2022/07/30 のログ
エレイ > 出くわしたのは一般の男性客。互いに軽く謝罪し合うと、男は再び歩みを進め、何処かへと──
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からエレイさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にヴァンさんが現れました。
ヴァン > 男湯に入ったのが10分前。
髪と身体を洗い、さて湯船に浸かろうとしたらいつの間にか混浴になっていると気付いたのが5分前。
つい今しがたここで知り合ったと思しき男女二人が男の後方10mほどで盛り始めたのが12秒前。

「この旅館、相変わらず妙な魔力の流れしてんだよなぁ。
こう、空間が変わるのも魔力絡みか……?」

どこか不満そうに言いつつも、口調からはこれらのハプニングにもう慣れっこであることが伺える。
浴槽の内側すぐにある段差に腰掛け、上半身を湯の外に出した状態で周囲を眺める。
男の周囲にはまぐわう男女を除き、誰もいない。他の連中は出会いを探しに元・女湯の方向に行ってしまった。
もっと若ければ感化され、自らも番を探そうとうろつくだろうか。その体力も気力も、男にはなかった。

はたして自分は周囲からどう見えるだろうかと考える。
ただ風呂と会話を楽しみたい中年男か。のんびりしている格好の獲物か。それとも自らを囮にして獲物を待ち構える狩人か。

ヴァン > ゆるゆると肩まで湯船に浸かり、天を仰ぐと長く静かに吐息を漏らす。
男にとって幸いなことに、湯質は弄られていないらしい。微かに口許がほころぶ。

男の住む場所には風呂がない。ただシャワールームがあるだけ。
夏場はそれで十分なのだが、それでも時折湯船に浸かりたくなる。そんな時は、黒い噂がある点に目を瞑ってここに来る。

「裸のつきあいができる、ってのは悪くないよな」

相手が何者であるかをさして気にせず、また気にされずにフランクに交流できる場として気にいっている。
年齢や職業、種族や性別……いや性別は気にするが、多くの障壁がなくなるのは、男にとって好ましく思える。
そう思いつつも、ふと胸元に目をやった。銀色の金属製品。バンダナ同様、己を示すもの。
ホーリーシンボルを外さないのは今考えていたことと多いに矛盾しているな、と自嘲する。

いつの間にやら、睦言も聞こえなくなっていた。周囲には誰もいないらしい。束の間の独占を楽しみつつ、身体を癒す。

ヴァン > 風呂を堪能し、湯船から出る。
食堂で飲むエールを想像し、喉が鳴った。

ご案内:「九頭龍の水浴び場」からヴァンさんが去りました。