2016/06/16 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にエーシアさんが現れました。
エーシア > 夜の裕福地区:

カツ、カツと金属の音を鳴らして路を歩く。
義腕には不釣り合いな小さな灯りを持ちながら。

「ふぁ……」

欠伸。
目を細め、口に手を持っていく。
時間も時間だ。
普段ならとっくに酒場にでも繰り出しているか、さっさと寝てしまっている所。
何故いるのかと問われればそれこそ治安維持行動としか言いようがない。
それも体よく回されてきた訳だ。
がりがりと頭を掻き、再度出ようとする欠伸を神殺しながら、路を歩いていく。
裕福地区だ、滅多に不審者などはいない。
いや、居るとしても酔っ払いだとかだろうが、それも少ない。

ただ退屈に身を浸しながらやる気も無く、持ち回りの区域をゆっくりと進んでいく。

エーシア > 途中ふと豪邸を見れば未だに明々と灯る篝火を見て、ふう、と息を吐く。
軽く耳を澄ませば微かに笑い声が聞こえた。
この時間でも未だに宴は続いているようだ。

「いい御身分で」

やれ戦争だ、何だと言っても関係ないと言わんばかりなものだ。
持っているものと持っていないものの決定的な違い、というものだろうけれど。

宴の続く豪邸の門には当然衛兵が立っており、こちらを見れば「ご苦労様です」と言う声に軽く会釈を返して。

何ともどちらもある意味似た者同士である。
若干の共感を感じながらさっさと通り過ぎていく。


「……何か起きろ、とは思わないけど」

この暇な時間はまだまだたっぷりある。
さっさと終われと願う程、終わらないものだ。

エーシア > 「あー……」

空を仰ぎ再度出ようとする欠伸を噛み殺し。
途中サボろうにもああして各々の屋敷の前には大体衛兵が居るので下手にもサボれない。

とかく心証を大事にしておいて損は無い。
サボっている所など見られればまあ、その場は良いにしろ噂が広がれば「王国軍」につく風評もどうなるかはわからない。
まあ、彼女がこんな暇な状況をあくびをしながら見回りをしていた所で早々風評など変わらないのだが。

ふと広場のような場所に辿りつき、ここなら、と思い備え付けられてあるこれまた平民区の一回りも二回りも豪華なベンチに一端腰を降ろす。
小休止、と言えば面目も立つだろう。

「……ふう」

少し目を閉じて魔力供給を切る。
ごとん、と義腕が糸が切れた様に動きを止めて。

「んん……」

じくりと身体に熱と疼きを感じるがこの程度ならまだ問題は無い。

「……延々と接続してる限り魔力持っていかれる、から……」

若干の忌々しさを溢しながら。
夜風に当たり熱と疼きを鎮めて行く。

エーシア > ぼお、っと灯りを横に置いたまま深呼吸。

彼女の纏う魔導鎧は魔力供給が必要な事と、それを精神的な昂ぶりに変換するという欠点がある。
今だからこそただ魔力で接続しているだけなので緩やかな消費で済むが。
これが戦闘後となれば言うまでも無く―――。

「……」

苦々しい表情で己が纏う鎧を見ながら。
とはいえ、これが無ければ生き残れて居なかったのも事実で。
飲みこむしかない、条件というものだった。

途中同じように巡回している兵が通り過ぎて行く。
ちら、と見れば隣には女。
こちらには気付いていないようでちらちらと辺りを見回せば、そのまま路地の奥へと消えて行った。

「……」

欠伸を噛み殺しながら巡回しているのを見られるより明らかにダメである。
真面目に噛み殺していたのがバカらしくなってきたのであった。

「あ……」

思わず今からあの二人がスる事を想像して、収まっていた熱と疼きがじくじくと再度昇り始めるのを深呼吸で抑えて行く。
ちょっとした感情の振れ幅も増大されるのも本人が気にするところであった。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にフォルテさんが現れました。
フォルテ > 普段自らが家族と共に過ごしている街並みとは、雰囲気が大きく異なるところ。まず第一に、綺麗である。流石は、恵まれた暮らしをしている人たちばかりが居るだけあって、見た感じは思わず嫉妬してしまう程である。酒場で皿を洗い、空いた食器を下げ、慌ただしい時間を終えてくたくたになった少年は、夜盗に襲われるまいと貴重な貴重な給金を守るべくわざわざ遠回りになる富裕地区を歩いて帰るさなかだった。

「…すごいなあ」

思わず、率直な感想が漏れた。自分の住んでいるすぐ傍にも、こういった場所はあるが、植え込みやら家宅の質まで何もかも違う。ちょっと社会見学気分になりつつも、どこか挙動不審にそわそわしながら歩く中で、ベンチに腰を下ろす一人の兵を目撃する。

「あっ、お疲れさまです…」

休憩の途中だろうか。過去の経験からか身分の差からは分からないが、媚びを売るようにして背を丸め、控えめに声をかける。

エーシア > いける。
落ち着いて―――。

抑制を取り戻しかけて。

「――っ」

抑制に集中しすぎて、声をかけられるまで気付かなかった。
思わずびくりと身体を強張らせ、瞬間、魔力を巡らせる。
カキ、と乾いた金属質な音を鳴らして義腕が力を取り戻して―――。

急ぎ目を向ければ。
そこには何の変哲もない、同じ年ぐらいの男性で。

「は、あ……」

息を吐くと共に遅れてじくりと嫌な汗が身体を伝う。

「ど、どうも」

ほんの少し間を置いてフォルテへと返事を返す。
思えば聞こえてきた声も、パッと聞いた所では危険も何も無かったように今更感じて慌てた自分を恥じる。
ふう、と吐き出す息は何処か熱っぽく。

フォルテ > 返事をくれたまだ若い、同じくらいの年齢と思われる女性の兵士はやや元気なさげにも見えた。激務だったんだろうか。向こうの事情はさっぱり分からないが、首をかしげて心配そうに見つめ。

「な、何だか疲れてるように見えますけど…」

取り込み中だったかな…と考えても解決しない不安を抱えながら、気弱そうな表情でそっと目を合わせる。…何だか具合がよくなさそうだ。 彼女を見つめる彼にとっては、それだけ……のつもりだった。

「水、少しですが残ってますよ。見回り、この後もあるならいかがですか…?」

おろおろしつつ、お洒落っぽさはまるでない粗末な鞄から、そっと水筒を取り出して、静かに歩み寄っていく。少し近づいてみれば、彼女の顔に浮かぶ汗を見てますます心配性をこじらせ、表情は不安を増していく。

エーシア > だが、それだけ、では彼女にとっては済まない。
緩やかに、こちらを心配する様に近づいてくる男。

「(余計にっ……魔力廻して……)」

それも緊急時だった為にほぼ戦闘稼働レベルに魔力を無意識に注ぎ込んでしまっていた。
普段ならそのまま戦闘に集中する為、「それ」がやってくるのは全てが終わってからだが。
今は戦闘中でも無い、そして緊張の糸は既に切れていて。
「それ」がどんどんと身体を巡る。
熱と共に。

彼の心配を他所に、息は荒く熱く。
そして艶を帯びていって。

「だい……丈夫、です、しばらくすれば……」

明らかに大丈夫ではないのだが、軽く片手で静止するようにどうにかポーズを取る。
これ以上、踏み込まれると。

フォルテ > 「で、でも…」

余計なお世話かもしれなかったが、それでも放ってはおけなかった。息遣いからして、明らかに大丈夫ではない目の前の女に対して、思わず少し驚いたように目を見開いたが、何度か瞬きして我に返る。吐息にこもる熱、そして仄かに感じる艶には何度かゴクリと唾をのんだ。

「大丈夫…に見えないですよ…?…それに、汗…!…ガ、ガマンしないでください」

そういって、鞄から小さなハンドタオルを取り出し、女に近づき隣に座る形になれば相手の遠慮や静止をよそに、一方的なお節介で女の額にそっとタオルで触れ、汗を拭おうとする。

エーシア > 「―――っ」

ただ苦しげに呻き、目を瞑る。
フォルテが隣に座れば更に強く、目を閉じ、歯を食い縛って、そのままフォルテにされるまま汗などを拭われていく。
それは少しでも自分から動けば、あっさりと自制が砕けるからで。
ただ耐える。
ここで決壊すれば、その被害は明らかに、この無害層である彼へと降り掛かるからで。

しかしながら。
当然治まる事も無く、息は更に艶を増して。
全身から発汗しており、甘酸っぱい汗の臭いが隣に居るフォルテならわかるかもしれない。
上気した頬は暗いながらも灯りにうっすらと照らされ、更に艶を強調している。

フォルテ > 放っておけない…なんて身勝手で向こう見ずな感情から自然と出た行動であったが、自分の気持ちとは裏腹に、何だかとても苦しそうにしている女には流石に自分自身も嫌な胸騒ぎを覚える。

「え、えっと…」

ハンドタオルで少々汗を拭ったところで、到底追いつかない程度の発汗。今度は間近にいる為、熱のこもった吐息や、汗のにおいには流石に気付いた。しかし、彼はといえばおろおろしているばかり。

「あ、あの…大丈夫ですか。…し、しっかりしてください」

何だかとっても辛そう というのはもう分かっている。ただ、何で此処まで大変な状況に陥っているのか、彼には到底見当がつかなかった。

「あの―――」

目の前の女が懸命に押しとどめ、表に出すまいとしていたモノに、彼は罪深いながらもそれを知らぬまま不用心に、女の肩を軽々しく、とんとん…と手で触れて叩いて呼びかける。

いつの間にか、女の心配よりもどうしていいかわからない自分自身の不安や恐怖を優先してしまった結果――

エーシア > 叩かれ、揺らされればそれはなみなみと注がれたグラスから中身が零れるような感覚。

いよいよ熱とそれは頭を昇り、思考に霞がかかる。
心証がどうだの。
もうどうでもいい。

素直になればいい。
ぐるぐると靄のかかる思考は流されろと言い続け。
言い続けられれば。
ばづん、と何かが切れた音がして。


「―――えぇ、大丈夫です」

目を開け、男の手を生身の手で取る。
そこには先ほどの苦悶一つ無く、吹っ切れたと言わんばかりの表情。
ただ息は変わらず熱く、身体の体温は上昇し続けている。
はあ、と再度息を吐けば器用に義腕を動かし、ブレストプレートを外す。
鎧から解放されれば、当然その下にはインナーに包まれた胸があり、見れば軽く先端がつん、としているのがわかる。
籠っていた熱も解放され、むわ、と熱と汗の臭いが更に充満して。

「少し、お手伝い、して欲しいのですけど」

それだけ言えば、彼の掌をそのまま自分の胸へと押し付けた。

「こうすれば、落ち着きますから」

息とは裏腹に声は酷く静かで。

エーシア > (戻ってきそうにないので一旦終了致します)
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からエーシアさんが去りました。