2019/08/17 のログ
■アゲハ >
「うえ、王都の方じゃないんですね。どちら出身なんですか?」
あ、じゃあ失礼します、なんて言いながら。静かに座る。
ガサツにではなく、そっと。それなりの所作であった。
「夏休みですか―、いいですねっ。夏休み――って、え? いいんですか?」
軽く首を傾げ――赤と緑の瞳が揺らめく。
「いや、しかし、外が暑いですねぇ、夜なのに」
ぱたぱた。黒いドレスの胸元。はしたないけれど服と肌に隙間を開けて――
仰げば仰ぐほど、こもった蜜は散布されるのを少女はきっと知らない。
それが隣の少女を酩酊させていることも。
「ほんとにあっつぅ……」
■シャロン > 「九頭竜山脈の山奥ですよー。ポツポツある人里みたいな所です」
隣に腰掛ける所作は、その容姿に似合う気品が合った。
どこかのお嬢様なのかしら、とも思うが、それだとどうして花を、となる。
とは言え、先程から漂う甘い香りで上手く頭が回らない為、疑問は直ぐに気にならなくなった。
「えぇ、夏休みです――それじゃ、注文しておきましょうか」
近くの従業員を呼び止めて、アイス一つを注文。
去っていくのを見送ってから、再び彼女に向き直る。
ぱたぱた、と眼の前で服の中に風を呼ぶ彼女。
その度に甘い香りが散って、ふわふわとした気分が高まって。
「んぅ……何だかふわふわしますねぇ……お酒飲んだ時みたいな、感じ?」
白竜の加護のお陰で理性を手放すまでは行かないが、酒精の様な酩酊は体感中。
ぽやーっと熱っぽい視線を彼女に向けると、悪戯心がうずうずし始めるのを堪えていた。
■アゲハ >
「――おー。山奥……山奥にそんなところあるんですね」
今度行ってみようかな、とかつぶやいて。
注文と言われれば、え!? とびっくりした顔。
「あ、いや。その溶けかけのを分けてもらうだけでよかったのに――……」
悪いなぁと、苦笑した。
「んえ、ふわふわ? お酒でも飲んだんですか?」
視線を向けられれば。
「…………あ、もしかして我慢できなくなってます?」
頬を指でかいて。やっちゃったかなぁと――
■シャロン > 「えぇ、そういう場所も、あるのです。辺鄙な所ですから、おすすめはしませんよぅ?」
それでも好奇心で飛び込むならば、その時はその時。
彼女用の新しいアイスが来るのを待ちつつ、火照りを誤魔化す為に自分のアイスをぺろりと舐めて。
「いえいえ。それじゃ、これからご贔屓にするお花屋さんのお名前を教えてもらいましょう。
ちなみに私は、シャロン・アルコットと言います。気軽にシャロンで良いですよー?」
ふわふわ、ふわふわ。彼女を見つめていれば、再び視線が合う。
ついで聞こえた言葉は、今の高揚の元凶が彼女であると示す内容。
ならば、くすりと笑みを浮かべて、とぅ、と抱きついてみることにして。
「我慢出来ない程じゃないですが、このぽかぽかふわふわする感覚の原因は、貴女なんですね?
だとしたら……そうですねぇ。責任とって、抱き枕になってもらおうかなー、なんて」
流石にここで彼女を節操なく抱いてしまうまではいかないが、火照っているのもまた事実。
ならば彼女を愛でる為に添い寝を、あわよくば抱き枕になってもらおうと持ちかけてみることにする。
■アゲハ >
「ほう、ほう……やっぱ山奥じゃお花は売れないでしょうかね?」
商売のつもりで寄る予定だったようで。
「わかりました、シャロン様」
流石にお客様なので様はつけますね? なんて笑い。
抱きつかれれば――抵抗はなく、しかして。そんなに密着すれば、脳を揺さぶるような。そんな接触でも、性感を感じるような、甘い甘い媚毒に近い――
「わわっ。まぁ、体質というものでして。我慢できなくなる甘い匂い、がしてしまうらしい、です。自分の体臭なので私はわからないんですけど――」
もぞリと動けば、腕の中で擦れる感触と。そして、抱いた途端、より濃く濃く――
「あ、えっと、そんなに近づくと大変ですよ? あの、我慢できなくなったらしてもらっていいので」
拒否はしない。そうなったら、そうするのが彼女の流儀であるので――
■シャロン > 「人が少ないですし、お花も野生のものがありますからねぇ」
あまり売れないかなぁ、と苦笑を一つ。
様付けで名を呼ばれると、なんとなくむず痒い気がした。
「ん、そうなんですか?――まぁ、私も意識すればある程度は打ち消せそうですが……。
えーと、こういうのは大事なことですから、安売りしちゃダメですよー?
それに、私も媚薬の類には強い体質ですから、ちょっと我慢すれば普通にお話相手も出来るかも」
少女の貞操観念は割ときっちりしている為、とりあえずは一線を引いてみる。
無論、彼女が自ら望んで線を踏み越えてくるなら、しっかり答えるつもりではあるけれど。
ふに、ふに。華奢な体に宿る柔らかさを堪能しながら、少女はどこか幸せそうだった。
■アゲハ >
「ですよねぇ……残念……」
売ることには割と熱があるのか、ほんのちょっとだけ残念そうにつぶやいた。
「そうですね。今まで、指で数える程度にはお口でしたりとか、すっきりするまでお付き合い、とか」
生娘のように、恥ずかしそうに頬を赤くしながらも。しっかりと受け答えする。思い出したせいなのかは知らないが、また匂いが濃くなって。抱きついた至近距離からの――また甘すぎる、匂い。
頼んだアイスが来たので、抱かれながら口に含む。ちろっと、小さな舌――艶のある唇――さっき、口でするといっていたが、それで――と、想像は広がる。
「おお……この辺りはそういう人が多い、んですかね? あ、でもやっぱ我慢するんですね――我慢、はよくないですから。私で良ければ、お付き合い、しますよ?」
本人が、そうしようと思ってしている展開ではないだろう。媚薬を盛って、悪意ある行為をしたり、狙ったことをする――本来であればそういう用途で使われることの多い”体質”であろうが。
少女は、そうではなく。無理矢理でもなく。合意、もしくは相手に委ねるタイプ。それを逆手に取るとか言うわけでもなく、むしろ善意で言っているのがわかった。
「――本当に、いいんですか?」
大丈夫ならいいんですけど、と心配した表情であった。
■シャロン > 「山脈にない花なら売れるかも、ですけどね?」
例えば薔薇は、少なくとも少女の活動圏では見たことがない。
貴族の邸宅や王城に存在する手入れされた庭園で見るくらいだ。
「ふむ、主に男性相手だったんですか?――おおぅ、結構クラクラ来ますねぇ」
より濃くなる彼女の匂いを嗅ぎながら、しかし少女は未だ理性を保っていた。
ちょっと気を抜くと摘み食いしてしまいそうな気もするが、今は未だ大丈夫。
元より我慢は得意な上に、性質としては被虐より。お預けだと思えば問題ないのだ。
「それは確かに。ですが、私は、するならちゃんと貴女と仲良くなってからがいいのです。
ですから、今夜は、我慢します。ただ、ちょっと人寂しい気分は抜けないので、一緒に寝ましょう?」
等と話していたならば、その内アイスがやってくる。
それを合図に彼女を解放すると、一緒に由無し事を話すとしよう。
後は、彼女が乗ってくれるならば、部屋に連れ込んで一緒に寝ることにする。
可愛らしいお花屋さんとの出会いは、終始ふわふわとした甘い香りに満ちていたのだとか――。
■アゲハ >
「あ、いや、女性でもその――生えてる方でしたので」
かぁああっと顔を真赤にすれば、またより濃い匂い。
「そうですか。わかりました。ではお付き合いしますね?」
はむっとアイスを、待たせないように食べきって。
今日の夜は、出会った女性と過ごすことになったのだった。
だきまくら、として
ご案内:「九頭龍の水浴び場 休憩所」からアゲハさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場 休憩所」からシャロンさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にイグナスさんが現れました。
■イグナス > じゃぶ、——湯の音が、夜空の下に響いた。
実に良い夜だ。いつの間にか天気は晴れて、星々がきらめいている。
ゆらゆらと揺れる煙を見上げながら、大男は、はあ、と息を吐いた。
「ん、あー………きもちー、なァ、おい。」
露天風呂に浸かりながら、大男は実にとろんと溶けたような声で笑った。
傍らには桶と、中には酒瓶がころころ。
くい、ぐび、と喉に通す。
一日の終わりは、やはりこういうのがいいものなのだ。
――おや、誰か来たみたいだ。
折角だし、一緒に酒でもどうか、と。声を掛けてみたりして。
■イグナス > そうしてのんびり過ごすのでした――
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からイグナスさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にエレイさんが現れました。
■エレイ > 「──ウェーイ……」
夜。
露天の岩風呂で、熱い湯に身を浸しながら変な声を漏らしつつ寛ぐ金髪の男が一人。
湯船を縁どる岩の一つにぐでりと背を預け、満悦そうな表情を中空へと向けていて。
「んんーむ……いつもながら見事な湯加減だと感心するがどこもおかしくはないな。
毎回言ってる気がするが……それだけクオリティが高いという証拠だろうな」
なんて独りごちて小さく笑いながら、頭に載せたタオルを手にして軽く顔を拭うと、ぷぅー……と息を吐きだし。
改めて夜空を仰げば、そこには雲で朧にされることもなく輪郭も明瞭な月の姿がある。
そこから降り注ぐ、柔らかい光に目を細め。
「今夜は月も見事な感。あとは、ご一緒してくれる誰かがいればなお良いのだが……」
などと詮無い願望を呟きながら、ちら、と出入り口の方にささやかな期待を込めた視線をやってみたりして。