2022/06/15 のログ
レイネルト > 「なるほど。納得していい案件なのかはさておきとして…それは何とも奇怪な作りをしてるんだねェ。」

果たしてそれは旅館として如何なものなのだろうか、という疑問はオブラートに包んで。
兎も角この旅館に原因があると判明すれば面白い物を見つけたかのように好奇な目で周囲を見渡してみる。

「うむ、エレイ君というのか。一時とは言え頼もしい相棒ができたね、宜しく頼むよ。」

さん付けと言われたばかりなのに君付けで呼ぶのはマイペースな性分だろうか。
握手に笑みを浮かべてしっかりと手を握りしめ―…若干握ってる時間が長いのは決して気のせいではない。

「ふむ、受付番号については確かに伺っているんだがね。確か809だったはずなのだがね、気づいたら四桁の列まで来てしまったようだ。」

不思議だなぁ、なんて呑気な声で返答すれば同じ足取りで歩みだす。
自分自身は目的先を失っている為、当然後をついていくだけだが。

エレイ > 自分の言葉を無視して君付けで呼ばれても、男の笑顔は崩れない。
もとよりこの要求が無視されることはしばしばあるからだ。
握手の時間が妙に長かったが、その分男も彼女の手の感触を堪能できたので
いちいち追求はしない。

「おおう……だいぶ明後日の方向まで来ちゃってるなぁ。809ってなると……
確か──こっちの方だった感」

こめかみに指を当てて脳内で位置関係を確認した後、彼女を連れて歩き出したのは
ちょうど彼女が歩いてきたばかりの道。どうやら彼女は部屋とは真逆の方向に
歩かされていたらしい。
そんな旅籠の廊下の意地の悪さに眉下げて笑いつつ、彼女とともに部屋を目指し──

レイネルト > 案内には素直に従い、一歩後をテクテクついていく。
彼の言葉によるとどうも見当違いの所をうろついていたらしく、もし遭遇できなかったらどうなっていた事やら。
思っていたよりも方向音痴だったかなァ、なんて呑気なことを考えていたら並びの部屋番号は近い所へと。

「なるほど、君にお願いをして正解だったようだね。」

目的地へと到達すればニコリと口元に弧を描くだろう。相も変わらず目元だけが笑っていない事を除けば友好的な印象ではあったはず。

「折角世話になっておいてもてなしの一つもないとは恥ずかしい話だ。どうだろうか、君さえよければ礼をしたいのだが―…如何かな?」

カチャリと部屋の鍵を開ければ彼の方を向きなおりそんな提案を。
言葉だけ聞けばなんてことはない申し出ではあったが、目を細めてニィっと怪しげな笑みを浮かべる彼女はまるで期待してるかのような表情で―――。

彼が申し出は受けるならば二人はそのまま室内へと消えるだろう。

エレイ > 「それほどでもない。謙虚だから誉められても自慢はしない」

彼女の手を引いて歩くこと暫し、やがて目的の部屋へとたどり着けば礼を告げられ、
謙遜したセリフをドヤ顔を晒しながら放ち。
笑う口元に対して笑っていない目元が気にはなったものの、男はそれで警戒するようなタマではなかった。

「ほう……ここは謙虚に礼には及ばないと言いたいところだが、そんな目で誘われては
断ることなどできないという意見」

怪しげに細まった、光を吸い込むような黒の瞳を見つめ返してニマリと愉しげに
笑みを深めながら、男は彼女の誘いを快諾し。

そうして二人は、部屋の中へと共に姿を消し──。

ご案内:「九頭龍の水浴び場 館内廊下」からレイネルトさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場 館内廊下」からエレイさんが去りました。