドアノブを剣で刺し貫いて解錠の手間を省こう。

「――!」

あとは、魔力を全身に巡らせて蹴破ればよい。初手のインパクトがまずはすべてだ。

エアルナ > 「ええ。…小さいけど素早くて、何匹かつるんできたりもします」

魔物、というより魔族…になるのだろう、分類としては。
しかし、そんな魔物が王都の中まで入り込んでいるとなると、治安は…不安レベルだ、真剣に。
帰ったら屋敷の警備を見直そう、とひそかに決意しながら、投げかけられた言葉に頷く。
こういう時、用心するのは…まだ調べていない場所。伏兵がいないとも限らない、特に魔族が相手となると。

「承知しました。そちらも、気を付けて?」

青年の横。ドアのわきの壁を背にして、廊下に並ぶドアを視界に収める――どんな動きも見逃すまい、と。

カカッ?!
ドアノブを刺し貫けば、室内からはそんな、驚いたような声。

そして。
同時に…カーテンが揺れていた部屋のドアがばーん!と開き、二体の。
色違いのプチデーモンが、短い槍を手に襲い掛かってきた!
ケケッ! ククッ! 
緑と、青だ。

ドアを破られた室内には、やはり、二体。赤と黄色のがいて、一斉に火の玉を投げてくるーー
はさみうち、だ。

マティアス > 「真っ先に魔法を使えなくしておきたい類だねぇ。……しかし、つくづく世も末か。我が家も近いのに、いや、こんなものか」

邪気祓いの結界式を事が済んだら、改めて敷いておきたいところだ。
遠くない位置にある生家にでも、この件について問いただしておきたいところだが、無益だろう。
いっそ、実家ごとこの国でも改まらない限りは。
だが、考えている余裕はあまりない。今は、為すべきことを成そう。ただ、それだけだ。

「もちろん。気にしすぎるにこしたことはないのでね、と……!」

ドアノブを壊し、扉を蹴破る。初手のインパクトを存分に見せつけながら、部屋の中を確かめる。
それと同時に響く物音に柳眉を顰め、対処法に一瞬思考を回す。
まずは、眼前。生じる魔法の炎の色を看過しては、この家ごと自分達が焼かれる羽目になる。

「虚空に漂う水霊に願い奉る悪しき火性を阻む律を我らに、ッ!
  
  ――いくらなんでも、建物の中に火というのは浅慮が過ぎると思うんだがね僕は!!」

一息に呪文を連ね、左手を打ち振って完成させれば生じる火球の威力を奪う水気の幕が生じる。
既に完成した現象自体を打ち消すには遅い。だが、対立するとされる事象をぶつけて相殺を試みることはできよう。
すなわち、相克の理。後ろは同行者に任せ、前に踏み込もう。
左から右へと打ち振る剣は、丁度小さな魔物の一体を胸ごと斬って捨てるように閃く。

エアルナ > 「まったく、ですっ…!」
仮にも家の中なのだが、ここは。
火を使えば火事になりかねない、というのは当然だ。
しかも、巡回の兵士にでも見つかれば、お目玉をくらうのは人間のほうだろう、かなりの確率で。
もっともそんなことを魔族に言っても、たいして効き目はなさそうだが。

「そちらお願いしますっ!ペロっ!」
青年のほうからも襲撃されたとしるが、まずは、目の前の二匹だ。
名を呼ばれるより早く、白狼が二匹に突進し、跳ね飛ばして…青いほうにかみつき牙を立てる。
こちらは緑の魔物めがけ、光の矢を放ち、牽制してーー

室内。ギャッ、と声をあげた黄色の魔物は、斬られた胸元を抑えて膝をつき。
カーッ!と怒ったような声をあげ、赤い魔物が手をあげれば、天井のシャンデリアが砕け。青年めがけ降り注ぐ・・・

マティアス > 「まずは近い方から、だ!」

少なくとも、このような建物内の魔法の使い方なら同道する彼女も察するだろう。
自分達が焼け落ちる可能性は考えないのだろうか?
それとも、ちょっとした火事程度では死なないという無謀な自信の表れか。
関係ない。須らく、討つべし。

「……っ!」

もう一撃と思えば、残る一体が動く。天井の明かりを破砕し、己への飛び道具とする。
恵みとは真逆の痛打の雨として注ぐ破片を、ローブの袖を翳しつつ側方に飛びのいて躱す。
並みの鎧にも勝る衝撃吸収力を与えてはいるが、少なからず傷がつく。
布にも、そして保護されていない肌にも。だが、毒の矢等を見舞われるよりはまだましだ。

「……ええい。術を繰るのも面倒臭いな!」

ゆえに、斬りに行こう。剣を右手で握り、呼吸を整えて床を蹴る。
弓を引き絞る様に構えた刃を上から下へと黄色の魔物の頭に振り下ろし、
返す刃を左手を添えながら、今度は残る赤い方の首筋目掛けて走らせよう。

エアルナ > グゥっ!
狼に噛みさかれた青い魔物が、悲鳴を上げて動かなくなる。
ケーッ!と槍を振りかざして緑が叫んだのは、たぶん。
仲間をやられた憤り、だろう…狼に向け槍を構えると、一気に突っ込んでいく。
「ペロっ」

警告の声をあげるより早く。狼がジャンプする。
軽々と小さな魔物を槍ごと飛び越えるなり、背後からその牙を振るうーー

そして。

キキィっ!
傷ついていた黄色の魔物は、剣をよけられずに、頭を割られ。
ふらつきながら、仲間をかばうつもりか、赤の前に立とうとしながら
ひときわ大きな悲鳴をあげて、どうっと倒れこむ。
カーッ!!
大きな声を上げるのは、赤の魔物。
首をかばい振り上げた腕を切られながら、手の中に雷の球体を生み出し、おもいきり、剣へとたたきつける!

マティアス > 「成る程……仲間の死に、猛るかい?
 だが、すまないとは言わないよ。この地に踏み込んだものを放ってはおけないのでね」

剣を振り抜き、生じる出血に刃を赤く染めながら叫び声をあげる魔物を見据える。
家を出た己に率先して、この地を守ろうという意思はない。
滅びるならば適切な滅びに任せて、改まるべきであろう。
さりとて、要らぬ領分を侵して我が物顔をするものを放置しておくわけにもいかない。
それが僅かでも、己の食い扶持となるのならばなおのことだ。

「我が剣よ。光を放て――闇を払え!」

見据える。雷を放つ敵を見据え、起こす魔力を剣に注ぐ。
籠められる力と戦意に応え、一際眩く輝く白銀の刃を以て雷とぶつかり合おう。
ギュン!と軋むような音色を以て大気を震わせ、自力と増幅された魔力を交えて、押し切ろう。
其の侭、改めて繰り出す太刀筋は相手の左肩から入る袈裟懸けの一撃。

斬り、祓いて、終わらせるために。

エアルナ > 牙と爪に割かれた緑の魔物も、さほど時間はたたずにぐったりと倒れこみ…廊下には二体の小さな身体が転がる。

「…魔族の地にとどまっていれば、よかったのに。ね――」
まだ子供かもしれない?そんな気もする魔物が動かなくなったのを見届け、狼に怪我がないのを確かめて、ぽつんとそうつぶやく。
神の加護が薄れたとはいえ、ここは、人族の国だ

赤の魔物が放つ雷球は。
剣の放つ光とぶつかり、まばゆいばかりの閃光となるーー
けれど、青年にはおよばない。
押し切られ、その光の剣に切り裂かれた時…
カカ?
信じられない、というような。そんな顔と声を残して。
揺らり、崩れた赤の魔物は、仰向けに…倒れた。

マティアス > 「――……一先ず、これで終いかな?」

慈悲も、憐憫もなく。真正面から押し切ってその生命を奪う。
振り抜いた剣を引き戻し、光の残滓と血糊を払うように軽く振って腰の鞘に戻す。
一先ず、この部屋と付近にいる魔物は掃討できただろう。
他にいれば、まだこの騒ぎを聞きつけて動くか、逃げ出そうとするかどうかだ。
しかし、事前に敷いた結界のおかげで、逃げ去ることも叶うまい。

あとは、残りが居れば掃討して、きっと終いか。

「エアルナとプロスペロ氏も、怪我がないようで何よりだよ。少し息を整えたら、次の部屋に行こうか」

そうして、一人と一匹の方に向き、怪我などないことを確かめたのちに探索を再開しよう。
まだ、夜は長い。万事、片が付いたと言えるまでもう暫し、かかったことだろう。

エアルナ > 「いつの間に住み着いたんでしょうね…ここが無人になってまだ半年もたたないのに…」
廃屋を探索し、妙な噂のもとになっただろう魔物を掃討しおえたのを確認して。
零れるのは、いろいろなものを含んだ感慨。
国の乱れはこんなところにも出ていると実感すれば、嘆息もひとつ。

「帰ったら。夜食でもとってから、休みましょうか――」
彼が実家によりがたいなら、宿か、自分の屋敷かで。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からエアルナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からマティアスさんが去りました。