2021/09/20 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「──ア゛ーィ……」

日の高い時間帯。
太陽の下、変な声を漏らしながら露天風呂で湯に身を浸して寛いでいる金髪の男が一人。

湯船の縁の岩に背を預け、濡れて張り付いた前髪をかき揚げざま、頭に載せたタオルを手に取り
軽く顔を拭っては、ぷぅ、と息を吐き出し。

「……うむ、今日もいい湯だなと関心顔になる。ここの風呂のクオリティの安定感は圧倒的にさすがって感じですなあ……」

ハッハッハ、と何が楽しいのか笑い声を上げながら、タオルを頭に載せ直し。
そのまま湯を堪能しながら、やがて音程の外れた鼻歌なんかも響かせ始める。

そんな男の近くでは、なにやら小さな物体がプカプカと浮かび、湯面が波打つのに合わせて揺れている。
それは銀色のボディに赤いつぶらな瞳の、アヒルのおもちゃだった。目的は不明だが、男が持ち込んだものようで。
陽光を照り返すそのアヒルに時々ちらりと視線をやりつつ、男はのんびりと湯を楽しみ続けていて。

なおこの浴場は混浴だが、現在はスタッフの策略により入り口のみ女風呂と偽装されており、
そうと知らぬままうっかり入ってきてしまう客なども現れるかもしれない。

エレイ > そうして十分に湯を堪能した男は、アヒルを回収するとゆるりと場を後にして──
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からエレイさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にラチェルさんが現れました。
ラチェル > 湯治に訪れた母親と侍女たちを客室に残し、一人歩きを敢行したのは、
ひとえに、この旅籠が王都では見慣れぬ、異国情緒に溢れているからだ。
板張りの廊下、フスマだとかショウジだとかいう、紙で出来たような扉や窓、
そして今、娘が身に着けているのは、宿備え付けのユカタと呼ばれる衣である。
侍女たちにとっても慣れないものであるからか、いささか襟元がゆるく、
着崩れ気味であるのはご愛敬か―――着ている本人が、こういうもの、だと思っているのだから、
これで問題は無いだろう、と思われる。

――――――誰か、よからぬ輩に行き会ったりしなければ、の話ではあるが。

「―――――――― ?」

ふ、と、布製の室内履きを履いた足が止まり、娘は怪訝そうに背後を振り返る。
誰かの足音が、あるいは、誰かの気配が、背後に迫っていた気がしたけれど、
気の所為だろうか、それとも――――――

ラチェル > 振り返った先にある曲がり角を、じっと見つめること暫し。

「………気の所為、かしら」

動くものの影は見えない、耳を澄ませても、物音も聞こえない。

溜め息をひとつ、目指していた方へ振り向いて歩き始めた。
ぺたりぺたりと柔らかな足音が、のんびりと続き――――――――。

ご案内:「九頭龍の水浴び場」からラチェルさんが去りました。