2022/01/15 のログ
リン > 「ははあ~、お姉さんだったのかあ~
 祖父祖母がおしめのころから……ってそれはお姉さんじゃなくて
 おばあちゃんの間違いじゃないのぉ~?」

隣いい~? と席を移動して、胸を張るエルフに軽口を返す。
エルフに対して婆さん呼ばわりは普通に地雷踏んだこともあったのだが、
なにしろ酔っているので油断している。
習性としては酔っ払いだが、口ぶりが大人ぶる子供そのものなので
なかなか愛らしいなとも思った。

「ぼくはリンだよ~、これでも18歳です。お酒飲めます。
 この呪いの楽器のせいで、ちょっと小さくなっちゃってるんだよねえ」

ああ~となすがままに朱に染まった頬をぷにぷにされている。
お返しとばかりにエルフの長耳に指を伸ばす。
背丈は幼児で顔立ちも幼く体つきは華奢だが、
顔や身体の作りが幼児そのものではないことは、注意深く見ればわかるかもしれない。

エリーゼ > 「ふふ、お坊ちゃん、女性におばあさんなんて言うと、すり潰されますよ?」

隣にやってくる彼を許しながら、しかしさらりとにこやかな能面笑顔。
おばあちゃんと呼んだ奴は漏れなく実験台にしてきた。そんな笑顔だ。
とは言え、酒宴の席の失言、しかも初対面の相手に怒る程狭量でもない。
こほん、と咳払いすると、刺身のツマをちびちび。実は結構好きだったり。

「リン君ですか。お姉さんはエリーゼです。まぁ、年の話は置いておきまして。
 ――ほぅ、呪いですか。ふーむ、確かに、この感触と言い、体の作りと良い、違いますねぇ」

子供特有の柔らかさより、若者特有の張りが感じられる。
ちらりと肢体を眺めてみても、子供特有のイカ腹な雰囲気はない。
重心自体は確かに大人と同じ感じで、それがそのまま小さくなった様な感じだ。
なるほど、そう言うものもあるものか。世の中には知らないものが沢山あるものだ。
内心で興味を惹かれつつ、耳に伸びる手は気にしないでおく。頬のお返しだ。

「それにしても、呪いの原因を携えているなんて、中々度胸がありますねぇ。
 解呪の手掛かりになるかもしれないですが、同時に呪いが進むかもしれませんのに」

一頻り弄って満足すると、みょん、と軽く摘んで引っ張ってから離してみる。
そこからは彼の観察タイムだ。物珍しいものだから、しっかり記憶に留めておこう。

リン > 「ひえっ」

冗談にとどまらない迫力を感じて、びくっとすくみ上がってしまう。
とはいえそれも一瞬のこと。
本物かな~? と軽く長耳をつまんだり引っ張ったりして、離す。

「あ、わかっちゃうエリーゼお姉さん? 先生やってるとそういうのにも詳しくなるのかな。
 実際呪いもっと進んじゃったこともあるんだけどさ~
 何しろ呪いのアイテムだからねえ。
 手放してもいつのまにか手元に戻ってくるんだよ……」

じろじろと観察してくる遠慮のない目つきに、
けらけら笑ったまま、大げさな仕草でぶかぶかの浴衣のたもとをぎゅっと握る。

「えっち~。ぼくの身体に興味あるの~?」

エリーゼ > 「ふふ、分かればよろしい。先生ですもの、物分りが良い子を怒りはしません」

竦み上がる彼もまた、中々乙なものである。外見が幼いからだろうか。
ぴこぴこ。動くしポカポカと暖かな本物である。少しくすぐったさげで。

「んー、私の専攻は魔法学と魔法薬学ですから、呪いの類は自然と詳しくなる訳で。
 とは言え、呪いを用いるのは大抵が執念深い存在で、自分の想いを込めてますからね。
 自然と独立した固有の魔術に成長して、解くのも一苦労な感じになっちゃうんですよねぇ」

解呪を専門にした魔術師ならば、その辺りを見抜く事も出来るのだろう。
だが、少女の本質は蒐集と蓄積である。それを応用できる訳ではない。
それこそ、辞典の持ち主がその中身を全て活用できないのと同じようなものだ。

しげしげと遠慮なく見つめていると、何やらしなを作って浴衣の袂を握る彼。
中性的な容姿の彼は、そうしてみると幼気な女の子にも見えてくる。ほほぅ。

「――興味はありますが、淫らな方面ではなくじっくり調べたいって感じですねぇ。
 ほら、呪いで小さくなった体は、中身も同じ様に原寸大で小さくなっているのか、とか」

さらっと解剖じみた例を挙げつつ、しかしそこまでする気は毛頭ない。
透過の魔術を上手く使えば、人の中身を観察することも案外上手くいくのだから。

「それに、今日はお酒で良い気分ですから、そっちを楽しみたいですし。
 リン君は可愛らしくてそそる物はありますけどねぇ。君、マゾでしょ?」

わざわざこちらを誘う様な手口に、頬に手を伸ばしてもされるがままだった様子。
それらから推測して、カマをかけてみたわけだが、果たして反応はどうなるか。

リン > 「ははは……」

余裕に満ちた態度に、自分が本当に小さいこどもになってしまったかのような錯覚を感じる。

「ほほ~。
 やっぱそうだよねえ。
 その手の専門家に何人もあたったけど、
 エリーゼお姉さんと言うことがだいたい同じだったよ……」

うんうんと頷く。
解呪に関しては半ばあきらめているところがあるらしい。

「学術的な興味ってやつか~
 君に隅々まで調べられることで楽しくなっちゃう可能性はあるけど
 いややっぱできれば勘弁願いたいなあ」

おちょこを傾けつつ苦笑いで返していたが、
出し抜けに核心を突かれれば酒にむせこんでしまう。

「ゲホッ……
 そんな話してないじゃん!? 何を急に……」

目を白黒させている。推測は間違ってはいなさそうだ。

エリーゼ > 「やっぱりですか。それでも呪いを解きたいなら、諦めずに探すしかなさそうですねぇ。
 ちなみに、どんな呪いなんです?体が小さくなるだけでも結構強力な気がしますけど」

実際の所はどうなんでしょうかねぇ、と首を傾げつつ、しげしげ。
体が年齢相応のまま小さくなっているだけなら、生殖機能等は正常なのだろう。
とは言え、相手にしてくれる女性は、そう言う趣味と誤解されそうな気もするが。

「ま、そう言うことです。むらっと来てたら襲っても良いんですけどね。
 可愛い子が相手の時は、主導権握ってひたすら弄ぶ肉食派なので、はい」

これが逞しい殿方だったら、傅いてみるのも悪くないんですけどねぇ。
などと宣いつつ、ジャブに噎せた彼にニンマリと笑みを浮かべて。

「ほほー、図星ですね?隅々まで調べられて楽しくなっちゃうのも、その証拠ですよぅ。
 ふふふ、隠さなくてもいいですよ。お姉さんは色んな性癖に理解が有る良い先生ですので」

長い時を生きて、汎ゆる知を集める。その中には、性的な物も多分に含まれている。
性魔術、性に関する薬や道具、性の技術や知識そのものも例外なく蒐集対象だ。
知識としては知っているし、それなりに体験も済んでいる。だから、気にならないのだ。
そこから、うりうりと軽く戯れて弄ぶと、あふりと小さくあくびを一つ。
酒精と温もりで程よく眠気が来たらしく、少女は一つ伸びをしてから。

「さて、そろそろ私はふかふかお布団で明日までぐっすり寝る時間ですー。
 お姉さんはお部屋行きですが――あぁ、ここで寝たら、取って食われますので気をつけて」

貴方みたいなのが好きな人もきっと居ますよ?等と、嬉しくなさそうな事実を告げて。
その上で楽しげにくすくす笑うと、少女はふらりと去っていく。さらば現実、夢の世界へいざ征かん――。

ご案内:「九頭龍の水浴び場 食事処」からエリーゼさんが去りました。
リン > 「どんな呪いか~、と言っても小さくなるだけだけど……」

本当はもう少し色々あるが、酔っていてもさすがに自分の急所について
不用意にべらべら喋る気にはなれないようで、言葉を濁す。

「いや……可愛い女の子に調べられて嬉しくなっちゃうのは
 一般的なあれじゃない?
 違う? そうか……
 いや勝手に納得しないで。許して」

ちょっとからかっただけのつもりが
ゴスゴスと言葉で殴打されて慌てふためく。
頑なに否定するようなものではなくとも、
初対面の相手にここまで言われれば泣きたくもなるというもの。
味のある表情のまま、再び好き勝手弄ばれる。
こういうのは実際まんざらでもなかった。

「あ、はい、おやすみ……」

はぁ、とため息を付いて、好き勝手したまま去っていくのを見送ることとなった……

ご案内:「九頭龍の水浴び場 食事処」からリンさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「──ぶえぇ~い……」

日の高い時間帯。
太陽の下、変な声を漏らしながら露天風呂で湯に身を浸して寛いでいる金髪の男が一人。

湯船の縁の岩に背を預け、濡れて張り付いた前髪をかき揚げざま、頭に載せたタオルを手に取り
軽く顔を拭っては、ぷぅ、と息を吐き出し。

「……うむ、今日もいい湯だなと関心顔になる。ここの風呂のクオリティの安定感は圧倒的にさすがって感じですなあ……」

ハッハッハ、と何が楽しいのか笑い声を上げながら、タオルを頭に載せ直し。
そのまま湯を堪能しながら、やがて音程の外れた鼻歌なんかも響かせ始める。

そんな男の近くでは、なにやら小さな物体がプカプカと浮かび、湯面が波打つのに合わせて揺れている。
それは銀色のボディに赤いつぶらな瞳の、アヒルのおもちゃだった。目的は不明だが、男が持ち込んだものようで。
陽光を照り返すそのアヒルに時々ちらりと視線をやりつつ、男はのんびりと湯を楽しみ続けていて。

エレイ > やがて、アヒルを回収すると男は湯から上がり、場を後に──
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からエレイさんが去りました。