2021/05/25 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にユエインさんが現れました。
■ユエイン > 王都周辺で頼まれていた依頼を数件こなし、その疲れをゆったりと湯に流した後、ふらりと女が足を運んだのは休憩室。
「全く……本来であれば安摩も頼みたかったところじゃが…まぁ仕方ない。今日は“これ”で妥協することにするかのう……」
部屋の隅に用意された飲み物の瓶を片手に取ってそのまま女が向かうのは休憩室に数台設置された、安楽椅子の型をした魔導機械。
滑り込むように深く腰掛けると、肘掛けの傍らに置かれたテーブルに瓶を置き、その手で機械のスイッチを操作する。一連の手慣れた手慣れた動作が完了してしばらくすれば椅子が鈍い音を建てながら背もたれを傾け始めた。
「っと………シェンヤンにいた頃は所詮古臭い玩具、と思ってたおったが……ッ、中々侮れんのう、魔導機械とやらも……」
椅子の形が変形して座った人の体型に合わせマッサージを行う、魔導機械式の安摩椅子。過去数回の利用で女はその魅力にすっかり取り憑かれていた。
依頼が終わる度にこの旅館へ立ち寄り、安摩を受けるか椅子へ乗っかり身体を解す。その姿は20代半ばの見た目をした女には些か年寄り臭いものに見えるが本人はそんなことを気にする様子もなく。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にユエインさんが現れました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にエレイさんが現れました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にユエインさんが現れました。
■ユエイン > 気の乱れを自在に調律し老いを知らない肉体でも肩は凝るし腰も強張る、だから癒やしを求めるのは仕方ない事。
ブツブツと呟かれるそんな言い訳と共に右手は再度肘掛けのボタンへと無意識に伸びていく。
気付けば背もたれも足置きも最大限にまで倒され、ほぼ地面と水平となった上半身に対し足は両方放り出され、緊張とは無縁の姿となっていた。
口から漏れ出る言葉もやがて間延びした呻きの様な言語の体を成していないものへと変わり、その姿は最早椅子へ乗っかっていると形成した方が正しく。
■エレイ > 「──ふぃー……うむ、今日もいい湯だったと満悦顔になる」
浴場の方から、湯気をまといながらのんびりと歩いてくる金髪の男が一人。
部屋に戻る前に一息入れていくかと、休憩室に立ち寄ってみれば。
マッサージチェアの駆動音が耳に届き、誰か先客がいることを察知して軽く眉を持ち上げ。
そちらを見遣ってみると、椅子の背もたれを大きく倒して盛大にくつろいでいる
女性の姿が見えて、思わず眉下げた笑みを浮かべ。
おもむろに近づけば、横合いからすいと先客の視界の端に顔をのぞかせて。
「──……やあやあコンバンハ。フフ、見事なくつろぎ具合だと感心するがどこもおかしくはないな」
楽しげな笑みを向けながら、風変わりな挨拶の台詞を投げかけて。
■ユエイン > ふと感じた人の気配に気だるげに目を開いて見れば温泉の利用客らしき男の顔が上に見える。
「あぁーー……んあ? なんじゃぁお主?」
他に人がいないとなりふり構わず寛いでいたのは自分なのだがそのリラックスを妨げられたのがなんとなく気に食わない。
椅子に凭れたままとりあえず男を胡乱な目で睨みつけて。
「儂は見ての通り休養中じゃ、休養するなら他所でやってくれんか」
■エレイ > 「俺は通りすがりの利用客なんだがふと立ち寄った休憩室にすごい寛いでる
オネーサンがいたもんだから思わず声をかけてしまった系の話があるのだよ」
なんじゃ、と問われれば睨む視線も気にした風もなく、何故かドヤ顔でそんな説明を。
続く他所へ行け、という言葉には小さく笑って、軽く肩を揺らし。
「ココは客みんなの場所なんだがのぅ。とはいえ別にキミのリラックスを邪魔するつもりも
ないのだが……ただちょっと僅かに疑問に思ったんだが何故に按摩椅子を使っているのかなあと。
いや、ホラこの旅籠マッサージ部屋もあるじゃん? そっちではダメだったのかな?」
それから、ふと抱いた疑問を投げかけてみて。
■ユエイン > 「あ…?お主、喧嘩でも売っておるのか……?」
男から返された言葉はいずれも正論そのもの。だが、それもどうやら気に食わなかったようで。男を見つめたまま眉間のシワは深さを増していく。
「マッサージ室……あぁ安摩のことか、ここに来る前覗いたが空き室が無くての。故にここでゆーっくり寛いでおるの訳じゃ」
わかったか?と言葉を続けながら椅子の傍らに置いてある瓶の中身を雑に流し込んで。
■エレイ > 「いや売ってないから……なんか癪に障ること言ってたならすまぬぇ」
眉を更にひそめる彼女に、両手をひらひらと振ってそんなつもりはないと否定し。
眉下げた笑みのままとりあえずの謝罪を。
「ああ、まああ確かにあそこは人気だからなぁ……そしたら、俺がマッサージ……按摩をしてあげましょうかねぇ?
実は俺もあそこの部屋でマッサージ師をしている一人なのだよ、今日は当番の日じゃないので入ってないけど」
空き部屋がない、と言われれば得心がいったようにうなずき。
それから、ニッと笑みを見せつつ自分を親指で指差しながらそんな申し出を。
■ユエイン > 「お主がか……?なんか胡散臭いのう……」
一瞬、女の表情が明るくなるもののその後すぐにそれは胡乱なものへ戻る。
「どーせそうやってナンパしてるだけじゃろ?見るからにすけべそうじゃし。大体、寛いでおるからと言って初対面の女にいきなり話しかけるものか?」
笑いを噛み殺すようにククッと声を漏らすと女は趣に背もたれを戻して視線を高く戻す。
■エレイ > 「ナンパに思われるのも仕方ないといえば仕方ないがこれは本当だから。
なんならあそこの職員に確認してみるといいぞ」
ナンパ呼ばわりされて不満げに口をへの字にしながら、腰に手を当ててフンスと鼻を鳴らし。
「俺ならコイツより更に上級の寛ぎ体験をさせてあげることもできるんだがのぅ。
機械の性能も上がってきているが、まだまだ手押しには及ばねぇーし……
まあでもそーやって疑われるなら俺は引き下がるしかないかなーナンパとかって言ってビビってしまうのもか弱い女性なら仕方ないかなー」
彼女が元の位置に戻した按摩椅子の背もたれを軽くポンと叩きながら、ブツブツとそんな事を呟き。
くるりと背を向けつつ、棒読みで挑発めいた言葉をこぼしながら、チラチラと肩越しに後ろの様子を伺ってみたり。
■ユエイン > 「ほぅ…なんじゃ、随分自身があるようじゃの……」
男の態度を見るにどうやらマッサージ師であることは事実らしい。
言葉の隅から腕に対する自信を覗かせる言動に興味が湧き始めていた。
ただ――
「じゃが生憎、今回の専属マッサージ師の施術はもう終わったようでな。残念じゃがマッサージはまた今度頼めるか?」
挑発的な言葉に乗せられたチョロい女と思われるのは酷く心外だった。
タイミング良く停止した椅子を指差した後に跳ね上がるようにして床へと立ち上がる。
「まぁ…次来るときはお主指名で施術を頼んでやっても良いぞ?覚えていたらの話じゃが」
軽く肩や首を廻しながら上から目線で好き勝手な事を言ってみせ、残っていた瓶の中身を一気に飲み干す。
「あぁそうじゃ、指名するにも名前を知らんと出来んな。お主、なんという名前じや?」
■エレイ > 安い挑発には流石に乗ってこない様子の女性に、ちぇー、とか唇を3の字に尖らせつつ
改めて向き直り。指名してもいいと言われたり、名前を問われるとふ、と笑みを浮かべ。
「そいつは光栄ですなあ。俺は謙虚な本業は旅人で冒険者のエレイというのだが
呼ぶときは気軽にさん付けで良い」
などとまたドヤ顔しながら珍妙な自己紹介を繰り出し。
「お客サンの名前はなんていうのかな? フム、名刺代わりに……ちょいと失礼」
立ち上がった彼女におもむろに近づき、後ろから両手を肩に添え、ぐい、と
肩から首の付根に親指を押し付け、簡単な揉みほぐしのマッサージを2、3度施し、すぐに手を離した。
しかしそれは彼女にえも言われぬ感覚を与え、すでに按摩椅子でほぐされているはずの
肩をより軽く感じさせただろう。
■ユエイン > 突然身体を触られた事に対しちょっと反撃でもしてやろうかなどという考えが一瞬頭を過るものの、それを堪えて見ればぐいと力強い揉み解しが数度施される。
男の手が離れた後、肩は心做しかじわりと暖かく、更に軽くなったような気すらあって
「ふむ……大口叩くだけあって腕はしっかりしるみたいじゃな。じゃが…たかだか20そこらの小僧がさん付けで良いなど100年早いわ」
肩の感覚を確かめるように空いた瓶をゴミ箱に投げ捨てながら女は笑ってみせる。
「儂はユエイン。今は王都で暮らしておるが元はシェンヤンの道士じゃ。道術が必要な時はギルドから声を掛けい、報酬次第じゃが手伝ってやらんでもないぞ?」
宣伝も兼ねた自己紹介を返すと女は男へ背を向け、身体を大きく伸ばしながら休憩室の出口へ歩き、その姿を消した。
■エレイ > 「ユエインさんね、ヨロシクだぜ。そっちも手伝いが必要だったらいつでもギルドを通して
頼ってくれていいぞ俺は優しいからな」
去ってゆく女性を笑って手をひらひらと振って見送り。
男もまた休憩室を出て、さてどこへ行こうかと歩きだして──。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からユエインさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からエレイさんが去りました。